○(岸口実 委員)  早いもので、議席をお与えをいただいてから、はや5ヵ月が経過しようとしている。逆に言うと、県民により近い新鮮な感覚を持っている。新人らしく、県民の視点に立った感じるままの素朴な疑問に基づき質問をさせていただきたい。ふなれで的を得ぬところがあるかもしれないが、意をお酌み取りいただき、明快なわかりやすいご答弁をお願いを申し上げておきたい。それでは順次質問をさせていただく。
まず第1に、経営改善に向けた取り組みについてである。
県立病院を含む全国の自治体病院の約65%は赤字と言われている。本県も例外ではない。平成14年度決算書を見てみると、病院事業全体で単年度で26億5,000万余りの純損失を計上し、累積では約534億5,600万の欠損金が生じている。一般の県民の感覚から言うと、県立病院つまり県民のお金で建つ病院の赤字は、今後経営改善が図られなければ、そのしわ寄せは県民に来るのではないかという危惧があるわけである。
県立病院は、自治体立の広域病院として、民間病院との役割分担の中、県民に対する高度専門医療の提供、兵庫県保健医療計画に記載されている周産期・小児医療、精神医療、災害救急医療、リハビリテーション医療など、政策医療の実現に当たり中心的な役割を果たすなど、民間病院で対応できない部分を担っていることからも、県立病院が将来にわたり安定的に良質な医療を県民に提供していくためには、赤字経営から脱却し、公営企業として健全経営を行い、累積欠損金の解消をめざした不断の努力が必要であることは言うまでもない。
そこで、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮、そして公共の福祉の増進を実現するため、どのように経営改善に取り組んでおられるのかをまずお尋ねしたい。

○(後藤病院事業管理者)  地方公営企業である病院事業としては、公共の福祉を増進するために、県民の医療ニーズなどに対応しながら高度先進医療等に取り組んでいるところである。不採算部分については適切な公的負担が認められているが、経済性を十分発揮し、民間病院より以上の合理的かつ効率的な経営を行い、事業全体として収支の均衡を図る必要があるものと認識をしている。
このため、病院事業では、病院構造改革の中で事業全般を抜本的に見直すこととして、「自立した経営の確保」を改革の一つの柱に据えている。具体的に申し上げると、第1に、経営計画委員会の充実、診療科別収支分析による成果重視の経営の推進、一般会計繰入金の配分見直し等による計画的な経営の推進、第2に、経営情報の共有化や研修の充実等による幹部職員の意識の高揚、第3に、診療報酬制度への的確な対応、未収金の縮減、診療機能に対応した適切な繰入金の確保等による収入の確保、第4に、診療材料費の節減、薬品の採用品目数の縮減、業務委託の推進による費用の節減を図っているところである。
こうした取り組みの推進を通じて、今後自立した経営を確保するとともに、県民からより信頼され、より安心できる県立病院の実現に努めてまいる所存である。

○(岸口実 委員)  さまざまな取り組みをされていることはよく理解できるが、結果として、数字として、こういう欠損金を1円でも抑えていくということは、企業経営という意味では非常に大切だと思う。要望を申し上げておきたい。
続いて、2点目に未収金の徴収対策についてである。
長引く景気の低迷や社会構造の変化により、社会保障制度が破綻するのではないかとの懸念が多くある。国民年金の保険料の未納率約40%、国民健康保険の未納率も約10%に上ろうとしている。こういう傾向は、県立病院においても同じような傾向が見られている。平成14年度における患者負担分の過年度未収金は2億2,557万円に上っている。しかし、この金額は平成13年度以前のものであり、当該年度中に発生したものを含めると3億を超えると聞いている。これは単年度欠損金26億5,500万に対し1割強を占める数字となっている。
このことは見過ごすことのできない問題であると私は認識している。人命にかかわる分野であるだけに、人道上、支払いがないというだけで診療を拒否するわけにはいかない、非常に悩ましい一面を持っているが、この未収金の回収は、経営改善の必須の課題であると考える。患者側には、医療費が払えない個々の事情は当然あるだろうが、医療行為に対する対価を支払うのは当然のことであり、また、確実に回収をしなければならないものである。そこで、未収金の徴収について、具体的事例を挙げていただき、どのような取り組みをなされたのかについてお尋ねをする。

○(岩﨑経営課長)  未収金については、これを発生させないことが何より重要であり、従来から薬は支払い確認後に手渡すなど、病院内の部門間の連携によって発生防止に努めるとともに、未収金が発生した場合には、即日患者に連絡を行うほか、督促状の送付や電話あるいは家庭訪問によって早期回収に努めている。
しかし、薬のない患者は、会計窓口に立ち寄らなくても病院を離れることができることや、休日等に退院する患者に対しては、会計窓口が開いていないこと等から、このような場合に新たな未収金を発生させる原因となっている。また、医療費は、地方税の滞納処分のような強制徴収の手続がとれないことも、未収金が増加する一因となっている。
そこで、より実効性のある対策として、未収金徴収のための嘱託員を配置することとして、本年4月から尼崎病院に、9月から姫路循環器病センターに、10月から淡路病院に配置したところである。その結果、9月末までに、未収金全体からすると少額ではあるが、245万7,000円を徴収するとともに、これ以外にも、分割納付とか制度活用など、相談に応じながら413万4,000円の納付誓約をとるなど、一定の成果を上げている。また、休日の収納業務を民間委託して、患者が医療費を支払えるようにするとともに、事例によっては民事上の法的な措置を実施することについても検討することとしており、未収金の発生防止と早期回収に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えている。

○(岸口実 委員)  大変なご努力をされていることはよく理解できた。特に現場で回収をされる方々は非常にご苦労が多いと思うが、今後もその徴収にご尽力いただくようにお願いする。
3番目に、コスト削減への取り組みについてである。
病院事業全体における医業収入に対する給与費の割合は約66%、同じく材料費の占める割合は約32%となっている。この二つを合わせるとほぼ100%となる。この面から見ても、県立病院全体が高コスト体質であるということは否定ができないと私は感じる。医療の高度化によって、多くの人材が必要となることや不採算分野の引き受け、そして高度医療追求のための定期的な設備の更新などの結果、コストが高くなることは理解をしているが、どのような取り組みをしてこの高コスト体質からの脱却を図られるのか、どこに力点を置いて進めておられるのか、その点についてお伺いをする。

○(垣内病院局長)  労働集約型産業と言われている病院事業において、とりわけ高度先進・特殊医療を担っている県立病院では、その医療内容に伴う看護体制の充実などによって、人件費のほか、高度医療の提供に伴う医薬品、診療材料などのいわゆる材料費、さらには、高度医療機器の設備の充実に伴う減価償却費の増加など、要は、高コストになる要素が多くある。こういう中で経営改善を図るためには、これらを抜本的に見直すことにより、費用の効率化に努めることが必要であると我々も認識している。
そのため、まず人件費については、業務の標準化あるいは業務量に見合った職員の適正配置、民活による業務委託を進めるとともに、材料費についても、薬品の品目数の縮減などによる適正在庫と廉価購入、さらには、診療材料の一元管理などのシステム化などを図って費用削減に取り組んでいる。あわせて職員の経営意識を高めることも必要である。こういうことに取り組んで、多角的なコスト削減方策を積極的に進め、いわば高コスト体質からの脱却に努めている。

○(岸口実 委員)  さまざまな取り組みをしておられるようであるが、もう1点、参考までに申し上げたい。
企業債の問題である。56年発行の年利8%、こういうものを筆頭にたくさん償還期限が20年以上を残すようなものが残っていると聞いている。この借りかえというのは制度上制約があり、不可能ということも聞いているが、534億の欠損金を抱え、県民の感覚からは余りにも遠いと言わざるを得ない。こういうさらなるコスト削減を要望し、また、新たな取り組みを皆様方でご検討いただきたいと思う。
第4番目に、医療技術の進歩と事業経営の関係についてである。
医業収益は過去5年間ではほぼ安定しているものの、対前年比では0.9%低下をしている。これは入院にあっては、1人当たりの在院日数の減少による入院患者数の減少や手術収入などの落ち込み、そして外来にあっては、長期投薬の規制廃止による再診患者の減少がその主な理由とされている。
患者側から見れば、一日でも早く退院したいとの思いや、負担も少なくなるなど喜ばしいことでもある。この患者の在院日数は、医療技術の進化に伴ってますます短くなることが容易に考えられる。この在院日数の減少が病床稼働率に大きな変化をもたらすわけであるが、これは病床数のあり方にまで大きく影響を与える可能性を持ち合わせていると感じる。そこで、この医療技術の進歩に伴う患者の在院日数の減少が経営に与える影響をどう分析し、今後どのように経営改善に生かしていこうとお考えか、ご所見をお伺いする。

