第363回 6月定例県議会 一般質問
令和5年6月15日(木曜日)
質問方式 :分割
○(岸口みのる) 皆さん、こんにちは。明石市選出の維新の会議員団、岸口みのるでございます。
今定例会代表・一般質問、19名の議員が登壇するわけでありますけれども、私で18人目であります。ですから、やっぱりどうしても質問が重なってしまう、重複する部分がありますが、何とぞご容赦を賜りたい、そのことを申し上げまして、通告に従い質問に移りたいと思います。質問は分割方式にて、5項目7問、質問をいたします。
さて皆さん、福祉元年とはいつだったかご存知ですか。答えが出ません。
私が小学校4年生であった昭和48年、1973年であります。本年は、それからちょうど50年の節目を迎える年であります。
当時の田中角栄総理が、1973年を福祉元年とし、高度経済成長による税収の一部を福祉政策に充て、老人医療費無料制度の創設や、年金給付水準の大幅引上げなど、社会保障制度を大きく拡充させましたが、同年10月に起きた第4次中東戦争、第1次オイルショック以降、長引く不況に突入し、財源の確保が課題となったところであります。
また同年、第2次ベビーブームのさなかで、年間の出生数は200万人を超えていましたが、まさかそのわずか50年後に80万人を下回る今日の超少子・高齢化社会を誰も予想し得なかったのかもしれません。今こそ、子供を中心とした新たな福祉元年としなければならないと考えております。
そこで、出産から子育ての切れ目のない支援について、2問お尋ねをさせていただきます。
1 出産から子育ての切れ目のない支援について
(1)子ども医療費の無償化について
その1は、こども医療費の無償化についてであります。
今月1日、政府は、児童手当の拡充や保育サービスの拡充、育児休業給付引上げなどを盛り込んだ次元の異なる少子化対策の素案を発表しましたが、残念ながら、こども医療費の無償化は含まれておりません。
こども医療費無償化の重要性については、明石市医師会の橋本会長は、国民皆保険制度、フリーアクセスにより、いつでも誰でも自分の判断で医療機関を受診することができますが、子供は自分で病状を判断できないこと、医療機関に行けないこと、さらに費用の負担ができないことの三つのないが存在し、中でも費用負担をなくすことにより、大人と同じような医療環境が整うと述べておられます。
これまで、県では、子育て政策の一環として、ゼロ歳から中学校3年生までの医療費の一部の助成を行う乳幼児等・こども医療費助成制度に取り組んでいます。同様に、県下全ての市町も独自に、対象年齢、一部負担金、所得制限等の拡充支援を行っていますが、兵庫県は所得制限を設ける市町の比率が高いとされ、市町の財政状況により、支援内容に大きな差が見られます。
こども医療費完全無償化は、既に群馬県での実施、鳥取県では来年度から実施、県内でも宝塚市で実施予定と聞いております。
そこで、県でも市町と協力し、無償化に取り組むべきと考えますが、当局のご所見をお尋ねいたします。
(2)市町の子育て支援の連携について
質問その2は、市町の子育て支援の連携についてであります。
私の地元明石市は、1年通じて気候が温暖で、坂が少なく平たん、加えて、JRや山陽電気鉄道の鉄道網、第二神明道路、国道2号、250号をはじめとする道路網が整備されていますし、日常の買物ができる施設や、いざというときの医療機関も整うなど、すばらしい住環境が整った本当に住みやすいまちであります。
このように、もともとの高い住環境に加え、市による子育て支援が評価を受けたことから注目が集まり、県内はじめ、全国の市町から子育て世代を中心に転入等が続き、この10年間で約1万人の人口が増えることになりました。
まちには活気があふれ、税収増が期待できるなど、多くのメリットがある反面、子育てが終わると転出に転じてしまう可能性があることも否定できませんし、兵庫県全体では、若年層を中心に毎年2万人以上の人口転出超過が続いている状況でもあります。
子育て支援の成否だけが人口転出・転入に影響するわけではありませんが、人口増減にとらわれるがあまり、他の政策にしわ寄せが及んでしまっては本末転倒であります。
子育て支援は、確かに県や市町にとり重要な政策課題の一つで、その成否が市町の評価に大きく影響を与えるのが現実ですが、本来は生活基盤となる子育て支援は、県内の住んでいる市町に関係なく、同じ支援が受けられつつ、県全体の結婚・出産・子育て支援の底上げを図っていくことが重要と考えます。
