第353回 2月定例県議会 代表質問

質問日 : 令和3年2月24日(水)

質問方式 :分割

 

○(岸口みのる)

 維新の会兵庫県会議員団、岸口みのるでございます。
 コロナ感染拡大によって、私たちのこれまでの日常生活が一変をいたしました。影響を受けた全ての皆様、また、今なおコロナと闘っておられる方々へのそれぞれへの感謝とお見舞いを申し上げ、質問に入りたいと思います。
 質問は、6項目9問で分割方式で行いたいと思います。

1 令和3年度予算編成について
 質問の1は、令和3年度予算編成についてであります。
 知事は、12月定例会の閉会日、本年7月に任期満了を迎える知事選挙に出馬しないことを表明されました。知事は、これまで、阪神・淡路大震災からの復旧・復興を担われるとともに、悪化した財政を立て直すため行財政構造改革の取組をスタートさせ、累次にわたる新行革プランを策定し、平成30年に収支均衡を達成したところでありますが、今年度末の震災関連県債残高約2,900億円に加え、退職手当債と行革推進債の残高の合計が2,300億円となるなど、県債残高は依然高い水準にあります。
 令和3年度当初予算編成に当たり、歳入は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により落ち込んだ県税収入を特別減収対策債等の活用により補い、また歳出では、職員給与の削減や県有施設等の整備基金への積立ての抑制、シーリング強化や新規事業枠の削減などにより収支均衡を図っておられます。
 しかしながら、今後の要調整額について現時点で把握できる要素を織り込んだ財政フレームの見直しの結果、令和4年度から令和9年度にかけては総額330億円の要調整額が生じる見込みとなるなど、引き続き厳しい財政運営が求められております。来年度以降の財政運営は次の知事に託されるわけですが、県庁舎再整備、但馬空港の滑走路延長や、構想段階ではありますが、アリーナ建設などの多くの案件の今後の対応がどのようになるのか、懸念をされるところであります。進度調整などの配慮がなされたとは思いますが、予算編成に当たり、知事の基本的姿勢についてお尋ねをいたします。

2 新型コロナウイルス感染症対策について
 質問の第2は、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 今年度は、新型コロナウイルス感染症への対応に終始した一年でありました。コロナ禍により社会の構造や価値観のみならず、私たち一人ひとりの生活様式が大きく変わりました。現在、感染者数は減少傾向ではありますが、次の感染拡大に備え、以下2問お尋ねをしたいと思います。

(1)コロナ病床確保と地域医療確保に向けた公立・民間病院の役割分担について
 その1は、コロナ病床確保と地域医療確保に向けた公立・民間病院の役割分担についてであります。
 厚生労働省によると、昨年11月時点のコロナ患者受入可能な医療機関は、公立病院696病院のうち71%に当たる495病院、公的病院749病院のうち83%に当たる619病院、民間病院2,810病院のうち21%に当たる593病院とされ、受入可能な病院は公立・公的病院に多く、民間病院は少ないことが分かります。
 県下でも感染症発生以来、感染患者の受入は、加古川医療センター、尼崎総合医療センターなど公立・公的病院が中心となって行っておりますが、第3波の感染拡大により病床の運用は厳しい状況が続いていました。このような中、民間病院に対し補助金・助成金を活用し感染患者の受入の要請を続けていますが、コロナ病床の増床は容易なことではありませんし、感染患者の受入により本来の救急や一般診療など地域医療に支障が出るようでは元も子もありません。
 民間病院での受入が少ないことについて、ダイヤモンドプリンセス号の感染患者を受け入れた南多摩病院の院長は、地域の急性期医療、救急医療を積極的に行っていることから、感染患者の受入に全てのベッドを使うわけにはいかないこと、専門性を持った医療人材の不足、理解度の不足、また、感染者と非感染者を分けるための空間的、時間的な区分が困難であることも述べられており、民間病院での感染患者の受入は、資金面だけでなくハード・ソフト両面での高いハードルがあることが分かります。
 今回の感染症法の改正により、厚生労働大臣や知事は、民間病院に対し患者受入などの協力を求めた際に正当な理由なく協力の求めに応じない場合は勧告できるようになり、正当な理由なく勧告に応じなかった場合は医療機関名などを公表できるとされましたが、直接的な感染患者の受入だけでなく、どのような協力が可能なのか検討が必要と考えます。
 このようなときこそ、県下の公立・民間の区別を問わず医療資源を一元管理し、コロナ対応病院とそうでない病院との明確な役割分担を行い、コロナ病床確保と地域医療の確保を図ることが重要と考えますが、知事のご所見をお尋ねいたします。
 この項の質問のその2であります。新型コロナウイルスワクチン接種体制についてお尋ねをいたします。

