決算特別委員会 [ 10月9日(木)健康福祉・岸口副委員長 ]
○(岸口 実委員) おはようございます。明石市選出の岸口である。
この健康福祉部であるが、所掌事務が非常に広い部であって、その中で何をお尋ねしようかなと思ったのであるが、一つは認定こども園、もう一つは介護保険制度についてお尋ねする。
その介護保険制度、先ほど、安福委員から質問があって、一部重なるところがあるが、お許しいただいて質問に入りたいと思う。
まず、認定こども園についてである。
認定こども園の成果と課題についてお尋ねする。
県では、平成18年の認定こども園法の成立以降、運営費補助の創設をはじめ、整備促進事業、障害児保育支援事業など独自の取り組みを進めた結果、今年4月現在、全国最多の118園が開園している。
その一方で、新年度からの子ども・子育て支援新制度の導入に際し、公費減額の懸念から認定こども園を返上し幼稚園に戻す園があることや、認定こども園への申請をためらう傾向にあることが報道された。
先の本会議でも新制度での公費投入額の確保を求める質問が続いたが、来春の園児募集時期、10月1日になるが、もう過ぎている。私も早急な対応が必要と考えている。どうぞよろしくお願い申し上げる。
さて、先ほど述べた県下の118園の認定こども園であるが、幼保連携型が38園、幼稚園型が45園、保育所型が31園で、幼保連携型の約半数が、また幼稚園型、保育所型のほとんどが学校法人、社会福祉法人によって設立されている。これらは、保育士、幼稚園教諭、調理員などの職員の確保など共通の課題もあれば、保育所型での事務の煩雑化や幼稚園型での施設の整備など、それぞれの類型ごとに抱える課題は違うと思われる。県では新制度に向け、認定こども園への申請を促す上で、これまでの課題と成果を踏まえ、充実した支援策につなげていくことが重要と考える。
そこで、これまでの認定こども園について、設置者、園児とその保護者それぞれの立場から見た課題と成果を県としてどのように認識されているのかお尋ねする。
○こども政策課長(大西能成) まず、設置者側の声であるが、日頃から私ども認定こども園の園長先生方と接する機会が多くあって、その中で、認定こども園に移行したことで「園の魅力が高まり、入園希望者が増えた」というような声であるとか、「地域子育て支援を通じ在園児だけではなく、地域のさまざまな子供さんに関わることができるようになった」、また、「地域の子供さんを広く受け入れることができて、施設として地域からの信頼が増した」というような評価の声を聞いている。
その一方で、認定こども園への移行直後には、保育所から移行された園からは入園申し込みの受付や保育料の徴収などの事務が増えることであったり、幼稚園から移行した園からは新たに3才未満児の保育が必要となり、正直不安があるというような声も聞かれたところである。
また、利用者からは、「働いている、働いていないにかかわらず施設を利用できてありがたい」、また、「子育てに困ったときに気軽に相談ができる」というような評価の声のほか、「」近くに認定こども園が開園する予定はないのか」というような期待の声も寄せられているところである。
加えて、国が行った少し前のアンケートであるが、その中で、認定を受けた施設の9割以上が認定を受けて良かったというような回答をされているし、利用者のこれも9割近くが認定こども園を推進していくべきという回答がなされているところである。
このように、認定こども園については、設置者・保護者の双方からおおむね高い評価を得ており、県として今後も積極的に推進していきたいと考えているところである。
○(岸口 実委員) ご答弁ありがとうございました。
おおむねそれぞれの立場からの評価があるということであった。こういういろんな評価というか、いい意味での評価がある訳であるから、積極的にこういうことを県民にPRをして設置につなげていきたいなと思う。そんな意味で次の質問をさせていただく。
県民への情報提供についてである。
保育所、幼稚園、認定こども園の3制度が共存することになる。保護者の選択の幅は広がる訳であるが、認定こども園については、母体となる施設により4類型に分かれるなど、制度が複雑で分かりにくいことから、十分に県民に理解されていないのではないか、認定こども園制度を推進していくためにも県民に分かりやすい情報提供をしていく必要があると考えるが、ご所見をお尋ねする。
