皆さん、おはようございます。明石市選出の岸口でございます。早速でありますが、質問に入りたいと思います。

中小企業の経営革新計画に対する支援の充実について

 質問の第1は、中小企業の経営革新計画に対する支援の充実についてであります。
 年末年始、地元や友人の中小・零細企業を訪ねました。そこでは、「土日・休日の返上」や、「残業しないと納期に間に合わない」など、一部ではありますが明るい兆しが見え始めました。しかし一方で、「受注量は増えたが利益が伴わない」とも聞かれ、地域で、そして肌で感じる景気状況はまだまだ一進一退であります。昨年12月の兵庫県中小企業団体中央会「兵庫県中小企業労働事情実態調査」によると、回答のあった県内企業528事業所のうち、現在の経営状況が「悪い」と回答した割合は59.9%と最も高く、「変わらない」30.0%、「良い」10.1%と続いており、本格的な景気拡大局面にはいまだ至っていないことが伺えます。
 こうした状況にあっても、それぞれの企業は、主要な事業について今後、「強化拡大したい」との回答が21.5%と昨年比0.6ポイント増加するなど、製品やサービスの魅力で販路を拡大しようとする積極的な姿勢が見受けられますが、一方で、消費者ニーズの多様化や価格競争の激化など、企業努力を上回る市場環境の激変が生まれております。例外なくすべての中小企業で経営の合理化など自助努力を行っておりますが、業種によっては、本業では今後の展望が開けず、新たな事業分野を開拓しなければ企業の存続すら危ぶまれる状況にあります。
 2009年版中小企業白書で、今後の中小企業の生き残りのかぎは「イノベーション」と位置づけられているように、経営革新計画の作成は経営者の大きな決意の表れであります。県では、平成11年度に制定された中小企業経営革新支援法に基づく経営革新支援制度が創設されて以来、「経営革新計画」の策定の相談・承認と、それに基づく制度融資である経営革新貸付等を実施し、昨年12月までに約1,900件の計画承認を行っております。
 経営革新計画の承認を受けた企業は、低利融資措置や税制面の特別措置などを受けることが可能になりますが、県のこれまでの経営革新に関する貸付件数や金額を見ると、平成19年度の176件、約69億円をピークに、平成20年度は124件、約46億円、昨年度は44件、約16億円へと大きく減少してきており、今年度に至っては12月までの実績ではありますが20件、約8億円、金額面では平成19年度と比較してわずか12%にとどまった状態になっております。
 経営革新計画の承認実績が平成19年度の197件から平成21年度の110件へと減少幅が約44%であったことと比較して、融資額の減少幅は約77%と段違いであります。また、経営革新計画の承認後すぐに事業を開始したいと思ってもなかなか制度融資が受けられないとの声も聞きます。経営革新計画の承認と制度融資は別とはいえ、事業性がなく融資を受けられないのであれば、そもそも計画の承認とは何かを考えざるを得ません。
 県内企業の99.1%、従業員数においても79.1%を占めるとされる中小企業の景況改善は、本県経済の景気の持ち直しに直結すると考えられ、中小企業ならではの機動性・柔軟性を生かした活力ある経営状態の形成や企業の経営革新に向けたさまざまな面からの行政の支援が必要であります。
 そこで、経営革新計画承認後、事業がスタートするまでの間の支援が最も重要と考えますが、経営革新計画を承認した中小企業に対する制度融資を含めた支援のあり方について、ご所見をお尋ねいたします。