そこで、知事は、県下の市長、町長と連携し、目先の人口増減にとらわれず、市町のばらつきをなくすといった俯瞰的な取組をリードしていくべきと考えますが、当局のご所見をお尋ねいたします。
以降は質問席に移ります。
○福祉部長(生安 衛) 私から、こども医療費の無償化につきましてご答弁を申し上げます。
子育て世代の経済的負担軽減は重要な課題でありますことから、本県では、厳しい財政状況の中、段階的に乳幼児等・こども医療費助成制度を拡充してきました。
議員ご指摘の完全無償化に関しましては、まず所得制限については、福祉医療制度は、経済的な支援を必要とする方に対して、医療保険制度の自己負担を軽減することを目的としておりますことから、必要であると考えております。また、一定の自己負担額についても、受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定的なものとするため必要と考えております。
そして、この市町においても完全無償化については意見が分かれるところであり、全市町共通の基盤の制度として実施している県制度への上乗せは、地域の実情に応じ、市町の政策判断により実施しているものと認識しております。
この制度は、子育てについてのセーフティネットの仕組みであり、本来、全国一律の水準で実施されることが望ましいことから、早期に実現されるよう、全国知事会等、あらゆる機会を捉えまして、国に対して制度化を要望してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、市町の子育て支援の連携につきましてご答弁を申し上げます。
子育て支援は、住民に最も身近な自治体である市町が第一義的な実施主体となり、地域の特性や実情を生かしたサービスの展開が図られています。県は広域的な自治体としての立場から、市町の区域を越えた支援や専門的・先導的分野での取組により、市町を支えていくことが重要であると認識しております。
そのため、県では、ひょうご保育料軽減事業や不妊・不育症治療の支援、ヤングケアラーの支援体制の構築、課題を抱える妊産婦の支援など、市町単独では実施が困難な分野で、県内全域の下支えにつながる基盤となる政策に取り組んでまいりました。
本年度は、AIを活用した結婚支援、県立学校の教育環境充実、奨学金返済支援、新婚・子育て世帯の県営住宅優先入居拡充の検討など、県内全域を対象に、広域的かつ先導的な取組を推進いたします。
また、県と全市町の担当者が一堂に会する子ども・子育て支援協働会議などの場におきまして、先進的な事業の共有や支援などの在り方などの協議を行い、子育て支援の底上げも図ってまいります。
こうした取組を通じまして、本県としての子育て支援施策の役割を果たすとともに、市町に対する助言・指導、情報提供や協議などを行いまして、県市町の協働のもと、子育て支援全体を推進してまいりますので、よろしくお願いいたします。
○(岸口みのる) 1点目のこども医療費の件につきましては、先ほど橋本議員の質問もありましたし、答弁聞いておりますと、これ以上質問しても、より効果的な答弁が得られるとは思いませんので、要望にとどめたいと思いますけれども。
やっぱり子供の病気って急性期が多いですよね。ですから、どうしても子供の命に直結することになってきます。これは、やっぱり地域で差があったらいかんというのも一つですし、やっぱり子供の健康を守るいうのは、やっぱり我々大人の役割というか、社会の役割でありますから、財源をどっかでしっかり見付けてでもやっていただきたいというふうに思います。
2問目の市町の連携については、おっしゃっていることよく分かります。再質問です。
おっしゃっていることはよく分かるんですけれども、各県下の市町で、いろんな施策を競っていただく、それはいいんですけれども、結果として、人口の奪い合いが起きたり、最後は大都市圏にどんどん人材を取られていってしまう、こんなことになっているのが現状かというふうに私は分析をしています。
そういう意味では、知事がもっと前面に出て、兵庫県は子育てを本気でやっているんだというメッセージをぜひ発していただきたいと思います。できれば知事の思いをお聞かせをいただければと思います。
○知事(齋藤元彦) 子育て施策、それから少子化対策、人口減少対策は、これは兵庫県にとっても本当に大事なテーマで、施策をやるべきことだと思っております。
