皆さん、おはようございます。
 昨今勝ち組、負け組、さまざまな視点から議論があります。また、結果の平等、機会の平等についても同様であります。結果の平等については、それぞれの立場から議論が分かれるところであります。機会の平等を保障するということについては、異論が少ないと思います。機会の平等と昨今の日ごろの不満、そして、不公平感の解消に向けて以下質問に入りたいと思います。

高齢者マンパワーの社会への還元について

 まず第1に、高齢者マンパワーの社会への還元についてであります。
 高齢社会の到来と言われて久しくなります。県内の総人口は、2010年の約562万人をピークとして、2050年には約455万人にまで減ると見込まれており、一方で、65歳以上の人口は、現在の108万人から、2050年には約166万人に増加すると推計されております。また、現在の65歳以上の人口約108万人のうち、約18万人については介護保険制度の支援を受けておられますが、8割を超える約90万人の方々については元気な高齢者であると言われており、介護予防の取り組みが進められておるところでございます。こうした高齢者が生きがいややりがいを持って日常生活を送ることが介護予防に大きく役立つことになります。こうした意味合いを含め、この元気な高齢者の力を行政の及ばない分野でおかりすることができないかと感じるものであります。
 ご承知のとおり、財政難や小さな政府をめざす観点から、国、県、市はさまざまな行政サービスを廃止、縮小し、また民間に移譲する傾向にあります。その中で、子育て支援、介護支援など福祉分野や地域安全対策を初め、一層の充実が求められてもかなわないという分野もたくさんあります。マンパワーにあふれる高齢者が、このような分野で活躍できる仕組みをつくっていかなければなりません。近年、核家族化が進み、多世代間の交流機会が失われつつありますが、高齢者と子供たちが接する機会がふえれば、子供たちの豊かな情操教育にもつながります。
 元気な高齢者が、学習や仲間づくりを通じてみずからの生きがいを高める場として、本県東播磨には高齢者大学いなみ野学園があります。ここでは、毎年約600名を超える方々が競争率2倍の狭き門をくぐり入学をされます。また、これまで卒業された方々は1万6,500人を数えます。数字だけを見れば、競争率や卒業生の数は伝統校に引けをとりません。それだけに、いなみ野学園に対する期待は大きく、より多くの県民が受講できるようさらなる充実が求められるところであります。折しも来年度は、大学院の設置が予算案に盛り込まれております。この大学院のカリキュラム作成等に際しては、これまでのいなみ野学園卒業生の実態を踏まえ、生涯学習にとどまらず、より社会への還元をめざしたものとなるように努めていただきたいと思うものであります。
 そこで、この大学院や高齢者大学卒業生の知識、技能を社会に還元させる仕組みについてご所見をお尋ねをいたします。

中小企業における子育て支援の充実強化の促進について

 2点目についてであります。中小企業における子育て支援の充実強化の促進についてであります。
 2005年版の国民生活白書では、理想とする子供の数は2.56人となっておりますが、平成16年の我が国の合計特殊出生率は1.29にまで低下しており、理想と現実の間には大きな開きがあります。また、この白書には、女性が出産で仕事をやめ、パートで復職する場合、生涯賃金で2億の減収となる試算が示されており、同世代比較で正社員の所得の3割程度にすぎないパートやアルバイトの増加が懸念材料に挙げられております。一方、内閣府の調査では、アメリカや北欧のように、女性労働力率が高い国ほど出生率も高い傾向にあることがわかりました。
 働き方が少子化に及ぼす影響が論じられる中、社会全体での子育てのあり方に関してかぎを握るのは企業の取り組みであります。この点、財団法人こども未来財団が平成16年度に実施した中小企業の子育て支援に関する調査報告書には、さまざまな分野で従業員の希望と事業所での実施状況の間にずれがあることが報告をされております。
 こうした中、昨年4月から施行されました次世代育成支援対策推進法においては、301人以上の労働者を雇用する事業主に一般事業主行動計画の策定が義務づけられ、雇用労働者300人以下の事業主には、同様の努力義務があるとされております。この制度の成否はまさに、事業主が目的を理解し、実行するか否かにかかっております。国、県など行政庁が率先して取り組まなければならないことは言うまでもありませんし、上場企業のような大手の事業所は、その人材面、資金面など潜在能力を活用し、実践に移されることと思いますが、300人以下の企業、とりわけ中小・零細企業にとっては、この法律の趣旨に賛同しても、実践するには相当の困難が伴うことと思われます。
 厚生労働省の平成14年度調査によると、30人以上の事業所では、その81.1%に育児休業制度がありますが、5人以上29人以下の事業所では57.5%にすぎず、その取得率についても、平成16年度調査によると、500人以上の事業所では83.2%のところ、5人から29人の事業所では60.2%に低下をいたします。また、育児休業の期間についても、事業所の思いにより半年から3年とかなり差があります。私は、生後2年間や3年間は、親がじっくりと時間をかけて子供を育てられる環境をつくることが優先されるべきであると考えます。問題は、その後の復職まで社会が待っていられるか否かであり、待てる社会をつくらなければなりません。
 このように、事業主の体力によって子育て世帯への支援内容が違うことがあってはなりません。しかし、先ほどの調査結果からも、会社の規模が大きいほど子育て支援の制度が整備され、利用されていることがわかります。そこで、子育て世帯への支援能力の乏しい中小・零細企業が実効性ある行動計画を策定し、計画を確実に実施できるよう支援することを初め、県として中小企業における子育て支援策の充実にどのように取り組まれるのかご所見をお伺いいたします。