○(岩﨑経営課長)  県立病院は、急性期型病院として広く県民に医療を提供するとともに、診療報酬制度に対応するため、病床の効率的な稼働を図ることとして、医療技術の高度化や地域医療機関との連携並びにクリニカルパスなどの医療の標準化を進めて、在院日数の短縮に努めてきたところである。ちなみに、診療報酬制度上の在院日数の短縮による効果であるが、一つの基準である急性期加算を取得することによって得られる収入は、1病院当たり1億円以上になると推計をしている。
委員ご指摘のように、在院日数の短縮が病床利用率の低下を招いた一つの要因ともなっているが、国の医療費抑制策として、診療報酬の定額払い制度の導入や療養期間の長期化に対する診療報酬の逓減制が強化されると予測されることから、今後の病院経営にとって、在院日数の短縮化とあわせて新規患者の確保策の両立、これは重要な課題であると考えている。
そのため、今後、急性期医療を提供する県立病院として、地域医療機関との連携を深め、紹介患者や救急患者の積極的な受け入れなど新規患者の確保と在院日数の短縮に努めて、収益確保を図るとともに、今後の病床稼働率の状況変化を踏まえて、病床数のあり方についても検討し、より効率的な経営を行っていく必要があると考えている。

○(岸口実 委員)  先ほど述べた外来患者数、入院患者数が、対前年県下平均を下回っているのは加古川病院であった。私は、この加古川病院で人間ドックの利用をさせていただいた。そういうところで、大変老朽化が進んでいるのを本当に実感をした。さらに患者の利用のしやすい病院となるように改善を申し上げておきたい。
5番目として、がん患者に対するケアについてお尋ねする。
県立成人病センターは、昭和58年の開設以来、一貫してがん治療に取り組み、県内はもとより、全国にその名をはせているのはご承知のとおりである。私もその取り組みに大きな期待を寄せている県民の一人である。
医療技術が日に日に進歩をする中、県民や患者の期待は直接の医療行為のみならず、医療環境の充実にまでその声が寄せられている。つまり、がんの初診時から終末期に至る全過程における医療が求められている時代となっているわけである。成人病センターの行ったがん患者満足度調査の中に、「体が弱っているので、精神的に気持ちよく入院できる環境づくりをしてほしい」、そしてまた「退院後は不安と焦燥感でいっぱいである」、そういう意見を私は見つけた。この言葉こそが、今後のがん治療のあり方に対する問いかけであると感じている。
そこで、成人病センターにおけるがん患者に対する診断、治療に際し、どのような取り組みがなされているのか。特に終末期のケアに対する取り組みについてお尋ねをする。

○(高田病院局参事)  県立成人病センターは、高度な診断・治療の技術と最新の医療設備を駆使し、県民への効果的かつ効率的ながん医療の提供に努めているところである。がん患者に対する診断・治療は、複数診療科の医師による合同検討会において協議の上、診断を行い、その上で外科治療、放射線治療、化学療法、それらを併用する集学的治療など、最適な治療を行っている。
また、直接の医療行為のみならず、患者の不安や悩みに対するケアということも重要である。がん患者へのインフォームドコンセント・マニュアルを作成して、告知に当たっての留意点や告知後の患者とのかかわり方についての取り決めを行っているほか、入院患者に対しては必要に応じメディカルソーシャルワーカーが病室まで訪問し、患者の不安を和らげる取り組みを行っている。
特に、末期状態のがん患者に対するケアに対しては、平成12年に緩和医療実行委員会を設けている。緩和医療相談室の設置や「がん性疼痛に対するペインコントロール・マニュアル」などの作成に取り組み、これらを活用するとともに、緩和医療勉強会を定期的に開催している。院内職員の緩和医療に対する意識啓発や知識の向上を図り、終末期のケアの充実を図っていくことに日々努力している。

○(岸口実 委員)  この成人病センターの収支を見ていると、県下の11施設の中で一番の優等生であると感じるが、先ほどご説明のあったとおり、緩和医療を望む声は本当に多くあるので、こういう部分についてもさらなる充実をお願いしたと思う。
最後に一言申し上げたい。県立病院に限らず、大病院では待ち時間が長くて診療時間が短い、入院時の食事はおいしくない、医師を含む職員の対応が不親切、そういう声を聞くわけである。これが現場の生の声である。このことから、病院事業もやはりサービス業の一環であるということがよくわかる。生活が豊かになって、価値観が多様化した今日、患者のニーズに的確に対応することが求められるが、その実現には、時間、人材、財源、さまざまな制約があることはよく承知している。医師を初め現場の方々の意識改革なくして、県民の理解は得られないと思う。職員の意識が変われば患者さんにその真心が伝わると思う。
私ごとであるが、父が13年間の闘病の間、幾度となく入退院を繰り返した。そのときに見舞いに行って、病院の医師の先生、そして看護師の皆さんの一言一言に一喜一憂をしたことを思い出す。また、退院するときに笑顔で見送っていただいて、本当にうれしい思いをした。日夜医療現場の第一線でご奮闘、ご努力されておられる皆様方に改めて感謝を申し上げ、引き続き、より開かれた、安心感の持てる県立病院づくりにご精励賜らんことをお願いを申し上げ、私の質問を終わる。

 

 

平成15 平成14年度決算特別委員会 (第612 8日)

 

○(岸口実 委員)  お昼のスタートである。気持ちを入れかえながら、順次質問をする。
まず最初に、地方分権についてである。まず、この地方分権の中でも、国、そして県の役割についてお尋ねする。
住民生活に一番密着した行政機関は市町である。行政サービスの基本的な存在と言えるわけである。市町が介護、年金、医療、教育、環境といったさまざまな日常生活にかかわる、そのすべての窓口となっていることを考えれば、当然のことである。また、国は国民生活に必要な法整備から安全保障、外交に至るまで、国家の進むべき指針を示すことや、新聞、テレビといったマスコミを通じて私たちと接する機会が多く関心が高くなる。そこで、県の役割である。
私は、よく、県は何をしているのかといった質問を受けることがある。また、中二階でわかりにくいといった声も聞くわけである。現在の行政の仕組みからすれば、直接、市民・県民と接する部分が少なく、いたし方のない部分があることは否定できない。県のお客さんは、市町であるという皮肉まで言われる始末である。
国、県、市の予算の流れ、そして広域行政の必要性、警察、河川、学校、病院といった直接県民にかかわる分野の説明をすれば一定の理解が得られる。そういったところに安心感を覚えるわけである。今回、国で進められている地方分権にあわせて、県の役割をもっと明確にし、住民の意識の高いものとなるように改善をしていかなければならないと感じるわけである。
そこで、現在の行政システムの中で、国、県それぞれの果たすべき役割とは何か。また、これからの地方分権に県として何を期待するのか伺いたい。