(2)新型コロナウイルスワクチン接種体制について
 集団免疫は、新型コロナウイルス感染症対策の決め手の一つと言われますが、集団免疫ができるには、60%から70%の人々が抗体を持つことが必要とされています。先日、厚生労働省は、東京都、大阪府など5都府県の約1万5,000人に対し、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査の実施結果を発表しました。その結果、抗体が検出された人は、東京都で0.91%、大阪府で0.58%と、集団免疫を期待するにはほど遠い数値でありました。だからこそ、今回のワクチン接種によって集団免疫ができることへの期待が高まりますが、その一方で接種に対する不安の声があるのも事実であります。
 ワクチン接種における県の役割は、医療従事者等への優先接種やワクチン流通調整、また市町のスケジュール調整とされ、ワクチン接種の実施は市町の役割とされました。集団免疫の観点からすると、一部の市町だけが接種を早めたとしても高い効果は望めず、県下のより広い地域で、しかも同じタイミングで接種を進めていくことが重要と考えます。
 また、大阪府では9月末までをワクチン接種完了目標にするとの報道もありましたが、県下のみならず近隣府県の昼間の交流人口も考慮しながらタイミングをはかる必要があります。あわせて、県民のワクチン接種への不安解消に向け、専門的な相談体制の整備状況など県の取組を随時発信する情報伝達、広報も重要と考えます。
 そこで、県内市町へのワクチンの配分を担う県における広域的な調整の考え方や県民への丁寧な情報提供の在り方など、ワクチン接種体制の準備状況についてお尋ねをいたします。
 以降、質問者席に移ります。

○知事(井戸敏三)  
維新の会県議団を代表しての岸口みのる議員のご質問にお答えいたします。
 まず、令和3年度予算編成についてのお尋ねです。
 令和3年度は、前年度を超える税収減が見込まれる一方、震災関連県債の償還などが依然として続くことから、本県を取り巻く財政環境は、より一層厳しさを増しておりました。このため、当初予算の編成に当たっては、緊急・臨時的な対応としてシーリングの強化や事業数10%削減など、選択と集中を徹底することとしました。
 あわせて、大規模プロジェクトの進度調整や特別職の給料と管理職手当の抑制措置の強化を行っております。そして、歳入面で新たに制度化された特別減収対策債を活用するなど、歳入歳出両面での対策に取り組んでまいりました。
 一方で、ポストコロナ時代の新しい兵庫づくりに向けた施策も積極的に展開します。
 大規模事業につきまして、県庁舎等の再整備基本計画については、新型コロナの状況や経済情勢などを踏まえて、令和2年度の予算を令和3年度に繰越し、引き続き基本計画策定作業等を行うことにしました。
 但馬空港の機能強化は、航空需要の動向を見極める必要がありますので、懇話会の取りまとめが延期されることを踏まえ慎重に更に検討を続けることにいたします。
 大規模アリーナの整備は、施設の必要性等について論点整理を行い、慎重な整備の可能性を検討してまいります。あわせて、令和3年度当初予算をもとに財政フレームを見直した結果、令和4年度から令和9年度にかけて総額330億円の要調整額が生じる見込みとなりました。
 これに対しましては、令和3年度に実施することが条例上義務づけられております行財政運営方針の3年の見直しにおきまして、財政フレームをはじめ行財政運営方針の事業について十分検証し、必要な見直しを行い適切な対策を採ることとしてまいります。加えて、毎年度の財政収支対策や歳入歳出改革を引き続き継続することで努力をしてまいります。
 今後とも県民に信頼される持続可能な行財政構造を維持しながら、コロナ禍という大きな苦難を乗り越え、ポストコロナ時代の新しい兵庫づくりに挑戦してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、コロナ病床確保と地域医療確保に向けた公立・民間病院の役割分担についてのお尋ねです。
 本県では、新型コロナウイルス感染症について、入院医療体制は、一般医療とのバランスも考慮し、医療体制として入り口対策・出口対策、やむを得ない在宅待機でのフォローアップ体制に留意してまいりました。病床確保としては、第3波を受けて拡充を進めた結果、現在、重症対応116床、中軽症対応723床の計839床、うち民間19病院145床を確保しています。その中で新型コロナウイルス感染症拠点病院等に指定されています県立加古川医療センターや神戸市立医療センター中央市民病院、県立尼崎総合医療センターに加え、大学病院等が中心となって重症者に、その他の医療機関が中軽症者に対応しております。
 県では、重症者に対応する医療機関には専用病棟の整備や医療スタッフ派遣等の支援を、その他の医療機関には診療機器等の整備の支援を行ってきました。また、相互の役割を徹底するため、中軽症対応医療機関に対し対応すべき標準治療や重症対応病院への転院基準の周知、病状警戒者の転院受入の要請を行うなど、連携体制の構築にも取り組んで運用しております。
 また、退院基準を満たす回復者を円滑に受け入れていただけるよう、民間病院協会等の協力も得まして、回復者転院支援窓口を設置して運用しております。
 また、一般医療機関への回復者の受入に対しては、受入のインセンティブを持つための支援を行っています。
 さらに、救急医療や周産期医療、小児医療などを担う医療機関に対しましては、簡易陰圧装置や空気清浄機などの整備など、院内感染防止対策に対する支援も行いました。
 今後とも、県内の医療機関や関係機関と連携し、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制の整備・運用と一般病床の確保と運用とのバランスにも配慮しながら、地域の医療提供体制の充実と役割分担の適正化を図ってまいります。

