平成20 平成20年度予算特別委員会

(第4 3 7日)

(岸口実 委員)  ようやく質問の機会が回ってきた。時間も押しているので、順次質問させていただきたいと思う。
 昨年末に総務省が公立病院改革ガイドラインを策定した。これによって兵庫県も平成20年度中に経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しなどの公立病院改革プランを策定することになったことは、皆さんご承知のとおりである。
 このプランの実施に対して、改革の実施に必要な経費については財政支援措置をとり、既存の地方財政措置については見直しを検討するとされている。まさにあめとむちである。
 病院経営は新しい時代に入ったと思う。この機に、県立病院も時代に合ったものに直していく、新しい絶好の機会であるととらえ、以下4項目6問の質問に入りたいと思う。
 まず第1点目は、県民への説明責任である。
 これについては、昨日も県民政策部に対して黒川委員、藤田委員から質問があったとおりであるが、私は病院局も同じように県民に対する説明責任を果たしていく必要があると考えている。夕張ショックがあった。その後、兵庫県も実質公債比率が全国ワースト2位と言われた。
 6月に地方財政健全化法が施行され、財政の健全化を判断するための4指標が定められ、病院局会計が属する公営企業会計もその指標の一つである連結実質赤字比率が適用されることになったわけである。まさに病院経営による財政状況が、本県の財政健全化の判断に大きく影響を与えるものと理解している。
 ちなみに、この10病院の平成18年度決算を見てみると、約93億円の繰入金を入れている。しかしながら、単年度で59億円の赤字である。この数字だけを見ると、愚痴の一つも出てくるというのが本音である。また、救急搬送時のいわゆるたらい回し、こういったことが起きると、その不満の矛先は国や県や市に当然向かってくるわけである。ただ、むだ遣いが許されないことは当たり前であるが、徹底した安心した医療提供、そしてコスト管理を行っていくのは当然である。
 私は、赤字がいけないと言うつもりはない。そのためには、県民に対して経営状況を含め、情報公開が行われる必要があると考えている。例えば、民間企業において投資家に対する企業の広報活動の重要性が増している。投資家や株主との良好な関係を築き、その会社の投資価値を理解してもらうための広報活動、いわゆるIRである。会社にとって、よい情報も悪い情報もきちんと公開するIR活動を展開している会社が信頼を得て、株式面でも高い評価をされる傾向がある。例えば、決算が悪くても株価が上がることもあるし、いい決算を出しても株価が下がることがある。これはやはりIRによるものである。
 県立病院も同じである。県民に対し、県立病院の役割、政策医療、特に民間で担えない不採算医療、高度先進医療への取り組みを理解していただき、赤字がなぜ生まれるのか、しっかりと説明ができれば、必ず県民の理解は得られるものと思っている。
 そこで、政策医療はもちろん、重要な地域医療も担っている県立病院の経営状況や役割などについて、県民に対しどのように説明責任を果たしていかれるのか、ご所見をお尋ねする。

(青木病院局長)  県民から信頼され、安心できる県立病院の実現を図るには、病院事業に対する県民の理解や信頼が重要であると考えている。
 こうした考えのもと、これまで県立病院の基本的方向などの病院事業の基本方針や経営情報を初め、診療機能、治療実績、医療事故の状況等について記者発表やホームページ、病院の広報誌等を通じて、県民に対する情報発信に取り組んできたところであるが、やはりその情報の見せ方や伝え方に若干の課題があるんではないかと認識しているところである。
 このため、今後はこれまでの取り組みに加え、民間企業のIRにおけるプレゼンテーションや情報提供手法等も参考にしながら、政策医療の内容や実績、わかりやすく解説された財務諸表の提供により、県民への説明責任を果たしてまいりたいと考えている。
 さらに、県の広報誌や報道機関への積極的な情報提供などにより、より充実した県立病院の情報発信に努め、県民がこれまで以上に県立病院の情報に触れ、一人でも多くの県民に県立病院事業についての理解を深めていただけるよう取り組み、県民の信頼を得ていきたいと考えている。

(岸口実 委員)  日本語というのは難しいところがあって、一生懸命やっているが赤字だと言われる場合、それと赤字だが一生懸命やっていると言われる場合と、全くとらえ方が違う。淡路病院の件もそうである。一方的に、新聞で休止ということを見たが、休止の後ろに最善の策がもしきちっと明示されていたならば、安心感というのは損なわれなかったと思う。そういう意味で、広報の大切さというのはそこにあるんだなという気が、私はしている。今後とも県民にわかりやすい、そして安心感を提供できる広報活動をよろしくお願いしたい。
 そして、質問の第2は、コスト削減の取り組みとその成果についてである。
 ここでは、2点お尋ねをするが、平成19年度の兵庫県病院事業予定損益計算書を見ると、県立病院事業で医業収入のうち医療収益、外来収益、この二つを足すと665億円。医業費用、給与費、材料費を足すと671億円である。当然、もうここでずれてしまっているという現状である。ずれる理由はそれぞれあるので、そのことについて言及するつもりはないが、その観点から、一つ目は、材料費の削減についての取り組みをお尋ねする。
 これまで、「兵庫県立病院の今後のあり方について」や、平成15年の「病院構造改革推進方策」、平成17年の「県立病院の基本的方向」などの策定により構造改革が進められてきた。これらの取り組みを進める上で、平成14年4月に地方公営企業法の全部適用を実施し、県立病院の経営責任の明確化、自主性の拡大による効果的、効率的な運営体制の確立を実施され、医療制度改革の中で診療報酬が下がり続けている状況においてもコスト削減に取り組まれ、一定の成果が上がっているものとお聞きしている。まさに全部適用によって、企業性を発揮した事業運営に取り組まれている成果だと思うが、まず全部適用後に材料費や経費等のコスト削減に取り組まれた内容と、その成果がどうであったのかについてお尋ねする。

(井上経営課長)  地方公営企業法の全部適用後、自立した経営を確保するために、収益確保の努力にあわせ、材料費等の削減にも懸命に取り組んできたところである。
 具体的には、材料費のうち薬品費については全品目本庁一括交渉の実施や、医師や薬剤師の参画による価格交渉の強化に努めるとともに、県立病院間で同種同効薬品の統一化など、スケールメリットを生かした購入をすることにより値引き率の拡大を図っているところであり、その結果、全国自治体病院の中では上位の割引率となっている。
 次に、材料費のうち診療材料であるが、民間専門業者による在庫管理の一元化、また県立病院間の価格情報の共有化による廉価製品への切りかえ・統一化、民間流通価格調査結果に基づく購入価格の決定、さらには外部専門業者による購買監査などを実施し、購入価格の節減を図っている。
 このような取り組みをした結果、平成18年度の材料費合計額は、平成14年度と比較して6億円減少している。また、経費については、病院の効果的、効率的な運営を図るため、医事業務や滅菌業務等の外部委託化の推進等により、金額的には増加しているが、委託業務の仕様の見直しや高額医療機器の県立病院間での保守契約の一括化、また電気料金等の長期継続契約による割引率の拡大などを実施し、その削減に取り組んできたところである。医業収益に対する経費比率は、民間病院や公立病院の平均と比べると低い値となっている。

(岸口実 委員)  大変な取り組みをされておられることはよく理解できた。
 次に、先ほど申し上げたもう1点の視点からすると、この給与費の削減ということを取り上げなければならないと考えている。
 今後の病院経営を考えると、診療報酬は一律に上がるとは考えにくい。また、医師不足、医師確保策は今まで以上に容易でなくなるなど、諸状況が悪化することが容易に予測されるわけである。
 そうなると、現組織、現体制を維持することを前提とすれば、今以上に飛躍的な効果を期待することは望めない。むしろ先細りと言わざるを得ない。これまでの取り組みを維持するのが精いっぱいということになってしまう。つまり、この体制を維持する限りは、出を制するには大きな期待ができない。
 そうしたことを考えると、給与費の削減が必要となってくる。民間病院に比べ、収益に対する医療スタッフ等にかかる給与費の比率が高いのではないかと思われることから、この給与費を削減することもコスト削減策の重要な手法の一つであると思われる。そこで、その取り組みと今後期待される効果についてお尋ねする。

