皆さん、おはようございます。民主党・県民連合の岸口 実でございます。
 県の財政の悪化により、当然、県の事業は縮小を余儀なくされます。行政サービスの低下は、行政への不満や政治不信を募らせるものとなる危険性があります。県民の不信感を招かないような努力が必要であります。「金がなければ知恵を出す」であります。50年後、100年後にしっかりと評価される行財政構造改革となるよう思いを込めて、質問に入りたいと思います。

高齢者世帯の増加に対応したまちづくりについて

 ます第1は、高齢者世帯の増加に対応したまちづくりであります。
 県の人口減少社会の展望研究報告書で、2050年には県人口が約100万人減少すると試算されております。地域別の減少率は但馬39%、淡路37%、西播磨、北播磨、丹波が35%から30%と厳しい数字が並んでおります。山間部の人口減少に歯どめがかかりません。また、合わせて加速するのが高齢化と少子化であります。65歳以上の人口が2000年の94万1,000人から2050年には165万7,000人となり、県人口比約36%、また14歳以下の人口は83万1,000人から49万5,000人に減少し、県人口比約11%になると予想されております。また、国立社会保障・人口問題研究所による「日本の世帯数の将来推計」では、2000年から2025年にかけて、県の高齢者世帯は49万世帯から80万世帯へと約6割増加し、全世帯の36%を占めるようになり、中でも世帯主が75歳以上の世帯が17万世帯から46万世帯になることや、高齢者単独世帯が15万世帯から32万世帯になると推計されております。
 これらの中で注目すべきは、高齢者人口の増加は全地域で進みますが、現在高齢化率の高い地域では高齢者人口の増加幅が小さく、高齢化率の低い地域では高齢者人口の増加幅が大きくなることであります。実は、これに該当するのが東播磨地域であります。現在の高齢化率は17%と、県民局の中では一番低くなっておりますが、2050年には最大で19.7ポイント増加するとされております。都市部では、ここ数年で団塊世代の方々の高齢化と団塊ジュニア世代の独立や、寿命が延びたことにより高齢者夫婦世帯や高齢者単独世帯、また後期老年人口が急増した社会を迎えることになります。
 ちなみに、高齢期の理想の住環境について尋ねたアンケートの結果を見ると、第1位は「治安がよいこと」、第2位は「食料品・日用品の店が近いこと」、第3位は「駅まで歩ける距離」となり、以下、「総合病院・医院が近い」、「街に緑が多い」、「介護行政サービスの充実」、「気候が温暖」、「物価が安い」、「街に坂や段差が少ないこと」などと続いております。男性は自然豊か、女性は利便性との結果でありました。余談でありますが、治安の改善には余地がありますが、明石はこの条件にぴったりと当てはまります。
 また、総務省の高齢者の暮らしについての統計では、高齢者のいる世帯の84.1%が持ち家に居住しておりますが、高齢者単独世帯は63.8%と相対的に低くなることや設備水準も低くなることがわかりました。そして、賃貸事業者団体が行った調査では、約16%の家主が、外国人、単身高齢者、高齢者のみの世帯などに入居制限をしていることがわかりました。高齢者夫婦世帯や単独世帯の増加は、防犯・防火、災害などを初め、医院やクリニック、また介護施設などの数や所在場所は適当かなど、これまで以上に安全・安心に対するインフラ整備が求められます。住宅政策や福祉政策の融合が必要と考えます。
 これまで、郊外のニュータウンに住み、車社会になれた方々が、加齢とともに自由がきかなくなったからといっても、現住居からの転居はたやすいものではありません。社会構造に応じた住環境の再整備と我々自身の意識の改革が必要であります。それぞれが体力のある間の早い段階で対処できるよう、政策的な誘導が必要ではないでしょうか。
 そこで、特に今後の都市部における高齢者世帯の急増を踏まえ、どのようなまちづくり・住まいづくり施策を展開させていくのか、ご所見をお尋ねいたします。