○副知事(金澤和夫) 
 ワクチン接種体制の準備状況についてお答え申し上げます。
 新型コロナ対策への切り札として期待されているワクチンですけれども、先行接種が開始されました。ワクチンの供給状況に不透明な部分もありますけれども、今後、医療従事者に対する優先接種、続きまして高齢者等に対する住民接種、こういったことが予定されております。
 現在、県では医療従事者に対する優先接種の開始に向けて、一つには接種施設の確保、二つにはワクチンの配送体制の構築、三つとして混乱なく予約可能な予約の仕組みづくりなどを進めております。
 一方で、ワクチンの有効性や安全性に対する県民の不安につきましては、3月中頃になりますけれども、看護師などの専門職も配置した相談窓口を設置いたしまして、副反応を疑う症状などへの相談に対応いたします。
 これとともに、国の先行接種の健康調査結果など、有効性や安全性に関する情報収集を引き続き実施いたしまして、ホームページなどを通じて迅速で正確な情報提供を行い、県民の不安の払拭に努めてまいります。
 また、ワクチンの配分に当たりましては、例えば市町の人口だけではなくて、これに加えて接種の進捗状況、ワクチンの在庫状況などを勘案するなど、ワクチン接種が市町において偏りが生じずに行われるよう適切に配分を行ってまいります。
 さらには、医師・看護師などの医療従事者の確保や広域接種のための市町間の調整などを通じて市町を積極的に支援してまいります。
 なお、ご質問にありましたタイミングの問題ですけれども、ワクチン接種の免疫効果というのは一定期間持続すると見込まれておりますので、必ずしもぴたりとタイミングをそろえなくても、徐々にその効果を積み重ねていくことによって集団免疫状態を作ることができるのではないかと考えております。この点は、さほど懸念する必要はないのではないかと思っております。
 これからも、県内のワクチン接種が円滑に行える体制を構築するとともに、より多くの県民が安心して接種を受けることができる、そういった環境づくりに努めてまいりたいと存じます。

岸口みのる
 まずですね、予算編成については、朝から各会派の質問がありました。似たようなことになろうかと思いますので、再質問はいたしませんけれども、やっぱり知事のこの20年を振り返りますと、行革に始まって、今度、最後、退任されるときもコロナに対していろいろ対応しないと駄目だということで、財政的には非常に厳しい、この20年続いたんだなということを改めて感じました。
 ただ、平時でしたらできる事業も、やっぱりコロナの状況下では、県民の納得といいますか理解が得られないこともたくさんありますから、県民の声をしっかり聞きながら、この任期お努めをいただきたいというふうに思います。
 それから、最後の三つ目のワクチンの接種についてですけれども、確かに人口で市町にワクチンを配分していくというのもそうなんですけれども、ただ、今回、補正予算の中で高齢施設の従事者に対してPCR検査を行う。このPCR検査を行うのも、やっぱり感染状況なんかも十分踏まえて実施をするということでありますからね、このワクチンの接種についても同じような視点に立って、感染状況をしっかり踏まえた上でやることのほうが合理性があるというふうに感じるんですけれども、そういうこともしっかり踏まえた上でお願いをしたいと思います。
 それでは、次の質問に参りたいと思います。

3 地域創生戦略の推進について
 質問の3は、地域創生戦略の推進についてお尋ねをいたします。
 総務省の人口推計によると、日本人の人口は2010年を境に9年連続で約265万人減少し、1億2,373万人となりました。人口減少に歯止めをかけ、中長期展望である2060年の政策目標1億人を確保するため、国、県、市町をはじめ家庭や地域、企業などが一体となって少子化対策に取り組んできましたが、人口減少のトレンドは変わっていません。
 県では、全国の減少率を上回る12万2,000人の減となり、併せて大阪府は5万6,000人の減、京都府は5万3,000人の減となり、関西の2府1県だけでも23万1,000人減少いたしております。これに対し、昨年4月の東京都への転入超過数は、コロナ禍もあり4,532人と、一昨年4月の1万3,073人から大幅に減少しましたが、今もなお、ヒト・モノ・カネの流れは止まっていません。
 首都圏の人口は、近隣の埼玉県、千葉県、神奈川県と一体化した経済圏・生活圏を形成しながら拡大を続け、一昨年10月現在、東京都の1,392万人に、これら3県を加えると約3,672万人となり、国民の2.9人に1人が首都圏に住むいびつな状態になっております。
 このたびの都内の自治体における感染者の拡大は、昼間人口密度が高いと感染率が増加する傾向にあるなど、過密都市での感染症対策の難しさや地域医療の脆弱性などの大きな課題が見られました。
 内閣府は、昨年6月、12月の2回にわたり、新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査を行い、結果を公表しました。回答者全体の15%が地方移住に関心が高まったと回答し、中でもテレワーク経験者及び20代の方々の関心が高かったことなど、ポストコロナの生活様式や意識に変化が生まれ始めたことが分かります。
 そこで、二つの視点からお伺いをいたします。

