令和元年度決算特別委員会 [ 10月13日 県土設備部]

○(岸口みのる委員)  皆さん、おはようございます。維新の会の岸口である。
 朝方の質問を聞いていると、人材不足というお話が幾つか出た。最近、まちなかの建設現場とか、建設関連の事業をされている方を見ていると、女性の方が結構増えておられるという印象が私にはある。今日出席されておられる職員の名簿を見ると、女性の方はたったお一人だったということで、これから女性の方もどんどん活用していただきながら、人材不足を克服していただきたいと思う。
 それでは、質問に入りたいと思う。

1 繰越予算の状況と進捗状況について
(1)繰越予算の状況について

 まず、質問の第1であるが、繰越予算の状況と進捗状況について、2点お尋ねしたいと思う。
 まず、その1点目は、繰越予算の状況について伺う。
 県土整備部の繰越額と投資事業予算額に対する繰越率は、平成27年度が541億円、26.5%、平成28年度は599億円、28.8%、平成29年度は649億円、29.2%、平成30年度は842億円、34.4%と年々増加し、令和元年度は1,193億円の39.3%と4割近くを繰り越している。平成30年度は7月豪雨災害等の復旧・復興対策対応のための9月補正約235億円、令和元年度は経済対策対応のための2月補正の407億円が影響したと思われるが、それらを除いても毎年26%から29%と恒常的な繰越が発生している。
 それぞれの箇所ごとの予算執行ができない事情があるということはよく理解をしている。また、この繰越の補正予算については、我が会派も賛成をしているところであるが、毎年予算の4分の1を超える額が恒常的に繰り越されている状況には大いに疑問が残るところである。
 本来、経済対策、減災・防災対策などの補正予算は、早期に効果を発現させることが必要であるとされ、早期に事業を完成させてこそ事業の価値が生まれるものと思う。事業の遅延は大きなコスト増になる。時間軸をもっと大切にしなければならないと考える。
 そこで、繰越の要因についてどのように分析し、どのように取り組むのかお尋ねする。

○県土整備部総務課長(小泉和道)  令和元年度の繰越額が増加している要因は、2月の経済対策補正の規模増大や、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に伴う当初予算の増額により年度予算が前年度に比べて約274億円増加したことによるものが大きいという状況である。
 繰越理由としては、用地補償によるものが多くを占め、権利意識の高まりに伴う境界紛争、相続問題の発生、地図訂正等に不測の日数を要するなど、相手方の事情に左右されるものが多いというのが現状である。
 昨年成立した、いわゆる「新・担い手3法」では、施工時期の平準化が発注者の業務として規定され、その中で繰越制度の活用が盛り込まれたところである。これは、工事量を1年を通じて平準化することで、建設企業の有する人材、資材、機材の有効活用を図り、建設産業の健全な育成を目指すものである。
 これを受け、令和元年度の国の経済対策等に係る2月補正分の繰越予算と、令和2年度の予算を合わせた実質14ヵ月予算を編成したところで、工事量の平準化に取り組んでいる。
 例えば、2月補正予算で実施した河川の樹木伐採や、堆積土砂の撤去等の工事は比較的軽易な工事であるので、繰り越ししても早期に発注ができて、かつ効果が短期間で目に見える形になるということで、地域からも非常に喜ばれていると認識している。
 もちろん、無計画で安易な繰越予算というのは許されるものではない。早期発注や債務負担行為の活用による適切な工期設定等により繰越の抑制に努めていきたいと考えている。

○(岸口みのる委員)  少し関連するため、次の質問を先にいく。

(2)繰越予算と当初予算の執行について
 繰越予算と当初予算の執行についてお尋ねする。
 繰り越された予算の次年度の執行率は、平成28年度98.9%、平成29年度が97.8%、平成30年度97%と順調に推移していたが、令和元年度は92.7%と低調で、4.4%を更に翌年度に繰り越している。
 毎年度2,000億から2,500億程度の当初予算に対し1,700億から1,900億円程度執行していることになるが、本年度は令和元年度の1,193億円の繰越に加え、年度当初の2,585億円と合わせ、3,778億円もの予算が積み上がることになる。
 そこで、今年度の事業執行状況と年度内の見通しについてお尋ねする。