障害者雇用の促進について

 第3に、障害者雇用の促進についてであります。
 昭和35年に身体障害者雇用促進法が制定されて以来、45年が経過をいたしました。同法は、昭和62年に障害者雇用促進法と法律名が改められ、さらに、現在では、法定雇用率1.8%が義務づけられておりますが、いまだに法定雇用率が達成できず、厳しい状況が続いております。その中で、本県については、ここ20年ほどの資料を見ますと、県内事業所の障害者雇用率が常に全国平均を上回っており、景気の低迷や震災の影響などを考慮すれば、一定の成果はあったと思われます。雇用促進企業に感謝を申し上げたいと思います。また、こうした取り組みをさらに促進するためにも、優先発注制度などインセンティブのさらなる充実を望むものであります。
 本年4月から、障害者自立支援法が施行され、障害者を取り巻く環境は大きく変わります。この改革のねらいの一つが、障害者がもっと働ける社会を実現することであります。先日、国の社会保障審議会障害者部会において示された障害福祉計画の基本指針案では、2011年までに福祉施設利用者のうち、一般就労に移行する者の数値目標は、現在の一般就労への移行実績の4倍以上とすることが望ましいとされております。また、就労移行支援事業の利用者を通じて一般就労し、かつ、その職場で継続して就労する者が利用者の一定割合に達する場合、これを報酬上評価するとも示されております。これらの実現には、企業側の意識と体力に頼る部分が大きく、企業倫理の確立が不可欠でありますが、そのためには、消費者である県民一人一人が企業の社会的責任に対する取り組みを評価する習慣を身につけなければなりません。県民意識の醸成が強く求められるところであります。
 県では、来年度の予算の中に、障害者雇用率1.8%達成大作戦実施費が上げられています。障害者にとっても、仕事は暮らしの基本であり、私には障害者雇用はニート、フリーター対策より優先順位の高い政治的課題であり、この取り組みに大きな期待をしておるものであります。例えば、子育て支援策として事業所内保育所の設置に対する補助がありますが、同じように、事業所内に授産施設や作業所をつくることができないか、また、障害者雇用促進企業や授産施設からの物品調達の数値目標化などができないか、まだまだできることはたくさんあると思います。その一方で、県は、企業に対するさまざまな経済的支援制度、補助制度があります。それら支援によって、経済の活性化、雇用の創出、税の増収など大きな効果が期待できるものでありますが、これらの経済的側面と福祉的要素の面もある障害者雇用を一つのテーブルで論じるには無理があるかもしれません。しかし、障害者雇用の促進という大きな課題を克服するためにも、県も契約者として、また、消費者としての立場を有効に使っていただきたいと思うものであります。つまり、ここでもう一歩踏み込んで、県から補助金を受ける企業、また、県から仕事を請け負う企業には、ぜひ法定雇用率を達成してほしいと思うものであります。
 そこで、こうしたことを踏まえ、障害者雇用の促進について所見をお尋ねいたします。