○(井筒県民政策部長兼政策室長)  改めて申し上げるまでもないかもわからないが、国は国際社会における国家としての存立を初めとして、本来、国が果たすべき役割を重点的に担っていただく。都道府県は、広域にわたるもの、あるいは市町村に関する連絡調整、こういうことが自治法でも規定をされているところである。ただ、今の状況はどうかというと、いろんな仕事に国も県も市町も、それぞれが一定の役割と責任を担う、ある意味で融合型というか、それも他律的というか、国の方で決められたことに従ってということで、県民から、今ご指摘いただいたように、なかなか県の役割が理解しにくい、あるいは責任主体が見えにくくなっていると認識をしている。
地方分権の時代を迎えて、国と地方の関係は、あくまで自己決定・自己責任、こういう原則で地域社会をよりよくしていくということではないかと思っている。生活に密着した内政面は、基本的にも地方に任せていただくということになるのではないか。その中で、都道府県は市町村を含めて地域総合自治機構として、広域的な機能を強く果たしていく必要があり、そのために、県みずからが自発的、内発的というか、ある意味で自律・独立型というか、自律のそういったことをやっていくべきではないか。国に対しては、地方分権の第2ステージということでもあるので、税財源の移譲による財政自主権の確立にあわせて、ブロック単位の国の出先機関、こういった事務については、大を小にするという考え方で都道府県に移譲すべきではないかと考えている。

○(岸口実 委員)  先ほどのご答弁のとおり、国、県のあり方についてはよく理解ができた。続いて、県と市町のあり方についてである。
地方分権に伴う町村合併、大分進んできた。形がようやく見えてきたわけである。その行政機能を県、市町、それぞれが有しているかどうか、これが次の問題となる。県においては、現地解決型県民局制が平成13年度にスタートし、組織・人材の育成に取り組みが続いているところである。県民のニーズの多様化は、今後一層進むものと感じている。それに対し、役所の組織は常に柔軟に改変をしていかなければならないと感じる。行政は、その地方最大の事業所である。そして、また最大のサービス産業である。時代のニーズを的確にとらえることのできる組織づくりに一層のご努力と意識改革に取り組んでいただきたい。
そこで、地方分権後の県、市町の役割、特にその中でも県が市町に対して先導的に果たしていかなければならない役割とは何なのか伺いたい。

○(中塚政策室課長)  都道府県と市町村との役割分担については、まず、住民生活に密着した行政サービスを住民に最も近い基礎的自治体である市町村がこれを担って、都道府県は広域的団体として市町村の活動をバックアップするという補完性の原理が基本となる。市町村合併が進展し、社会が成熟化するにつれて、こうした市町村が担うべき行政ニーズ、質・量ともに多様化、高度化してくると、都道府県による市町村の補完の役割というのがますます重要になってくるものと考えている。
こうしたことから、県としては、あくまでも市町の自主的・主体的な活動を尊重することが前提であるが、例えば環境や防災、産業政策といった広域化、専門化が進むであろうと思われる分野を中心として、技術的助言や情報提供といった専門的な支援、あるいは広域的な観点からの総合調整や連絡調整といった事務に積極的に取り組んでいく必要があると考えている。いわば地域の総合的プロデューサー、あるいはコーディネーターとしての県の役割が今後ますます重要なものとなっていくと考えている。

○(岸口実 委員)  この地方分権が進むと、地方間の格差が随分出てくるものと思う。兵庫県が先進県であり続けるために、一層の皆様方のご努力をお願い申し上げたい。
続いて交通安全対策について質問する。この交通安全対策については、午前の質問で今西委員よりの質問があったが、あえて、またここで重ねて申し上げたい。
まず最初に、交通安全室の役割についてである。社会のモータリゼーション化と高齢化社会の到来に伴う交通弱者の増加により、ますます交通安全対策は重点課題の一つとなっている。明石においても、本年に入って、91歳の高齢者が被害者となったケース、そしてまた介助ボランティアの方が被害者となったケース、まさに近い将来を予見させられる痛ましい死亡事故が続いている。県下の死亡事故件数は減少傾向にあるというものの、平成14年は296名の尊い人命が事故によって失われたことは事実である。その事故によって、特に加害者、被害者、また家族とも一変した生活を余儀なくされるわけである。交通安全対策への期待は非常に大きく、その期待にこたえていかなければならないと考えている。
さて、ご承知のとおり、交通安全対策の総合的推進策として、兵庫県交通安全対策会議、そして委員会が設置されている。この会議と委員会において、実施計画の策定、県民運動の展開、国、市町との連携を図るなどとなっている。本来、交通安全対策を考える上で重要なテーマは、交通体系全般の総合調整である。では、この総合調整をどこの部局が所管をされるのか。兵庫県交通安全対策会議や委員会にゆだねるのではなく、県民政策部として交通安全室として交通安全対策を図られることが重要であると考えるが、その点についてご所見を伺いたい。

○(大鳥県民文化局長)  交通安全対策は、道路や交通安全施設の整備を初め、交通規制、環境改善など多岐にわたっているため、県庁各部や県警察本部、市町等の関係機関が緊密な連携のもとに総合的な取り組みを展開することが必要であると考えている。このため、交通安全室では、知事、国の関係地方機関の長、県の関係部長、教育長、警察本部長等で構成する交通安全対策会議における交通安全計画の策定や県議会議員、関係行政機関・団体の長、住民代表等で構成する交通安全対策委員会における交通安全活動計画・運動要綱の協議を通じて、各関係機関が実施する施策の調整を行うとともに、相互の情報提供の円滑化に努めているところである。
県民政策部としては、こうした総合調整とともに、交通安全県民運動を広く展開して、交通安全思想の普及や徹底を図り、交通事故の抑止を図ることが大きな役割と考えている。交通安全室として、今後とも交通関係機関との連携をさらに深めて、より実効的な交通安全対策の推進に努めたいと考えている。

○(岸口実 委員)  続いて、これからの交通安全対策のあり方について質問する。
交通事故は、運転者側、歩行者側といった交通弱者側に過失があるもの、さまざまな事故によって状況が違うわけである。それぞれが注意喚起、教育、啓発活動を地道に続けることによって事故防止につながってくると思う。また、事故を未然に防ぐための歩道整備、交差点改良、迷惑駐車対策といったインフラ整備も大きな意味があると思う。それに加え、時代の価値観に合った交通安全対策、つまり歩行者の視点に立った施策、そして環境に配慮した交通体系、そういった分野に視点を移すべき時代が来たと感じている。
例えば明石の中心市街地には、主要国道、商店街、港湾施設が多く隣接し、買い物客の人出が多い昼日中を大型トレーラー初めトラック、ダンプカーといった大型車両が走っている。この大型車の通行は歩行者にとって好ましい環境とは言いがたいものがある。交通安全対策は、もっと大きな意味での対策、市街地での交通量を減らす、歩行者の視点に立った、そして環境に配慮した交通安全対策、車の流れを変えていくといったことも検討すべきではないかと感じる。
そこで、歩行者や環境に配慮した交通安全対策のあり方について、どのようなご見解か伺いたい。

○(芝丸交通安全室長)  歩行者の視点や環境に配慮した交通安全対策としては、歩道のバリアフリー化等の整備、あるいは歩車分離、交差点の改良などハード面の整備とあわせて交通量の調整であるとか、騒音・振動・大気汚染等の環境面での対策も重要であると考えている。現在、一つ目として、運転者や歩行者の交通マナーの向上等、交通安全思想の普及、あるいはあんしん歩行エリアの整備等、安全な道路交通環境の整備、三つ目には、道路交通情報通信システムの整備等、交通流の調整、また、公共車両優先システムの整備等、交通総量の抑制など、各種の対策を講じている。
今後とも、歩行者の視点に立った交通安全の環境整備に取り組んでまいりたいと考えているが、大型車両等の市街地での通行問題など、安全と環境に配慮したまちづくりの観点も含めて、交通量や周辺の環境、利用実態等を勘案して、こういった対策がより適切かつ効果的に推進されるよう努めるとともに、また、調整機能等も発揮してまいりたいと思う。

○(岸口実 委員)  最初に申し上げたとおり、県民政策部において、そういった総合調整をしっかりとやっていただきたい、そのことを要望する。
続いて、これも午前中、一部質問があったが、NPOに対する質問をする。
まず、県下におけるNPO法人の事業概要を見てみると、平成15年11月現在455法人、そして、その主たる事務所所在地は、神戸県民局管内が201、阪神南・北県民局管内が141となり、この2地域で75%を占めておるわけである。また、活動分野での説明も先ほどあったが、保健、医療または福祉の増進を図る活動、社会教育の推進を図る活動、まちづくりの推進を図る活動などを内容とする法人が多いわけである。この時代の要請とも言える目的と、その活動内容に対して私も大きな期待を寄せている。
平成10年に特定非営利活動促進法が成立し、5年がたったわけである。当初の目的が達成できているのか否か、法人として適正な運営がなされているのか否か、また人材はいるのか、NPO法人の能力などを検証する時期に来つつあると感じる。ここで、より充実したNPO法人のさらなる発展、飛躍を願いつつ質問する。
平成14年度に県よりNPO法人などに支払われた委託料は9件、1億2,300万円余りとなっている。また、ひょうごボランタリー基金による各種活動助成は約1,000件、3,000万円となっている。これらの費用対効果だけで一概にはかることはできないが、その効果について伺いたい。