(岡本病院局管理課長)  県立病院が民間病院と比較して、医業収益に対する給与比率が高くなっているのは、がん医療や循環器系医療など高度で専門的な医療を提供していることから、民間病院と比べて充実した人員体制を要するということ。救急医療など不採算の医療についても実施していく必要があるといったことなどが主な要因であると考えている。
 しかしながら、給与比率の抑制は、経営改善を図る上で重要な課題であると認識しており、昨年度、特殊勤務手当について抜本的に見直しを行ったほか、給料表の水準を平均4.8%引き下げた上で、昇給カーブのフラット化を図るなど、大幅な改革を実施したところである。また、職員数についても、地方公営企業法の全部適用以降、業務執行の効率化であるとか民間活力の導入、業務量に応じた病棟体制への見直し等を行うことにより、職員数の大幅な縮減を行ってきたところである。
 また、来年度から病院事業職員の約3分の2を占めている看護職について、抜本的に見直した給料表を適用した上で、さらに行財政構造改革の取り組みにより、全職員に対し本俸に換算して平均約8%の給与削減を実施するとともに、職員数についても人員配置の一層の適正化を図っていくこととしている。
 これらの取り組みにより、平成20年度において約13億円の給与費の抑制が図られるものと見込んでおり、この効果額は年を経るごとに一層拡大していくと見込んでいる。

(岸口実 委員)  先ほどのご説明で給与費が高いという原因もよくわかったし、医療サービスの提供はやっぱりスタッフあってのことであるということは重々理解している。そういったところを含め、ぜひIR活動、PRをしていただきたいと思う。やはり、その辺の事情がわからず、県民の方から給与が高いんじゃないかとか、材料が高いんじゃないかと、そういうことをよく言われるので、そういったところは徹底してお願いしたいと思う。
 次に、今後の見直しをする視点についてである。
 その一つは、診療機能の充実についてである。県立病院は近年の疾病構造の変化、医療を取り巻く環境の変化、県内における医療供給体制の状況等を踏まえ、県立病院が提供する診療内容や診療機能などについて見直しを行うため、各県立病院の基本的方向性を明記した「県立病院の基本方向」を平成17年2月に策定された。まさに、それぞれの病院ごとに基本的方向が違うのである。
 県立病院は、民間病院との生き残りをかけた競争を行うのではなく、それぞれの地域の医療機関等との役割分担を行い、民間の病院が担うことができない医療を提供するのが県立病院の本来の姿であると思う。例えば、風邪とか盲腸などは県立病院でなくても、地域の民間病院に担っていただければよいのではないかと思う。
 患者にとって、治療するという結果は同じであるならば、コストの高い医療をあえて地域において提供する必要もないのかもしれない。しかし、もちろん地域医療を担っている県立病院のことも承知している。地域の実情に応じた医療提供体制が必要であり、今後は地域のニーズに応じた診療機能への見直しが求められる。
 そこで、県立病院の基本的方向策定以後に取り組まれた診療機能の充実について、どのように評価され、今後どのように見直しをされるのか、ご所見をお尋ねする。

(黒田病院事業管理者)  県立病院事業は、病院構造改革推進方策や県立病院の基本的方向といったものに基づき、高度専門・特殊医療を中心とした政策医療を担う病院として可能な限り機能の純化や高度化を図ってきた。
 具体的な内容としては、例えばがんセンターにおける腫瘍内科の設置やPET検査の実施等によるがん医療への純化、高度化、こども病院における小児救急医療センターの設置、さらには塚口病院における成育医療等、各病院の特色も生かしながら、診療機能の充実を行ってきた。こうした取り組みの結果、疾病構造の変化や県民の医療ニーズに的確に対応した医療提供を行うとともに、兵庫県保健医療計画に記載されている政策医療の確保にも少なからず貢献してきたと認識している。
 一方、医療構造改革の進展や新たな保健医療計画の改定、勤務医の不足・偏在等、県立病院を取り巻く環境は大きく変化してきている。加えて、国から示された公立病院改革ガイドラインにおいても、公民の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療の確保等を図ることが求められている。
 そのため、現在作業を進めている病院構造改革推進方策の見直しや、20年度に策定する県立病院改革プランの中で県立病院を取り巻く環境変化や地域の医療資源の有効活用を図る観点、さらには他の医療機関との適切な機能分担を行うといった視点から、県立病院の診療機能の見直しに取り組んでまいりたいと考えている。

(岸口実 委員)  全く同じで、実は地方に、それぞれの地域におられる方というのは科目の偏在が一番困る。したがって、県立であろうと市立であろうと、私立の病院であろうと、その立は問わない。同じ科目が二つある必要はないので、県はやはり地域にないものだけをつくっていくという考え方でも十分足りるんではないかといった意味で、先ほどの質問をさせていただいた。
 もう一つは、それぞれの病院の病床数の見直しについてである。
 県立病院周辺の医療施設の整備状況もそれぞれの病院で違っている。例えば、阪神南圏域では医療計画上の2次医療圏域別病床数を見ると、平成1910月現在で基準病床数8,650床に対し、既存病床数8,620床が既に整備されている。中でも、300床以上の大規模な病院が10施設ある。また、建てかえ中で完成が待ち望まれている新加古川病院のある東播磨圏域は、基準病床数5,900床に対し、既存病床数は6,303床が整備されている。300床以上の大規模病院が9施設あるわけである。
 各病院の病床利用率を見ると、塚口病院76.7%、光風病院62.4%、柏原病院57.9%、姫路循環器病センター72.5%と、他の6病院に比べ大変低くなっている。それぞれの病院によって医師不足や施設改修など、原因や理由、事情がそれぞれあるわけであるが、在院日数が短縮されたこと、またさきに述べた周辺の医療施設との連携がなされれば、病床数を減らすことは可能ではないかと感じている。周辺の単純な数合わせが通用しないことはよくわかっているが、病床数の見直しはぜひ必要であると考えている。この病床数の見直しをすることが、ひいては経営の見直しに大きく寄与することが期待されている。
 さきにご答弁をいただいたが、給与費の削減についても経営形態や病床数、診療科目などをセットして、例えば病院のダウンサイジング化を含めた見直しも行う必要があるのではないか。経営改善策の一つとして、患者数に応じた病床、規模の見直しがどうしても必要と考えている。そこで、今後、県立病院における病床数の見直し等が必要だと思うが、当局のご所見についてお尋ねする。

(井上経営課長)  病床数の見直しは、県立病院が持つ診療機能、医師確保見込み、効率的な経営の観点など総合的に検討する必要があると思っている。
 しかし、昨今の医師不足や地域の医療体制の変化等により、病床利用率が低下し、その回復が難しいと見込まれる場合には、病床数の見直しを適正かつ迅速に行うことは、病院経営上重要な課題の一つだと認識している。
 病床数の見直しに当たっては、同時に看護師数の見直しにつながることから、看護単位である病棟単位に見直しを行うことが必要と考えている。
 こうした考えのもと、これまでから病床数の見直しを適宜適切に進めており、19年度においても柏原病院において、医師不足の状況や患者数の推移を踏まえ、10月から1病棟減少したところである。また、20年度においても、光風病院と柏原病院において、診療機能の見直しや医師数、患者数の推移を検討し、それぞれ1病棟減少することとしている。今後とも、診療機能や患者数に見合った病床数となるよう、適宜適切に見直しを行い、経営改善に努めていきたいと考えている。

(岸口実 委員)  やみくもに減らせと言うつもりはないし、ないものを整備していくという観点でお願いしたいと思う。
 最後に、その他の収益確保策について一つ申し述べて、質問を終わりたいと思う。
 先ほど申し上げたように、医療費の抑制の流れは簡単にとまらない。先般、会派で高知県のPFIでやられた医療センター等の施設も見せていただいたり、また明石市ではこの間、スターバックスを併設したりということで空きスペースの活用をされている。来訪者や患者の利便性につながるコンビニの誘致などが必要ではないか。また、他の県有施設ではネーミングライツなどの取り組みが来年度からあるが、病院ならではの取り組みがないものかと考えている。
 ここにいらっしゃる皆さんもご経験があろうと思うが、入院患者やその家族から、入院に際して個室にしてほしいとの声が時々寄せられる。入院患者やその家族からも喜ばれ、収益に寄与する病院の個室、特別室について述べてみたいと思う。
 平成18年度の病院別特別室の利用率を見ると、がんセンターが84.8%、粒子線医療センターが85.8%、西宮病院が78.5%、加古川病院が75.3%とニーズがあることがわかる。実は、この84.8%というのは、1週間で換算すると7日のうち6日埋まっていることになる数字である。入院患者に対するアンケートなどを実施し、ニーズの高い施設の誘致や整備を進め、個室の増床などをぜひ検討していただくことを提案したいと思うが、当局のご所見をお尋ねする。