福祉のまちづくり条例における処分のあり方について

 第4に、福祉のまちづくり条例における処分のあり方についてお尋ねをいたします。
 成熟社会が進むにつれ、企業の経営のあり方が大きく問われるようになります。社会的責任のあり方が会社を決めると言っても過言ではありません。昨年4月、尼崎でのJR列車脱線事故に際して、事故発生後すぐに工場の操業をとめて救出に当たった日本スピンドル製造株式会社が、これによって一躍社会的評価を高めることになったのは、まさにその最たる例であります。同社が紅綬褒章を初め、さまざまな団体から表彰されたことに納得をされた方々は多いと思います。その一方で、最近、マンション、ホテルの耐震偽装、ライブドアの粉飾決算、東横インの不正改造問題等企業経営者のモラル低下が目立つ出来事が世間を騒がせております。これらの事件や問題の報道を見るとき、すっきりとした気分にはなれません。留飲が下がるどころか、どんどん上がっていく、そんな気持ちであります。一体なぜでありましょうか。
 昔よく見た時代劇、ストーリーがわかっているのになぜか最後まで見てしまう。最後に必ず正義が勝つ。勧善懲悪であります。その快感に酔った方々も多いと思います。一連の問題に関し、県内には、耐震偽装されたホテルが2軒、東横イン不正改造で指摘をされたホテルが1軒あります。このうち、耐震偽装のホテルは、いわば建築士らによる偽装の被害者でありながら休業を余儀なくされ、東横インは確信犯でありながら、指摘箇所を改善すればおとがめなしという状況であります。一方、時折発生する食中毒の事案については、安全性に対する過失責任は厳しく問われなければならないものの、少なくとも確信犯ではありません。しかし、食中毒を起こせば当該事業者は保健所から営業停止等の厳しい処分を受けるわけであります。ここに大きな矛盾を感じます。特に、福祉のまちづくり条例を定める兵庫県においては、ユニバーサル社会づくりに向けた社会的責任を果たさない企業やモラルを失った企業に対して、県民の納得するペナルティーが当然必要であると考えます。
 福祉のまちづくり条例では、第34条に、優秀な業者の表彰制度を定めるとともに、第35条には、勧告に従わない場合の業者名の公表を規定をしておりますが、このたびの不正改造のような事件の再発を防止するためにも、業者名の公表にとどまらず、営業停止等の厳しい処分が必要であると考えるものであります。
 そこで、このような福祉のまちづくり条例における処分のあり方について県のご所見をお伺いいたします。

大規模集客施設に係る広域土地利用プログラムについて

 第5に、大規模集客施設に係る広域土地利用プログラムについてご質問をいたします。
 大規模集客施設については、現在、大きな政策変更の時期を迎え、都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法のまちづくり3法改正の動きが見られます。73年に大規模小売店舗を規制し、中小小売業の事業確保を目的とした大規模小売店舗法が制定され、団地開発が進み、同意の得やすい郊外への大型店出店が始まったとされています。その後、90年以来3度にわたって規制が緩和され、98年の大規模小売店舗法の廃止、そして、新たに大規模小売店舗立地法の制定となりました。この結果、郊外への大型店出店が加速され、中心市街地の空洞化や商店街の衰退が始まることになります。これらに対し、国では、中心市街地活性化法を制定し、県でも、まちづくりや商店街に対する支援を強力に行っておりますが、一進一退の状況であります。
 明石においても、郊外型の大型店の出店により、商店街が大きなダメージを受けております。このため明石では、商店街初め、商工会議所、行政が一体となって中心市街地活性化計画を進め、地元商店街、再開発テナント、中心市街地にある大型店とそれぞれが機能を分担し、再生・活性化を図ってまいりました。ところが、先ごろその一角であった中心市街地にある大型店が閉鎖され、アンバランスな状況となっております。郊外型と市街地の大型店同士の熾烈な競争の結果であり、近隣のさまざまな施設への影響が懸念されているところでございます。
 同じように、県下各地のほとんどの商店街は、存立が危ぶまれております。しかしながら、一方で、大規模小売店舗が県民生活に欠かせないものとなっていることも現実であります。商店街と大規模小売店舗との適正な両立を図らなければなりません。大規模集客施設の出店に際しては、県条例により、交通渋滞対策や駐車・駐輪対策、町並み景観などを事前に協議・調整しますが、出店調整はできません。ここに商業行政の限界があります。地元商店街と大規模小売店舗を適正に配置することは、都市計画、まちづくりの大きな要素と言えます。この問題は、もはや商店街の再生というより、まちづくりの領域に係るものであります。地域のコミュニティ再生のためにも、商業施設の適正配置を進めなければなりません。
 そこで、今年度、大規模集客施設に係る広域土地利用プログラムを策定するに当たり、県としてどのように広域性を確保するのか、特に対象地域と非対象地域の境界でのプログラムの実効性をどのように担保するのか、また、その中で規制における透明性の確保や規制される側に対する説明責任の遂行、県民生活の利便性の維持向上をどのように図っていくのかご所見をお尋ねいたします。