(1)人口減少する多自然地域の地域創生戦略について
 その1は、人口減少する多自然地域の地域創生戦略についてお尋ねをいたします。
 人口減少対策総合研究所の河合雅司理事長が人口増加が続いている東京都なども含め、遠からず全ての自治体で人口が減ることになること、また、自治体間の人口の綱引きは日本社会全体で捉えたならば、勝者なき不毛の戦いと述べておられるとおり、地域創生は単なる人口の是正ではなく、少子化と高齢化が加速する中、地方において豊かな生活が維持・保障されることが重要であります。
 国土交通省は、グランドデザイン2050の中で、2050年には現在の居住地域の6割以上の地点で人口が半分以下に減少し、うち2割が無居住化となり地域消滅の危機になること、あわせて、一定の都市機能の維持には様々な都市サービスを提供するサービス産業が成立するための商圏規模、マーケットが必要であるとしています。
 サービス施設の立地する確率50%及び80%の自治体の規模を見ると、飲食店、一般診療所、郵便局は人口規模500人、一般病院は5,500人、介護保険事業は8,500人、銀行は6,500人、有料老人ホームは4万2,500人、法律事務所は5万7,500人、大型ショッピングセンターには7万7,500人の人口規模が必要とされ、救命救急センターなど、より高次の都市機能が提供されるためには、より多くの人口規模が必要となります。
 県では、先進的な八つの地域プロジェクト・モデルについて、住民、企業・行政等により推進体制を構築し取組を進めるとしていますが、受け皿となる地域の将来像をしっかり描かなければ移住者の期待には応えられません。
 そこで、豊かな生活が維持・保障されるよう、県下の人口減少が加速する多自然地域における都市機能の確保をしっかりと位置付けた地域創生戦略が必要と考えますが、知事のご所見をお尋ねいたします。

(2)府県、市町一体となった都市圏の地域創生戦略につい
 この項のその2であります。
 府県、市町一体となった都市圏の地域創生戦略についてお尋ねをいたします。
 地域創生は、地方の大都市とその周辺の都市の戦略も重要であります。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が、年末年始の感染拡大について、都市部から周辺に感染がしみ出していると表現をされました。大阪府と兵庫県、とりわけ阪神間での感染拡大は、まさにこのしみ出した状態で、JRをはじめとする鉄道網や阪神高速道路などの道路網により、ヒト・モノ・カネが頻繁に往来する一体的な経済圏・生活圏を形成していることのあかしであります。
 これらの地域は、国内第2の大都市圏であるにもかかわらず人口減少が進み、大阪府、兵庫県の中心である大阪市、神戸市にあっても、若い世代を中心に、4月一月だけをとっても、一昨年は834人、昨年は298人が東京都へ転出するなど、本当に厳しい状況にあります。兵庫県内各地からいきなり首都圏への転出をしてしまうのではなく、まずは県内での移動にとどめる施策、または神戸・阪神間に引き止める支援、県内、神戸・阪神が駄目な場合でも、大阪・関西圏にとどまるよう支援することが必要で、兵庫県、大阪府、神戸・阪神間・大阪地域が一体となった引き止めへの取組、首都圏への転出対策が重要と考えますし、また、大阪府下をはじめ関西地域から首都圏でなく兵庫県内へ転入を促進するなど、地域内相互の支援をする取組も重要と考えます。
 そこで、関西圏から首都圏への転出を防ぐためにも府県を越えた兵庫県、大阪府、阪神間の地域が一体となった都市圏の地域創生戦略が必要と考えますが、ご所見をお尋ねいたします。

4 新しい生活様式による高齢者への影響について
 質問の第4は、新しい生活様式による高齢者への影響についてであります。
 辻哲夫東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員は、レポートの中で、3密を避けソーシャルディスタンスを確保する生活が要請され、重症化する可能性の高い高齢者は閉じこもらざるを得ないこと、また、感染したら在宅療養中の高齢者本人の意思にかかわらず入院を余儀なくされることについて、今後あるべき政策及び地域社会の在り方と真逆と言えると述べられております。
 また、株式会社日本能率協会総合研究所が昨年12月に実施した高齢者ライフスタイル構造基本調査2020年の調査結果によると、多くの高齢者が友人や知人との交流ができない・減ったや、外出の自粛によって漠然としたストレスを感じている、体力・筋力が低下したと感じる、さらにはコロナに感染することを想像して強い恐怖・ストレスを感じることがあると回答をしております。
 県では、これまで高齢者の豊富な人生経験や知識・技能を生かしながら社会参加ができる環境の整備や、行政と地域が一体となった在宅支援を推進してきましたが、コロナ禍により社会との交流機会の減少や外出機会の抑制により、身体的、精神的な健康状態が悪化していることは否めません。日頃から作り上げてきたコミュニティを維持・発展させることが重要であり、そこで今後期待したいのがICTの活用であります。
 さきの内閣府の調査では、今回の感染症の影響下において、オンラインでの発信・交流に取り組んだとするシニアは、60歳代で7.4%、70歳代で5.7%と低調でありましたが、使い方が分からずビデオ通話をしたことのない人の6割以上が今後は利用したいと回答いたしております。高齢者へのICT活用は、新しい生活様式のみならず、今後の医療・介護に欠くことのできない要素の一つであります。
 そこで、新型コロナウイルス感染症による新しい生活様式が高齢者へ与える影響について、どのように分析をし、ICTなどの活用を踏まえた今後の施策展開にどのように取り組むのか、ご所見をお尋ねいたします。