犯罪被害者支援対策の充実と市町が連携した今後のセンター運営支援のあり方について

 質問の第2は、犯罪被害者支援対策の充実と市町が連携した今後のセンター運営支援のあり方についてであります。
 一昨年度の2月定例会において、県下市町の被害者支援を盛り込んだ条例等の制定を促すことや、連携する民間団体への財政的な支援など、県として取り組むべき課題についてお尋ねをいたしました。これに対し県では、犯罪被害者等支援ハンドブックの作成や各市町における担当窓口の設置と担当課長会議の開催などの取り組みをいただきましたこと、またあわせて来年度も犯罪被害者等支援事業費や被害者対策推進費を計上し、引き続き犯罪被害者支援センターの運営支援に取り組みをいただきますことに敬意を表したいと思います。
 平成16年、犯罪被害者等基本法制定以降、各市町が定めた「犯罪被害者等支援に関する条例等」の施行状況を見ると、平成17年度の宝塚市、相生市、たつの市、18年度の赤穂市、20年度では宍粟市、淡路市、丹波市、昨年度の太子町、そして今年度の佐用町の計9市町にとどまっております。私の地元であります明石市では、今週開会される市議会に関係条例が提案されると聞いておりますけれども、それを加えてもまだまだ少数にすぎません。
 また、市町の支援担当者は県の行う年1回の研修には参加するものの、業務内容が通常職務との兼職であることや、定期的な人事異動があり専門的な知識・技能を得にくい面があることや、人口規模の小さな市町では日ごろから住民と職員との距離が近く、顔見知りであることなどから、気軽に相談しにくい場面も考えられます。
 加えて、自分たちの地域では大きな犯罪が起きていない、起こらないといった意識にも縛られているなど、まだまだ市町間での反応に温度差があるとの指摘もあります。前回も申し上げましたが、居住するところによって支援に差が出ることがあってはなりません。県下全市町での早期の条例・計画の施行が待ち望まれる次第であります。
 次に、犯罪被害者支援センターの活動状況ですが、週4回行っている電話相談件数が平成20年度には299件だったものが、昨年度には556件、そして今年度は4月~1月までの間で559件へと増加しておりますし、裁判所への付き添いや法律・心理相談などの直接支援活動は、昨年度の51件から今年度4月~1月の間だけでも164件と非常に多くなっております。支援センターの方にお話をお伺いすると、支援を必要とするニーズが高まる中、ボランティアスタッフが45名登録されていますが、働いておられる方もあり、平日の日中に活動できるスタッフが足らないなど、さらなる人材確保が必要とのことで、あわせて県民のまさかのときのセーフティーネット機能強化のためにも財政面の充実が急務であります。現在、支援センターの活動費は、民間からの寄附と、さきに申し上げた県からの支援を中心に支えられておりますが、人材確保・養成、広報の充実を初め、今後高まるニーズにしっかりと対応していくためには持続的で安定的な財源を持たなければなりません。他県では幾つかの事例もあるようですが、支援センターへの運営支援を、県下の市町に薄く広く負担をお願いする仕組みを作ることなども検討してはいかがでしょうか。
 そこで、犯罪被害者支援対策の一層の強化に向け、各市町の条例等の制定促進に向けた取り組みと市町が連携した今後の支援センター運営の支援のあり方についてお尋ねをいたします。

農業分野等への障害者の雇用促進について

 質問の第3は、農業分野等への障害者の雇用促進についてであります。一昨年の2月定例会でも障害者雇用についてお尋ねをしたところでありますが、今回は視点を変え、高齢化や農業従事者の減少などによる労働力不足、休耕・放棄田の拡大などの課題を抱える農業分野等への障害者の雇用の促進についてお尋ねをいたします。
 障害者の就労意欲の高まりや短時間労働へのニーズが高まる中、中小企業における障害者雇用納付金制度の適用対象の範囲拡大や、短時間労働に対応した雇用率制度の見直しなどを内容とする「障害者の雇用の促進等に関する法律」が改正され、その一部が昨年7月1日より施行されました。これにより障害者の雇用機会の拡大が期待される中、昨年10月、兵庫労働局より6月1日現在の障害者の雇用状況が発表され、県内の56人以上規模の民間企業で雇用されている障害者が、前年比3.2%、319人増加し1万316人へ、また実雇用率は0.05ポイント上昇し1.81%となり、いずれも全国平均を上回り過去最高となったことが報告をされました。まず、これまでの障害者雇用への取り組みを大いに評価をしたいと思います。
 しかしながら一方で、雇用障害者数1万316人のうち、身体障害者は7,703人、74.7%に対し知的障害者は2,438人、23.6%、精神障害者は175人、1.7%にとどまっていることや県、市町の実雇用率は法定雇用率を達成しているものの前年から0.04ポイント低下したことなど、今後取り組むべき課題の一端をうかがい知ることができました。
 昨年度、県の障害者就業・生活支援センターには、支援対象障害者として1,278人が登録され、そのうち901人と70%を占めているのが知的障害者です。この知的障害者のうち職場実習のあっせんを受けた者は242人、そして最終的に就職に結びついた者は128人しかなく、精神障害者でも161人の登録者に対し就職した者は33人と非常に厳しい現実があります。
 昨年度、農林水産省では「障害者アグリ雇用推進事業」を実施しましたが、そこには「農業は自然と触れ合いつつ障害者が無理なくその能力に応じて農作業にかかわれることで、自立を促すための有益な産業である」としています。また、京都大学大学院農学研究科牛野正准教授らの「農業における知的障害者雇用に関する一考察」によると、農業が障害者に向いている点としては、作物を育てることによる精神的な成長や、屋外での肉体労働により健康が得られること、作業が多種にわたりだれしもが何らかの形で参加できること、不良品を出してはいけないなどのストレスが少ないこと、作る品目や量、作り方など、取り組み方に自由度が大きいことなどが挙げられておりました。
 一方、「仕事を覚えるのに時間がかる」、「日によって得意・不得意の作業能率の差が大きい」、「農業では出荷規格が厳しく細かい作業や、やり直しのきかない作業も多い」など課題も多くあり、先程申し上げた1万316人の中でも、農林漁業分野で働く障害者は身体障害者が6人、知的障害者、精神障害者がそれぞれ1人ずつと合計8人にすぎません。しかしながら、障害の種別・態様により得意・不得意な作業があるとされる実情をしっかりと理解をし、作業の工夫や指導員を養成することにより就農へのさまざまな課題の克服は可能で、また加えて障害者雇用の福祉的側面、就労面、農地の有効利用面など、多くのメリットにもつながることが考えられます。
 そこで、主に知的障害者を中心に、農業分野等への誘導を含めた障害者の雇用について所見をお伺いいたします。