明石公園の利活用と整備について

 第6に、明石公園の利活用と整備についてお尋ねをいたします。
 県立明石公園は、明石駅から徒歩数分という絶好の特性を有し、年間約300万人を超える来訪者があります。明治16年に開園し、皇室の御料地に編入されるなどの変遷をたどり、大正7年に県立公園として発足いたしました。平成元年には、日本の都市公園100選の地に、続く2年には全国さくらの名所100選の地に選ばれました。また、平成16年には、明石城跡が文化財保護法に基づく史跡の指定を受け、そして、先月13日に文部科学省において発表された日本100名城に選ばれております。今後も県民の財産として守り、受け継いでいかなければなりません。公園内には、幾つかの施設がありますが、ここでは、二つの施設を例に挙げ質問を進めます。
 一つは、野球場であります。特に第一球場は、これまでにプロ野球のオープン戦やマスターズリーグの試合が行われました。プロの選手を目の当たりにし、夢を抱いた子供たちも少なくなかったと思います。また、毎年夏には、全国高校軟式野球大会の会場となりますが、いま一つ県民の間でも知名度が低く、観客がスタンドを埋め尽くすような場面は見られません。私も何度か利用する機会がありましたが、グラウンドの状態は申し分ありません。しかし、グラウンド以外のスタンド、照明、ロッカー室、シャワールームなどの設備については改修の余地があります。また、イベントの開催やツーリズムの視点に立った支援など、県としてやるべきことはたくさんあります。
 そして、もう一つは、自転車競技場・球技場であります。甲子園、西宮の施設廃止に伴い、県内唯一の自転車競技施設となっており、本年秋に開催されるのじぎく兵庫国体においても、自転車競技の会場となります。また、毎年夏には、自転車の高校総合体育大会が開催をされております。現在、この施設は、国体開催に向け大改修が行われたところであり、国体後、当分の間は大きな改修が必要ないものと思われますが、過去のいきさつから、土地こそ県の所有であるものの、バンク・スタンドは財団法人兵庫県園芸・公園協会の所有であり、バンクの内側のグラウンドは県が所有するという複雑な構造になっております。公園内にあるあさぎり寮についても、築40年で老朽化が進んでおりますが、兵庫県高等学校野外活動センターとして位置づけられ、土地は県、建物は社団法人兵庫県高等学校教育振興会の所有となっております。
 こうした状況にある自転車競技場・球技場など、国体の開催を契機に県の所有物として将来にわたる維持管理を確実なものにする必要があると考えると同時に、さらなる利活用策を打ち立てていただきたいと思うものであります。
 そこで、これら野球場や自転車競技場・球技場を初め、明石公園の利活用の促進と施設整備について今後どのように取り組まれるのかご所見をお尋ねいたします。