○県土整備部総務課長(小泉和道)  経済対策としての公共事業の早期発注は重要であり、特に、今年度はコロナ禍による我が国経済への深刻な影響を踏まえ、実需要喚起のため、より迅速な執行が求められている。
 このため、今年度の上半期の発注率の目標を繰越を含む令和2年度予算全体では7割、令和元年度2月補正予算では9割と定め、本庁、土木事務所一丸となって早期発注に取り組んできたところである。
 今年度は予算増により1人当たりの発注業務量が増加する中、緊急事態宣言による半数が在宅勤務という状況の中で早期発注を行えるよう、新たな取組として積算事務の簡素化に取り組んでいる。具体的には、主要工種以外の工種の積算を一括して率計上する「概略発注方式」、標準断面だけで概算数量を算出して工事費を積算する「概算数量発注方式」の試行を行っている。また、まちづくり技術センターへの業務の委託により、限られた人員の中で早期発注に努めている。
 これらの取組により、9月末での工事発注状況は、速報ではあるが、これらの目標をほぼ達成できている状況である。
 これまでから、明許繰入は概ね全額執行してきている。今年度も明許繰越は全額執行を目指し、引き続き現年分と合わせた速やかな執行に努めてまいりたいと考えている。

○(岸口みのる委員)  ありがとうございました。今年度は予定どおりうまく消化ができそうだということで、よろしくお願いしたい。
 ただ、繰り越しながら平準化をして、発注者側と受注者側のそれぞれの事情を踏まえて調整をするということは分かるが、やはりそれは当年度の当初予算を執行する上での考え方であって、恒常的に繰り返しているものを平準化だというのは、少し違和感を感じる。
 やはり先ほどから質問あったとおり、工事を待ち望む声というのはたくさんあるわけなので、やっぱり適正にご発注をいただきたいというふうに思うし、人材が足りないのか、業者側の受け手の問題なのか、そういったところをもう一度よく分析をしていただいて、今後のご対応をいただきたいと思う。先ほどのお話でしたら、発注の目標をしっかり定めておられるということなので、安心はしたわけであるが、その達成に向けて、一層のご努力をお願いする。どうぞよろしくお願いする。

空き家対策について
 質問の第2は、空き家対策についてである。
 これは朝一番の質問、松本委員より質問があったが、少し一部視点を変えたところもあるので、予定どおり質問をさせていただく。
 県の人口は2010年には558万8,000人となり、大震災のあった1995年を除き初めて減少に転じ、世帯数は2020年の約234万世帯をピークに減少する見込みである。住宅ストックは、2018年時点で約268万戸、うち空き家は約36万戸、空き家率は13.4%となっている。地域別の空き家率であるが、神戸が13.3%、阪神間でさえ11.8%、淡路では23.2%と最も高くなっている。
 また先日、NPOが主催する空き家対策セミナーに伺ったところ、60代から70代の方が本当に多く参加をされておられ、熱心に話を聞いておられたのが印象に残っているが、高齢者のみが住居する世帯41万戸が今後空き家となる可能性があるとのことである。
 このように、住宅ストックが飽和状態にありながら、その一方で、市街地では住宅開発、マンションの建設が進んでおり、人口減少により更に空き家が急増することになる。
 このような中、朝の答弁にもあったが、県では、県・市町・民間が連携し、予防・利活用・適正管理の3方向から総合的に取り組み、徐々に実績を上げておられるが、成果を期待するにはまだまだ時間のかかる取組であると感じている。
 総花的な取組となることは一定理解をするが、人口減少、ストック過剰の現状を鑑みると、総数管理を行うなどめり張りの利いた取組をするべきと私は考えている。買い手や借り手のつく可能性が低く、住宅流通に乗らない空き家が多くあるが、これらは5年後、10年後には建物が朽ち、いずれは危険空き家となってしまう。需要と供給が保たれることが最適ではあるが、現在はあまりにも供給過多の状態にある。併せて県下画一的な事業展開ではなく、地域的なめり張りも必要ではないかと考える。
 そこで、これまでの取組の成果と除却による総数管理など、めり張りの利いた空き家対策にどのように取り組んでいくのか、当局のご所見をお尋ねする。

○住宅建築局長(佐藤将年)  空き家の増加は、住環境の悪化や地域活力の低下等の外部不経済をもたらすことから、空き家対策は重要な課題と認識している。
 県では、空き家の発生予防に向け、必要な対策をまとめた手引を配布して県民の意識啓発を図っている。また、これまで233件の危険空き家の除却補助を実施するとともに、市町においても空家法に基づく助言・指導等の措置を行うことで約800件の危険空き家等が除却等に至り、住環境改善につながっている。
 今後は、使える空き家は市場流通を促す必要があることから、空き家所有者に活用のインセンティブを与えられるよう、現在国に要望している空き家敷地を固定資産税等の減額対象から除外する制度改正を継続して求めていく。
 一方、腐朽破損が進んだ活用見込みがない空き家については、最終的に除却することになるが、市街化調整区域では、老朽空き家の除却を促進するための開発許可制度の見直しを検討する。また、都市部では、密集市街地において接道要件を満たさず再建築できない空き家が放置されているケースがあるため、敷地統合により再生するランドバンク事業の実現を目指す。なお、今年度、国モデル事業により尼崎市杭瀬地区で狭小敷地等の権利関係の調査等を実施していく。
 今後とも、市町に対し、空家法に基づく勧告の積極的な活用を促すなど、市町や事業者との連携を深めながら、空き家対策を推進する。