イベントを活用した県市町連携によるツーリズム振興について

 質問の第4は、イベントを活用した県市町連携によるツーリズム振興についてであります。
 平成21年度兵庫県観光客動態調査結果によると、本県を訪れた観光客数は1億3,609万人で前年度比1.1%増加し、県内の観光消費額──直接効果は1兆1,601億円、また原材料やサービスにより生み出される1次間接波及効果、雇用者所得から消費を通じ新たに生み出される2次間接波及効果を加えた経済波及効果の合計は1兆7,682億円に上り、雇用創出効果・就業者誘発数は19万3,200人と県内就業者総数の8.5%に当たると報告をされております。観光分野が、県内経済に大きな影響を与えることが改めて理解できました。今後もこの観光分野は、「打てば響く」効果の上がる、また期待のできる領域であります。
 このような中、本年11月12日、13日には「B-1グランプリin姫路」、また同月20日には日本陸上競技連盟の後援が決まった神戸マラソンの開催、そして平成24年1月からのNHK大河ドラマでは神戸にゆかりの深い「平清盛」がスタートするなど観光の目玉となるイベントが多く予定をされております。これらのイベントがどのような経済効果を生むかでありますが、例えば、昨年9月に神奈川県で開催された「B-1グランプリin厚木」には、24道県から46団体が参加し、開催2日間の来場者は主催者発表で計43万5,000人、また厚木市では経済効果を36億円と発表、今後の観光客増を見込むと1年間で約78億円の効果も期待できるとされております。
 また、NHK大河ドラマでは、「龍馬伝」の舞台・背景となった高知県での経済波及効果が約535億円、宿泊客19%増、日帰り客29%増、長崎県では同じく約276億円、龍馬伝効果入込観光客102万7,000人と、日銀の高知支店などが発表しております。大河ドラマ「平清盛」放映スタートに当たり、高知県や長崎県にまさる経済効果を期待したいところであり、昨年12月、井戸知事らを発起人とする「大河ドラマ「平清盛」兵庫・神戸推進協議会」が設立されました。しかしながら、こうした取り組みも、イベントごとにそれぞれが事務局、実行委員会などを立ち上げ、隣接する市町との連携がない状態では、波及効果は開催地限定となってしまいます。
 今回のB-1グランプリの姫路市での開催について、石見姫路市長は「関西で初、世界遺産で初、新幹線停車駅で初ということもあって最多来場者の可能性もある」として、約50万人の来場を見込んでいるとのことでありますが、隣接市町へもその恩恵が行き渡るような仕組み、すなわち開催都市のみならず明石、神戸初め県下の観光資源とを連携させる県としての取り組みが必要であると考えます。
 そこで、本県観光の目玉となる各種イベント効果を高めるために、県市町連携をどのように図るのかお尋ねをいたします。
 余談でありますけれども、先程のB-1グランプリの厚木大会、明石から玉子焼きが参加をいたしました。そして「高砂にくてん」、「姫路おでん」が参加をしました。「あかし玉子焼き」は中間発表で14位でしたけれども、最終発表の10位以内に入れませんでした。今回はリベンジを誓いたいと思いますので、どうぞ応援をよろしくお願いしたいと思います。本題に戻ります。
 以下2問は、20年度の予算特別委員会、決算特別委員会それぞれの場においても質問をさせていただいたところでありますが、事業として大きく前進が見込めますので、再度お尋ねをしたいと思います。