議員ご指摘のとおり、県内市町の中で子育てに関する施策のいろんな取組がなされているということも事実で、兵庫県としては、医療費助成もそうなんですけど、ベースとなるところは、全国の中でも、先ほど橋本議員のご質問にもありましたけど、一定のところのベースは、あらゆる分野でつくらせていただいているというところはあると思います。
その中で、今、市町がいろんな継ぎ足しをするというところになっているんですけど、兵庫県としては、まず今回、国が少子化対策を異次元ということでやっています。これ市町村間の競争と同時に、都道府県間でも同じようになってしまうので、結局、前の提案理由説明のときも言いましたけど、少子化対策としてやるんであれば、国が全体としてのベースアップをどうするかというところがまず大事かなというふうに思っています。
その上で、兵庫県としても、もちろん教育・子育て施策というものは大事。ただライフステージに応じて、いろんな切れ目ない施策をやっぱりバランスよくやっていくということも大事ですから、その中で何が政策ターゲットとして大事なのか、乳幼児のときから小学校、中学校、さらには高校なのか、大学なのかと、あと働き先なのか。ライフステージに応じて県の政策、それから県がやるべき広域的な位置付けで何が大事なのか。
当然全ての政策が、この後の質問にもありますけど、多額の財源が必要なものですので、一つ一つが県全体の予算からすると数%程度だという話になるんですけど、全部やろうとすれば、とても無理なので、何をターゲットとして税を投入すべきかというところの政策判断を、財政構造改革を今やっていますから、それをやる中で、何を兵庫県として、齊藤県政としてすべきかということをこれから見定めていくと。それが県民の皆さんにとって、理解を得られるようにしていくということが大事かなと思っています。
○(岸口みのる) コメントです。
知事の答弁ありましたとおり、都道府県間の争いにも発展しつつあるということはよく分かります。その中でも、全国でも、兵庫県は子育てに優しいまちなんだと、力入れている県なんだということを全国の皆さんに知っていただけるように、発信をどんどんしていただきたいと思います。
次の質問に参ります。質問の第2は、高等教育の無償化について、2点お尋ねをいたします。
2 高等教育等の無償化について
(1)私立高校の授業料等の完全無償化について
その1は、私立高校の授業料等の完全無償化についてであります。
文部科学省の令和3年度子供の学習費調査結果によると、保護者が支出した子供1人当たりの学校教育費、学校給食費及び学校外活動費の学習費総額は、公立高校で年間51万3,000円、私立学校は105万4,000円となっております。
我が家にも公立高校に通う息子がおりますが、制服、教科書、参考書、クラブ活動、定期代や塾代等々、調査結果の数字以上に負担感が大きいのが実感でありますし、さらに大学進学に伴い、教育費のみならず、多くの費用がかさむことになってまいります。
昭和43年度から県独自で実施している授業料軽減補助について、平成22年度に国の就学支援金制度が創設されたことに伴い、本県でも段階的に充実を図っており、とりわけ今年度は年収590万円未満世帯での補助上限の引上げや、年収910万円未満の多子世帯への加算等、制度の充実を図り、支援を行ってきたところであります。
このような中、隣接する吉村大阪府知事から、所得や子供の人数制限の撤廃や府外の私立高校等に通う生徒も含め、府内全ての生徒を対象にした高校の授業料等の完全無償化に向けた制度の素案の発表がありました。
キャップ制により就学支援推進校への参画の動向や、府の追加財政負担が年間約223億円となることなど、まだまだ課題はありますが、今こそ、次世代への投資を行うことは大いに評価をすべきところであります。
大阪並みの制度をもとに、兵庫県の無償化を試算すると、年間約180億円とされる財源の確保をはじめ、様々なハードルがあることは理解しますが、大阪府での完全無償化は、県内の生徒の動向に大きく影響を与えることは必至であります。
知事は、定例会見で大阪並みの制度の導入には財政的な問題が大きいと述べておられますが、財源がないからでは県民の理解を得ることはできず、結果として、若年層の人口転出を加速させてしまう懸念も残ってしまいます。