県立高校の入試制度について

 最後に、第7点として、県立高校の入試制度についてお尋ねをいたします。
 明石では、高校の入試制度の見直しが始まりました。そもそも県下の入試制度は、昭和24年度に56の小学区制のもとでの1校1学区の単独選抜からスタートいたしました。28年には、総合選抜方式が複数の学区で導入され、その後、各地事情が勘案され、それぞれの変遷をたどった結果、平成17年に全県16学区の中学区制となり、その中で、四つの入試制度が並立をしております。すなわち、現在の16学区のうち、尼崎、西宮、宝塚、伊丹、明石の5学区が総合選抜、神戸第三、姫路・福崎、加印の3学区が複数志願選抜、北但、南但の2学区が連携校方式、残りの6学区が単独選抜による制度であります。さらに、複数志願の学区では、特色選抜が実施されております。
 各制度には、一長一短があります。そのうち、総合選抜方式には、一定水準以上の成績を確保していればほぼ確実に地元の高校に進学できるため、高校入試に際して受験勉強のための負担が少なく、比較的ゆとりある中学生活を送ることができる。自宅近くの高校に通うことができ、高校間の序列がほとんど存在しないなどのメリットがあります。その一方で、高校入試への負担が少ないことが基本的な学力の低下を招くとともに、生徒相互の競争意識に根差した学力水準の向上につながらない、合格したものの希望しない高校に回されるケースがあるなどのデメリットが指摘されております。また、単独選抜については、その逆のことが言えると思います。
 学区ごとに地理的条件、入学定員、志願者数、どれ一つとっても同じものはなく、入試制度の改善に際し地域事情を考慮することは重要であります。しかし、現在、本県の入試制度では、同じ県内に住む中学生でありながら、生まれ育った地域によって入試制度が違うことになります。県立高校の入試制度については、本来、1県1制度が基本ではないでしょうか。私の知る限り、本県以外で同一の都道府県において複数の入試制度が併存するのは、京都府と山梨県において、いずれも一部の学区で府や県全体の入試制度と異なる制度を採用しているケースのみであります。私は、何も全県でただ一つの入試制度を採用すべきと言っているのではなく、基本となる制度は全県で統一し、その上、地域事情等を考慮できる制度とするのが本来の姿であると考えます。
 そこで、基本的な入試制度の全県統一化につきまして県のご所見をお尋ねをし、私の質問を終えさせていただきます。ご清聴いただきまして、まことにありがとうございました。