(井上経営課長)  県立病院における特別室は、療養環境の向上に対する患者のニーズに対し、患者の選択機会を広げるため、各病院に設置している。病院の大規模改修や診療機能の見直し工事等にあわせ、患者のニーズや利用状況、また建物の構造や医療設備の状況、費用対効果など総合的に勘案して整備を行ってきたところである。
 平成18年度の特別室の利用状況は、全病院平均で68.7%となっており、一般病室を含めた全病床利用率82.2%と比べると低い状況にある。病院別の状況も見ると、最も高い粒子線医療センターで85.8%、最も低い塚口病院で43.6%と、病院によって大きく異なっている。
 しかし、特別室の室料は約8億円と大きな収益があり、特別室の有効利用は収益確保の観点からも有効な手段と認識している。15年度にはがんセンターにおいて増床したところでもあり、今後も患者のニーズを踏まえ特別室の整備を検討していきたいと考えている。
 一方、売店や喫茶コーナーなどの患者利便施設については、大規模改修にあわせて整備検討を行うこととしており、21年度に開設を予定している新加古川病院においては、外来食堂や売店など患者利便施設については、広く民間事業者から提案を求め、収益確保や患者サービス向上の観点から、業者を選定することとしている。

(岸口実 委員)  もう最後にするが、先ほど申し上げたように、全病院でつくっていただきたいという趣旨ではない。やはり利用率の高いのが望まれる病院、ここへつくると患者も喜ばれるし、収益も上がるということなので、ぜひこれはお取り組みをいただきたいと思う。
 以上で質問を終わる。ありがとうございました。

 

 

平成20 平成20年度予算特別委員会

(第6 311日)

 

(岸口実 委員)  先ほど新原委員からも冒頭にあった明石海峡での貨物船衝突事故について、私も地元であるし、またこの委員の中には同じ明石市より選出されている橘 委員よりも、先ほどぜひ頑張ってお願いをしたいと、思いは同じであると励ましをいただいたところなので、早速質問に入りたいと思う。
 まず、今回の事故によって犠牲となられた方々のご冥福、そしてまた被害者に対するお見舞いを申し上げて、質問に入りたいと思う。
 当海域は、ノリ養殖とイカナゴの新子漁の最盛期を迎えていただけに、漁業関係者らに大きな不安と影響が出ている。この議会での対応として、我が会派も自由民主党県議団、公明党・県民会議議員団とともに、国と連携し油流出による被害防止や、漁業・水産業者に対する被害補償の促進、風評被害の防止や国に対しての原因究明と再発防止などを求め、知事に申し入れを行ってきた。
 先週来、知事も現地へ入られたし、政府関係者も入られているところである。私も地元漁協を回ってきて、現地の現状、また意見交換、要望等を受けてきた。
 この沈没船からの重油の流出が、今も少し続いているようである。船の引き揚げについて、費用、時期、引き揚げに係るリスクなどまだまだ不確定要素が多く、船が沈んでいる状態のままではいつ何どき漁に影響が出るかわからず、将来への不安がぬぐい切れないという声があった。また、沈没船が運んでいた鋼材が海底に散乱していれば、底びき漁への不安等々もあるということである。報道にもあったように、引き揚げは非常に困難な状況であるが、この引き揚げについて強い要望があった。
 また、明石で事故現場に近い林崎漁協で話を伺ってきたときに、ノリ漁場は全面廃棄を決定していた。重油流失の被害はごく一部であったが、漁業者の方々の食の安心・安全への思いから全面廃棄を決められたようである。したがって、ノリの安全性に何ら問題がなく、風評被害に大変懸念をされていた。
 報道では、神戸市漁協、また淡路の森漁協も今期撤退というふうな記事も出ている。この被害の全体がまだつかめていないという状況であるが、この3月7日の時点で1回目の全面廃棄による被害は、明石だけでも1億数千万円と見積もっておられた。この全容をつかむことも早急であるが、これらに対する支援が待ち望まれるわけである。
 また、船びき漁は自主的に禁漁区を設け、近場でのイカナゴ漁を自粛し、燃料代が高騰する中、遠くまで漁に出なければならない状況が続いている。先ほどあったように、県では昨日、油防除対策、災害資金としての豊かな海づくり資金の融通、農林漁業金融公庫の活用、漁業共済金の早期支払いなど、被害を受けた漁業者への経営支援、風評被害の防止などの対策を発表されたところである。
 これで当面の対策は立てられたと私も考えているが、やはり今後まだ漁船であるとか漁具についた油の処理、設備近代化資金などの融資の返済猶予、金利の減免、補償問題への行政の関与など次の課題が今もなお残っているわけである。今後も県としての役割をしっかりと果たしていかなければならない場面も多くある。
 そこで、県として被害状況をどのように認識をされ、どのような対応を今後お考えになっておられるのかをお尋ねする。

(大谷水産課長)  このたびの油流出事故は、最盛期にあるイカナゴ漁の主要漁場であるとともに、周辺に県下最大のノリ養殖漁場を抱える明石海峡で発生したものである。しかも、多数の大型船が行き交う航路の真ん中に沈んでしまい、引き揚げも困難であり、船体からはなお油の流出が続いているという悪条件が重なった油流出災害である。
 漁業被害は、現在までに神戸市から明石市の沿岸部、大阪湾北部や播磨灘北東部の沖合ノリ養殖場などに広範囲に油が漂流し、漁具やノリに油が付着して操業中断を余儀なくされたほか、一部で生産の継続を断念した地区も出ている。
 また、イカナゴ漁では、漁業者は油漂流海域での操業を自粛し、水揚げ高等に大きな変化は今のところないが、漁場の遠隔化で燃料費の増加による経営圧迫や風評被害の発生が懸念されており、この事故が本県の主要漁業であるノリ養殖業やイカナゴ漁業の経営に甚大な被害を与えるものであると認識している。
 今後は、引き続き油の回収や監視等を実施して、被害の拡大防止に取り組むほか、県が利子補給する低利資金の融通や既に貸し付けている資金の償還延伸、また漁業共済金の早期支払いの指導等きめの細かい対応によって、被害を受けた漁業者の経営維持に最善を尽くしていきたいと考えている。

(岸口実 委員)  早さも支援の中には必要であるので、ぜひよろしくお願いしたいと思う。
 そもそも今回の事故をよく見ると、重油が流出をしている貨物船というのは、事故だけを考えると被害者なのである。ぶつけられて沈んでしまった。そこから出た重油であるから、漁業者の方々はこれは事故でなく災害だと、だから万全の体制をお願いしたいと重々声を聞いてきたので、今後の対応、遺漏なきようお願いをしたいと思う。
 続いて、ノリの色落ちに対する今後の対策についてである。実は、このノリの色落ちについて何点かお尋ねをしようと思っていたが、こういった事故もあったので、1点に絞って質問する。
 大手コンビニで売られているお握り、これに使われていたのが兵庫ノリであった。これはことしから有明ノリに変わってしまった。大変残念なことである。過去には全国1位を誇っていた兵庫ノリの生産量が、平成11年から珪藻赤潮の発生によって色落ち被害が拡大をし、平成15年漁期には生産枚数、金額とも前年の3割減となるなど被害が甚大で、平成17年漁期も生産額は平年に比べ24%減少した。
 ことしは秋の少雨で海中の栄養分が少なくなるなど色落ちが深刻で、生産量の減、価格の下落、加えて燃料費の高騰と大きな打撃を受け、一部の漁協に生産一時休止などの動きが広まっていた。
 明石市では先月、県内で初めて市内ノリ養殖業者の緊急支援策として、加工経費として負担が大きい水道料金の一部を補助することを決定をしたところである。県では平成17年度から東播磨県民局、漁業者、研究者が共同し、ノリの色落ちの原因となる植物プランクトンを食べたり、水質を浄化したり、稚魚への隠れ家の提供などの効果を期待をし、東播磨地域の沿岸に以前大量に生息していた二枚貝のウチムラサキの試験放流を行うなどの取り組みがなされている。
 今期の播磨灘のノリの色落ちの特徴として、例年は2月以降に見られるものが、ことしは出荷開始直後の12月下旬から出始めた。大阪湾など近海のノリ産地は豊漁もしくは例年並みにもかかわらず、播磨灘のノリは色落ちが深刻であるということがことしの特徴である。
 色落ちの原因は、海中の栄養不足によるところが大きいようであるが、これは珪藻プランクトンの大量発生や少ない降雨量などの特殊要因により、大きな色落ち被害を招くと聞いている。一部には、大阪の淀川から流れ出る栄養分を播磨灘に運ぶ潮流が、空港島でせきとめられているためとの声もある。
 わずかな環境の変化で色落ちが起きると言われているだけに、絶対的な対策があるわけではない。原因に応じて対応せざるを得ないわけである。また、その対策は大変困難である。しかし、ノリ養殖に携わる人にとっては生活を左右する大問題であり、また全国有数の生産を誇る兵庫ノリを守るためにも、何年にもわたるノリの色落ち状況に対し早急な対策が望まれるわけである。
 そこで、県としても今月7日に平荘ダムから4日間、栄養塩の豊富な河川放流をされるなどの対策を試みておられるが、ノリ色落ちに対して今後どのような対策をとっていかれるのか、また現時点でその成果の見通しをどのように持っておられるのか、お尋ねをする。