そこで、私立高校の授業料の完全無償化を見据えた更なる負担軽減について、どのように取り組むのか。県民への発信、とりわけ子育て世代へのメッセージが必要と考えますが、当局のご所見をお尋ねいたします。
(2)兵庫県立大学の入学金、授業料等支援制度について
質問その2は、兵庫県立大学の入学金、授業料等の支援制度についてであります。
国による全ての大学、大学院の授業料の無償化を期待したいところでありますが、全く議論が進んでいません。地方においてできるところから取組を始めていかなければなりません。
大阪府では、先ほどの高校授業料無償化に加え、大阪公立大学・大学院についても、府内在住者に限り、授業料無償化とする素案を発表しました。加えて、高等教育無償化に取り組むことを公約に掲げた奈良県知事が誕生したことから、関西の大学受験動向が大きく変わることも想定をしておかなければなりません。
兵庫県立大学は、県内のみならず、他府県からも学生を募集しなければならないこと、卒業生の約3割が県内の企業に就職している現状などを踏まえながら、優秀な学生をしっかり確保できる戦略的な授業料等の支援が必要と考えます。
あわせて、県内生、県外生で入学料に差を設けていますが、他府県からも優秀な学生を確保するためには、入学金の取扱も検討する必要があると思います。
そこで、他府県の動向を踏まえた兵庫らしい県立大学・大学院生への支援が必要と考えますが、当局のご所見をお尋ねいたします。
○知事(齋藤元彦) お答えします。
私立高校の無償化の件です。本県では、これまでから教育を取り巻く社会の変化に対応した授業料軽減補助の制度を行ってきております。今年度からは、年収約590万未満世帯の支給上限額、令和4年度の県平均授業料である44万円まで引上げをしました。また年収910万円未満の多子世帯に対し1万円の加算を行うなど、限られた予算の中で制度の充実を一歩ずつ進めてきたというところでございます。また、経常費の補助につきましても補助単価並びに補助総額の拡充も行いました。
ご指摘の大阪府が5月に示した制度の素案については、現在、大阪の私学団体を含めて様々な議論があるということと、成案が9月に示されるということです。どのような議論の推移かというのを見守ることも大事かなというふうに思っております。
一方で、兵庫県としても、やはり安定した学校運営、そして教育の質の向上に資するという支援、さらには授業料の負担の軽減を図るという支援、そのバランスが重要だと考えております。私学でございますので、公立と違って、建学の精神ということ、そして自由に多様で特色のある教育をどのように提供していくのかというような運営の独立性と自由度というものも大事な指摘だというふうにされています。
どのような支援ができるかということでございますけども、引き続き行財政改革を進めていくということをしつつ、財政状況を好転させながら、できることから一歩ずつ進めていくということが大事かなと思っております。
それから、県立大学の件でございます。県立大は、ご案内のとおり、県内各地に多様性に富む9つのキャンパスを持つ全国屈指の総合大学でもございます。県立大においては、国の修学支援制度に加えまして、県内・県外の居住地を要件としない県独自の授業料減免制度を設けております。世帯収入が概ね500万未満の学生を対象に、収入に応じ、全額または半額の減免を行っているというところです。
高等教育機関である大学の教育機会確保に向けた学生への支援について、国でも議論を行われておりますが、多子世帯とか理工系を中心にする案など、これから議論が整理されていくところかなというふうに思っております。
優秀な人材の確保、学生の確保に向けた取組というのは大事なご指摘だと思います。入学金や授業料などの修学支援は重要な課題というふうに認識をしております。
一方で、私学の無償化と同様に、これも多額の公費負担が必要になりますので、これからどのようなことができるか、財政状況、行財政改革もしながら検討していくということが大事かなと思っています。