○知事(井戸敏三)
 地域創生戦略の推進についてのお尋ねです。
 まず、人口減少にさらされている多自然地域の戦略についてのお尋ねがありました。
 全国の人口減少が、今後、数十年続くと予想されています。コロナ禍で、東京一極集中に歯止めをかけ、各地域が個性を発揮し活力ある社会を作ることが地域創生の本旨であります。
 第一期戦略期間では、歯止めがかからなかった東京への流出は、感染症蔓延による都市集中の弊害が明らかになりつつあり、変化が表れてきています。昨年の東京の社会増減は、4万8,000人減少しています。地元志向、地方回帰の動きが着実に進んでいると言えるのではないでしょうか。
 しかし、人口減少が進む多自然地域では、都市機能の維持が難しくなっている地域も出てきています。このために、まず食料品店、診療所等の日常生活に必要なサービス機能は、小中学校区内に確保することが必要です。
 また、大型ショッピングセンターや病院等の都市機能は、各市町域の中心部で分担して、公共交通ネットワークで接続することにより相互利用を図っていくことが基本構造になると考えています。
 さらに、高度な都市機能であります大規模文化施設やデパートなどは、地域外の主要都市の施設を共有して活用していかなければなりません。このような既存機能をネットワーク化していくことが、地域連携型都市構造と言えるのではないでしょうか。これは、まちづくり基本方針等で定めている基本方向であります。
 一方で、第二期地域創生戦略においては、このような生活基盤の確保を前提にしながら、各地域の個性が発揮され地域の元気を創出・拡大することにしています。
 まず、地場産業を担う若者の集積ネットワーク化を図ること、二つに、豊かな自然・温泉・食などの地域資源を生かしたワーケーションの推進などの地域プロジェクトの推進であります。三つに、存立の危機に存する小規模集落については、兵庫県版地域おこし協力隊の協力も得て、地域活性化に取り組んでまいります。
 全国各地が、東京と同じ高度な都市機能や経済活動を享受できるわけではありません。多自然地域には、それとは異なりますが、良質な住環境をはじめ都市部にないよさがあります。東京化、大都市化ではなく、兵庫が持てる多様性を生かし、地域の個性を発揮した発展を目指していくべきですし、その方向を目指してまいります。
 府県・市町一体となった都市圏の地域創生戦略についてのお尋ねがありました。
 2020年の関西圏から東京圏への転出超過数は2万300人で、うち88%は20代の若者でした。これは、主に就職に伴うものでありますが、本社機能や研究開発機能など、若者にとって魅力的な働く場を創出していかなければなりません。
 本県では、新たに情報スーパーハイウエイで東京と結び、そして、これを活用して物理的距離を超えた立地や本社機能の誘致の取組を強化してまいります。
 また、関西全体としてスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市を生かし、新たなイノベーション産業の形成や関西経済浮揚にもつながるワールドマスターズゲームズ2021関西への準備や、2025年大阪・関西万博に向け、府県が連携して取り組んでまいります。
 一方、人口対策として地方圏域内の拠点都市に機能を集中させ人口をとどめようとする、いわゆるダム機能を強化することは、地域の中での一極集中を進めることにつながるだけではないかとも考えられます。全ての地域が個性を磨き、どんな暮らし方や働き方でもできる兵庫を創ることこそ、私たちが目指す地域創生であります。
 テレワークをはじめとしたデジタル化の進展は、大都市と多自然地域が共存する分散型社会の実現には追い風となりました。今般のコロナ禍では、都市の脆弱性もあらわになりました。パソナの淡路への本社機能移転も類例ですが、今は大都市から多自然地域へダイレクトに人が動く時代になりつつあります。域内だけに人口を集中させようとすることも大切ですが、このようなダイレクトな大都市から多自然地域への人の動きにも、また、それに伴う新たな働き方にも注目したいと考えています。
 兵庫の強みは、五国の多様性であるのと同様に、関西には世界的に価値のある歴史文化遺産や豊かな自然、特色ある産業を持つ地域が各地に存在しています。関西としても都市部にのみ焦点を当てるのではなく、各地域の個性がかけ合わされ相乗効果を生んで発展していく方向を探っていかねばなりません。兵庫はもとより、関西広域連合においても、多様な地域がともに栄えていくことを主眼とした地域創生に引き続き取り組んでまいりますので、よろしくご指導ください。