○こども政策課長(大西能成) 認定こども園は、委員のご質問の中でも触れられたように、幼保連携型・幼稚園型・保育所型・特定認可外保育施設型と四つの類型に分かれている。母体となった施設の性格などからそれぞれに特徴があることから、分かりにくい部分があることは否定できないとは考えているが、おかげさまで本県では118園であり、県内各地で設置が進んでいることから、県民の皆様方にとっても身近な施設となって利用者などの理解も深まりつつあると認識しているところである。
県では、認定こども園について広く県民の理解が進むよう、平成18年に制度が創設された直後からDVDやパンフレットを作成して配布したり、幼稚園と保育所の関係者で設立された兵庫県認定こども園研究会と一体となってシンポジウムを開催させていただいたりしている。最近では、フェイスブックを活用して、認定こども園の個々の施設の紹介など、普及啓発に努めてきたところである。
更なる推進に向けて、来年度からスタートする子ども・子育て支援新制度の広報と併せて、認定こども園の周知に努めるほか、新制度においては、法人の情報であったり、施設の運営状況など、県が取りまとめて公表することとなっており、これについては利用者視点に立って分かりやすいものとなるように心がけていきたいと考えている。
また、市町とも協働して、広報紙やホームページなど、さまざまな媒体を活用して更なる情報提供に努めるとともに、市町に対しては引き続き、県・市町少子対策協働会議などの場において、住民に分かりやすく情報提供に努めるように助言・指導していきたいと考えている。
○(岸口 実委員) 情報の発信であるが、私のところはもう小学校に入ったのであるが、幼稚園とか保育所の方々の親の世代はネットとか、そういうITにたけていて、いい情報も悪い情報も本当に早く流れる。だから、そういう意味でしっかりとした情報を流していただいて、正しい理解を求められるような仕組みづくりにしていただきたいと思う。
続いて、3番目に市町の取り組みの促進についてお尋ねしたいと思う。
既存の118園のこども園を市町別に分類すると、姫路市が最も多く28園、ついで神戸市の14園、尼崎市、豊岡市の9園などとなる一方で、私の地元である明石市をはじめ、芦屋市、播磨町、稲美町、赤穂市、小野市、加東市など19市町での設置はゼロ園、全く設置がされていないということで、市町のばらつきが大きく見られる訳である。これらは、待機児童の数であるとか、既存の施設の設置者の違いや認可外施設などの状況、幼児教育ニーズなどの地域事情の違いが設置数に影響したと聞いている。
現在、市町では、子ども・子育て支援事業計画を策定中で、その方針が民間保育所・幼稚園設置者へ与える影響が大きいと考えられることから、市町が、子ども・子育て会議の意見を踏まえ、地域での認定こども園・幼稚園・保育所のあり方をしっかりと示す必要があると思われる。
そこで、新制度の導入に向け、県の支援策充実はもちろんのことであるが、県としてさきの成果と課題を踏まえ市町への取り組みにどのように関わっていくのかお尋ねする。
○福祉監兼社会福祉局長(柏 由紀夫) 認定こども園は、幼児期の教育と保育、地域の子育て支援を総合的に提供するとともに、都市部では主に幼稚園の余裕教室を活用した待機児童対策に、また、郡部では、子供の育ちに必要な集団の維持確保にも有用な制度であることから、これまで県では市町と連携し、その推進に取り組んできたところである。特に豊岡市や丹波市などでは住民説明会の開催など、行政が中心となり計画的に取り組むことで、認定こども園の設置が進んでいることから、市町の積極的な関わりは不可欠であると認識している。
そのため、県としては、認定こども園の普及に係る基本的考え方を定める市町の子ども・子育て支援事業計画の策定に当たり、地域の特性を十分に踏まえた普及促進策の検討を助言・指導してきたところである。
事業者に対しては、今年度から移行促進のための財政支援を拡充したところであるが、新制度の実施主体である市町に対しても、今後も、県・市町懇話会や県・市町少子対策協働会議などを通じ、施設や利用者からの声や市町の先進的な取り組み事例等を適時適切に情報提供することなどにより、さらなる認定こども園の推進に向けた積極的な取り組みを働きかけていく。