これも先ほどの議論になりますけど、これは逆に言うと、市町村間というよりも都道府県間のお話になります。大事なのは、少子化、結婚、出産について、兵庫で暮らしていただける若い世代の方が、そういった結婚を望む方が結婚しやすい、そして、出産や子育てをしようとされる方が、そのようにしやすいという環境をどのようにつくっていくかということが大事かと思っています。そのための施策というものは、様々なステージでの取組というものが、当然全部大事だと思いますけれども、限られた財源、そして行財政改革をやる中で生まれてくる財源の中で、何に県として集中的かつバランスを取りながら投資すべきかというところが、これは県知事として、そして議会の皆さんとの議論をしながらの、やっぱり判断だと思います。齊藤県政が始まりまして2年たちまして、一歩ずつ行財政改革というものは、いろんな面で進んできておりますので、これからどのようなことができるかということは、これからしっかり考えていきたいというふうに思っております。
○(岸口みのる) 再質問です。
大学のほうですね。私立学校のほうはコメントにしたいと思います。
これ今日の神戸新聞に紹介があったのですけれども、日本財団がアンケートを取ったという結果が出ていました。これを見ると、やっぱり子供さんに、10歳から18歳の1万人を対象にした意識調査、この中で、国や社会が子供のために取り組むべき課題について、複数回答で尋ねたところ、一番多かったのが、高校、大学までの教育を無料で受けられること、40.3%というふうにあります。
中学生、高校生ぐらいになったら、やっぱり自分のところの経済状況といいますか、家計の状況って大体理解できるのだと思いますね。ですから、そういうことを理解しながら、自分の進路に思ったところに進めなくなる、これほど残念なことありません。ですから、これはぜひこれからもしっかり取り組んでいただきたい。
特に、行革をやりながら、段階的に進めるということでありますから、行革をしっかり我々も応援してまいりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
それから、県立大学です。県立大学は、大阪は大阪府下の在住者に限ってというふうな素案を出しました。
再質問です。
兵庫県は、大阪とやっぱり事情が違います。ですから、兵庫県内に住む人を無償化すればいいという問題ではなくて、もっと戦略的に他府県からどんどん生徒さんを集めていくということが大事になってくると思うのですね。
特に、やっぱり高校・大学時代をどこで過ごすかというのが、人間形成に私は非常に大きな影響があると思いますので、ぜひ大学に進学するときに、兵庫県の県立大学を選択してもらえるような、そんな制度になったらいいと思います。
財政的に厳しいからできないということは、よく分かるのですけど、希望の光が見えるような、そういうメッセージを知事からどんどん発していただきたいと思うのですが、知事の決意をもう一つお聞かせをいただきたいと思います。
○知事(齋藤元彦) お答えします。
今日の新聞に、日本財団のことが出ていまして、早速取り寄せまして、中を見させていただきました。10代前後の本当に若い子供たちが、やはりいろんなアンケートする中で、心配なことの中で、2番目が、要はいじめをなくしてほしいということで、1番目が、やはり学費の関係ですね。ここをやっぱり心配しているという声が大きかったです。
私も奨学金を受けながら大学卒業しましたけど、そういった奨学金の負担の問題というのは、非常に実は、これは結婚や子供をもうけようかというときに、いろんなアンケート、全国的にもやっていますけど、やはり今3割以上の方々が奨学金を受けながら、大学を卒業されるという方がかなり多いんです。
その方々がやはりこれからの返済のことを考えたときに、結婚するときに奨学金の問題があったりとか、子供を授かりたいときに、そういった問題があるよねというのが一つ、この種の奨学金の問題、これアメリカでもそうですけど、学生ローンの問題というのは非常に大きな問題であります。
そこをどのように解決していくかというのは、私は一番大きなポイントかなと思っていまして、なので今年度から議会でもご審議いただきまして、奨学金の負担を5年間で約100万円支援させていただくという制度をやらせていただいたというのは、そこがベースにございます。
なので、県立大学のご指摘がございました。これ、やはり公立大学というものが、私学と公立大学と国立ありますけど、授業料をどのように減免していくかというのも一つの大きなポイントです。