○副知事(金澤和夫) 
 新しい生活様式による高齢者への影響についてお答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の流行下で、高齢者の外出や交流の機会が減って生活が不活発な状況が続く、そのことによって心身の機能が低下する、こういったことは大きく懸念されることと認識しております。
 本県では、新型コロナウイルスが存在するもとでの新たな生活様式である兵庫スタイルを提案しておりますが、コロナ禍で介護予防やフレイル予防につながる活動については、過剰な自粛に陥ることなく感染予防の取組と両立させながら活動を維持継続していくことが重要であると考えております。
 このため、具体的には、いきいき百歳体操などの活動を通じて介護予防の取組の場となっている住民主体の通いの場、これは全県に7,600ヵ所余り、これまでの通常の参加者は16万人余りおりますけれども、こうした通いの場が機能を発揮し続けてもらうように、これに対して感染予防の取組の留意点ですとか優良取組事例の周知、専門家の派遣による助言などを行って、その活動の継続を支援をしております。
 また、高齢者施設においても、感染予防に配慮しながら施設内での体操などの活動が実施できるよう取り組んでおります。
 県では、施設におけるICTの活用について、タブレットなどの導入費用も含めて支援をしております。これを活用して施設内でのオンラインの体操に取り組んでいる、そういう施設もございます。
 さらに、感染症流行下での新たな取組として、介護予防体操などが自宅でも可能となるように、市町がケーブルテレビやユーチューブで発信する取組も広がっております。
 良い事例については、県から周知するなど、市町の取組が更に充実するように支援をしてまいります。
 このほか、高齢者がICTの使い方、それ自体を学ぶことも大切であります。その際に、通いの場はこれにも使えますので、そうした取組も進むように、ICT事業者やNPOなどの支援団体の活動と市町、あるいは通いの場のニーズとのマッチングを進めることにしております。
 引き続き、感染症流行下であっても、高齢者がICTを活用して介護予防の取組を継続できるような体制を作り上げてまいりたいと存じます。

岸口みのる議員
 地域創生なんですけれども、知事の答弁を乱暴に短縮しますとね、兵庫らしさといいますか、大都市圏にはない兵庫らしさを生かしてやるべきだとおっしゃられたように私は受け止めます。
 確かにおっしゃられるとおりなんですけれども、この中で紹介した河合先生が書かれた本の中には、人口減少がどんどん進んでいくと地方の水道代が3倍になりますよとかですね、ガソリンスタンドがなくなって凍死する人が出ますよと、それはちょっと警鐘の意味で使っておられる例えだとは思いますが、やっぱりそれでも一定の規模がないと、都市機能どころか生活基盤が整わないといいますか、そういう状況になると思うんですね。そういう意味では、知事のおっしゃられることももっともでありますが、一方で、現実、予想以上に人口の減少が進んでますから、ある程度は人口の集約を図ることも必要ではないかというふうに考えます。これについては答弁は求めませんけれども、それでは次の質問に参りたいと思います。

5 ポストコロナへ向けた地域経済対策について
 質問の5は、ポストコロナへ向けた地域経済対策について、2点お尋ねをいたします。

(1)地元中小企業の新卒者採用支援について
 その1でありますが、地元中小企業の新卒者採用支援についてお尋ねをいたします。
 ハローワークの調査によると、昨年4月に就職予定の新卒者の内定取消しが全国で174人となり、前年度に比べ約5倍となったことが公表されました。内定取消しの大幅な増加は、景気後退に加え新型コロナウイルスの影響とされ、コロナによる新卒者の取消しは、合計104人を数えております。また、内定取消しにはならないものの、一定の期間の自宅待機が842人、入社時期の延期が366人となるなど、厳しい状況となっております。
 来年度の就職環境は、コロナ禍により今年度を更に上回る厳しさとなりそうで、昨年12月の日銀神戸支店の短観には、2021年度の新卒採用計画についての調査結果が公表され、製造業が前年比マイナス14.6%、非製造業がマイナス2%、全産業でマイナス11.5%と、軒並み大幅減となっております。中でも製造業の中小企業はマイナス19.1%、非製造業の中堅企業はマイナス10.4%となるなど、今年度よりも更に厳しい数字が並んでおります。中小企業にとっては、次世代の人材確保は必要でありますし、新卒者の就職率の低下は労使双方にとっても望ましいことではありませんし、社会全体の大きな課題であります。
 そこで、地元中小企業の新卒者採用支援について、ご所見をお尋ねいたします。