○(藤井参画協働課長)  NPO法の制定を機にして、被災県である本県としては、NPOへの法人格の認証だけでなく、ボランタリー活動を広く支援していくため、平成10年9月に県民ボランタリー活動の促進等に関する条例を制定し、情報の提供や学習機会の確保を初めとする各般の施策を展開してきたところである。中でも、地域課題の解決をめざす取り組みとして、被災者の生活復興のほか、雇用、保健・福祉等各般の分野でNPOへの事業委託が年々広がりつつある。これにより、NPO等が有する専門性を生かした県民ニーズにマッチした事業展開が図られるとともに、NPO側にとっても、団体基盤の強化につながるほか、委託事業を通じて得られた人的ネットワーク、あるいは事業ノウハウが蓄積されるなど、法施行5年を経過して、その成果は着実に広がりつつあると認識している。
さらに、ひょうごボランタリー基金や復興基金による各種助成制度の活用を通じて、幅広い分野での活動展開はもとより、行政との協働事業の提案など新たな取り組みも芽生えてきており、今後さらにNPOの企画力、マネジメント能力の向上につながっていくものと期待している。県としては、これらの成果を踏まえつつ、NPOの能力向上とボランタリーセクターのさらなる発展をめざし、積極的な支援を進めてまいりたいと考えている。

○(岸口実 委員)  この成果については、徐々に私も感じられるところである。こういった助成をさらに充実・発展させながら、このNPO活動を私たちも一緒になって支えていきたいと思う。
続いて、ひょうごボランタリープラザについてである。NPO法人やボランティア団体などに対する支援活動の拠点として、平成14年度に、ひょうごボランタリープラザが開設をされている。このプラザの役割について考えてみたいと思う。
平成14年度に設立・認証された法人は135法人、本年度は11月現在で昨年を上回る勢いとなっている。一つの目安をどこに置くかであるが、近い将来、法人の数より質の充実を求める時代が訪れると信じている。所期の目的にそぐわないもの、そして役割を終えたものといった法人の淘汰、そして法人や団体同士のコラボレーションによる法人の効率化、サービスの向上などへと課題が移ってくる。さらに、まさにNPOをつくる時代から使う時代になるわけである。そのためには、利用者や受益者が、まずそれらの団体の中身を知る必要がある。いかにして、その情報発信をしていくか、この情報公開が不可欠になると考えている。また、その情報に対し、県民の目が行き届く仕組みづくりも忘れてはならないと感じる。ひょうごボランタリープラザがその役割を果たすものと理解をしているが、各団体の情報公開の促進、そして、その情報をいかに発信をしていくか、また一方では、情報公開をされた情報の信憑性、これをどこまで担保していくことができるのか、そういった分野における管理・指導といった部分についての県の立場を伺いたい。

○(藤井参画協働課長)  昨年の6月の開設以来、ひょうごボランタリープラザでは、全県的な支援拠点として、一つには交流ネットワーク、二つには情報の提供、三つには人材養成、四つには活動資金支援、五つには調査研究、これら五つの機能を基本とした各種支援を展開している。これらプラザが担う機能のうち、NPO活動に関する情報の提供については、広くNPOが県民の皆さんの理解と信頼を得るためにも、極めて重要な機能であると認識しており、県民の参画と協働の推進に関する条例に基づき、本年5月からインターネットによる地域づくり活動登録、いわゆるコラボネットを運用して、NPOに対しても、これに登録し、より幅広く情報発信していただくよう呼びかけているところである。
そもそも、NPO法においては、NPO活動が本来自由で自発的なものであることを最大限尊重しており、むしろ、NPO自身による活動情報の開示を前提としていることから、情報の信憑性については、その客観的担保は必ずしも容易でないという事情もあることから、ひょうごボランタリープラザで実施している地域活動登録に当たっては、一つには、営利を主たる目的とした行為や宗教的行為でないこと。二つには、公序良俗に反する行為や犯罪行為でないこと。三つには、その他法令に反する行為でないことなどを登録の要件とし、その適合性について審査を行い、でき得る限り情報内容の精査を図りつつ、適切な情報発信に努めているところである。

○(岸口実 委員)  最後に、このNPO法人、ボランティア団体に対する県の管理責任についてお尋ねする。
まず、このNPO法人設立については、必要事項を記載した申請書の提出、そして、その後2ヵ月間、公衆の縦覧を経て認証となる。その後、毎年の事業年度当初に事業報告書の提出等が定められている。まじめに法令を守って活動している法人には、行政からの干渉ができない規定になっている。一方、報告書を3年間提出しなければ認証の取り消しができる。また、法令違反等があれば検査の実施、改善措置を求め、認証の取り消しができることとなっている。
このことを逆に言うなれば、要件を満たし報告書を提出すれば、目的に即した活動が行われていないものや活動実績のない法人も存在し続けるということである。私はここに大きな疑問を感じる。適正に運営されていない法人を把握・監督していくことにより、法人格全体の公信力の向上につながるものと考えている。ひいては、適正に運営をしている法人の保護となるわけである。すべてのNPO法人に、その自己責任を求める趣旨は十分理解をしている。法人に法令違反などが起こってからでは遅く、必ず最後に行政の責任問題に発展する社会風潮があると感じている。県の責任について、どのような見解を持っておられるのか。また、事業委託したが、成果が上がらない場合、事故が起こった場合のリスクヘッジについてどのような見解をお持ちであるか伺いたい。

○(大鳥県民文化局長)  自発的で自律的なボランタリー活動の発展をめざしているNPO法は、行政の関与を必要最小限にとどめており、比較的簡便な方法で法人格の取得ができるように規定されているところである。このようなことから、法を的確に運用し、所轄庁として、NPO法人全体の信頼性の確保に努めていくべきだと強く認識している。このため、法に基づく設立申請や事業報告の的確な審査はもとより、活動状況に関する県民や警察本部などからの広範な情報収集を通じて、悪質な法人については、報告徴収や改善命令など、法に定める手続により、指導・監督に万全を期してまいりたいと考えている。一方、NPO法人等への事業の委託に当たっては、事業遂行能力を見きわめるとともに、委託事業の展開状況についての把握を行い、最大限の効果を得るよう助言に努めているところである。
今後は、NPO法人等への事業委託のあり方をさらに総合的に検討していく中で、NPO評価の仕組みづくりについても研究し、NPO法人を初めとするボランタリーセクターのさらなる発展をめざしてまいりたいと考えている。

○(岸口実 委員)  朝の質問の中にもあったように、このNPOに関する事件、事故も多数報告されている。また、法が施行されて5年ということもある。ようやくスタートしたところであるので、悪貨は良貨を駆逐するじゃないが、そういった適正運営に努めていただきたいと思う。
以上をもって質問を終わる。

 

平成15 平成14年度決算特別委員会 (第91211日)

 

○(岸口実 委員)  私からは7点、総論、そして各論、また要望も踏まえながら質問をさせていただく。
まず、第1に、公共事業についてである。この公共事業の中でも県内企業の育成についてお尋ねをさせていただく。
私たちの今の日本の経済、そして兵庫県を取り巻く経済の環境は、本当に厳しい状態が続いていることはもうご承知のとおりである。また、建設業というのは不況業種であるし、また、バブル期にたくさんの投資を繰り返したり、また債務をたくさん抱えており、デフレというものの影響を一番に受けた業種ではないかと思う。そういった意味で、昨年度経営破綻をした建設会社が全国で5,893社、県内においても302社が破綻をしている。建設業の場合は、すそ野が広くその破綻の影響というものは、大変大きな影響があるわけである。また、地元の建設業者の方々に話を聞いてみると、合い言葉のように仕事がないということをおっしゃる。
このような状況の中で、県下の企業の育成の観点から受注をふやすための努力、事業を細分化されておられるということであるが、より細分化を進めるという考え方のもとに、まず、そのメリットとデメリットについてお尋ねをしたいと思う。