県の優位性を生かした障害者の雇用促進について

 質問の第2は、県の優位性を生かした障害者の雇用促進についてであります。
 障害者の雇用促進については、平成16年・279回定例会、平成18年・286回定例会、そして今回と、3度目の質問になりますが、ここ数年で障害者に対する施策は大きく変わりました。中でも、平成18年、障害者自立支援法の施行により、就労移行支援事業の創設など就労支援が強化されました。成長力底上げ戦略基本構想では、福祉から雇用への基本的な考え方を踏まえ、「福祉から雇用へ」推進5ヵ年計画の策定や、国や各自治体において障害者が一般雇用に向けて経験を積むチャレンジ雇用を推進・拡大するとされました。県でも、兵庫県障害福祉計画や兵庫県障害者就労支援計画の策定・実施を通じ、これまで以上の着実な成果が上がるものと期待をいたしております。
 これまで、県内の民間企業の障害者の雇用状況を見ると、平成18年6月1日現在の雇用率は1.7%、また達成企業の割合は55.1%と、全国の雇用率1.52%、達成企業の割合は43.4%に比べ評価できますが、県の掲げる「障害者雇用率1.8%達成大作戦」の目標達成には至っておりません。特に、企業規模が500人以上の企業での達成割合が県内、全国とも低くなっていることは大変残念なことであります。平成15年度障害者雇用実態調査には、障害者の雇用に当たり、「会社内に適当な仕事があるか」、「採用時に適性、能力を十分把握できるか」、「社内において障害の理解・知識が得られるか」などの課題や、「配置転換等人事管理面についての配慮」、「工程の単純化等職務内容の配慮」、「通院・服薬管理等医療上の配慮」など、雇用している障害者への配慮事項がまとめられております。雇用の際、また雇用後も企業と障害者に対し、障害に応じた細やかな支援施策が必要と考えます。
 また、労働政策審議会で障害者法定雇用率未達成企業に課される納付金の支払い義務を、これまで免除されていた常用労働者数300人以下の中小企業にも拡大することを検討していると言われております。企業の規模を問わず、経営者・労働組合・従業員など関係者の一層の意識改革が必要であります。
 これまでITの活用や県の消費者、契約者としての立場を有効に活用することによる障害者雇用について質問をいたしてまいりましたが、このたび、明石市で新たな試みが行われようとしております。新聞でごらんになられた方も多いと思いますが、障害者の就労支援と来庁者への利便性向上を図るため、市役所内に市の業務を請け負う障害者作業所を開設し、印刷や郵便物の封入作業などを行うことや、市役所内に障害者を常時雇用する「福祉コンビニエンスストア」を設置することが決まりました。ここでの就労経験が一般企業の就労につながることを期待したいと思います。障害者本人とその家族が求めているのは、一般雇用の仕事の場であります。
 今回の福祉コンビニエンスストアの設置は、市役所の集客力や市役所内への出店による企業のイメージと信頼性の向上など、双方の優位性を生かした、まさに参画と協働であります。
 そこで、これまで以上に県の優位性を生かした雇用の創出・促進、民間との協働による雇用の創出・促進について、ご所見をお尋ねいたします。