(2)ポストコロナに向けた本県の観光施策の強化について
 この項の質問の二つ目は、ポストコロナに向けた本県の観光戦略の強化についてお尋ねをいたします。
 ひょうごツーリズム戦略では、観光客入込客数1億5,300万人を目標に掲げています。県のこれまでの観光客入込客数は、東日本大震災が発生した平成23年度の1億2,130万人を底に、姫路城グランドオープンや淡路花みどりフェアのあった平成27年度には1億3,880万人、神戸港150周年となった平成29年度は1億3,910万人、そしてラグビーワールドカップの令和元年度の1億3,650万人となっており、目標まであと一歩であります。
 また、日本観光振興協会の観光予報プラットフォームの平成29年の居住都道府県別宿泊者数を見ると、大阪府に宿泊した観光客の出発地のトップスリーは東京都、神奈川県、埼玉県の順で、3都県の合計は36.1%となり、京都府でもトップスリーは同様で、その合計は43.4%を占めております。
 一方、兵庫県に宿泊した者は、大阪府、兵庫県、東京都、京都府、神奈川県の順で、大阪府や京都府でトップスリーとなった3都県の合計は19.4%にすぎず、県内や大阪府、京都府が中心となる隣接商圏型であることが分かりました。あわせて、神戸空港から定期路線が開設されている北海道、茨城県からの宿泊者は、大阪府や京都府のトップテンには入っておりますが、兵庫県のトップテンには入っておらず、宿泊に結びついていないことが分かります。
 大阪府や京都府への宿泊者が兵庫県を訪れているとは思いますが、宿泊は旅行を楽しむ上で重要な要素でありますし、大きな経済効果が見込まれます。県内には日本を代表する城崎温泉、有馬温泉をはじめ、湯村、塩田、赤穂、宝塚、武田尾、洲本、南あわじなど多くの温泉を有する温泉県です。これらをもっと活用した、宿泊者数増につながるインバウンドに頼らない県独自の施策の充実が必要であると考えます。
 あわせて、2025年開催の大阪・関西万博もコロナ禍にあり、当初スケジュールからの遅れはあるものの、来年度から会場内のインフラ整備、パビリオンの設計等着々と準備が進められていきます。この機会を捉え、県においてもコロナ収束後には内外の観光客を取り込めるよう、魅力ある体験コンテンツづくりなどを進める必要があると考えます。そこで、ポストコロナに向けた本県の観光施策の強化についてお尋ねをいたします。

6 いじめ根絶へ向けた取組について
 質問の最後6項目めであります。
 いじめ根絶に向けた取組についてお尋ねをいたします。
 昨年11月、文部科学省より、令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果についてが発表され、全国の小中・高等学校及び特別支援学校でのいじめの認知件数は、61万2,496件であったことが報告をされました。県下の認知件数は、小学校1万6,313件、中学校5,887件、高等学校779件、特別支援学校144件の合計2万3,123件あり、5年前と比べ、それぞれ1.5倍から4倍に急増をしております。
 また、長期欠席者から病気やその他を除いた不登校の数は、小学校が2,358人、中学校が6,362人、高等学校が1,559人で、小中学校は、全国比、前年比とも高い水準で、中途退学者は1,721人ありました。
 加えて、全国の小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は、小学校で4人、中学校で91人、高等学校で222人、そのうち、いじめの問題があった児童生徒は10人とされています。
 態様別では、冷やかしやからかい、悪口やおどし文句、嫌なことを言われるが全国で全体の62%、37万9,417件と最も多くを占めておりますが、近年は、パソコンや携帯電話で誹謗・中傷や嫌なことをされるが、中・高等学校を中心に年々急増し、1万7,924件報告されております。
 ネットいじめは、外部から見えにくいこと、匿名性が高いなどの性質があるため、学校がいじめを認識し切れていない可能性があり、重大な結果を招く場合があることから、来年度からスタートするGIGAスクール構想に合わせ、情報モラル教育が欠かせないと考えます。
 また、不登校者の増は、ひきこもりや自殺の背景になっていることもあり、極めて憂慮すべき事態であります。
 このような中、平成25年には、いじめ防止対策推進法が成立しましたが、その後もいじめ事案は後を絶たず、担任など学校にいじめの事実を伝えたのに適切な対処がなく自殺に至った事例、長期不登校を余儀なくされた事例、また、学校などが重大事態の調査を渋る事例など多くの課題が見られました。
 県でも、平成26年に兵庫県いじめ防止基本方針を策定しましたが、県下でのいじめの実態が明るみになるたびに関係者らの当事者意識が薄く感じられてなりません。それぞれが傍観者とならないこと、責務を負うことを再認識し、いま一度、対応の強化見直しが必要と考えます。
 北海道、東京都などでは、いじめ防止対策推進法に盛り込まれた責務をうたった条例を制定し取組を進めていますが、これらを踏まえたいじめ根絶に向けた実効性のある取組について、ご所見をお尋ねいたします。