○(西村県土企画局長)  工事の発注に当たっては、県内企業優先を基本に、事業の効率的な執行、コスト縮減の要請の範囲内で原則として工種ごとに分離するとともに、工事内容や地域性を考慮した上で、分割して発注することとしている。
分離、分割発注のメリットとしては、地元の中小建設業者の受注機会の確保が可能となるとともに、経営基盤等の向上のほか、地元労働者の雇用機会の確保が図れるといったことが言える。
また、デメリットであるが、一括発注した場合に比べ、直接工事に係る費用以外に、例えば、交通誘導員の費用、また、本社を維持する費用などがそれぞれの工事ついて必要となるため、設計、積算上の工事費の増加を招くこと、また、各発注工事ごとに設計、施工管理などの行政コストが必要となるといったようなことが考えられる。
今後とも、県内企業の育成の観点から、できるだけ分離、分割発注を行い、極力県内企業への発注を行ってまいりたいというふうに考えている。

○(岸口実 委員)  メリット、デメリット、大変よく理解できた。
また、デメリットがあるということであるが、このような経済状況のもとであるので、政策的な事業の投資というものを積極的にお願いをしたいと思う。また特に生活に関連する分野、また環境に関連する分野、そういった点については重点的に発注をお願いしたいと思う。よろしくお願いしたい。
次に、事業期間の短縮についてお尋ねをする。
民間と官業・公との違いの一つに、私は時間の感覚の違いというものがあるように感ずる。民間企業者においては、時間に対するコスト意識というものが非常に高いように私は感じるわけである。公共事業の執行に際してスピードアップをする、そういったことで経費の効率化が図られるわけであるが、地元対策、用地買収、そういった難しい問題がたくさんあると思う。
そういったことからも、十分理解はしているが、例えば、都市計画事業であれば、計画決定から事業着手、完了、その間に相当な時間を要している事業が少なくないと感じる。事業完了まで10年や20年といった長期間を要する場合、所期の目的が達成できなくなることも考えられる。そういった観点から事業の見直しを含めて検討することが必要になるのではないかと私は感じている。特に、計画決定から事業着手まで、この間の時間が大変かかる、そういった事業も大変多いように感じておるわけである。
構想・計画から事業完了まで、事業期間の短縮に係る認識とその取り組みについてお尋ねをさせていただく。

○(石岡県土企画局課長)  委員ご指摘のとおり、事業期間の短縮によって事業効果を早く発揮させることは重要であると考えている。
そのため、長期間を要している継続事業については、社会経済情勢の変化も踏まえ、例えば、都市計画道路などにおいても必要に応じ計画の見直しなども行うこととしている。また、事業費の重点配分による早期完了や部分的に完成した区間の暫定供用等にも努めることとしている。
新規事業については、地元対策や用地買収等における課題を事前に解決するため、県道香住村岡線などにおいて早い段階からの合意形成手法を導入し、着手後の事業期間の短縮を図ってまいりたい。さらに、県道竜野西インター線などの主要な事業については、事業期間を厳守するために、完了時期宣言を行い、目標を明確にして取り組んでいく。
今後とも、事業効果を早く発揮させる観点から公共事業の各段階を点検し、事業期間の短縮に努めてまいりたいと思っている。

○(岸口実 委員)  先ほどのご答弁の中に、見直しを行うというお話もあったが、事業着手の見込みのないもの、そしてまた必要の目的がなくなったもの、こういったものはやめるぐらいの気持ちを持っていただきたいと思う。また、一概に言えないということは重々わかったが、時間に対するコスト意識というものはしっかりとお持ちをいただきたいと思う。
それでは次に、交通対策についてご質問をさせていただく。
歩道の設置についてである。
ことし、県道明石高砂線で介助ボランティアの方が死亡される事故があった。この事故を検証する中で歩道が未整備である、そういったことがクローズアップをされたわけである。
県の管理道路における歩道未整備区間は一体どれくらいあるのか。また、昨年度、交通安全施設整備事業における整備実績、早期整備に向けた今後の対応方針をお尋ねしたいと思う。これは一概に言えないことは想像しているが、一つの目安としてお答えをいただければありがたく感ずる。

○(竹谷道路保全課長)  県管理道路は国道、県道合わせて約4,800キロメートルであるが、そのうち歩道整備の長期目標は延べ延長として約3,380キロメートルとしており、道路改築事業、街路事業、交通安全施設等整備事業で取り組んでいる。年間平均約55キロメートルを整備しているところである。その結果、平成14年度末時点では、歩道設置延べ延長は約2,200キロメートルである。その整備率は約65%、未整備区間は約1,180キロメートルとなっている。
また、平成14年度の交通安全施設等整備事業による歩道設置の実績では、歩道の新設約20キロメートルに対し約63億円の事業費を要している。残る歩道をすべて整備するには長期間を要することから、事故が多発している区間、通学路などにおける箇所で重点的に取り組み、当面平成19年度末までに約300キロメートルの整備を行い、74%の整備率とすることを目標としている。
県道明石高砂線においても6ヵ所で歩道の新設や拡幅を行うとともに、今後東播磨県民局が中心となって策定する交通安全対策アクションプログラムに基づき、ハード・ソフトの両面から交通安全対策の充実と推進に努めることとしている。
今後とも、歩行者や自転車利用者の安全の確保に向け、歩道整備の促進に努めることとしている。

○(岸口実 委員)  歩道の設置を特にご要望申し上げておく。また、こういった不幸な事故が起きたりすると関心が非常に高くなる。こういった関心の高いうちに歩道を設置するということが行政への信頼感であり、また住民の安心感につながってくると思う。関心がなくなったころにやっても、余り住民に対する効果というか、同じことをやっても効果が薄れるわけであるから、鉄は熱いうちにどうぞ打っていただきたいと思う。よろしくお願い申し上げる。
次に、有料道路の無料化について質問をさせていただく。
先ごろの衆議院選挙でマニフェストという言葉が出てきた。一定の市民権を得たように私は感じる。民主党はこのマニフェストの中で、「3年以内に高速道路の原則無料化」これを公約としたわけである。皆さんご承知のとおりである。
このことについてどうこう申し上げるつもりはないが、県内においては、姫路バイパス、竜野太子バイパス、この無料化がなされたわけである。その理由をお尋ねすると、償還期限が終わったということであった。私は県民生活部でも申し上げたが、交通体系のあり方から考えた有料道路の無料化というものをどんどん推し進めてまいりたいと考えているわけである。
例えば、明石において、明石市内の市街地、国道2号線、250号線、そして先ほど申し上げた県道明石高砂線、こういった道路が東西に抜けておるわけである。買い物客などが多く出る昼日中、この道路を大型の車がよく通過をする。こういった環境は住民にとって本当に好ましいとは言いがたく、交通対策として市街地における交通総量の削減、振動、騒音、そういった環境対策に積極的に取り組む必要があると私は考えている。
そこで、この第二神明を無料化すること、このことによって市街地を通行する車両、特に大型車両の通行量が削減できると考えている。市街地における渋滞緩和、ひいては住環境の回復、そして向上に資するなどその効果ははかり知れないと私は感じるわけであるが、この点についてご所見をお尋ねする。