なお、現時点では、平成31年度までにほぼ全ての市町で認定こども園が設置される見込みであるので、ご理解のほどよろしくお願いする。
○(岸口 実委員) ありがとうございました。
平成31年までに全市町に設置をされるということである。ただ、県、それから、市町が一生懸命に設立をしてほしいと言っても、一方ではなかなか地域の事情がある。そういう意味で、市町の苦労が多いのだと思うが、そのバックアップを県でひとつよろしくお願い申し上げたいと思う。
続いて、介護保険制度の課題について2点、お尋ねをしたいと思う。
まず、介護職員処遇改善加算の活用状況についてお尋ねする。
昨年9月の定例県議会で、現場での利用者及び家族らとのトラブルやセクハラ、DVなどの問題をまとめ、介護現場の職場環境の改善に向けた介護保険制度の周知・啓蒙について質問させていただいた。そのとき、今日もおられるが、太田部長から、県民向けの広報、地域包括支援センター職員対象の研修会などにより、介護職員の負担を軽減し、介護従事者が働きやすい環境づくりを推進するとのご答弁をいただいた。いま一度決意を新たにしていただきたいと思う。
そんな中であるが、今年6月、明石市では介護保険制度の適正利用啓発ポスターの作成を決定した。このポスターによる本来の課題解決効果というのは今からになる訳であるが、行政が課題を認識し取り組んでくれたと従事者の励みになったということである。職員のモチベーションを保ち続けるにはどこかで誰かが評価し続けることが大変重要かと思う。併せて働きが報われる処遇改善は必須である。ここからが実は安福委員との質問が重なってくるのであるが、このような中、介護職員処遇改善事業を引き継ぎ、平成24年度に介護職員処遇改善加算が創設された。基本賃金より手当として加算されているケースや、前制度・新制度と続いているために加算の効果の実感が薄くなってきているなどとも聞いているが、欠かせない支援であると言われている。
そこで、県下でどれくらいの事業所が申請しているのか、これは答弁があったが、処遇がどのように改善されたのか、活用状況と効果についてお尋ねする。
○介護保険課長(齊藤芳樹) 介護職員処遇改善加算の申請状況については、平成26年4月現在、対象となる9,573事業所の85%に当たる8,112事業所が申請を行っている。
県が実施した調査によると、先ほどの答弁と重なるが、平成24年度において、加算により介護職員1人当たり平均1万5,087円の賃金改善となっており、加算制度の効果があったものと認識している。
また、国が実施した介護事業経営実態調査においても、平成26年3月時点で、訪問介護の平均給与月額が25万9,224円と3年前から約3万5,000円増加しており、また、通所介護では25万6,849円と約3万円の増加となっている。
しかしながら、この処遇改善加算は、平成27年3月までの経過的な取り扱いとされている。このため、県では介護事業者が継続して職員の給与アップを図ることができるよう、次期介護報酬改定の中での恒久的な対策の実施を国に提案しており、現在、国の社会保障審議会介護給付費分科会において、処遇改善のあり方について、検討が進められているところである。
○(岸口 実委員) それぞれの処遇は非常に順調に改善をしつつあるなということはよく分かった。ただ、1点、先ほどのご答弁の中で、適用の事業所が85%程度にとどまるということであったが、本来は全事業所に適用していただきたいなと私は思うのであるが、この残る15%、もし理由等々が分かったら、また、県で何か申請したらどうですかというふうな呼びかけもされておられるのかお尋ねする。
○介護保険課長(齊藤芳樹) 85%で残り15%ということになる。そういった申請をしてこないところに一つ一つ聞いた訳ではないが、より現場に近い健康福祉事務所があるので、そちら等に問い合わせたところによると、理由として二つ考えられるのではないかと思う。
