令和6年度予算特別委員会[ 3月11日企業庁]

○(岸口みのる委員)  維新の会明石の岸口である。今日、3部局目の質問になる。よろしくお願いする。
 先ほど、岡委員の質問の項目、タイトルを見ていたら、やっぱりまた重なると思ったのだが、内容を聞いてみると、似て非なるものだと確認ができたので、安心して質問したいと思う。
 まず、一つ目である。水道用水供給事業についてお尋ねする。
 市町の県営水道への転換の促進についてである。水道用水供給事業は、昭和40年代に産業基盤の整備が進む中、急激な都市拡大や人口増加に伴う水需要に対応するため開始された。現在、7つのダムを水源に、5つの浄水場から神戸、阪神、播磨、丹波及び淡路地域の17市5町1企業団を対象に、1日最大41万7,000立米の水道用水を供給し、令和3年度の県下の受水団体による平均県営水道依存率は18.7%、計画水量である48万立米に対する申込水量は87%になっている。
 事業開始から約60年が経過し、当時とは社会背景が大きく変わってきた。本県の人口減少は顕著で、県の基準推計値では、平成27年の553万人から令和32年には423万人に減少、高齢化率も27.1%から40.4%に上昇するとされ、県全体での水需要の減少は避けられない。また、市町においても、水道施設の維持管理費や老朽化に伴う多額の更新費用が課題となっている。
 これまで宝塚市、西脇市、加西市の3市が設備の老朽化により県営水道へ転換し、私の地元である明石市も来年度に転換の予定だが、このような市町の県営水道への転換は、市町浄水施設の更新費用などの負担がなくなることに加え、県営水道にとっても供給量の確保につながることから、両者にとって大きなメリットがあるわけである。
 県では、令和30年度まで県営水道の水需要は増加すると試算されているが、受水量が減少すると料金収入の減少や現有施設の規模が過大となる可能性もあるとの指摘があるだけに、今後の予測は慎重に行わなければならない。
 そこで、どのような前提を基に今後の試算をされたのか、市町の水道施設の分析状況や、県営水道への転換促進など、市町との連携強化が重要と考えるが、ご所見をお尋ねする。

○水道課長(茨木徹雄)  企業庁の経営戦略案に用いた水需要予測の水量は、県内人口の減少や企業活動における節水意識の高まりによる影響はあるものの、市町の水道施設の維持管理や更新等費用の負担軽減を図るため、県営水道からの転換を働きかけることにより、水量の維持を図っていくことにしている。さらには、市町の長期的な開発計画等に伴う水需要の増加を考慮した結果、水量は長期的に緩やかに増加するものと予測している。
 今年1月には大きな被害をもたらした能登半島地震では、水道施設の老朽化等による断水が長期化していることで、安全な水を安定して供給することの重要性が改めて認識されたところである。
 これまでに、企業庁では、概ね4年に1度の料金改定の際に行う関係市町の水需要調査時に、市町事業の課題等の情報収集を行っているところである。この中で市町水道においては、本来は市町が料金収入から施設更新等に積み立てられる費用が十分には積み立てられていない、井戸水や河川水など水源の水質が悪化している、職員の不足により施設が老朽化し、維持管理が適切に行われていないなどの課題があると聞いている。このため、今後もこれらの課題に対応するため、県営水道の供給能力、市町の水源の多重化等を考慮しつつ、県営水道への転換を促すなど、県と市町の連携を図っていきたいと考えている。

○(岸口みのる委員)  先ほどのご答弁だと、人口は減るが、受水量は増えるという答弁だったと思う。素人からすると、そこはよく分からないところで、例えば事業系の場合は、確かに使用量というのは一定レベル上がるのかもしれないが、個人のレベルにおいては随分下がるのではないかと思う。特に今、トイレとかいろんな節水が進んでおり、一人ひとりで使う量は圧倒的に少なくなっていくと思う。加えて人口減少だから、そういう面では受水量は減るのではないかと思うのだが、そこをもう少し詳しく教えていただきたい。

○水道課長(茨木徹雄)  基本的にこれまでも、もう既に人口減少、各市町においては供給量が減るような状況に陥っている。その中で、委員もおっしゃっているように、各市町の施設が老朽化したときに県水に転換する。宝塚市とか、これから明石とか。市町では減少しているが、県の水に転換していただくことで、県の水量を維持するというような計画である。その先に、また長期的な計画の中に、開発があったり、転換計画が若干あるので、その分だけ微増しているという状況である。