○知事(井戸敏三) 
 ひょうご・県民連合議員団の岸口 実議員のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者マンパワーの社会への還元についてです。
 本格的な少子・高齢社会を迎えている今、今後の社会が活力を持続していけるかどうかのポイントは、高齢者が社会的にどのような役割を担うかにかかっていると言えましょう。高齢者をいわゆる弱者と決めつけるのではなく、経験者、専門家として今後とも活躍していただかなければなりません。現在いなみ野学園を初めとする県・市町高齢者大学では、県下合わせて約8万人もの学生が学ばれています。この学生が高齢であっても、その学習成果を存分に生かしながら、生きがいを持って活躍できる地域社会づくりを進めなくてはならないわけです。
 これまでも既に、およそ300グループを超えるいなみ野学園同窓会組織のネットワークを活用しながら、福祉や環境ボランティアなど活動・人材情報を収集、発信して、卒業生と地域活動を結ぶコーディネート事業を展開し、学習の出口づくりへの取り組みを進めています。新年度は、高齢者の能力活用への期待の高まりや、また、高齢者自身の地域貢献意欲にこたえていくため、地域課題に対応した県民交流広場等での具体的な活動への参画を支援していきます。
 子育てファミリーサポートくらぶ事業なども地域で行われておりますが、これらを通じて主体的な子育て支援の取り組みも促していきたいと考えます。さらに、学習と実践の一体化をめざして実践中心のカリキュラムを編成し、そのカリキュラムを学ぶいなみ野学園大学院を新設することといたしました。地域活動に必要な理論や実践手法を専門的に習得する機会を提供することになり、高齢者の活躍の場が広がることを期待しております。今後とも、本格的な高齢社会の到来を機に、意欲ある高齢者がまさに地域づくりの主役として地域社会のさまざまな分野で活躍し、その活動が元気兵庫の力強い礎となりますよう期待申し上げておりますし、その活動を支援してまいります。
 障害者雇用の促進についてお尋ねがありました。
 障害者の自立のためには、雇用・就業の場が確保されなければならない、ご指摘のとおりです。このため、障害者専門の職業紹介事業や県養成のジョブコーチによる支援を初め、全国に先駆けて行っている障害者雇用促進企業や授産施設等との契約の機会を増すための優先発注、授産製品をホームページで紹介する独自の通信販売システム「NUKUMORI」による販売強化など積極的な取り組みを行ってきました。
 特に雇用環境が厳しい中で、障害者の雇用を確保するためには、授産施設や小規模作業所の製品が消費者に理解され、購入されることが基本でありますので、品質の向上等を指導する作業技術アドバイザー、販路を開拓するしごと開拓推進員を配置して指導を徹底しているところでもあります。
 今年度は、主要経済団体や企業に対しまして、特例子会社制度を活用して障害者雇用をふやす、あるいは障害者雇用の助成金を活用した障害者雇用の要請を行ったところでございます。また、現在、神戸市に2ヵ所設置しております障害者専門職業紹介所を、来年は西播磨地区にも増設いたします。また、障害者のインターンシップ――就職前就業の効果を高めるために、県養成ジョブコーチによります障害者受け入れ企業への研修の実施など支援の充実を図ります。障害者雇用率1.8%の達成に向けて、企業に対しさらに積極的な働きかけを行ってまいります。
 ご指摘の県の支援の対象となっている企業に対しましては、既に主要企業に要請しているところですけれども、今後、支援対象企業に対して、さらに障害者雇用の積極的な対応を求めてまいりたい、要請してまいりたいと考えます。
 続きまして、大規模集客施設に係る広域土地利用プログラムについてです。
 本県では、国のまちづくり3法の見直しに先駆けまして、広域的な土地利用の観点から、市町と連携しながら、阪神間と東播・中播・臨海地域におきまして、大型店の立地誘導・抑制などを目的とする広域土地利用プログラムの策定作業を平成16年度から進めてきました。さらに、今後は、神戸や東播・中播の内陸地域についても、これをモデルに検討を進める必要があると考えています。
 このプログラムに位置づける大型店の立地を誘導する広域商業ゾーンを今後、県都市計画区域マスタープランに反映させますとともに、市町の都市計画決定を指導することによりまして、広域商業ゾーン以外での大規模店の立地を抑制したい、このように考えています。
 また、プログラム策定に当たっては、パブリックコメントや説明会等を実施して、県民の利便性の確保など広く県民や関係者の意見を聞いてまいります。あわせまして、県や市町の都市計画決定を行います際にも、縦覧や意見書提出手続などによりまして、制定の透明性を確保し、立地規制の説明責任を果たしてまいる所存です。
 これらによりまして、広域商業ゾーンを地元商店街を中心とする地域に設定し、大規模店をここに誘導することで地元商店街と大規模店の連携を図り、中心市街地の活性化に努めてまいりますので、よろしくご指導とご理解をお願いしたいと存じます。
 以上、私からの答弁とさせていただきます。

○健康生活部長(下野昌宏) 
 私から、中小企業におけます子育て支援の充実強化の促進について答弁申し上げます。
 一般事業主行動計画の策定が努力義務となっております従業員300人以下の企業の行動計画の策定状況でありますが、昨年の51人以上300人以下の企業1,647社を対象にした兵庫労働局の調査結果によりますと、回答のあった864社のうちで、策定済み、策定中を合わせましても30%にとどまっている状況にあります。また、策定していない理由の約50%が、策定することを知らない、または策定方法がわからないというものでありまして、一方では、育児休業等の代替従業員の確保についての中小企業の難しさがあるという状況にあります。
 中小企業の行動計画の策定の促進につきましては、兵庫労働局と連携して、パンフレットの配布や各種セミナーなどでの啓発を図ってきておりますが、平成18年度からは、計画の策定に当たりまして、個々の企業に応じた実効ある内容とするために、県経営者協会等県内4ヵ所にあります次世代育成支援対策推進センターと連携を強化していきますとともに、専門家をアドバイザーとして企業に派遣する事業所での子育て力アップ事業を実施いたします。さらに、兵庫労働基準局とも連携をいたしまして、代替要員の確保について国の助成金等の普及、二つ目には、育児休業取得後の職場復帰を円滑にする育児休業サポートプログラムの作成支援、さらに、三つ目といたしまして、事業所内小規模保育施設の設置促進のための助成などによりまして、中小企業への子育て支援の充実を図っていきたいと考えています。