兵庫県、既にご案内のとおり、家計収入が低い一定以下の世帯については、実はこれ県内だけじゃなくて、県外も独自で授業料を減免するという制度を措置しています。それは一つのベースがあるかなと思っていますし、一方で、議員ご指摘のとおり、県内外から優秀な学生さんをやっぱり誘引していくためにもやるべきこともあるかもしれないんで、その辺りは、これからいろんな議論が必要かなと思いますけど、何か全メッセージが出せるように、行財政改革やりながら、頑張って進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○(岸口みのる) コメントです。
早晩、国で制度が実現されますようにお祈りをしたいと、祈っていきたいと思います。
3 大阪・関西万博からの誘客の促進について
それでは、次の質問に入りたいと思います。質問の第3は、大阪・関西万博からの誘客の促進についてであります。
アジア太平洋研究所は、関西全体を万博会場に見立て、万博と連動して様々なイベントを開催することで、経済効果が2兆8,818億円になると試算をしております。また、万博開催期間中の想定来場者は350万人のインバウンドを含め、2,820万人と見込まれるなど、地域経済活性化への期待はますます膨らむばかりであります。
開催に向けた機運を高めていくことが重要ですが、昨年4月に三菱総合研究所が行った調査によると、全国での万博の認知度は82.4%、関心度は30.1%と低調で、まだまだ課題があるのも事実であります。
県では、機運醸成に向け、本年2月に2025年大阪・関西万博開催に向けた兵庫のアクションプランを策定し、万博来場者を県内に呼び込むための体験型観光プログラム、ひょうごフィールドパビリオンを展開中であります。
県のホームページからも、ひょうごフィールドパビリオンのPR動画を見ることができますが、再生回数は約900回と低調であります。そつなくまとめられたプランであることは理解していますが、フィールドパビリオンの趣旨が本当に県民に届いているのかと危惧をしております。個人的な感想で恐縮でありますが、6分間のPR動画は長く、映画の予告編のようなわくわく感が足らないと感じました。
さて、万博開催まで残り2年を切りました。神戸空港では、万博を契機として、2025年から国際チャーター便の運用が開始されますが、チャーター便で来られた方が、万博会場との往復だけではチャーター便就航もあまり意味がありません。また、県内のフィールドパビリオンに足を運んでいただくだけでなく、県内に宿泊をしてもらってこそ意味があると考えます。
そこで、本年度は、ひょうごフィールドパビリオンのプログラムの磨き上げ、プロモーションの展開が行われますが、このような観点も含め、大阪・関西万博からの誘客促進についてどのように取り組むのか、当局の所見をお尋ねいたします。
○企画部長(守本 豊) 大阪・関西万博は、兵庫の多様な魅力を国内外に発信する好機でございます。この好機を逸することなく、地域の経済効果につなげていくため、フィールドパビリオンのプロモーションと磨き上げに力を注いでまいります。
まず、プロモーションにつきましては、知事の国内外でのトップセールスをはじめ、旅行博への出展、専用ウェブサイトの構築、インスタ等SNSでの発信など、あらゆるチャンネルを使って展開してまいります。
ご指摘の動画でございますけれども、今年度、本格的なプロモーション動画を作成することとしております。この中ではプログラムの独自性ですとか、あるいは物語性、ストーリー、こういったことをしっかり盛り込んで、より訴求力のあるものとなるようブラッシュアップを図ってまいります。
また、県が発信をするだけではなくて、実際に体験された方々が、個人でSNSに投稿される、そういった動画なども高いPR効果を有します。したがいまして、現在、経済界ですとか、あるいは外国人の方々、こういった方々にフィールドパビリオンを体験いただくよう促しておりまして、こういった取組を通じまして、多様な主体による情報発信につなげるべく、今、取り組んでいるところでございます。
また、磨き上げに当たりましては、プログラムの中身の充実と併せまして、宿泊を含めた県内での滞在、周遊を促す仕掛けを盛り込んで、経済効果を引き出してまいりたいと思っております。
例えば、ご指摘のあった神戸空港の利用者に対しましても、航空券と県内宿泊、それからフィールドパビリオンのツアーをセットにした商品造成などを今後旅行会社に働きかけてまいりたいと思っております。
万博を機に、人の流れをこれまで以上に生み出しまして、持続可能で活力ある地域の実現を目指してまいります。