○知事(井戸敏三)
 ポストコロナに向けた地域経済対策についてお答えをいたします。
 まず、新卒者採用支援についてです。
 新卒者を取り巻く就職環境は、コロナ禍で大きな影響を受けております。ご指摘があったとおりです。
 昨年の大卒者においても、最終内定率は98%と高水準でしたが、内定取り消しや入社延期等の事案が見受けられます。今年3月卒業予定の大学生の12月内定率は、82.2%と一定の水準は確保されています。しかし、採用活動の遅れにより前年比で約5%低く、リーマン時以来の下落幅となり、いまだ内定獲得に苦戦する学生も見られます。
 ちなみに、リーマン時は7.5%の下落でありました。
 一方、現時点で4月に向け採用活動を継続する企業もあります。そのような意味で、この企業と求職者をマッチングする合同面接会を1月に開催しました。3月にも開催を予定しております。一人でも多くの採用につないでまいります。
 今後、内定取り消しなど不測の事態が生じた際には、ひょうご・しごと情報広場の新卒ハローワーク窓口で個別の支援を行ってまいります。来年度卒の県内企業の新卒採用計画は、厳しい状況にあります。航空・観光業等人気業種の大幅な採用抑制で志望先の変更を余儀なくされた学生も多い。ひょうご・しごと情報広場において、キャリアカウンセリングを行う中で、県内企業の魅力を丁寧に伝えてまいります。
 また、採用難が続いた中小企業の中には、人材獲得の好機と捉えるところもあります。採用意欲の高い企業と学生のマッチングも行わなければなりません。そこで、県のマッチングサイトにおいて県内企業の仕事内容や求める人物像を分かりやすく紹介してまいります。新たに就活生と企業がWEB上で交流できる機能を設けて、多様な機会を作っていきます。
 合同企業説明会も、更に充実をしてまいらねばなりません。対面を基本としつつ、コロナ禍でニーズの高いWEBでも実施します。仮想会場に企業ブースを再現し、ライブ形式で学生が希望企業を訪問できる仕組みとするなど、リアルな開催に近い雰囲気を演出して、県外学生も含め幅広い参加を促してまいります。
 コロナ収束後は、再び人手不足も懸念されるところです。中長期的な視点で採用継続を企業に働きかけ、次代を担う若者が兵庫で希望する就職ができますように、企業・学生双方への支援に取り組んでまいります。
 続いて、本県観光施策の強化についてのお尋ねです。
 コロナ禍の国内観光は、インバウンドを創出し、本県が強みを持つ近隣志向のマイクロツーリズムが市場を牽引しました。そのため前回の緊急事態宣言解除後には、近隣エリアを対象にWelcome to Hyogoキャンペーンを展開し、Go Toトラベルとの相乗効果もあり、11月の宿泊者数は関西圏からの来訪を中心に前年比87%まで戻り、大阪や京都に比べて速いペースで需要回復が進みました。回復を後押ししたのは、近場で癒やしが得られる温泉地の人気でした。今回の緊急事態宣言解除後にも、この強みを最大限に生かすことがポイントになります。Go Toトラベルに先駆け、県内温泉地でのおみやげ購入券の発行を再開し、近隣需要を取り込むことにより観光地を下支えしていきます。
 Go Toトラベル終了後は、懸念される旅行需要の急落に備えまして、まず全国を対象に宿泊割引支援を行うこと、温泉地おみやげ購入券第3弾を実施して、ソフトランディングを図ってまいります。
 コロナ収束後に向け、当面は遠隔地を含めた国内観光の掘り起こしを強化していきます。そのために、まず城崎温泉でのゆかたのまち歩きや有馬芸妓など、魅力ある風物詩づくりへの支援を行います。
 二つに、日本遺産や豊かな食、芸術文化などをテーマとした体験・周遊滞在型コンテンツの開発により、観光地の集客力を高めていきます。
 三つに、県内3空港を中核に就航先DMO等とネットワークを構築して、共通テーマによる旅行商品の造成や航空会社との共同広報等を展開して、相互に送客ができるように取り組みます。インバウンドの本格回復には時間がかかりますが、WEBやSNSを活用して、外国人県民による情報発信も強化して、訪日潜在層への訴求力を高めて再開につなげます。
 ワールドマスターズゲームズ2021関西や大阪・関西万博は、本県観光の躍進の好機となるはずです。今週開学する芸術文化観光専門職大学とも連携します。ひょうご観光本部を中核にポストコロナを見据えた観光地域づくりに注力して、本県観光の再生を進めていきますので、どうぞ後押しをよろしくお願いいたします。

○教育長(西上三鶴)
 私から、いじめ根絶へ向けた取組についてご答弁をいたします。
 いじめへの対応につきましては、どの学校にも起こり得るという認識のもと、県のいじめ対策審議会におきまして、いじめ防止基本方針やいじめ対応マニュアルを策定するなど、未然防止、早期発見・早期対応の取組を進めてまいりました。
 議員ご指摘の認地件数の増加につきましては、早期発見の重要性、また、いじめの捉え方が浸透し積極的に認知してきた結果と捉えております。しかしながら、全国的にも重大事態への件数が減っているわけではありません。第三者委員会報告書を見ますと、重大事態となった要因の一つとして、教員による抱え込みを指摘するものもございます。認知した後の組織的対応が重要となってございます。
 県におきましては、いじめ対応マニュアルに基づきまして情報を共有すること、チェックリストを活用して具体的な対応方法を確認すること、そして児童生徒へのアンケートの内容や方法を工夫すること、そしてSNSによる相談など、相談しやすい体制をつくることを進めております。加えまして、教職員が多忙を理由に児童生徒が出します小さなサインを見逃すことがないよう働き方改革も進めているところでございます。
 また、校長が率先し生徒指導担当の教員を中心に学校を挙げて対応ができますよう、その体制づくりの研修も行っているところでございます。
 さらに、令和3年度からは学校長が法的な問題にも対応できるようスクールロイヤーを兵庫県の教育委員会に配置することといたしました。
 なお、条例の制定につきましては今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
 今後とも、いじめを許さない学校づくりに向けて市町教育委員会とともに取り組んでまいります。

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