○(岸口みのる委員)  県全体は減るけど、県水は増えるということだと思うが、それが良いのか悪いのか、ここではやめておく。
 次の質問にいく。アセットマネジメント推進計画についてお尋ねする。
 県では、長期にわたり施設を健全な状態で維持するため、平成21年度から令和30年度を計画期間としたアセットマネジメント推進計画を策定し、事業収支を考慮した更新時期の平準化と併せ、資金の平準化を図るため、建設改良積立金を平成22年度決算から、令和5年度決算までの間に約150億円を目標に積み立てることにより財源確保を行っている。
 とはいうものの県営水道の施設は、昭和40年代から50年代にかけて集中して整備されたことから、来年度から本格的な更新が始まり、令和6年度から令和15年度にかけてピークを迎え、更新・修繕費用は約650億円と多額を要するところである。
 今後の設備の更新・修繕や維持管理に当たっては、昨今の物価高騰の影響は避けられないし、必要な専門職員や技術者の確保も大変重要である。また、今のところ耐震適合管率の目標達成しているが、更なる耐震性能向上の確保・向上や、明石などで見られた水源の水質悪化への対応など、新たな課題も見えてきた。
 そこで、アセットマネジメント推進計画の進捗状況と、新たに見えてきた課題への対応が必要と考えるが、ご所見をお尋ねする。

○水道課長(茨木徹雄)  企業庁においては、水道施設のアセットマネジメント推進計画を策定し、平成21年度から令和30年度の40年間で、約2,000億円の修繕・更新事業を行うこととしている。進捗状況としては、平成21年度から令和4年度までの事業費で約403億円の更新・修繕計画に対し、約456億円の実施をしている。結果、計画を若干上回る状況である。
 今後の課題としては、一つ目が、頻発する地震に対する管路の耐震化。二つ目が、気候変動も一因とされている水質悪化への対応が挙げられる。
 管路の耐震化については、令和4年度末で管路の震度7程度の地震への耐震化率は約70%である。残る区間については、管路の重要度、事故時の危険度等を考慮し、優先度を決めて取り組んでいきたいと考えている。
 水質悪化への対応については、現在、我々が懸念しているのは、カビ臭などの臭気物質の増加による処理剤である活性炭の使用量が増加していることである。これについては浄水処理工程等の改善を検討しているところである。
 今後ともアセットマネジメント推進計画に基づき、適正な維持管理・更新を行うとともに、安全・安心な水道用水を効率的・効果的に送るため、施設の耐震化、水質対策を推進していきたい。

○(岸口みのる委員)  計画の中に、昨今の物価高騰は織り込まれているのか、織り込まれてないのか。

○水道課長(茨木徹雄)  結論から言うと、織り込んでいる。これについては、4年ごとに水道料金を改定しているので、その都度、需要量も調査し、必要に応じて見直すし、物価上昇も見直しているところである。

○(岸口みのる委員)  分かった。
 それでは、次の質問に行く。地域整備事業についてである。これについては今後、県議会において、県政改革調査特別委員会が設置をされる予定であるので、そちらで審議がされるが、一、二点、確認をさせていただきたい。
 まず一つ目は、これまでのいきさつと検討について尋ねる。地域整備事業は、地域整備事業のあり方検討会についての報告のとおり、臨海部で得られた収益等の一部を一般会計への貸付金等に充て、行政ニーズに機動的、弾力的に対応し、県政推進の有効な財源として活用されるなど、県と一体的な役割を果たしてきた。
 その一つである播磨科学公園都市は、昭和57年の県による西播磨テクノポリス基本構想の策定に始まった。平成元年に、当時の科学技術庁が大型放射光施設SPring-8の建設場所を、三重県、宮城県、岩手県、兵庫県の四つの候補の中から、兵庫県の播磨科学公園都市に選定したことにより、誰もが筑波研究学園都市に並ぶような科学技術都市の誕生に期待を大きく膨らませたことと思う。その後、平成9年にはSPring-8の供給開始、まち開きへと続いていった。
 当時の経済的背景や社会的要素等を鑑みると、地域整備事業には一定の妥当性、公益的な意義があり、産業面での成果があることは評価できるところであるが、その後の景気動向や社会潮流などが大きく変化し、まちづくりをはじめ、当初のもくろみとは大きな乖離が生まれているところである。
 また、ひょうご情報公園都市は、地元市の要請があったこと、第1期分譲による雇用の促進などの実績があることは理解できるが、そもそもバブル経済崩壊以降の事業着手であり、分譲に時間がかかったことを考えると、民間では当たり前の時間のコストやロスカットへの概念が働いていないし、事業収益面では全く期待できない。そして、今もなお第2期の事業を検討されている。
 公益的な側面にとらわれ、社会情勢の変化に対し、事業の見直し、廃止など、適切な対応を取らず、課題を先送りしてきたことは、大いに反省しなければならないと考える。
 過去の決算特別委員会や政調会などで、播磨科学公園都市の住宅分譲からの撤退、廃止を申し上げていたところだが、これまで地域整備事業の見直し、廃止を検討されてこなかったのか、そのような機運はなかったのか、お尋ねする。