中小企業の人材確保について

 質問の第3は、中小企業の人材確保についてであります。
 先日、2006年の兵庫県の事業所・企業統計調査の結果が発表されました。
 県下の事業所数は23万8,000余となり、5年前の調査に比べ5.3%に当たる1万3,000ヵ所余が減少し、従業員は228万9,000人余と、1.7%に当たる3万9,000人余が減少しております。このことは、従業員数の少ない中小企業の破綻が続いたことが読み取れます。本県の経済・雇用情勢は、緩やかに拡大しているとされております。県内企業短期経済観測調査では、大企業の景気判断はよいとされ、ほぼ横ばいですが、中小企業の景気判断は悪いと判断される数値が高くなっております。倒産件数も、前年に比べ増加傾向にあります。中小企業にとっては厳しい経営環境が続き、同時に雇用の悪化が懸念されます。また、事業所を従業員規模別に見ると、23万8,000余の事業所のうち、「従業員1人~4人」が60.3%、「5人~9人」が19.3%と、10人未満が79.6%、また20人未満を加えると90.4%を占めております。中小企業が地域経済を支える原動力であり、雇用を底支えしていることが改めて理解できます。県では、これまで経済雇用プログラムを力強く推進し、中小企業支援を続けておりますが、さらなる充実が求められます。
 ここでは、事業継続に、また事業の発展に欠かせない、そして身近なところでの雇用の場の確保につながる人材の確保についてお尋ねいたします。
 週末の新聞折り込みに、求人を載せた広告が多く入っております。また、求人情報を載せたフリーペーパーが明石駅等でも配布されている光景があります。有効求人倍率は堅調に推移し、完全失業率が改善しているものの、売り手と買い手のミスマッチが続いております。
 県下の新規求人状況を規模別に見ると、県内での社員300人未満の中小企業にあっては、平成16年度25万2,000人の求人に対し、充足数は5万9,000人、充足率23.6%、17年度約26万5,000人に対し約6万人、充足率は22.9%、18年度は28万1,000人に対し6万2,000人、22.1%となっております。つまり8割弱の約20万人分が充足していない状況となっております。また一方、県下の社員300人以上の大手企業では平成16年度、7万4,000人の求人に対し、充足数は1万2,000人弱、17年度は8万4,000人に対し1万3,000人、18年度は8万6,000人に対し1万3,000人と、充足率はおおむね15から16%となっております。大手企業も中小企業も同様の傾向が見られますが、大手企業はネームバリューと資金力を生かし、兵庫県のみならず全国各地で求人活動を行っております。一方の中小企業は、一定の地域内での求人活動に限られます。正社員の中小企業より非正社員の大手企業を選ぶ事例も多くあるように聞いております。「売り手市場にあり、内定を出してもよい人材が大手企業に行くなど、半数が辞退」や「大手企業が学生を囲い込んでしまうため、未上場企業は学生確保が困難」との事例も紹介されております。東播磨はものづくりの町であります。人材が生命線です。地元中小企業には人材が回ってこない切実な状況があります。何より、中小企業あっての大企業であります。
 そこで、企業の人材確保について、企業の規模の違いによる格差をどのように認識し、中小企業に必要な人材の確保、雇用の確保を図っていくのか、ご所見をお尋ねいたします。

民間活力や技術、手法を用いた省エネルギー対策、環境対策の推進について

 質問の第4は、民間活力や技術、手法を用いた省エネルギー対策、環境対策の推進についてであります。
 ことしの夏は本当に暑い暑い夏でありました。年々厳しさを増しております。本当に地球が傷んでいると実感する夏でありました。環境対策の必要性を痛感いたしました。ちなみに県の「環境率先行動計画ステップ3」の推進の真っただ中でありますが、その予算が平成18年度は6億2,600万、本年度は約5億8,300万余りと聞き、正直少なく感じました。「選択と集中」、財政が厳しいのは理解しておりますが、必要な部分まで削ることのないような配慮が必要と考えます。
 来年の環境大臣会合の兵庫県開催を契機に、これまでの県の環境施策に対する取り組みを県民の皆様に再認識していただくとともに、家庭でできる省エネ行動の促進が期待されます。
 また、「環境率先行動計画ステップ3」の活動強化により、県全体でパソコンの電源をエコタップと主電源から切り、エレベーターの使用を控え、マイバックを持参し、車から電車やバスに切りかえなど、執務中、昼休み、退庁時、通勤や買い物までさまざまな場面での涙ぐましい努力がなされております。職員の皆様には本当にご苦労されておられるとお察しいたします。これらの取り組みは必ず県民に伝わります。今後とものご精励をお祈りいたします。
 ここでは、エスコ事業など民間活力や技術、手法を用いた省エネルギー対策についてお尋ねをいたします。
 そもそもエスコ事業は、1970年代、アメリカで始まり、日本では1990年代後半に導入されました。この事業は、省エネルギーの診断から工事、保守運転・管理を行い、省エネルギーの効果を保証し、その光熱費の削減分ですべての経費を賄うことが特徴で、新たな財政負担を伴いません。既に、国や自治体において117件が導入されております。大阪府では15例、神奈川県と横浜市合わせて15例、県下では神戸市の本庁舎、須磨水族園、神戸商工貿易センターなど9例、西宮市総合福祉センターなどに事例があります。
 県でも、県施設省エネルギー化可能性調査が行われ、平成16年2月にエスコ事業可能性調査報告書がまとめられております。調査報告書では、県下の総合庁舎、高校、大学、警察署、病院など代表的な施設41施設に対するエスコ事業の可能性について、25の事業者からのアンケート調査結果がまとめられております。県の施設は比較的規模の小さな案件が多く、手間がかかり、幾つかの施設をまとめて事業化するなど、規模を大きくする工夫が必要であることや、省エネルギーの意識が高く、エスコ事業者から見て省エネルギーの余地が少ないことなどが述べられております。一方、一部の病院や大学は施設単独で事業化の可能性が高いことがわかりました。報告書において、可能性が高いとされた県立病院を所管する病院局では、「環境率先行動計画ステップ3」の取り組みに準じて、独自に平成17年11月に県立病院環境率先行動計画をまとめ、努力を続けておられることは承知しておりますが、施設整備を伴えば、その効果は高まると思います。可能性のある部分での導入を検討すべきではないでしょうか。
 エスコ事業の県への導入は、「環境率先行動計画ステップ3」に大きく貢献することは言うまでもありませんし、光熱費の削減は行財政改革にも寄与するものであります。また企業の育成環境ビジネスを応援することにもつながります。
 そこで、以上のように民間活力や技術、手法を用いた省エネルギー対策、環境対策についてどのように取り組まれるのか、ご所見をお尋ねいたします。