○(岸口みのる) コメントです。
やっぱり私で、フィールドパビリオンの質問、4人目だと思います。
知事から、プレーヤーに浸透しているとか、有識者から高い評価を得ているという答弁があったとこでありますけれども、やっぱり実を取りに行くといいますかね、地域経済に資することが大事になってくると思います。
ですから、宿泊、ここあまり宿泊のことを言い出すと部局が変わってしまうようでお答えしにくいということなので、要望にとどめますけれども、やっぱりフィールドパビリオンのやっている横で民泊をやったり、宿坊をやったり、いろんなことを複合的に重ねながら、ブラッシュアップをしていただけたらというふうに思います。
それでは、次の質問に参ります。質問の第4は、ひきこもり支援の強化についてであります。
4 ひきこもり支援の強化について
内閣府が昨年11月、子供、若者を取り巻く状況及び課題を把握するために行ったアンケート調査によると、ひきこもりの推計人口は15歳から64歳の年齢層で146万人と、前回調査の115万人から大きく増加し、中でも40歳から64歳の女性の割合は52.3%、15歳から39歳でも45.1%と急増傾向にあることが分かりました。
また、高齢の親が中高年のひきこもりの面倒を見る、いわゆる8050問題が9060問題へと移行し、さらには、中高年のひきこもり当事者が、高齢の親の介護を行うひきこもりと介護の同時進行による家庭破綻が懸念されるなど、事態は深刻化しております。
これまで、県ではひきこもり総合支援センターの運営、県下5ヵ所での支援窓口の対応、ひきこもりサポーターの育成など、相談対応を実施してきたところですが、令和2年、県がまとめた兵庫県ひきこもり対策検討委員会報告書の中には、ひきこもり相談窓口の分かりにくさや、相談支援をはじめとする各支援のつながりにくさがあるとの指摘がありました。
5つの市町でひきこもり支援の所管課が未設定であること、県、市町により、担当部局、窓口が違うこと、市町を超えた相談体制が不十分であること、そして学校卒業と同時に関係が途切れてしまうことなど、取り組まなければならない課題が山積しております。
あわせて、市町の対策や取組に温度差があることも課題の一つであります。神戸市や明石市など、先進的な取組のある市町の対策は、市長、町長のリーダーシップによるところが大きく、温度差解消に向け、知事自らが、各市長、町長に直接呼びかけを行うことも必要ではないでしょうか。
そこで、コロナ禍におけるひきこもり急増と深刻化の実態を踏まえた、これまでの県の対策をどのように評価し、先月成立した孤独・孤立対策推進法の来年度の施行に向け、どのように取り組むのか、当局のご所見をお尋ねいたします。
5 県下のパートナーシップ制度の現状について
質問の最後は、県下のパートナーシップ制度の現状についてであります。
国内でのLGBTQの人口規模についての公的な調査はありませんが、民間の調査によりますと、LGBTに該当する人は約8.9%であることが報告されております。また、さきの東京オリンピックでは、LGBTQなど、性的マイノリティであることを公表して出場した選手が180人を超え、過去最多の大会となったことに加え、同性婚を認めない民法等の違憲性を争う裁判では、先日の福岡地方裁判所での判決を含め、違憲状態とする判決が2件、違憲とする判決が2件、合憲とする判決が1件となっており、社会の価値観の多様化や国際的な潮流が生まれております。
さらに、これに加え、G7広島サミットを開催を契機として、LGBTQなど、性的少数者を巡る理解増進についての法整備の機運が高まり、今国会で日本維新の会などの修正案を受け入れた与党案が衆議院を通過したところであります。
一方、全国の自治体の動きを見ると、2015年11月、東京都渋谷区、世田谷区で初めてパートナーシップ制度が導入されて以来、12都府県、県内の14市町も含め、民間の調査では300を超える自治体が制度の導入をしております。
渋谷区のパートナーシップ制度では、法律上の婚姻とは異なるものとして、男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える戸籍上の性別が同一である2者間の社会生活関係をパートナーシップと定義し、条例においてパートナーシップの関係にあることを確認、証明するものとされています。