(山村資源増殖室長)  今漁期における3月初めまでのノリの養殖生産枚数は6億9,000万枚、生産金額は554,000万円にとどまっており、これは過去10年の平均と比べると枚数で72%、金額で55%の生産となっている。
 この原因は、平成8年漁期以降に問題となっているユーカンピアとは異なる種類の珪藻赤潮が、漁期開始直後の12月から発生したため、例年になく早くからノリの色落ちが始まったことによるものである。
 県では、これまで色落ち被害対策として、珪藻赤潮情報・予報を活用し、適正な生産計画等の指導を行い、色落ち発生時の被害の軽減を図ってきたところである。
 また、ノリの優良品種開発に取り組み、2月、3月の栄養塩低下時期までに生産量を確保するため、比較的水温の高い漁期当初から十分な育成が可能な品種の開発を進めていくとともに、施肥や河川放流試験を実施をしている。
 今後は、これらの効果や実現性について検討するとともに、色落ち原因プランクトンの増殖の抑制を目的とした二枚貝の増殖など、漁場環境の改善等を含めた総合対策を推進し、色落ち被害の軽減に努めていきたいと考えている。

(岸口実 委員)  ノリ養殖を守るということは、ひいては漁業全体を守ることになる。というのも、ノリがだめだと皆さんは漁に出られる。そうなると、限られた資源だから、漁業者が多くなると、それぞれ個々の経営状態というのは当然悪くなるので、そういった意味からもノリの養殖、また全国に誇る兵庫ノリであるから、守る意味でもぜひともお取り組みをいただきたいと思う。
 続いて、県水産物直売の推進についてお尋ねをする。農産物の直売所が多く整備をされている。県内でもさまざまなところでよく見かけるようになった。
 昨年、明石農業改良普及センターのご案内をいただいて、明石市内の直売所の案内をいただいた。直売所は認知度が上がるにつれ、客数、売り上げともに順調に推移をしているということであった。さらなる発展を期待している。
 一方で、県水産物の直売に目を向けると、魚食の普及、流通を図ろうと、農産物直売所活動支援事業を活用し、県漁連が鮮魚移動販売車を導入し出張販売を行っていることや、室津の「とといち」では地元で水揚げされる魚介類の販売だけでなく、これらを使った魚料理中心の仕出し弁当や総菜などの販売を手がけているなどの取り組みがある。
 また、明石では、明石浦漁協の若手漁業者がAFARという組織をつくって、たこフェリー乗り場のレストランの運営委託であるとか、地元水産物やノリを使ったお握りを販売をするなど積極的な取り組みを続けておるところである。
 しかしながら、農産物の直売所に比べればその取り組みはまだまだ少ないと思う。全国的な魚離れの進行が懸念をされる中、兵庫県の豊かな水産物について、その販売を拡大していくためには、消費者と直接取引など消費者へのPRとともに、生産者の顔が見える販売の取り組みが重要ではないかと考えている。
 県でも水産物県内流通改善対策事業や鮮魚販売施設の導入支援などに取り組んでおられるが、県内では農産物の直売所の整備が進んでいることを生かして、こことの連携により水産物の直売を拡充できないかと思うわけである。
 そこで、水産物の直売を推進するためにどのような対策を考えておられるのか、お尋ねする。

(大谷水産課長)  全国的な魚離れが続く中において、県内の漁業者や漁業団体が取り組む県産水産物の直売は、市場流通とは異なり、消費者に直接PRしながら販売できる点で非常に有効な方法であると考えている。
 県では、これまでから但馬漁協や神戸市漁協等、産地での直売施設整備を支援し、さらに平成17年度からは消費地での積極的な直販に向けて、鮮魚移動販売車の導入や量販店内の直売所での販売戦略の構築に取り組む県漁連に対する支援も行っている。
 平成19年度には、積載量の多い鮮魚移動販売車の導入を支援し、県産の農産物と水産物が一度に購入できるように県内各地の農産物直売所と連携を強め、積極的な販売展開をめざしている。
 また、地元の水産物を利用し、加工や直販などの新たな取り組みを実践する意欲ある漁業者グループに対しては、普及指導員が加工技術や経営改善等への指導・支援を行い、室津漁協の「とといち」など地域の活性化につながる事例も見受けられている。
 今後、県産水産物の消費拡大のために県漁連等が取り組む魚食普及活動を推し進めるとともに、漁業者団体や漁業者グループの育成・支援に努め、県産水産物の直売の一層の推進を図っていきたいと考えている。

(岸口実 委員)  先ほどご答弁があったように、農産物と水産物はやはり同じところで売った方が消費者は便利であるので、ぜひそういった取り組みを促進をしていただきたいと思う。
 次に行く。食品表示の適正化促進についてお尋ねをする。さきの中国産冷凍ギョーザ事件等で改めて食の安全・安心の重要性、そして農薬の怖さを再認識をさせられた。
 国内では、平成15年の食品衛生法の改正により、いわゆるポジティブリスト制度が平成18年5月より施行された。これにより一定量を超える農薬が残留する食品の販売等が原則禁止になったことはご承知のとおりである。
 県下の農薬使用量を見ると、平成17年度、目標値10アール当たり4.6キログラムに対し、実績値4.4キログラム。平成18年度は、目標値4.4キログラムに対し、実績値4.2キログラムと着実に使用量が減少をしている。消費者の有機野菜や無農薬への関心の高まり、生産者側の努力による農薬の適正使用の意識の浸透によるものとされている。
 農薬の取り扱いの指導的役割を果たす県認定の農業管理指導士も着実に増加しておるようであるが、これらの取り組みをPRすることが県民への食の安全・安心にもつながっていくし、ぜひお願いをしたいと思う。
 今回の一連の事件を受けて、東京都ではJAS法の義務づけられていない冷凍加工食品などの原料・原産地表示を独自に義務化する方向での検討を始めたとの報道があった。兵庫県でも検討すべき課題であると思われるが、その前にJAS法等に基づく食品の品質表示の徹底を図らなければならない。
 平成18年度、生鮮食品小売店736店舗の表示状況の調査に対し、適正表示は567店舗、適正表示店舗率は74.3%となっている。調査を開始した平成14年度の63.1%からは上昇しているが、地道に今後も努力を続けていただきたいと思う。
 そこで、適正表示店舗率の向上に向けた監視の強化、違反店の店名の公表などを含め、より適正表示を推進するための方策が必要と考えるが、今後どのようにお取り組みになるのか、お尋ねをする。

(西村農林水産部長)  食品表示は、消費者にとって食品を選択する際の重要な情報源である。そういうことから、これまで食品の製造・販売業者が行う原材料名や原産地などの表示の適正化に向けて、食品販売業者等への立入調査、JAS法表示110番の設置による表示相談、食品製造・販売業者や消費者を対象にした食品表示制度の普及啓発等を行ってきたところである。
 平成20年度からはJAS法等が一部改正され、これまで対象外であった加工食品の原材料納入業者にも表示が義務づけられるというようなことから、各県民局に配置をしている食品表示調査指導員に加えて、本庁にも指導員2名を配置し、製造・販売業者に加えて原材料納入業者に対する指導監視体制の充実を図っていきたいと考えている。
 また、国、県関係機関、県警を構成員とした食品表示連絡会議、これを新たに設置をし、情報の共有化と連絡強化を図り、重大事案の発生時には指導員等で編成する調査チームによる集中調査や科学的手法を用いた産地偽装調査を実施することとしている。
 今後とも、適正表示の徹底に向けて調査・監視に取り組み、特に産地偽装等の悪質な違反事業者には、事業者名を公表するなど厳正に対応することとし、食品表示に対する消費者の信頼確保に努めていきたいと考える。

(岸口実 委員)  よろしくお願いする。時間がないようであるので、先を急ぐ。
 最後の質問である。都市近郊農業の担い手対策についてである。明石市は、都市近郊農業に適した大変恵まれた地域である。大消費地を背後に、その優位性を生かした取り組みがなされている。その日の朝にとれた軟弱野菜が夕方にはスーパーに並ぶなど、生産から流通の体制がうまく機能している。また、学校給食への食材の供給、直売所での販売も成果を上げている。先ほど申し上げたとおりである。もう一つ、清水のイチゴのようにブランドとして定着しているものもあり、大変すばらしい状況にある。
 しかしながら、明石市の農家戸数は全世帯の約1%である。市内の水田383ヘクタールからは、明石市人口の11%に当たる住民が1年間に食する量の米が収穫をされているわけである。県下の農家の年齢構成を見ると、例えば農業就業人口では60歳以上が75%を占めている。高齢化は否めない。このまま担い手が育たなければ、山間部、農村部での農業の担い手不足は深刻な問題であるが、中長期的に見ると都市近郊農業ですら不安を抱くものである。
 幸いにして明石市は住環境にすぐれ、都市型の生活を送ることも可能な地域である。先ほど申し上げたように、農業での経済性も大きくある。郡部における担い手対策とは別の視点で、都市ならではの取り組み次第で大きな成果を上げる可能性があると考えられる。
 都市近郊農業の振興は、防災機能を担う農地を保全する役割も果たすことから、将来的に農業が維持されるよう担い手対策確保に取り組まなければならない。国産の食品に関心が高まる今こそ絶好の機会である。そこで、県として都市近郊農業の担い手対策をどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思う。