完全学校週5日制の土曜日の過ごし方について

 質問の第5は、完全学校週5日制の土曜日の過ごし方についてであります。
 本年6月に教育再生会議から第二次報告がなされましたが、ゆとり教育の見直し策の一つとして授業時数を10%ふやす具体策が示され、夏休み等の活用や弾力的な授業時間設定や、必要に応じ土曜日の授業も可能にすることが提言されました。
 また一方、中央教育審議会の学習指導要領の見直しを進める小学校部会の素案では、総合的な学習の時間の削減や英語活動の実施などの合意がなされ、低学年では週2時間、高学年では週1時間程度授業時間をふやし、総合学習を一部土曜日に実施することも検討するが、現行の週5日制は堅持するとの方針が伝えられました。ここへきて、ゆとり教育の見直しなどの論議と相まって、土曜日の授業について触れられております。
 学校週5日制導入に当たり、平成14年5月に県教育長から各教育事務所長、県立学校長、各県立教育機関の長らにあてた「完全学校週5日制に係る取り組みの充実について」の中で、学校週5日制により、児童生徒等の家庭や地域社会における生活時間の比重を高め、生活にゆとりを与え、自主的な活動やさまざまな体験の機会や場を生み出す契機となることが期待されると述べられております。また「児童生徒等がみずから学ぶ意欲を持ち、みずから考え、判断し行動することができるよう支援することが重要であり、そのために、自然体験や社会体験などのさまざまな活動を体験させるなど、心豊かにたくましく生きる力をはぐくむことが重要となる」と制度の趣旨がうたわれております。地域スポーツ活動支援事業──スポーツクラブ21ひょうごや「いきいき学校」応援事業などの県での取り組み、体験活動の充実や学びの機会の充実など、教育課程上の対応、また地域に開かれた学校づくりなど学校運営上の対応、そして児童生徒等が利用できる場所の確保や安全確保など、家庭や地域社会における対応など細かく理解と周知を促しております。
 制度導入から5年が経過し、学校、地域、家庭など児童生徒等を取り巻く環境が大きく変わっております。地域活動の盛んな地域と積極的でない地域、経済的に余裕のある家庭とそうでない家庭などを初め、児童生徒が土曜日を過ごす環境に差が生まれております。学校によっては1割の児童生徒が母子家庭、父子家庭との話を聞きました。家庭教育の重要性が叫ばれる中で、家庭教育を行える環境が十分に整いにくい状況にあることが推察できます。
 ゆとり教育がいつの間にか授業時数を短縮させることにすりかわってしまったことや、現行の学習指導要領への移行により学力を低下させたことは否めませんが、生きる力、心の豊かさなど他の面は評価されておりません。学校週5日制の本来の目的、趣旨が生かされたのか、達成されているのか、また、激変する環境に対応できているのかなど、議論や検証がなく、土曜日がゆとりある時間として過ごせているのか疑問が残ります。学校週5日制の趣旨から離れ、土曜日が単なる休日になっていることは否めません。土曜日を生かす所期の目的を踏まえ、兵庫らしいこれまでの取り組みの検証と今後の取り組みについて、ご所見をお尋ねいたします。