○(安田高速道路室長)  第二神明道路は、現在、交通量が1日に10万台を超えており、須磨料金所や明石西料金所では、ほぼ毎日渋滞が発生するなど、飽和状態になっている。
この道路は日本道路公団が管理しているが、山陽自動車道など全国プール制の「高速自動車国道」とは別に、その道路単独で採算性を確保する「一般有料道路」であり、建設費などの償還が終われば無料開放されることとなっている。
有料道路が無料開放されると、一般道路から交通の転換が図られ、市街地の渋滞解消等が期待できると考えられるが、第二神明道路は平成14年度末で約550億円の債務が残っていることから、早期の無料化については困難ではないかと考えているが、なお、公団民営化が現在議論されており、今のところ不透明ではあるが、その中で、このような「一般有料道路」の取り扱いについても検討されることとなっている。
県としては、明石市街地の一般道路の交通を転換させるには、第二神明道路の渋滞を解消することが必要と考えており、神戸西バイパスの整備を促進するよう国に働きかけるほか、中期的な課題として、大阪湾岸道路西伸部などの整備促進にも努めてまいりたい。

○(岸口実 委員)  住環境に対する意識というのは、大変変わってきたと私感じている。無料化については先ほどいろんな障害があるということはよくわかったが、できないではなくて、早期に無料化するためにはどうしたらいいかという検討を、ぜひお願いを申し上げたいと思う。
続いて、住宅融資についてである。
県民住宅ローン貸付金、そしてひょうご県民住宅復興ローン貸付金、この二つが住宅融資の中で私、目がとまった。この平成14年度の融資実績を見てみると、まず県民住宅ローン貸付金は目標額が300件、22億5,000万円、それに対して実績が4件、2,490万円、続いてひょうご県民住宅復興ローン貸付金は目標額が50件、3億7,125万円、実績は10件の7,280万円と非常に利用が低調であった。これは理由はさまざまあるのだろうが、民間の金融機関が整備をされたり、また需要がなくなった、そういうことなのかなと私自身は感じている。
しかし、これらの制度自身がこれまでに本当に一定の役割を担ってきたことは重々承知をしている。これからの経済情勢の変化を踏まえて、例えばこういった制度は一本化するとか、融資対象を広げていくとか、そういった現状に即した対応が必要ではないかと感じる。これらの制度の現状認識と今後の取り組みについてお尋ねをさせていただく。

○(山下民間住宅室長)  ひょうご県民住宅復興ローンについては、利用実績が大幅に減少しているものの、平成14年度末で4,777件の融資実績があり、被災者の住宅再建に大きく寄与したものと考えているが、まだ再建途上の被災者がいることから、今後も一定の需要があるものと考えられ、平成17年度末まで融資申し込みを受け付けることとしている。
県民住宅ローンにつていは、平成12年度から、持ち家取得の促進を目的とした一般融資を廃止し、耐震化等の県がめざす先導的住宅づくりを誘導する施策に重点化したこともあり、利用実績は低調に推移しているものの、県の住宅施策を展開するための重要な方策の一つであると考えている。
現状では、このように評価しているところであるが、融資種別等については、住宅施策の展開や県民ニーズ等に応じて、その拡大も含めて絶えず見直していくこととしている。
今後とも、安全で安心な住宅づくりを進めていくため、市町、住宅金融公庫、民間金融機関、関係団体等と連携し、県民へのPR等による一層の利用促進を図り、引き続き住宅の質的な向上に向けその誘導に取り組んでまいりたい。

○(岸口実 委員)  実は、ここで申し上げたかったのは、この二つだけをとらえて質問させていただいたが、ほかにまだまだこういった同じようなケースがあるのではないかと思う。まず、ニーズを大切にして、借りたい人がどこにいるのか、それに合った制度というものをつくるべきであるし、また、先ほどお話のあったとおり、貸し付けの目的が少しずつ変わってきたということであるが、しかしやっぱり民間で十分そういった制度があるものについては、県がやる必要が本当にどこまであるのか、そういった思いがする。そういった意味を含めてご検討をお願いをしたいと思う。
続いて、既存大規模開発団地の再生についてである。再生に向けた取り組みについて質問させていただく。
明舞団地、昭和39年から入居を開始したと聞いている。実はこの39年は私の生まれた年でもあって、大変老朽化がしていると言われて、少しショックを受けている。それと同時に、住民の高齢化が進行する一方で、建設された当時に比べて区分所有法の改正、マンション建て替え円滑法の施行など建てかえに関する住環境整備が進んでいるというふうに理解をしている。
また、平成14年度、団地再生フォーラムの開催、明舞まちづくりワークショップの開催、そういった事業を通じながら普及啓発、意識の醸成が図られている。なお、この明舞団地の再生の成否というものは、県内のみならず県外においても団地再生のかぎを握ると考えている。
明舞団地の再生実現に向けて、現在どのような問題点を把握しておられるのか、また今後、いかに取り組むのか、お尋ねをさせていただく。

○(陰山県土整備部長)  明舞団地は入居開始から約40年が経過する中、住民の高齢化や人口減少等により、コミュニティ機能・商業機能等が衰退し、住宅地としての活力が失われつつあるのではないかと考えられる状況にある。また、老朽化している住宅や商業施設は、新しい居住者ニーズやライフスタイルの多様化に対応できておらず、例えば、バリアフリー化の不備、生活サービス機能の不足等が問題となっている状況にある。
このために、県においては、明舞団地全体の再生を住民の参画と協働のもとに、県、市、公社、公団等が一体となって効果的・効率的に進めるため、今年度に明舞団地再生マスタープランを策定することとしている。
さらに、国において、この明舞団地が千里ニュータウン等とともに、ニュータウン再活性化のモデル地区として選定された。今後、国とも緊密な連携を図りながら、公共賃貸住宅、地区センター等の再生に着手するとともに、分譲マンションの適正管理・建てかえに向けて専門家派遣を行うなど、全国の既存団地再生の先導的モデルとなり得るよう取り組んでいきたいと考えている。

○(岸口実 委員)  ぜひ県が中心となって先導的な役割を果たしていけるようにお願いを申し上げる。
これに関連して、こういった団地の開発に関するセキリュティー対策についてお尋ねをさせていただく。
平成13年に実施をされた既存団地再生の方策検討調査において、既存団地の課題を浮き彫りにし、これらの対策として、「参画と協働」「ミクストコミュニティ」「物的・人的資源の発掘と育成」そういったことが基本的な考え方としてうたわれているわけである。しかし、私はここで、セキュリティーに関する視点が大きく欠落をしているような気がする。天災、そしてまた年々増加している犯罪、こういったものから生命・財産を守っていく、最小限に食いとめていく、これは時代の要請であると感じる。
県内外の大規模ニュータウンの再生モデルとなるべき明舞団地の再生の取り組みにおいてハード面、ソフト面、そういったセキュリティー対策をどのように認識をし、今後どう取り組んでいかれるのか、ご所見をお尋ねする。

○(高田住宅宅地課長)  明舞団地再生におけるセキュリティー対策については、阪神・淡路大震災の教訓や近年の犯罪件数の増加状況、そういったものから極めて重要な課題であると認識している。また、今年度に実施した団地住民による明舞まちづくりワークショップ、ここにおいても、その必要性が求められているところである。
このため、今年度の明舞団地再生マスタープランの策定に際しては、まず、公共賃貸住宅の建てかえ・大規模改修において、耐震性・防犯性の向上、それから避難路・避難地の確保等のハード面の整備を検討していく。また、それに加えて住民主体のまちづくりの一環として、住民組織である明舞まちづくり推進協議会などとの連携を通じ、団地住民自身による防災・防犯の取り組みを促進するなどのソフト面の施策についても考えているところである。
以上の観点を踏まえて、「安全・安心」を大きなテーマの一つとして位置づけ、明舞団地再生マスタープランを策定することとしている。

○(岸口実 委員)  このセキリュティー対策については、特にご要望申し上げたいと思う。
私たちのような若い世代というか、元気な世代、これは自己防衛というものがおおむねできると思う。また危機意識も十分に持っておると思うけれども、子供さんたち、そしてまた高齢者の方々というのは自己防衛というのは非常に難しく感じる。そういった面ではハード面の整備、できるだけ最小に食いとめるという努力を最初からしておくという、このことをご要望申し上げたいと思うわけである。

 

平成15 平成14年度決算特別委員会 (第111215日)

 