(杉本農政企画局長)  本県の都市近郊地域では、立地条件の優位性を生かした野菜や花など収益性の高い農業が営まれている。この都市近郊農業は、食料の安定供給、景観や環境保全などの側面からも重要な機能を果たしていて、その維持・発展を図るためには、担い手や後継者の育成・確保、こういったことが不可欠であると認識をしている。
 このため県では、地元野菜の産地化を図るため、ハウス等の整備や新品種、新規作物の導入、それから地元卸売市場への供給体制の強化と地域ブランド化、さらに消費者と生産者による地産地消応援団の組織化や直売所の整備、こういった支援を行ってきている。
 この結果、例えば神戸、阪神南・北、東播磨県民局といったいわゆる都市近郊と言われる県民局エリアで見てみると、野菜や花卉等を主体とする認定農業者が467名と、この2年間で2割増加しているし、Uターン就農等の若手農業者も現在230名という状況である。
 今後とも、農家子弟はもとより農外からも新規就農者を確保するため、県立農業大学校における就農チャレンジ研修や楽農生活センターの就農コースを実施する。
 また、就農希望者のすそ野を広げるために、団塊の世代も対象にした新規就農駅前講座、それから農作業の基礎的な知識を学習・体験する楽農生活センターの生きがい農業コース、これを拡充をしたいと考えている。
 こうした施策を通じて、都市近郊農業の担い手確保に努めていく。

(岸口実 委員)  最後に一言だけ申し述べて終わりたいと思う。
 都市部であると、若い方々が非常にやはり定着しやすいと思う。郡部へ行って、山間部へ行って農業をしなさいというのも確かに重要なことであることは認識しているが、なかなか現実性、実効性が見られないという面があろうかと思う。都市部であるとやはりそういった面ではかなり優位性があるので、そういう特徴を生かした担い手対策をお願いしたいと思う。
 以上で質問を終わる。ありがとうございました。

 

 

平成20 平成20年度予算特別委員会

(第7 312日)

 

(岸口実 委員)  皆さん、おはようございます。民主党の岸口である。立場がかわると発言が違うものであるが、誤解のないように説明をしておきたいと思うが、民主党の主張に沿っていろんな法改正等々すれば、道路をつくらないということは一つも言っていない。必要な道路はしっかりとつくるという、これまでの道路建設のあり方、このあり方が今までどおりでいいのかどうかという議論をしようということである。当然、道路整備の整備率も大分変わっているし、社会の状況も変わっている。そういった中で、道路のつくり方、今後のあり方を考えようということを今回の国会で訴えているということを冒頭に申し上げておきたい。道路をつくらないとは言っていない。必要なものはつくる。そのことを申し上げて、質問に入りたいと思う。
 まず最初に、新行革プランにおける進度調整について質問する。
 新行革プランにおける各年度の事業費総額の中で、重点的・効率的な整備を進めるため、はこ物を中心とした県施設の整備については、原則として進度調整を図ることとしている。
 その進度調整の基準として、1つに、平成19年度で計画・構想段階の県施設は、改革期間の前期は着手しない。その2として、平成19年度で設計段階の県有施設は建設着手を3年間凍結する。その3として、平成19年度で既に工事着手している県施設は計画どおり実施するとなっている。
 県土整備部の所管する社会基盤整備においても、同様に進度調整を図る必要があると思われる。そうなるとかなり工事完了がおくれる、あるいはおくれた事業が後の投資事業の中で一定の負担となり、新規事業の採用が少なくなるなど、新規事業とのバランスをどのように図るのかなどの懸念があるのではないかと考える。
 そこで、まず第1の質問であるが、先ほどの内藤委員の質問とも一部重なるかもしれないが、継続事業のおくれの影響について、必要であるからこそ事業が採択されたわけである。今回の新行革プランにより継続中の事業がおくれることへの影響をどのように認識し、また県民に理解を求めていかれるのか、お尋ねする。

(小林県土企画局長)  事業費総額が抑制される中、今後の社会基盤整備を進めるに当たっては、必要性や緊急性など各事業の優先度を見きわめながら、これまで以上に重点的・効率的な整備が必要であると考えている。
 そのためには、事業執行に際して、新規事業の抑制を図り、継続事業を優先することとし、継続事業の中でも完了間近の事業、あるいは災害や地域整備プロジェクトなど、関連する事業との整合を図る必要がある事業については、重点投資を行い、予定工期内に完了させることとする。
 その他の継続事業については、事業の進捗に影響が出ると見込まれるが、新行革を踏まえ20年度に見直しを行うこととしている県民局単位で作成する社会基盤整備プログラムの中で、完了がおくれるなどの影響を明らかにしていきたいと考えている。
 しかしながら、継続事業が長期遅延や休止する場合は、地域生活への影響というものが懸念されることがあり、住民の方々の理解を求めていく必要があると考えている。そのため、課題箇所について、一定の効果を発揮する区間までの部分供用、あるいは待避所設置のような暫定的な対策工事の実施などにより、極力影響を少なくするように努めていく。

(岸口実 委員)  さまざまな工夫をされるということであるが、次の質問に少し重なるが、事業見直しの必要性について重ねてお尋ねする。
 事業が長期間にわたった場合であるとか、事業着手延期が続いている場合、あるいは休止した事業が着手される場合、その時点での事業の必要性を問う何らかの機会が必要であると考える。着手まで相当の期間が開くものがある場合には、中には事業そのものを見直す必要が生まれてくると思うが、その点についてご見解をお尋ねする。

(榊原技術企画課長)  投資事業を進めるに当たっては、平成10年度より事業評価を導入し、事業の必要性や有効性、効率性などについて十分検討した上で、投資効率を高めるとともに、事業実施過程の透明性の向上に努めている。
 事業が長期間にわたり、事業採択後10年間経過した事業や、採択後5年経過して未着手の事業を継続する場合、あるいは休止した事業を再開する際には、その時点で事業評価を行い、社会経済情勢の変化等も踏まえ、事業の妥当性や計画内容の見直しの必要性などを検証することとしている。
 この検証内容については、外部の委員から成る公共事業等審査会という審査会に諮り、審議内容をホームページや県民情報センターで広く公表するなど、事業実施過程の透明性を確保している。
 今後とも、限られた事業費をより一層有効活用するため、事業評価を厳格に運用することにより、必要な事業への選択と集中を図り、県民生活に必要な社会基盤の整備を進めていく。

(岸口実 委員)  まさしく私どもも考えは同じであるので、どうぞよろしくお願いを申し上げる。
 続いて、建設業者の経営多角化支援についてお尋ねする。
 同じく新行革プランで投資事業の事業費総額の見直しが行われる。平成2年度、3年度の中間水準では、国庫補助事業が1,936億円、そして県単独事業が1,345億円の総額3,281億円であったが、平成19年度は国庫補助が1,520億円、県単が1,276億円と総額2,796億円に減ってきている。これを平成20年度から30年度までに一般財源ベースで2,000億円の効果額を維持すべく取り組み、平成25年度には国庫補助事業が1,200億円、県単独事業費が700億円の総額1,900億円に抑制しようとしている。
 一方で、この間の建設業者の数を見ると、平成2年3月には約2万1,500者であったものが、平成12年3月の約2万5,000者をピークに平成19年3月は2万1,200者と減っている。この7年間で約4,000者が倒産・廃業に追い込まれたことになる。当然、経済情勢によるものであるから、公共事業が減ったということだけがその要因ではないと考える。公共工事への依存度が高い業者ほどそのあおりを受けてきたということが言えるわけである。もちろん建設業者のすべてが公共事業を受注しているわけではないが、都市部の業者に比べ、郡部の業者は公共事業に依存している割合が高いと感じる。
 新行革プランでは、激変緩和措置などを初め、さっき質問があったが、入札制度の運用の見直しにより県内の事業者の受注の拡大、小規模事業者の支援を行うとしているが、今後10年間で事業費ベースで5,000億円を超える仕事がなくなり、また5年後には年間900億円分の仕事がなくなってくるなど、事業の絶対量が減ってくる中では、倒産・廃業は避けられないものとなってくる。
 つまり、激変緩和などの対症療法も重要な意味を持っているが、公共事業の比率を下げる、また建設業だけに頼らない経営ができるよう中長期的な展望が必要であると考える。
 そこで、異業種・異分野への進出などを含めた経営の多角化についてお尋ねする。