県立明石公園の施設整備と利活用について

 質問の最後は、県立明石公園の施設整備と利活用についてであります。
 明石公園について、さまざまな視点から、これまで多くの先輩、同僚議員から質問があります。私も、平成18年第286回定例会でも質問をさせていただきました。既にご承知のことと思いますが、復習の意味で簡単に公園の変遷を申し上げます。明治16年に開園し、皇室の御料地に編入されるなどの変遷をたどり、大正7年に県立公園として発足いたしました。野球場、テニスコート、陸上競技場、球技場などを備え、国指定重要文化財の明石城「巽櫓」、「坤櫓」がそびえ、「日本の都市公園100選」を初め、「さくら名所100選」、「日本100名城」、さらに「日本の歴史公園100選」に選ばれました。
 また、平成16年には明石城跡が文化財保護法に基づく「史跡」の指定を受けております。スポーツ振興の場として、花見やイベント会場として市民・県民の憩いの場として親しまれ、年間300万人の利用があります。先週の土曜日からひょうごまちなみガーデンショーが開催されておりますし、あすには薪能が開催されます。また、のじぎく兵庫国体の自転車競技会場となったことは記憶に新しいところであります。来年は県立公園開園90年、そして11年後の平成30年には、100周年を迎えるのを機に、地元有志で明石城の本丸を再建しようとの声も聞こえております。明石公園が街のシンボルとして愛されていることがご理解いただけると思います。また、明石への誘客の主要な施設として位置づけられております。
 公園内の明石球場でプロ野球公式戦やキャンプが行われていたことや、毎年、全国高等学校軟式野球選手権大会が開催されるなど、明石と野球とのかかわりは深いものであります。このような中、明石市ではプロ野球オープン戦やマスターズリーグの試合の開催、シンポジウムやプロ野球選手OBによる全国少年野球教室の開催、そしてプロ野球公式戦やキャンプの誘致などを積極的に行っております。県では、ことしもバッティングゲージやベンチの改修など継続的な施設向上を図っていますが、照明施設やスタンドの改修など、地域の拠点として、また野球振興の拠点となる明石球場のさらなる整備が求められております。
 また、陸上競技場では県民体育大会総合開会式が行われるなど、昭和24年の完成以来、日本陸上競技連盟第一種公認陸上競技場として、多くの方々に利用されております。最近では、平成9年から10年の走路全面オーバーレイ及びインフィールド内の再整備など、大規模改修や部分補修を重ね、第一種公認陸上競技場として維持してきました。新規に第一種公認となるには9レーン必要な走路が8レーンしかないなど既存不適格の状態の中で来年更新の時期を迎えます。ぜひ更新できることを期待しております。
 史跡の指定を受け、さまざまな制約を受けることは理解しておりますが、近隣にスカイマークスタジアム、淡路佐野運動公園、三木防災公園の野球場、球技場など新しい施設があり、これらの施設と見劣りすることがないように利便性を向上させなければなりません。「つくる」から「つかう」であります。
 そこで、これら野球場や陸上競技場を初め明石公園の施設整備と利活用の促進について、今後どのように取り組まれるのか、ご所見をお伺いいたします。
 先ほど、上田議員の質問で、山間部の問題を切々と質問されました。都市には都市の悩みがあります。真摯にお答えをいただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。


○知事(井戸敏三)
 