○(岸口みのる委員)  除却に対していろんなメニューを、今、用意をして取り組むんだというご答弁だったと思うが、仮にそれが進んだとしても、今のその需要と供給が全く見合っていない状況にあっては、その事業を幾ら行ったところで、現状はなかなか解決しないと思う。
 そこで、もう一度質問したいが、この除却にもう少し比重を置いて、総数管理をしっかりやるべきではないかというふうに私は思っているが、そのことについてご答弁をお願いする。

○住宅建築局長(佐藤将年)  除却について比重を置くべきという意見はごもっともだなということで、引き続き取り組ませていただきたいと思う。
 一方で、総数管理といっても、やはりマーケット全体を行政のほうでコントロールするというのは、なかなか現実、非常に困難な面があって、県としては、なるべく使えるのに使われていない、周りは社会資本も整備されている、交通網も整備されている使える空き家などに重点を置いて空き家の利活用を進め、周りに危害を及ぼしている度合いが高いもの、これについては重点的に除却を進めるべく検討を進めてまいりたいと考えている。

○(岸口みのる委員)  現状においては、精いっぱいの答弁だと思う。
 先ほどの一つ、県営住宅の空き家についての質問があったが、その中のやり取りを聞いていて、県営住宅ですら空き家が2割も出てきているということだから、やはり県営住宅を一つのバッファーゾーンというか、調整弁にして、民間ストックを活用していくとか、そういうことも今後ご検討いただければというふうに思う。
 では、三つ目の質問に参る。

但馬空港の就航率対策について
 三つ目は、但馬空港の就航率対策についてお尋ねする。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本年4月から6月の但馬空港の利用者が前年同期比で8割減となっていたことが報じられた。コロナ禍とはいえこのような水準が続けば、滑走路の延長どころか、空港の存続すら危ぶまれる事態になる。
 しかしながら、危機感が伝わってこないというふうに私は感じている。しっかりとご対応していただきたいと思う。
 今月に入り本格的なGo Toトラベルキャンペーンがスタートし、但馬地域などへの観光客の回復が期待できるものの、コロナ前に戻るには相当の時間が必要と思われるし、搭乗客回復には更に時間がかかると思う。今後の推移をしっかりと注視していきたいと思う。
 ここでは存廃には触れず、就航率についてお尋ねしたいと思う。
 過去10年間の但馬空港の就航率は平成30年の93.6%が最も高く、昨年度の88.5%が最低で、平均は91.2%であった。月別ではスキーやカニシーズン真っただ中となる12月から2月が降雪・濃霧等の影響で低くなる傾向があり、就航率は80%を下回る年もある。全国の本土空港の中では下から2番目の低さとなり、これではビジネスや観光利用は敬遠されても仕方がない。
 これまで2回、「コウノトリ但馬空港のあり方懇話会」が開催され、就航率向上について議論が行われているが、「離陸帯幅を拡幅する必要があるなどの課題を踏まえ、進入灯、ILS、衛星航法システムに絞って今後検討を深める」や、「SBASやILS等は有効な方策であるが、着陸帯幅も広げると相当の土工量が必要となることを十分に考慮すること」などの意見が出されるなど、本来、就航率対策向上と滑走路の延長は表裏一体の課題であると感じる。
 そこで、滑走路の延長については今後の課題となるが、就航率対策についてどのように取り組むのか、ご所見をお尋ねする。

○空港政策課長(福井昌樹)  但馬空港は、標高176メートルの高地に立地し、欠航理由の約8割が降雪・濃霧等天候上の理由となっている。就航率の向上は、定期便利用者の定着を張る上で重要な課題の一つであると認識している。
 これまで、着陸中の航空機を無線で誘導するローカライザーの設置に加え、平成30年の新型機材導入に伴い新たな飛行経路の設定が可能となり、一定の効果は得られたが、抜本的な改善には至っていない。
 このため、「コウノトリ但馬空港のあり方懇話会」において、他の多くの空港に備わる進入灯や計器着陸装置(ILS)に加え、国が開発を進める衛星による飛行方法(SBAS)の効果を検討している。このうちILSには着陸帯の幅を現在の120メートルから280メートルに広げる必要があること、また、SBASは国の今後のシステム開発と普及を待つ必要があること等の課題がある。県としては、年内目途の懇話会の取りまとめ結果を踏まえ、実現可能な就航率向上策について検討を行っていく。
 なお、本年4月から6月の定期便利用者数の落ち込みは、緊急事態宣言下の外出自粛要請などに基づく地域間移動の激減によるもので、約2ヵ月間、1日1便に減便をしたほかは、公共交通機関としての要請に応え運行を継続した。直近9月の利用者数は前年同期比で51%である。
 もとより、この間も地元自治体中心に危機意識を持ち、新たな需要の掘り起こしに向けた未利用者への意識調査や初乗りを促すキャンペーンをはじめ、様々な利用促進策に取り組んでいる。
 また、県でも多様な路線展開に向け、12月に但馬長崎双方間のチャーター便運航を企画して、潜在需要を取り込みたいと考えている。
 今後も、但馬空港がビジネス、観光の両面で広域的な地域間交流を生み出す役割が果たせるよう、地元と一体となり取り組んでいく。