○(岸口実 委員)  先週の新聞に刑法の見直しという議論が出ていた。また、青少年育成施策大綱に対応して、少年の凶悪犯の捜査状況の公開の方針が決まったというふうに聞いている。こういったことが犯罪の抑止、2次的な犯罪の防止、検挙率の向上、そういったところに私は期待をしているところである。
それでは質問に移る。
まず、少年犯罪についてであるが、少子化に伴い、少年、子供というのは本当に貴重な社会の宝である。そういった少年たちが犯罪に染まるということは、大人の責任であり、また社会の責任であると思う。大変こういったことは残念に思うわけである。平成14年中、県の刑法犯認知件数16万4,445件に対しての窃盗犯13万2,790件、これが最も多くなっている。そして、全刑法犯の検挙人員1万8,598人に対し、少年が8,879名となっている。この8,879名のうち、少年の窃盗犯、5,118名ある。この数字を見ると、本当にこの少年犯罪の驚くべき実態というものが読み取れるわけである。
そこでまず、窃盗を含めた少年犯罪の取り締まり状況について伺いたい。

○(大島生活安全部長)  本年10月末現在における全刑法犯検挙人員は1万4,784人であるが、このうち少年は45.1%、6,661人で、この少年のうち、56.5%、人数にして3,762人が窃盗犯という状況にある。
なお、この少年の窃盗犯の主なものは、万引きが1,823人、約半分の48.5%で最も多く、次いでオートバイ盗の672人で、これが17.9%、その次に、自転車盗が549人で14.6%となっており、この三つの手口で、少年による窃盗犯全体の81%という状況にある。

○(岸口実 委員)  本当に驚くべき実態である。とにかく検挙していただくことを願う。
続いて、少年の再犯防止策についてであるが、万引き、オートバイ、そういった盗難が主なものだという話であるが、たった一度の過ち、だれにでもあることかもしれない。しかし、犯罪を犯すか犯さないか、それは紙一重であると私は思う。犯罪を決して美化するものではない、少年たちを犯罪から守り、未然に防ぐということが当然重要になってくるわけである。そういった中で、最も不幸なのは再犯である。この過去5年間における県下の刑法犯少年の総数は平成12年まで減少し、14年にかけて増加をしている。再非行率が平成10年20%だったものが、年を追うごとに平成11年22.6%、平成12年25.2%、平成13年25.4%、そして14年は27.1%、実数にすると2,402名というふうに確認をしている。
所管は違うけれども、再非行の防止には、量刑の厳罰化、矯正方法の見直し、さまざまな意見があるとは思うが、ここで申し上げたいのは、県警としてこの再犯防止、どのような対策を講じているのか伺いたい。

○(大島生活安全部長)  先ほど話にあったように、県下の少年非行は、刑法犯少年が、平成13年、平成14年と2年連続で増加していたが、本年10月末現在では、昨年同期に比べ484人、パーセンテージで6.8%減少している。
この刑法犯少年の再非行率は年々高くなっており、本年10月末現在28.6%と、昨年同期よりも1.4ポイント高くなっている。
したがって、検挙・補導した少年については、被害者の痛みや罪の重さをしっかりと認識させ、心からの反省を促して立ち直らせることが重要であることから、事件処理を通じて少年の立ち直りに努めている。
また、少年サポートセンターを中核とした継続補導を通じての少年や家庭に対する指導・助言、学校の教師、少年警察協助員等ボランティアとの連携などにより、少年の再非行防止に努めている。
今後とも、少年犯罪の検挙・補導活動を強化することはもとより、関係機関・団体及び地域住民の方々に積極的に働きかけ、地域社会と一体となった非行防止対策に努めてまいる所存である。

○(岸口実 委員)  なるべく早い時期に更生をさせるというのも警察の役割であると考える。たった1回で立ち直れるようにご努力をお願いしたい。
続いて、検挙率について、平成14年中の他の都道府県との刑法犯の検挙率を比較をすると、兵庫県が14.5%、東京都25.2%、愛知県24.8%、神奈川、京都、これは19%台である。そして、お隣、大阪が13%となっている。このことを逆に言えば、100人中85人、おとがめなしということになってしまう。このことが犯罪を助長する一因であるとも私は感じている。
また、県内の凶悪犯の認知件数494件に対して255件の検挙、検挙率は51.6%、ここでも2人に1人がおとがめないということになってしまっている。
さまざまな項目からの検証というものが必要であると考えるが、私はここで一つのテーマに絞って質問をさせていただきたい。
ひき逃げ事件についてである。そのひき逃げ事件の検挙率は兵庫県12.6、東京都15.9、神奈川県16.7、この辺は大体似たような数字だが、京都府41.9、大阪府33.3、福岡県36.7、京都は兵庫県の3.3倍、そして大阪は2.6倍の検挙率がある。そして、兵庫県が主要都道府県中最も低い数字となっている。逃げ得を許さない、また検挙率は100%をめざすというのは当然であるが、この差の要因について伺いたい。

○(村尾交通部長)  ひき逃げ事件の検挙率の本県の低迷の主な要因の一つとしては、平成13年と14年の1年間の発生件数を見ると、主要府県では、ほぼ横ばいであるが、本県においては、平成13年の発生が661件から平成14年1,332件と発生が2倍強となっており、結果として検挙率の低下を招いている。
一方、検挙件数を見ると、平成14年中は168件で、13年と比較すると43件のプラスと、そういった一定の成果を見ている。
ひき逃げ事件は、深夜とか早朝の発生が多く、また飲酒による運転の罰則強化、そういったことによる逃走という事犯が増加傾向にある。引き続き、運転者の交通モラルの向上を図り、あわせて交通事件捜査部門の体制を強化し、鑑識活動の強化を初め、科学捜査を徹底させ、検挙率の向上を図り、県民の安全と安心確保に努めてまいりたいと考えている。

○(岸口実 委員)  事情はよくわかるが、検挙率の向上がひき逃げの抑止になると私は考えている。ぜひこの検挙率の向上、100%達成をしていただきたいと思う。
続いて、インターネットに関する犯罪について、日常生活においてIT革命、大変私たちの身の回りの生活を大きく助けてくれている。反面、犯罪の手口となるケースもやっぱり出てくるわけである。例えば、この携帯電話、携帯電話が普及するにしたがって、やはり犯罪の道具として使われることが多くなってきた。同じように、このインターネットについても、同じ結果を招いてくるのではないかと私は考える。
これまでのインターネットに関する犯罪、詐欺、わいせつ物頒布、児童買春、児童ポルノ、著作権、そういった違反が主である。
犯罪によしあしというものはないが、これら自体、凶悪犯でないように思えるわけである。しかし、この思えるということ自体が犯罪に対する意識の薄れであり、麻痺、ここに犯罪の怖さがあると私は思う。
また一方で、銃刀、麻薬の売買、そういったものに利用されるケースがあると聞く。この銃や麻薬取引の場合は、そこから直接凶悪犯罪が生まれてくる。
以上のことから、このインターネットに関する犯罪、大きなテーマの一つと私は感じている。このインターネット犯罪、ますますふえると感じるが、それに対するご所見を伺いたい。

○(大島生活安全部長)  インターネットやブロードバンド環境の普及に伴い、日常生活が非常に便利になった反面、委員指摘のとおり、インターネットオークションを悪用した詐欺や覚せい剤、けん銃等の密売、他人のID、パスワードを使用した不正アクセスなどの犯罪が発生している。
このハイテク犯罪は、匿名性が高く、広域性があり、犯罪の痕跡が残りにくいなどの特性を有しているため、今後もインターネット利用者の増加とともに、この種犯罪がふえていくと考えている。
このようなハイテク犯罪に対応するため、県民からの被害相談への対応や違法・有害情報の発見を目的としたサイバーパトロールなどによる取り締まりを強化するとともに、利用者個人の情報セキュリティに関する基礎知識の向上を図るため、講習会や県警ホームページによる情報提供などの広報啓発活動をより積極的に推進していきたいと考えている。