ほかにも同性に限らず、事実婚を対象とする制度や、子や親など近親者も制度の対象とするファミリーシップ制度等、自治体ごとに、根拠、交付書類、対象等が異なっております。制度の導入は税控除、相続などの国の制度は対象となりませんが、公営住宅の入居申込みや公立病院における面談、病状の説明で家族として扱われ、民間の保険、また携帯電話等の契約などについては、夫婦、配偶者向けのサービスの対象となる場合もあります。
また、県のパートナーシップ制度があれば、県内で制度実施市町から未実施市町に転居しても、県の証明で、先ほど紹介した一定のサービスを受けられるなど、当事者の安心感向上につながるものと考えられます。
そこで、既に制度実施または実施予定の県下16市町間の連携と未実施25町への働きかけなどを踏まえ、県のパートナーシップ制度に向け、今後どのように検討を進めていくのか、当局のご所見をお尋ねいたします。
○知事(齋藤元彦) パートナーシップ制度の現状についてお答えいたします。
パートナーシップ制度につきましては、当事者の安心感、性的マイノリティへの社会理解につながるなど、一定の効果があるということを踏まえまして、本県においても、早ければ来年度からの導入を目指して検討を進めていくということにしております。
検討に当たりましては、自治体により制度の内容が異なる中、まずは有識者、当事者団体、民間企業などから丁寧なヒアリングにより、多様なニーズや考え方の整理を進めてまいります。
ご指摘のとおり、県民の身近なサービスを提供する市町との連携が大変大事な課題でありますので、そこの検討が重要だというふうに認識しております。先行して導入している都府県における市町との連携の方策について、県、市町を構成員とする研究会の設置であったりとか、県と制度を実施している市町との意見交換会を開催するなど、先行している都府県においては、様々な方向で取り組んでいるという状況です。
兵庫県としても、こうした状況を参考にしながら、他自治体の導入状況、そして県がこれから実施を予定しています有識者などからのヒアリング結果などを踏まえまして、市町と情報共有を図る連携の体制づくりを進めていきたいというふうに考えています。
加えまして、県がそういったパートナーシップの制度をつくった場合に、大事なのは、県下の市町でどのように、それが当事者の方々の安心感であったりとか、利便性につながるような制度として受け入れられていくかということも大事だと思います。
制度の有無、それから制度内容の違いによりまして、県内の市町でも状況に差があるという声も聞いております。県と制度導入市町間の連携の方策はもとより、未実施の市町ともやはり丁寧に意見交換していくということが大事であるというふうに考えております。引き続き円滑に丁寧に調整をして検討してまいりたいというふうに考えております。
○福祉部長(生安 衛) 私から、ひきこもり支援の強化につきましてご答弁申し上げます。
ひきこもり支援については全県的な相談窓口として、ひきこもり総合支援センターの設置、8050問題に接する機会の多い介護支援専門員への研修による早期発見、オンラインでの居場所の設置など、きめ細やかな支援に取り組んでまいりました。
ひきこもりは、複合的な課題を抱えていたり、制度のはざまに陥っていることが多いことから、市町の果たすべき役割が大きいと認識しています。そのため県がリーダーシップを発揮しまして、市町職員を対象に、取組事例の情報交換などで、市町での取組の後押しを行いまして、居場所を設置している市町は、令和元年度の3市町から令和4年度は23市町へと増加しており、今後も未実施市町に対して働きかけてまいります。
一方、コロナ禍におきまして、社会とのつながりの希薄化、そしてこれまで実施されてきたひきこもり支援の中断などの新たな課題もあり、国調査に基づく推計では、本県のひきこもり者数は増加しております。
そこで、今年度は孤独・孤立対策推進法の趣旨なども踏まえまして、市町のほか、家族会や支援団体、有識者などから構成される検討会議での協議や関係者へのヒアリング調査を実施します。その中で現状や課題を整理し、市町との連携強化も含め、新たな施策の検討を行ってまいります。
今後、市町との議論を通じて、取組の強化を強く働きかけ、県全体でのひきこもり支援の充実強化に取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。