○(岸口みのる委員)  ご答弁の内容はよく理解するところだが、やはりこの就航率は、多様な展開を目指す云々の前に、ビジネスとして、観光として、本当にこの飛行機、空港は使えるのかという根本的な根幹の問題だというふうに感じている。
 一番ひどい数字で恐縮だが、8割飛ばない。1日2往復しているが、2日に1便ずつ欠航していくみたいなペースになってしまうから、これでは仕事で契約に行くとか、商談に行くとか、遊びに行って、夜、カニを食べたいと思っても、飛行機が飛ばなければ現地に着かないため、やはりこの就航率対策というのはもっと真剣に取り組んでいただくべき問題だと思っている。それができてこそ、次の展開というか、羽田便を目指すとか、そういうことになってくると思うが、その根幹であるので、よろしくお願いをしたいと思う。
 それから、もう1点、北近畿豊岡道が11月に空港まで延びるということだが、今後ますます車との競争が加速されるわけであり、空港がぼんやりしていたら、就航率対策にしっかり取り組まなかったら、本当に存続できるのか、それすら怪しいことになるので、よくその辺もお考えをいただきたいと思う。
 続いて、最後の質問である。

県立都市公園の整備について
 県立都市公園の整備についてお尋ねする。
 ポストコロナではスポーツ振興や健康維持増進は重要なテーマであり、その拠点となるのが都市公園である。令和元年度の15の県立都市公園についての整備事業費は、公共と県単を合わせた決算ベースで14億4,100万円であった。いずれも設備更新、修繕などが大半であるが、ポストコロナへ向けた再整備を期待したいところである。
 例えば、私の地元である明石公園についてであるが、公園内には旧明石市立図書館があるが、この旧明石市立図書館、耐震不足から解体・撤去されると聞いているが、建物の一部を活用してテレワークの拠点を整備するなども一案であるし、明石公園ではアリーナの建設構想も期待されているところである。
 そこで、明石公園の今後の整備の方向性についてお尋ねする。

○まちづくり局長(西谷一盛)  県では、今年度、学識者等から成る委員会を設置して、県立都市公園のリノベーション計画を策定している。明石公園については、スポーツ施設と史跡が共存した特色を生かして、スポーツと自然を活かした健康づくりと文化財を活かした観光振興の二つのテーマを設定し、検討を今行っているところである。
 「スポーツと自然を活かした健康づくり」としては、具体的には、野球場の内外装の更新や観客席の増強、テニスコートのクラブハウスの更新などを検討している。また、ポストコロナ社会に向けて、芝生広場等をテレワークの場として活用するためのテントや電源設備の確保、更には、利用時間の分散化を図るための夜間利用への対応も検討している。さらに、国際レベルの大会が開催できるされアリーナに関しては、イベント関係者などへのヒアリング等を行っており、整備の可能性等を今検討しているところである。
 なお、旧明石市立図書館を活用するには、約5億円以上と予想される耐震改修費用が課題になると考えている。
 また、「文化財を活用した観光振興」としては、令和2年に策定した「史跡明石城址保存活用計画」に基づき、城の石垣周辺の樹木の伐採、史跡案内サインの充実、インフォメーション施設の設置などを今検討している。
 明石公園の更なる活性化に向け、現在取り組んでいるトイレ、遊具、テニスコートの舗装、ローンボウルスコートの不陸などの修繕を進めるとともに、今年度末にはリノベーション計画を取りまとめ、令和3年度からのリノベーションの実施に向けた予算確保に取り組んでいく。

○(岸口みのる委員)  ご承知のとおり、明石公園、県下の入り込み客数も有数の、大体トップは甲子園であるが、2番目、3番目の本当に活用されている利用者の多い公園であるので、今後ますます利便性を高めていただき、我々県民の憩いの場となるようにご努力をお願いして、質問を終わりたいと思う。ありがとうございました。

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