一つについては、要するに加算であるので、利用者の負担に影響すると、その分プラスになってくる、その辺をちょっと配慮されたのではないか。それともう一点は、この制度、介護職員が対象となっている。当然、事業者によってはその他の職種の職員の方がいるので、そういった方とのバランスも考慮されて申請をされなかったのではないかということである。私どもの方から申請をしたらどうですかというような取り組みについては現時点ではしていないということである。
○(岸口 実委員) よく分かった。私も現場で他の職種とのバランスというか、同じ施設の中で事務をやっておられる方と介護職をやっておられる方が違うといったら、そういうトラブルがあるということはよく聞いている。それでも制度をどんどん利用していただいた方が私はいいのかなと思うので、よろしくお願いする。
次に、要介護認定における市町のばらつきについてお尋ねする。
要介護・要支援状態になった場合、介護保険制度により介護サービスを受けられる訳であるが、そのもととなる要介護・要支援の判定は、保険者である市町村が設置し、保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会において行われる。
要介護認定は、全国一律に客観的に定められた基準に沿い、高齢者の心身の状態に係る調査項目結果をコンピュータに入力して出した一次判定結果と併せ、認定調査の特記事項や主治医意見書の疾病等に関する記載から、介護の手間も考慮して介護認定審査会で判断する二次判定が行われ、介護サービスの給付額が決定されることになっている。
しかしながら、現場の声を聞いてみると、この認定作業が非常に分かりにくいようである。要介護認定の申請であるとか、区分変更の申請の認定の場合は、市町から委託を受けたケアマネージャーの調査員が自宅等を訪問し調査を行う訳であるが、心身について同じような状況にある場合でも、独り住まいであるか否かなどの介護の手間によって異なる判定、例えば、同じ人であるが、あるケアマネジャーは要介護2、あるケアマネジャーは要支援だというふうに判断が分かれるケースがあるようである。
この要介護認定作業自体が、先ほど申し上げたとおり複雑なものとなっている。要介護認定は介護サービスに直結することから、本人・家族などの介護者の最も高い関心事項である。市町間で運用にばらつきが生じないよう、適正な調査や判定が実施されることが重要であると考える。
そこで広域的な立場の県として、市町間でのばらつきについてどのように認識されているのか、またどのように適切な制度運用を図られるのかお尋ねする。
○高齢社会局長(成田貴雄) 要介護認定については、介護サービスの必要度について全国一律の基準に基づき客観的に判定するもので、市町によってその運用にばらつきが生じないよう適切に行う必要がある。
しかしながら、介護に要する手間が多いか、少ないかといった視点で判定されるため、申請者の病気の重さと介護度の高さが一致しない場合もあり、認定作業が分かりにくいといったご意見があること、また、国が毎年作成している全国の認定結果等に係る分析データによって、要介護度区分の出現率等が統計的に特異な値を示している市町があることも承知している。
このため、県においては各市町で要介護認定に当たる認定調査員、介護認定審査会委員及び認定事務担当者等を対象として、審査判定に市町間で差が生じることがないよう、要介護認定の仕組みや認定調査の方法などを正しく理解するための研修を実施するとともに、また、主治医意見書を作成する医師についても、別途、研修を実施しているところである。
また、国の分析データを踏まえて、必要に応じて、国とともに市町の介護認定審査会への訪問指導を行うとともに、介護給付適正化事業の一環として市町指導を行っているところである。今後ともこれらの取り組みを通じて、市町による要介護認定の一層の適正化に努めていく。
○(岸口 実委員) 質問でも申し上げたとおり、この認定によってサービスが決まってしまうということがあるので、どうしても家族の思いとその結果が違う場合に不満が残ってしまうということになるようである。一律適用するというのは大原則であるから、いたし方ないことであるが、ただ、それが市町間であるとか、個々のばらつきが出ないように特にご配慮をいただきたいと思う。
以上で、質問を終えたいと思う。ありがとうございました。