 民主党・県民連合議員団の岸口 実議員のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者世帯の増加に対応したまちづくりについてです。
 人口減少、少子・高齢化の進展など、社会経済情勢が変化してきておりますが、これからのまちづくりの全体像を明らかにするため、ことし7月にまちづくり基本方針を改定いたしました。この方針では、人間サイズのまちづくり、人間本位のまちづくりを基本理念としながら、その理念を実現する手法として、まず第1に、都市機能を再編していくこと、第2に、既存ストックを再活用していくこと、第3に、コミュニティの再構築を進めることといったリデサイン、再生の考え方を提示しています。
 特に、都市部におきましては、今後、高齢者の相対的な増加が見込まれる。率ではなくて、ボリュームがふえるということもありますことから、まず第1に、安全・安心な住環境を整備していかねばなりません。第2に、日常生活に必要なサービス、利便施設等の集積を図っていく必要があります。第3に、世代間バランスのとれた地域社会を生み出していく必要があります。これら質の高い生活環境をつくり上げていく、これをめざす生活圏の再構築をまちづくりの基本方向としているものです。
 このために、バリアフリーなどユニバーサル社会の実現をめざすモデル地区の指定をいたしましたり、居住人口の確保やにぎわいの再生を図りますための中心市街地活性化基本計画の策定を支援しましたり、あるいは福祉施策と連携して高齢者の見守り機能を備えた公営住宅の供給などの施策に取り組んでいます。また、今年度から、高齢者世帯と子育て世帯の円滑な住みかえを促進させるモデル事業を明石舞子団地で実施しています。まさしく高齢者が安心して生活でき、積極的に自己実現できる生活環境が整ったまちづくりをめざしていかなければなりません。意欲ある市町や住民の取り組みと一体となって、身近な町にさまざまな人がともに生き、暮らしの豊かさを実感できる質の高いまちづくりを推進してまいりますので、よろしくご指導をお願いいたします。
 続きまして、県の優位性を生かした障害者の雇用促進についてです。
 障害者の雇用を促進するためには、個々の企業における働く場の確保を初め、ソフト・ハード両面にわたる環境整備が不可欠です。加えて、民間や関係機関等と連携・協力して雇用・就業の場を直接確保していくことも大切だと考えます。
 このため、まず第1に、障害者に対する職業能力開発を行うことが必要です。第2に、障害者専門の職業紹介を進めていく必要があります。第3に、県養成のジョブコーチによる仕事の定着支援を進める必要があります。第4に、障害者就職面談会や事業主セミナーの開催などを行っていく必要があります。これら多岐にわたる取り組みを行ってまいりますとともに、県みずからが出資し、第三セクター方式による重度障害者多数雇用モデル企業として特例子会社2社──播磨三洋工業と阪神友愛食品──を設置しているところです。特に、この特例子会社は、雇用の拡大や職場定着に有効ですし、法定雇用率未達成企業が多い大企業の雇用率改善にもつながってまいります。既に12社が設置されていますが、民間企業による県内設置をさらに一層推進してまいります。
 また、今年度から、全県民局に身体障害者を障害者就労相談支援員として配置させていただいています。知的障害者を県の日々雇用職員としても採用しています。さらに、公共工事の入札参加資格における加算点の引き上げなども行い、優先発注制度につきましても見直しを進めることとしておりまして、これらにより、雇用の場の拡大に県自体としても努力をしているところです。今後とも、このような多面的な事業展開や民間との協働による取り組みを推進いたしまして、障害者の雇用創出に努めてまいります。
 続いて、中小企業の人材確保についてです。
 8月の有効求人倍率が0.98倍になるなど、労働市場は全体として改善していますけれども、その内容を見てみますと、一般事務職は0.42倍、一方では、情報処理技術職は3.17倍、機械・電気の技術職は5.56倍となっておりまして、職種によるミスマッチがあり、人材確保はそれだけ難しくなっております。とりわけ、中小企業と大企業では、賃金、福利厚生等の労働条件や人材養成のための研修などに差がありますので、大企業が団塊世代の退職等により採用を拡大している中で、中小企業の人材確保はさらに厳しさを増していると認識しております。
 こうしたことから、中小企業に対して地域企業と求職者のマッチング機能を強化する必要がありますし、企業の勤務条件改善や能力開発への支援を行うことが大切になってきました。また、求人側の各企業情報が求職者に十分に届いているかどうか、そのような対策も必要ですし、求職側が中小企業へ関心を持てるようにインターンシップなどの就業体験を広げるなどの対応も必要だと考えます。
 このため、インターネットによる求人、求職のマッチングの場であります「ひょうご・しごとネット」の活用やハローワーク等の就職支援機関と連携した就職面接会の開催、ひょうご・しごと情報広場における個別のマッチングの促進などを行ってまいります。
 今後とも、これらの施策を推進し、経済・雇用を支える中小企業のスムーズな人材確保を支援してまいりますので、よろしくご理解をいただきたいと存じます。
 以上、私からの答弁といたします。

○環境担当部長(垣内秀敏)