○企業庁次長(成田徹一)  地域整備事業は、昭和44年の事業開始以来、地域の活性化を先導する産業用地や良質な住宅地を提供するなど、多くの公益的な役割を果たし、地域社会・経済に貢献してきた。
 この間、人口減少等による土地需要の縮小傾向といった社会情勢の変化があった。これを受け、平成15年度に策定した企業庁経営ビジョンでは、住宅用地について新規での大規模開発の抑制、またさらに平成20年度に策定した新行革プランでは、産業用地についても新規開発の抑制を基本方向とするなど、経営方針の見直しを図ってきた。
 一方、既に開発済みの地域については、その後も引き続き分譲促進に取り組んできたが、平成30年度に策定した行財政運営方針において、まちの熟成など地域整備事業の状況などを見定めて、今後の在り方を検討するとの方針を示したものである。
 企業庁としても、経営の健全性の確保が課題であると認識し、見直しを重ねてきたが、地域の持続性の維持、地域の活性化といった広域性という観点からの抜本的な見直しまでには至らなかったと認識している。
 今後、地域整備事業の在り方については、報告書で示された基本的な方向性などを踏まえつつ、同事業の意義や必要性、課題などを検証の上、事業会計の存廃も含め、抜本的な見直しを検討していく。

○(岸口みのる委員)  皆さんは不動産会社の社員でもないし、県の職員である。貴重な戦力であるので、次長の先ほどの答弁の最後の、事業の廃止、これをしっかり、いいタイミングだから、ぜひお考えいただきたいということを申し上げ、次の質問に行く。
 質問のその2、県民の理解促進についてである。総務省による平成29年3月の公営企業の経営のあり方に関する研究会報告書では、資産等の実態を踏まえ、多額の累積債務を抱え用地売却の見込みが立たない場合は、先送りすることなく事業廃止を検討し、資産売却により解消できない企業債償還等の資金不足は放置せず、一般会計からの計画的繰入れ等により解消を図る必要があるとされている。
 本県の地域整備事業が抱える進度調整地については売却、そして地元自治体や民間での活用とはいうものの、取得に要した費用や簿価から考えると、簡単に進むものでもない。諸課題の解決には、やはり県民の負担を伴う可能性がある。そこで、まず県民への理解をどのように促進していくのかお尋ねする。

○企業庁次長(成田徹一)  地域整備事業における今後の資金不足への対策に当たっては、一般会計との貸借関係の整理と併せ、企業庁自らの努力として保有資産の売却、他会計からの資金融通、さらには進度調整地の活用・処分などの対策を講じても、なお財源が不足する場合には、一般会計からの繰入れ、すなわち県民負担が生じることも想定されている。
 このことから今後、まずは議論のプロセスの公開も含め、透明性を確保することが極めて重要であると認識している。そのため、地域整備事業会計の実態を正確に把握し、分かりやすい形で情報を開示するなど、経営状況の見える化に留意しながら、県民への理解促進に努めていく。
 あわせて個別の事業の在り方を検討する際には、それぞれ地元市町等の関係者による議論の場を設け、理解を促していく。さらには、困難な課題の解決に向け、県議会とともに歩調を合わせて取り組むことが重要となってくる。適時適切な情報共有と丁寧な議論を重ねることで、議会とも一体となり、県民にとって一番良い方向性を導いていきたいと考えている。

○(岸口みのる委員)  この地域整備事業と、もう一つ大きな課題となっている分収造林がある。この分収造林とは根本が違うと私は思っている。分収造林の場合は、県債管理基金からの不適切な借入れと表現されているが、最後は民間銀行から、金融機関から借り入れ、その契約に基づいて損害金が発生したという場合である。
 こちらはそういった外への心配というのはないわけで、もともと一つであったものが見えにくくなっていて、こういう状況が生まれたということは十分理解はしている。ただ、やっぱり県民からすると、何でここまでほっておいたのかという思いがどうしても拭えないところがあるので、そういった説明をしっかり果たしていただくよう、またこれからの議会での議論があるので、その場でもいろいろと申し上げてきたいと思うので、よろしくお願いする。
 質問は以上である。ありがとうございました。

○水道課長(茨木徹雄)  先ほど、アセットマネジメント推進計画の事業費に物価上昇を見込んでいるかというご質問があった。私は勘違いしていた。収益的収支部分の人件費とか薬品費とかの部分については、物価上昇を見込んでいるが、アセットマネジメントについては物価上昇を見込んでいない。ただ、アセットマネジメント推進計画については、平成20年につくられて、平成29年に一度見直ししている。現在も次期の4年後の料金改定に向けて、再度見直しをしているところである。すみせんでした。

○(岸口みのる委員)  先ほどのお話だと、料金改定によって物価上昇分が吸収されていく、その仕組みはよく分かるのだが、それも先ほど申し上げたように、県民に説明すると、なかなかすとんと理解をしてくれない部分があるので、そういった部分においても丁寧な説明をお願いしたい。
 以上である。終わる。ありがとうございました。

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