(牟禮建設業室長)  県内の建設業許可者数は、委員ご指摘のとおり、平成12年3月のピーク時、2万5,536者から減少してきており、また県の投資事業も平成8年のピーク時から減少が続いている。建設業を取り巻く環境は、年々悪化してきている。さらに、原油価格の高騰や住宅着工の減少等により、引き続き厳しい状況が続くものと考えている。そのため、建設業界の再編・淘汰は避けられず、公共工事に頼らない異業種・異分野への転換・進出が重要であると認識している。
 本県においては、国が平成14年度に策定した「建設業の再生に向けた基本指針」に基づき、国の機関や近畿府県、建設業団体等で構成する「近畿地方建設産業再生協議会」を活用して、企業間連携や新技術・新工法、新分野進出の事例等を紹介するとともに、情報の交換や共有化を図りながら、建設産業の構造改善や健全な発達促進に努めているところである。
 また、社団法人兵庫県建設業協会との共催により毎年度実施している建設産業構造改善推進研修会の充実を図り、IT化や資材の共同調達、環境ビジネス等新分野への進出なども支援してきたところである。
 公共工事の発注においては、可能な限り分離分割発注に努め、地域経済、雇用の担い手である県内建設業者に対する小規模事業を確保するとともに、今後とも関係機関と連携し経営多角化の支援策を充実していきたいと考えている。

(岸口実 委員)  先ほどのご答弁の中に、IT化云々ということがあったが、異業種に進出をするといっても、全く畑違いのところへ行ってもうまくいかないんじゃないかと思う。だから、やはり今ある資源を有効に活用できる業種、例えば農業、林業もそうだろうし、そういう分野へ出ていくほうが理にかなっているというか、移りやすいんじゃないかなと、そんな思いを持っている。そういった取り組みをぜひよろしくお願いをしたいと思う。
 続いて、第3に、明舞団地再生の推進についてお尋ねをする。
 平成15年に明舞団地再生計画の策定以降、地域再生計画の認定、明舞団地再生コンペ、明舞センター地区再生事業の実施と着実に進んできた。ようやく形が見え始め、大きな期待が寄せられている。
 県営住宅や県住宅供給公社住宅など、公共賃貸住宅について既に建てかえにも着手しており、また来年度からは、明舞景観デザインコードに基づいた景観に配慮したものになるとのことである。
 そして、中央センターエリアについての建てかえ方針が決定され、現在、福祉ゾーンのコンペが行われているところである。
 残る民間住宅部分の再生であるが、分譲マンションの管理組合11組合がネットワークし、建てかえのみに頼らないマンションの再生を探るため、神戸まちづくり研究所、兵庫県との共催により「明舞団地マンション再生アイデアコンペ」を開催するなど、模索が続いている。
 そこで、民間マンション、個人戸建て住宅など民間住宅部分の再生についての課題と支援についてお尋ねする。

(田村まちづくり復興担当部長)  明舞団地再生の推進についてお答えを申し上げる。
 明舞団地には、住宅が約1万1,000戸あるが、そのうち民間住宅が約4割を占めている。そういう意味で、民間住宅の再生も大きな課題であると認識している。このため、明舞団地再生計画において、一つには、民間住宅による戸建て住宅の良好な住環境の保全、もう一つには分譲マンションの再生の取り組みの支援ということを定めている。
 まず、戸建て住宅については、良好な居住環境の維持やコミュニティの活性化が課題となっている。このため、団地内の松が丘地区をモデルとして、暮らしやすいまちづくりに向けた改善計画となる「暮らしの安全・安心コミュニティマップ」の策定について助成を行っているし、この改善計画に基づいた取り組みについて、まちづくりの専門家を派遣して支援してきている。
 また、分譲マンションのほうについては、その多くが建設後約40年を経過し、適切な維持管理や修繕、建てかえに向けた合意形成が課題となっている。このため、情報交換の場となる「明舞マンション管理組合ネットワーク」の設置支援や、先ほど委員も触れられた明舞団地のマンション再生アイデアコンペの実施、さらには具体のモデルマンションを対象とした再生手法の調査・検討を行ってきている。
 今後は、引き続きこれまでの調査成果の周知や専門家の派遣を実施するとともに、地元市とも連携して、まちづくりに関するルールの導入の働きかけなどを行い、住民の主体的な取り組みが積極的に行われるよう支援していく。

(岸口実 委員)  全体の計画からすると、先ほどおっしゃられたように、40%を占めている民間のここの部分の再生ができないことには全体が進まないし、一定の期間内で事業をやり終えようとするには、やっぱり民間だけに任せておくわけにはいかないと思う。そういった面での行政の支援、資金面も含めたさまざまな応援策というか、支援策を精いっぱいよろしくお願いを申し上げたいと思う。
 続いて、最後の質問である道路特定財源の一般財源化について、お尋ねする。
 播磨地域の将来像をどう描き、そのためには何が必要なのかを一緒に考えていきたいとの趣旨で、「はりまフォーラム」が開催されている。
 私も先日、明石会場に参加をしてきた。このフォーラムは県下6会場で開催され、著名で多才なゲストが出演をされている。ちなみに、明石会場は政治評論家の三宅久之さんであった。三宅さんは、講演の中で、日本の道路整備の変遷について非常にわかりやすく解説され、また、今、国会で議論がされている道路特定財源についても一般財源化や暫定税率の廃止をすべきと述べられたりもしたが、播磨臨海地域道路の重要性、必要性を説いたと私は理解している。
 また、三宅さん以外のパネリストからも、播磨の未来のために播磨臨海地域道路が必要だということが提案された。というのも、播磨臨海地域は全国一の製造品出荷額等5兆4,000億円を誇るものづくりの拠点である。地域の強みをさらに生かすためにも、早期の着工が待ち望まれるわけである。
 また先日、県議会で片山善博前鳥取県知事を講師に迎え、第37回政調懇話会が開かれた。地方分権の課題と議会の役割についての講演をいただいた。これにも多くの議員や一部当局の方も参加をしておられたので内容は申し上げないが、道路特定財源については、地方分権の本質からすると、一般財源化と暫定税率の廃止は当然との立場であった。
 私も、地方分権の立場から見れば、特定財源制度は中央集権の最たるものであるし、地方分権を進めるにはこの制度の廃止は不可避であると言ってよいと考えている。
 加えて、国会の審議等において、道路特定財源の目的外使用が多く明らかになっているところである。ここでは細かく言わない。さらに、3月10日に公表されたNHKの世論調査によると、道路特定財源の一般財源化は賛成が42%、反対が17%、どちらとも言えないが34%という結果が明らかになっている。
 あわせて、国が今後10年間で最大59兆円をかけて全国の道路整備を計画していることについて、妥当だとの回答が13%、妥当でないが52%、どちらとも言えないが29%となっている。このような議論を踏まえて質問をさせていただくわけであるが、県のホームページの「道路特定財源の状況について」の中で、1.地方の道路特定財源は不十分、2.暫定税率分がない場合、兵庫県では約340億円、県下市町では360億円の歳入不足となり、老朽橋対策、防災・減災対策、救急・救命対策、渋滞対策などの道路整備の推進に支障が出ると説明をされている。道路整備に当たり、特定財源と暫定税率の堅持を訴えている。
 ほかにも、日本のガソリン価格、税率は高くない。ガソリン価格は高騰しているが、欧米諸国でも税額を下げていない等の説明がなされているが、時間の関係でここでは反論しない。
 一般財源化と暫定税率の廃止を一緒に議論すると大変ややこしくなるので、ここでは一般財源化に絞るが、一般財源化とした場合、例えば19年度当初予算ベースで、県の土木費が2,897億円ある。このうち、道路橋りょう費が1,167億円余りである。この中に道路に関する130億円の直轄負担金が含まれており、これが減ると、この直轄部分が少なくなった分、道路の整備量が全体として落ちるかもしれないが、少なくとも直轄負担金が減った場合、その範囲内での自由度は増すはずである。さらに、兵庫県地方分権推進自治体代表者会議からの提言の中で、直轄事業負担金の廃止については明言をしておられるところである。
 また、今回の議論の前提となる国土交通省の道路中期計画素案について見ると、政策課題についての都道府県別要対策箇所一覧表が記載されている。兵庫県の数値を拾い上げると、例えば渋滞箇所が220ヵ所、開かずの踏切除去対策が210ヵ所、橋梁耐震対策740橋、通学路の歩道整備2,700キロメートルなど、14項目の数値が盛り込まれている。
 国直轄事業や補助制度に乗らず、県単独事業でやらざるを得ない事業も多くあるが、これまでも緊急性、必要性を考慮しながら地域で判断し、現在も一般財源を手当てし事業を実施しているところである。つまり、一般財源化しても必要な道路整備は進められると考えるのが自然ではないか。一般財源として相当の措置がされれば、影響はないと考える。
 そこで、なぜ県は道路特定財源の維持を主張されているのか、お尋ねする。