○(岸口実 委員)  先ほど言われたように、匿名性が高いとか、いろんな意味でやりにくい部分がたくさんあると思うが、これからの犯罪なので、とにかく力を注いでいただきたい。
続いて、セキュリティー対策について質問をする。
社会、いろんな時代によって私たちの価値観というものは分かれてくる。また、これからの時代、地域の安全・安心なまちづくり、そういった意味ではセキュリティー対策、大変重要な項目になると思う。私は県土整備部に対しても同じような質問をしたが、これからのまちづくり、セキュリティー対策、必ず必要になってくる。これまでさまざまな事件を処理する中で、いろんな情報を持っていると思う。犯罪に強い街とは一体何なのかということをよく熟知していると思う。例えば防犯カメラの設置、そして街灯の設置、そういった設置による効果、空き巣被害を防ぐ家のつくりなど、構造上、犯罪が起きやすい、そしてまた犯罪からねらわれやすい、そういったさまざまなノウハウというものの蓄積があったと思う。わかっているところは改善をし、そしてまた指導していかなければならないと考える。
そこで、再開発、新規のニュータウン開発、団地の再生、そういった新しいものをつくっていくまちづくりに対して、計画の段階から安全なまちづくりに対する助言、指導というものをどんどん私は行っていくべきだと考えるが、住民の危機意識、啓発を含め、ご所見をお伺いする。

○(大島生活安全部長)  委員指摘のとおり、県民生活の基盤である安全を確保するためには、犯罪を発生させない、犯罪被害に遭わないための、官民一体となった地域ぐるみの防犯対策が極めて重要であると、このように認識している。
犯罪に強いまちづくりは、警察の行う防犯対策に加えて、自治体はもとより、地域住民、事業所等と問題意識を共有し、共通認識のもとに取り組んでいくことが不可欠である。
警察庁においても、平成12年2月、「安全・安心まちづくり推進要綱」を策定して、住宅並びに道路、公園、駐車・駐輪場等の防犯基準が示されているが、警察では、知事部局を初め、市町、関係団体に対して、これら住宅等の構造・設備の整備改善、防犯灯の増設や防犯カメラの普及など、防犯環境設計に向けた働きかけをしているところである。
今後とも、各種広報媒体を活用した犯罪情報のタイムリーな提供により、住民の自主防犯意識の高揚を図るとともに、住民、自治体、事業所等と一体となったハード、ソフト両面の防犯対策を推進していく所存である。

○(岸口実 委員)  起こってからでは遅いので、とにかく指導のほどよろしく願いたい。
次に、雑踏警備について質問をする。
昨年、日韓共催によるワールドカップが開催された。日本と韓国での警備体制、私の目からは大変違ったものに見えた。自主警備を基本とする日本、そして軍隊まで投入する韓国、幸いにして大きな事件、事故、そういったものはなかったが、もし何かあったならばと、想像をしてしまうわけである。
私たちの、今、身の回りで危機管理にすぐれているのは、やはり日ごろから訓練を積んでおられる警察、そして消防、自衛隊、そういった団体であると思う。私は、阪神・淡路大震災のとき、警察、消防、自衛隊、そういう組織の規律、装備のすばらしさというものを改めて痛感をいたしたわけである。
個人的にはこういった組織以外に大事件、大事故に瞬時に対応できるものはないと感じている。
日本では、イベントなどの雑踏警備は主催者による自主警備が基本とされている。現実に、自主警備とは、主催者の有志、そしてボランティア、警備会社、そういった方々がその任に当たられるわけである。しかし、それだけではノウハウ、人材、機材、そういった部分に私は限界を感じるわけである。
雑踏警備は、明石の歩道橋事故により大きな関心の一つとなっている。今後の雑踏警備のあり方に大きく注目をしている。どのような取り組みをされるのか伺いたい。

○(静間地域部長)  雑踏事故の防止対策については、イベント等を開催することにより雑踏の原因を生じさせる主催者が、行事に参加される方に対する安全対策を講じることを前提に実施されるべきものと考えている。
警察としては、県民の生命、身体等を保護するという観点から、主催者が作成する雑踏警備計画について指導・助言を行うとともに、主催者側では措置できない犯罪の予防検挙、交通規制、その他事件事故防止上必要な措置を重点に対策を講じているところである。
また、必要に応じ、私ども県警で作成した安全マニュアル「雑踏警備の手引き」を配布、活用し、さらには委嘱している学識経験者である雑踏警備アドバイザーのご意見を聞くなどして、雑踏事故の未然防止を図り、安全で楽しい行事ができるように努めている。
今後とも、警察としては主催者と連携して、安全の確保を最優先に雑踏事故防止に努めていくこととしている。

○(岸口実 委員)  雑踏警備、先ほど言われたように、楽しいお祭りなどに参加をされる方々の安全を守る、未然に防ぐというのもあるけれども、起こった際に、どんな対応をするのか、そこも一番大事なところであると思う。そういった部分についてもっと積極的に責任を持っていただいて、警察で取り組んでいただきたいと思う。
続いて、意識改革について伺いたい。
先般、私どもの会派で、北海道警察本部の視察をした。
佐々木道警本部総務部長、当時、札幌方面中央署長であり、そのときの話を中心に意見交換をした。
ここでの取り組みは割れ窓理論の実践がなされ、随分苦労もあったが、犯罪が減少したとの事例の紹介を受けた。
その取り組みは、違法駐車の取り締まりに置かれていたわけであるが、その効果が暴行、窃盗、車上ねらい、置き引き、ひったくり、自販機荒らし、この六つの罪種が2年連続で減少したというふうに言われている。
住民も、警察の取り組みに大きく賛同し、よい意味で期待を裏切ったわけである。
私は、ここで思うのは、一番重要なのは、割れ窓理論、こういった中身ではなく、やはり署長のやる気であったと私は感じた。どんなにすばらしい理論であっても、現場のトップのやる気一つで大きく成果が左右される。住民に伝わる警察行政であるために、さらなる意識改革が当然必要になってくるわけである。特に、署長のやる気、意識改革というものについてどのように取り組まれるのか伺いたい。

○(巽 警察本部長)  県警察においては、基本理念として「県民の安全を守る警察」また、活動指針として「初動は警察の命」というものを掲げ、いざというときに頼りになる警察をめざし、各種職務執行、教養訓練等に取り組んでいるところである。
特に組織を統率する指導者である警察署長の果たす役割が、組織が力を発揮する上で重要であることから、12月5日に開催された県下警察署長会議の席においても、各署長が管内治安の最高責任者として、管内情勢を十分に把握し、強力なリーダーシップを発揮し、適時適切な施策を講ずることにより、街頭犯罪・侵入犯罪の抑止など、警察に課せられた課題を解決し、県民に安全な暮らしを確保するよう私から特に指示したところである。
今後とも、本部及び警察署の連携を一層密にし、また全職員が一丸となって県民の安全・安心を守っていきたいと考えているので、よろしくご理解、ご支援をお願いする。

○(岸口実 委員)  予定をしていた質問が終わったが、若干時間があるので、一つお話しをさせていただきたい。
先般、衆議院選挙が行われた。この衆議院選挙において、治安の悪化というのは選挙にまで影響を与えたという話であるが、大体選挙になると、夜、個人演説会を行う。大体出席される方々というのは、やはり高齢者の方々が多いわけで、治安の悪化というのは、高齢者にとって夜出にくい環境をつくるわけである。そうすると、主催者、また参加者ともにこの会場への行き帰り、事故があったらどうしようか、事件に巻き込まれたらどうしようか、そんなことを思いながらやっておったと、これが今回の衆議院選挙で初めて感じたことであった。
また、全く話は変わるが、明石署でフロントラインパトロール隊が導入されて、本当に体感治安は徐々によくなってきたということを感じている。明石署でお話を伺うと、隊員の方々が家族を犠牲にして、また自分たち自己を本当に犠牲にして職務を遂行しておられるということがよく理解できた。犯罪の防止、検挙率の向上はもとより、こういった警察官の職場環境の改善、そういった意味でも、この警察官の増員というものは不可欠であると考える。先ほど、北川委員の指摘もあった。これは県単独ではできない、国での話ということもあったが、定数に関しては知事が要望すれば、人員の増員は認められるという法律もあるようなので、こういったことにも一層、私ども取り組んでいきたいと考えている。今後の治安回復・維持のためにより一層のご尽力を願いつつ質問を終わる。

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