 私から、民間活力を用いた省エネルギー対策の推進についてご答弁申し上げます。
 県みずからが率先して温暖化ガス削減を推進いたします環境率先行動計画によりまして、県施設の環境負荷の低減を図るために、庁舎だけではなく、病院、学校、警察も含め、照明・空調の高効率化、あるいは太陽光パネルの設置等の省エネ改修を、国庫補助事業等を活用しながら先導的に進めてまいったところでございます。平成16年度に、ご指摘のとおり、県施設でのエスコ事業の可能性を検討するために、県内外の事業者に対しまして提案を求めました。そのうち、回答のありました25の事業者が提案します省エネ工法、省エネ手法のその多くが、県施設で既に導入しておりまして、その時点での事業者自身の判断は、施設規模の大きな病院等以外では、エスコ事業実施のメリットは少ないということでございました。また一方、庁舎や体育館などの大規模施設にエスコ事業を導入しております大阪府などを調べてみますと、民間資金活用の可能性、あるいは自己改修計画よりも、より高い省エネ効果が得られる等、そういった面での評価があると聞いておるところであります。
 さきの調査におきまして、エスコ事業の導入の可能性があるとされました県立病院では、初期投資の負担を施設側に求められておりましたが、今後実施します大規模改修時には、エスコ事業によります費用対効果も検証しながら、効果的な省エネ対策を進めていきたいと考えているところであります。
 今後は、より効率的、効果的な省エネ対策、環境対策を実施するために、エスコ事業を初め民間活力、省エネ技術や手法の活用につきましても十分検討し、さらなる県施設の省エネ化を推進してまいりたいと考えておるところではございます。

○まちづくり復興担当部長(田村 計)
 
 県立明石公園の施設整備と利活用についてお答え申し上げます。
 明石公園は、城址と豊かな緑の環境の中にさまざまな施設を持つ全国有数の都市公園であります。特に、本丸南側は、歴史遺産と緑と公園施設の調和した景観を100年以上にわたり保ってきた貴重な区域でございます。第一野球場は、全国高等学校軟式野球選手権大会の開催など本県の野球の中核施設として利用されております。昨年度から地元や利用者の要望を踏まえ、ダッグアウトのベンチ改修、ロッカーやバッティングケージの増設、防球ネットの設置等、施設の充実を図っているところであります。
 陸上競技場は、主に地域の陸上競技大会の会場として利用される一方、この夏の世界陸上大阪大会では、スイスなど6ヵ国の選手の練習にも使用されております。来年7月の第一種公認の更新につきましては、これらの利用実績を踏まえ、公認の継続に向けまして日本陸上競技連盟などと調整を進めてまいりたいと考えております。
 明石公園につきましては、今後とも地域と連携し、歴史遺産や景観に配慮しつつ、利用者ニーズなどを踏まえた施設となるように努めますとともに、歴史ある菊花展や新しい能舞台での明石薪能の開催に加えまして、ことしから装いを新たにした「ひょうごまちなみガーデンショーin明石」の開催など、本県を代表する都市公園として利活用の促進に努めてまいりたいと思います。

○教育長(吉本知之) 
 完全学校週5日制の土曜日の過ごし方についてお答え申し上げます。
 今回の学習指導要領の改訂は、学校週5日制を基本に、子供たちが確かな学力や豊かな人間性などの生きる力をはぐくむという方針を堅持しつつ、教育の質を高める方策の一つとして、総授業時間数の増や学習内容の充実のため、土曜日の弾力的な活用などの検討が進められていると承知をいたしております。したがいまして、完全学校週5日制の実施に伴い、豊かな人間性をはぐくむことを目標に本県が取り組んでまいりました施策につきましては、基本的には、効率化を図りながら引き続き実施する必要があるものと考えております。
 これまで取り組んできました主な施策の平成18年度の実績を見ますと、スポーツクラブ21ひょうごでは、小学生の22%に当たります約7万2,000人の児童が活動をいたしております。また、いきいき学校応援団の協力を得て実施をいたしております「ふるさと文化いきいき教室」では、全県98ヵ所で、延べ約2万5,000人が郷土芸能や絵画、音楽などの芸術文化活動を行っております。このほか、地域教育推進事業や、本年度新たにひょうご放課後プラン事業にも取り組んでいるところであります。さらに、市町が独自に、子供たちが自主的に宿題や復習をする機会を設ける事業などが実施をされております。本県が行いました基礎学力調査では、小学校5年生の約6割が休日に地域活動や行事に参加するなど、休日におきます自主的な活動について一定の成果が得られているものと考えております。
 今後とも、国における学習指導要領改訂の推移を見きわめながら、市町教育委員会とも連携しつつ、土曜日の有効活用の一層の充実に努め、子供たちの学力と豊かな人間性などの生きる力をはぐくんでまいりたいと考えております。

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