(西村道路計画課長)  道路特定財源制度は、納税者である自動車利用者との応益関係が明確な制度であり、今なおおくれている地方道の整備に大きな貢献をしていると考えている。これを一般財源化すると、なぜ自動車利用者だけが特別の負担をしないといけないのかといった課題とか、公共交通機関の発達している都市部に比べ、交通手段を自動車に頼らざるを得ない地方部の負担が不公平になるといったような課題が生じると考えている。このため、昨年12月、政府・与党合意においても納税者の理解を得られる範囲の一般財源化ということがされたと理解している。
 また、当県の道路歳出に占める道路特定財源の割合は34%しかない。これまでも道路特定財源を上回る多くの一般財源を投入して道路整備を進めており、国等に対しては、一般財源化ということではなく、地方の道路整備への配分強化をこれまで求めてきているところである。
 今後、国及び地方の道路整備のあり方について、国会で十分な議論がなされていくと思うが、本県としては、活力ある地域づくり、県民の安全・安心の確保といったようなことに向けて、道路の計画的な整備とか、適切な維持管理を着実に進めていくということが必要であると考えているので、来年度予算の執行に支障を来すことなく、暫定税率を含む道路特定財源が安定的に確保されるように今後も強く求めていきたいと考えている。

(岸口実 委員)  ここからは見解の相違であるのでしつこくやらないが、応益関係というとほかにもゴルフ場の利用税であるとか、たばこ税もある。こういったものは応益関係がどこに存在しているのか聞いてみたい。また、先ほど言われた国民が納得する範囲でというのも、先ほど私が質問の中で申し上げたように、NHKの世論調査をしたら、42%はほぼ一般財源化してもいいだろうと、使い道をもう少し透明化させるべきではないかという思いが一方であるわけである。そういった思いを国の制度に反映させるというのも我々の仕事であると考えている。一般財源化をしても道路はつくるんだということをしっかり明言していただいたらいいと思う。何も私らはつくらないと言っているわけではないので、そのことは誤解のないようにしていただいて、質問を終わりたいと思う。ありがとうございました。

 

平成20 平成20年度予算特別委員会

(第8 313日)

 

(岸口実 委員)  我が会派に与えられた時間が残り22分であり、質問にすぐに入りたいが、答弁も簡潔によろしくお願いしたい。
 まず、平成19年4月、文部科学省により全国・学力学習状況調査が実施された。本県においては、ひょうご基礎学力向上推進委員会の協力のもと、今回の調査の分析結果をまとめられている。この結果に基づき、2点お尋ねをさせていただく。
 まず1点は、生活習慣に対する支援策についてである。
 この調査の結果では、基礎学力の定着状況や人口規模による基礎学力の状況、そして学習や生活への意識等と学力についての3項目に分析結果がまとめられている。基礎学力の定着については、中学校数学の活用問題では、都市部より郡部の方が高い傾向が見られたことや、朝食を食べる習慣が身についている児童生徒の方が正答率が高く、ほかにも読書の習慣、言葉遣い、家の人との関係など生活の習慣と学力についての関係が読み取れた。
 今回の結果を受けて、各市町教育委員会が取り組む学力向上事業の提案を募集し、必要性や効果が見込まれるものに対し、非常勤講師を配置するとし、想定される取り組みとして、補修や特定教科の少人数指導などで学力テストの結果と学習・生活習慣との関係を分析し、効果的な対策を提案した場合などに採択すると報じられている。
 私なりに結果を理解すると、日ごろから学習習慣、読書習慣、食習慣、知的好奇心など、教育を受けるにふさわしい心身の土台ができているか否かが重要であり、生活習慣に対する支援策も必要ではないかと考えるわけである。県教育委員会として、学習と生活習慣との相関関係について、どのように分析し、どのように取り組んでいかれるのか、まずお尋ねする。

(片山義務教育課長)  委員ご指摘のように、児童生徒の基礎学力の確実な定着を図るためには、学校における指導方法の工夫改善はもとより、生活・学習習慣の改善を図ることが重要であると認識している。
 本県では、ひょうご基礎学力向上推進プロジェクト事業において、推進地域を設けて家庭と連携した基本的な生活習慣の育成や読書習慣を初め、学習習慣や学習意欲など、児童生徒の学習の基盤づくりに向けた実践研究を進めているところである。
 推進地域においては、例えば家庭での学習習慣を確立するため、保護者向けの「家庭学習の手引き」を作成したり、規律ある生活を身につけさせるために自己点検カードを用いるなどの取り組みが進められている。
 今後は、これらの実践研究の成果を活用し、管理職研修や教員研修を実施したり、市町、学校の課題解決を支援する学力向上実践推進事業などの取り組みを進め、家庭と連携を図りながら、学習の基盤となる生活・学習習慣が着実に身につくよう努めてまいりたい。

(岸口実 委員)  生活習慣は、一生、後になればなるほど直すことができない。幼少のときにしっかりと身につけるようによろしくお願いしたい。
 続いて、高い志を持ち、楽しく学校生活を送るための対策についてお尋ねする。
 今回の調査結果の中で、「人の役に立つ人間になりたいと思うか」との質問がある。「そう思う」と答えた小学生は68%、中学生になると60.9%と大きく下がっている。また、「学校で友達に会うのは楽しいか」との質問に「そう思う」と答えた小学生は、84.3%であったのに対し、中学生は78.5%に下がる。どちらも大変残念な数値である。多感な時期の始まりであり、小学校から中学校へのわずか3年間で、将来社会に貢献したいという意欲をなくし、楽しかったはずの学校が楽しくなくなってしまうという数値があらわれている。全体の数字から見ると、今すぐの課題とは考えにくいかもしれないが、危機意識を持ち続ける必要があると考える。
 この間、地域、学校、家庭、また社会情勢の急激な変化が考えられる中、学校教育においても、人の役に立つ人間になりたいなど高い志を持ちつつ、楽しく学校生活を送ることが必要不可欠だと思っている。どのような対策を考えておられるのか、お尋ねする。

(吉本教育長)  このたびの調査において、「学校で友達に会うのは楽しい」、「人の役に立つ人間になりたい」などの項目について、肯定的な回答率が中学生に低い結果が見られたことについての分析は、全国的にもなされていないが、将来への不安や劣等感情を抱きやすい思春期である中学生特有の心理のあらわれではないかとの意見もある。
 しかしながら、委員ご指摘のように、学校教育や学校生活を通じて子供たち一人一人に、志を抱き未来を切り開く生きる力をはぐくむことは、重要な教育課題であると認識している。
 本県では、多感な中学生の時期に本格的な芸術文化に触れるわくわくオーケストラ教室での感動体験や、社会の一員としての自覚を育成するトライやる・ウィークを実施しているところである。このたびのトライやる・ウィーク10年目の検証においても、自己有用感の醸成、達成感や自己の可能性の発見、人との関係をつくる力の育成などの成果が確認されたところである。
 今後とも、体系的に実施している体験活動の一層の活用や道徳教育との密接な連携を図るなどの取り組みを進め、人間としてのあり方、生き方について自覚を深めるなど、児童生徒が夢や希望を持って生きることのすばらしさを実感する教育の充実に努めてまいりたい。

(岸口実 委員)  意欲の減退が、いじめであるとか不登校であるとか、その後さまざまな事件の入り口になるのではないかと思う。特段の配慮を持って施策展開をお願いしたい。
 続いて、質問の第2、学校給食への県産魚介類の提供促進についてお尋ねする。
 兵庫県産水産物の中で漁獲量、収穫高を見ると、シラス、ホタルイカ、ハモ、ズワイガニなどが全国第1位となっている。まだほかにもたくさんある。日々の生活の中では余り実感がないが、兵庫県はまさに水産県である。子供のころに食べたものの味は、生涯忘れないし、幾つになってもおいしく感じる。消費拡大には、10年後の、安定的な食習慣を身につけた子供たちを育てていくことが大変重要である。つまり、幼少期に食べさせることが一番重要である。それには、学校給食との連携が必要である。
 これまでの県産物提供事例を見ると、香美町でのハタハタ、カレイの提供やカニの解禁にあわせ、地元漁業者からセコガニの提供、また、私の地元である明石市漁業組合連合会がノリの日にちなみ、明石市内の小学校にノリを贈る活動を続けている。
 水産物は天候に左右されやすく、農産物のように計画的な収穫ができず、学校給食に導入するには質、量、時期などいろんな制約があるとは思うが、まずさきに挙げたノリや今しゅんのイカナゴのくぎ煮などであれば、計画的な供給も可能である。ぜひ、学校給食への県産魚介類の導入促進をお願いしたい。
 県として、単に食べ物を食べさせるだけではなく、「今、自分が食べているのは、兵庫県でとれた魚、ノリである」などと実感し、まさに生産者と消費者の関係にまで思い至るような関係づくりが必要と考える。食事の大切さを頭ばかりでなく、体と心でもわかるしっかりとした食育が必要である。
 そこで、県産魚介類の導入促進等による本県独自の食育について、どのように取り組んでおられるのか、お尋ねする。