○まちづくり復興担当部長(佐々木晶二) 

 私から2点、回答申し上げます。
 最初は、福祉のまちづくり条例における処分のあり方についてでございます。
 福祉のまちづくり条例につきましては、建築主に遵守義務を課して、より安全かつ快適に利用できる施設となるよう誘導するものであり、ユニバーサル社会をめざす県民挙げての取り組みの一つとして、違反に対する制裁措置を設けず、条例に基づく届け出のあった建築物の整備内容に対する指導、勧告、公表を行うことで実効性を確保しているところであります。
 東横インが営業する県内の4施設に建築関係の法令の違反はなかったものの、3施設で視覚障害者誘導用ブロックの撤去や車いす対応トイレの不備など福祉のまちづくり条例に違反していたため、県は、市と連携して、早期に改善が図られるよう指導し、2月20日にすべての施設で条例基準を満たすための工事が完了したところでございます。
 また、平成14年度から16年度までに新築の届け出のあった用途面積2,000平方メートル以上のホテル・旅館6施設を対象に立入調査を実施したところ、完了後に改造する等の違反は認められず、本条例の適正運用は図られているものと認識しております。
 以上のとおり、現時点では、現行条例の規定で運用することについて大きな問題はないと考えますが、担保措置強化の必要性につきましては、ホテル以外の施設におけます条例の遵守状況にかかわる調査の実施も含めて、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 2点目は、明石公園の利活用と整備についてでございます。
 明石公園は、城址と豊かな緑の環境にさまざまな施設を持つ全国有数の都市公園として、年間300万人を超える人が利用しております。特に、本丸南側の区域は、歴史的景観を保全するため園内の施設を外周の樹林の高さ以下に抑えるなど、100年以上にわたりこの景観を保ってきたところでございます。
 ご指摘の第一球場につきましては、築34年を経過しておりますが、随時施設改修を行ってきたところであり、昨年度の利用率も約7割と高い水準でございます。今後とも、歴史的景観との調和を図りながら、県内野球大会の中心施設として、利用者等の意見も聞き、施設の充実を図るとともに、野球教室等のイベントの招致に努めてまいりたいと考えております。
 二つ目の自転車競技・球技場につきましては、県内唯一の自転車競技施設であることも考慮し、国体後の球技場の利用動向も踏まえまして、サッカー等の関係競技団体や兵庫県園芸・公園協会とも協議をいたしまして、今後の施設のあり方や利活用について検討してまいりたいと考えております。
 さらに、来年度は、これまでの菊花展や市民まつり等のイベントに加えまして、明石薪能の復活や新たに民間団体の協力により武蔵の庭でのお茶席を実施することにしておりまして、公園を核とした周辺地域の活性化にも寄与してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

○教育長(吉本知之) 
 県立高等学校の入試制度についてお答え申し上げます。
 入学者選抜制度につきましては、教育ニーズが変化していく中で、さまざまな課題が指摘をされておりますが、県教育委員会といたしましては、地域の特性や歴史的経緯を踏まえつつ、課題解決にふさわしい選抜制度を地域との連携のもとに導入すべきであると考えております。
 このため、県立高等学校教育改革第一次実施計画におきまして、単独選抜学区における過度の受験競争や、総合選抜学区におけます志望校を自由に選ぶことの制限等の課題に対応する複数志願選抜と特色選抜から成る新しい選抜制度を導入することとしたところでございます。
 この新しい選抜制度を導入した学区の検証結果ですが、いわゆる受験学力のみによらない学校選択が進んでおり、90%以上の生徒が、現在充実した高校生活を送っていると回答をいたしております。また、特色選抜による生徒は、入学当初から学習や学校生活に意欲的に取り組み、校内でリーダー的役割となっておりますなど、大いにその成果を上げているところでございます。
 こういうことから、第一次実施計画の期間中は、地域とも連携をいたしながら、引き続き新しい選抜制度の導入を進めていきたいと考えております。また、平成21年度以降につきましては、第二次実施計画を策定する中で、第一次実施計画の検証を行いまして、受検生にとって学びたいことが学べる学校選択を基本といたします選抜制度のあり方について議論をしていただくことといたしております。

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