(高木事務局参事兼体育保健課長)  学校給食に地元産食材を取り入れることは、地域の食文化の伝承や食にかかわる人々の活動を学ぶ機会となり、学校における食育を推進するに当たって大変重要なものと考えている。
 県産魚介類を活用した食育の取り組みとしては、例えば明石市のある小学校において、自分たちの地域に関する学習として、明石ダコをテーマに地元の漁業を調べたり、干しダコをつくる体験をするなどの例がある。このほか、生産者との協力による魚のさばき方教室や料理講習なども多くの学校で実施している。
 また、これらの学習に関連づけ、学校給食の献立に県産のタコやハタハタなどの魚介類を取り入れるなど、学校給食を活用することにより、子供たちにとって、より実感を伴う学習が期待できるものと考えている。
 このような取り組みを各種研修会、講習会で発表するほか、学校給食を生きた教材として生かすための教材の作成等により、学校給食における地産地消の有効性を啓発し、魚介類を含めた地元産食材の利用促進に努めたいと考えている。今後とも、学校給食の充実を図り、学校における食育を推進することにより、子供たちの生きる力の育成に努めてまいりたい。

(岸口実 委員)  地元でとれたものを使った郷土料理を食していく、また学んでいくのも学習であるので、どうぞよろしくお願い申し上げる。
 次は、通告では2問お願いしていたが、一つにまとめて質問させていただきたい。
 兵庫県立芦屋国際中等教育学校についてである。
 兵庫県立芦屋国際中等教育学校は、一般の中学校、高等学校に当たる前期課程、後期課程の6年間を通じて、異なる言語環境や文化的背景をもとに育った生徒が、能力や適性に応じて弾力的に学ぶ中高一貫校として、教育活動を展開している学校として、2003年4月に開校した。80名の募集人員に対し昨年は294名、ことしも281名が受験するなどニーズの高さがうかがえる。
 学校では、生徒の学習生活面における悩みだけでなく、保護者の悩みも受けとめ、学校と保護者が手を携え、6年間の学校生活を支援するとしているが、高等学校に当たる4年生、5年生の在校生を見ると、4年生が67名、5年生が62名と当初入学定員八十数名からすると、多くの中途退学者が出ていることがわかる。後期課程の中で海外、県外への一家移住のため、やむを得ずという理由を除いても、4年生で9名、5年生で10名に上るなど、急激に中途退学者がふえている現状がある。
 前期課程の3年間は義務教育であり、すべての児童生徒が等しく教育を受ける環境を保障しなければならず、後期の3年間は義務教育ではない。後期課程では、支援も義務教育並みとはいかないのも現実である。
 まず、中途退学者が出ている要因は何か、そしてまた、これまで講じた対策と今後の対策についてお尋ねする。

(平井高校教育課長)  県立芦屋国際中等教育学校の平成15年度入学生及び16年度入学生、つまり現4年生、5年生の中途退学者のうち、一家転住を除いた生徒の進路変更については、県内中学校への転学が8名、高等学校への進学・転学が8名、就職が3名であった。その理由としては、開校当初、多文化社会に生きるにふさわしい人間形成を図る場としての中高一貫校という本校の設置趣旨が、保護者、生徒に十分に情報発信できていなかったということ、また、外国人生徒の日本語の習得が思いのほか困難を伴い、欠席がちになり、地元の中学校へ転学したこと、そのほかには保護者の経済的な理由などが考えられる。
 そこで、本校では、まず日本語活用能力に不安のある生徒に対して、少人数指導や個別指導を行うとともに、教育内容の理解に応じた学習集団の編成を行ってきた。例えば、日本語の活用能力を3段階から4段階に分け、学校が独自に作成した日本語教材を用いるとともに、各教科の授業において、生徒の実態に即して各言語の通訳が同席するティームティーチング等を実施している。
 また、本校の教育目標や特色ある教育内容等を記した6ヵ国語のパンフレットを作成し、学校説明会においては、各言語の通訳を行うことにより、情報発信に努めてきた。さらに、入学後、担任が家庭訪問をしたり、学校カウンセラーが面談をしたりする際にも通訳を配置するなど、きめ細かな相談体制の中で生徒指導等に努めている。これら職員一丸となった取り組みの成果もあり、中途退学者の数は年々減少している。
 本校は、来年度1年生から6年生までの全学年がそろい、学校として完成期を迎えることとなる。県教育委員会としては、今後とも、多様な生徒に対応した本校の取り組みを支援することにより、多文化共生社会の実現に向け、国際社会に貢献できる子供たちの育成に努めてまいりたい。

(岸口実 委員)  入学された子供さんにとっては、取り戻すことができない時間を過ごすわけであり、中途で学校をやめていく残念なことにならないように、ぜひお願いしたい。
 1点、海外、県外移住が予想以上に多いが、そうなると、学校の経営面からしても、やはり入学のときの定員などを見直す余地はあるのではないかと思う。80名という定員に対して教員も配置しているし、カリキュラムを組んでいるし、設備もしている。そういった部分を弾力的に取り扱うことができないのか、そんなことも思うので、よろしくお願いする。
 最後の質問になる。学校における環境整備と安全確保についてである。
 学校教育については、教員が授業に専念し、子供たちの学力や生きる力を伸ばすと同時に、その一方で、そのための環境整備、安全確保は重要である。そのためには、学校校務員などの職務の専門性を生かすことが重要である。各校に配置されている校務員については、既に2004年の行財政構造改革推進方策後期5か年の取組み、また今回の新行財政構造改革推進方策第一次の中でも、定員削減に入っていると聞いている。校務員は、その役割、業務として、各学校の施設、設備の日常的な点検に始まり、学校施設の修繕や整備に使用する材料に含まれる薬剤などの留意を初め、防犯、防災についても職員みずから研修をするなど、学校における生徒の安全・安心な環境づくりのために寄与していると認識している。
 また、特別支援学校においては、調理員が寄宿舎で暮らす子供たちを含め、一人一人の障害の種類・程度に即し、調理方法等を工夫し食事の提供を行っている。したがって、これらの職種の職員の方々を財政上、削減するという施策は、安心・安全の学校教育を推進する上でも、当然なじむものではなく、各学校に基幹職員として配置し、一層の人材活用を図るべきことは、行革委員会でも我が会派として主張をしてきたところである。さきに述べたように、県立学校の技能労務職員は、職務上課せられた業務をこなし、兵庫の学校教育に十分な役割を果たしている。
 そこで、こうした職員が現在学校教育の中で担っている機能や役割、さらにより専門性を高めるための施策推進について、所見を伺いたい。

(杉原教育委員会総務課長)  県立学校の技能労務職は、学校の緑化、清掃、修繕などの環境整備に関する業務や給食調理業務、農業高校など職業学科を設置する学校での実習補助業務に従事しており、学校の教育環境、教育活動を支える大切な職であると認識している。
 県教育委員会においては、技能労務職員の技術・技能を高めるため、毎年、技能労務職員研修を実施するとともに、職務に関連のある資格である防火管理者の資格取得を奨励している。
 昨年12月3日には包丁を持った不審者が県立神戸工業高校に押し入ったが、その際に技能労務職員を含む教職員が一丸となって協力して不審者を取り押さえ、学校の安全を確保したという事案があった。
 こうしたことも踏まえ、県教育委員会が主催する研修の充実や自己研さんの支援を行い、技能労務職員の技術・技能を一層高めることなどを通じ、安全な学校づくりや良好な教育環境の整備に努めてまいりたい。

(岸口実 委員)  ご協力をいただき、22分以内におさまったようである。まだ1分ほどあるので、私見を申し述べて終わりたい。
 昨年、兵庫県立大学の卒業式へ出てきた。そこで、熊谷学長が式辞の中で次のように述べられ、非常に印象深かった。卒業される皆さんは、これまでさまざまな方に恩を受けて育ってこられた。これからは、その恩をしっかりと返せる人間になっていただきたいというお話であった。まさに私たちは、先ほど来、皆さんが述べられているように、学校の先生に対する恩、思いもあるが、その基本は親に対する思いであると思う。親に対する感謝の気持ちをしっかりと持てるように、これは学校が教育すべきことではないのかもしれないが、そういった思いも学校でしっかりと教えていただけるように、皆様方のご助力を賜るようお願い申し上げ、質問を終えたい。ありがとうございました。

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