県営住宅のバリアフリー化の促進について

 質問の第5は、県営住宅のバリアフリー化の促進についてであります。
 平成20年に兵庫県がまとめた将来推計人口によれば、平成22年における65歳以上の高齢者人口は、総人口の約23%を超えており、今後ますます高齢者の独居世帯、あるいは高齢者夫婦のみの世帯が増加することが予測されます。県では、こうした状況を背景として「人生80年いきいき住宅助成事業」により、住宅のバリアフリー化を支援してきましたが、全国的に見れば、高齢者が居住する一般住宅において、「手すりの設置」、「住戸内の段差の解消」及び「広い廊下幅の確保」のバリアフリー対応が整った住宅の割合は6.7%、また住宅の所有形態別に見れば、借家で対応が整った住宅は2.6%と立ち遅れている状況にあります。
 このように民間市場でのバリアフリー住宅が十分に供給されていない状況では、高齢者世帯や独居高齢者世帯の急増には対応できず、今後、公営住宅がこうした需要の一翼を担う必要性が高まるのではないでしょうか。昨年度末における県営住宅の入居戸数は約4万7,600世帯で、65歳以上の高齢者世帯数は約2万1,400世帯と全体の約45%、そのうち高齢単身世帯は約1万1,600世帯と約24%を占めております。県営住宅のバリアフリー化にあっては、エレベーターのない住宅に住む高齢者・障害者に対しては1階への住宅交換をする一方で、「いきいき県営住宅仕様」との位置づけのもと、手すりの設置、住戸内段差の解消、1階共用部分へのスロープの設置、高齢者対応型浴室ユニットの採用、エレベーターの設置などの改修工事や建て替えを進めていますが、昨年度末の整備率は52%にとどまっております。
 厳しい財政状況で事業量の抑制も続く中、平成27年度には何とか60%をめざしているとのことでありますが、一方では、それを待っていられない現実がそこにあります。以前の決算特別委員会で紹介いたしましたし、先月8日付の日経新聞にも掲載をされましたが、地元の明舞団地で「1階への住宅交換をしたものの、その1階に入るには約1メートル・5段の階段があり、その階段が上がれない」との訴えもありました。来年度は、県営住宅の階段室型住棟の1階部分に車いす対応住戸への改修とスロープの設置によるバリアフリー化をモデル実施されるとも聞いております。これにより昭和40年代から50年代前半にかけて大量に供給された中層階段室型集合住宅のバリアフリー化を進めるという意味からも有効な手法になるのではないかと期待をいたしております。
 そこで、まず今回のモデル事業と今後事業の本格実施によりバリアフリー化がどのように進むのか、またバリアフリー化される予定のない住宅における高齢住居者等の喫緊の課題とその対応についてお尋ねをいたします。

明舞団地・明舞センター地区再生の推進について

 質問の第6は、明舞団地・明舞センター地区再生の推進についてであります。
 ご承知のとおり、明舞団地は、昭和39年──私の生まれた年であります──から県と県住宅供給公社、そして当時の日本住宅公団──今の都市再生機構などによって、住宅戸数1万800戸に及ぶニュータウンとして開発されましたが、居住者は昭和50年の3万7,500人をピークに、現在の約2万3,800人にまで減少し、高齢化率は35%に及んでおります。あわせて建設後35年以上経過した住宅が約7割を占めるなど急激な老朽化と、建物の数と居住者が同じ数になったと言われるように空家・空地化、独居化が進行するなど居住環境が激変をいたしております。
 このような中、県では、平成15年度に県下のニュータウンで進行する「オールドニュータウン問題」と一般市街地が将来直面する問題への先行対応モデルと位置づけたマスタープランとして、「明舞団地再生計画」を策定し、まち・コミュニティ再生のために、ハード・ソフト両面からのさまざまな支援を行ってまいりました。ソフト面では、平成15年度に団地の活性化・居住者の利便増進につながるモデル事業を実施するNPOの誘致、翌16年度には住民相互の交流や情報交換の場をめざし「明舞まちづくり広場」の開設、各種ワークショップの開催などを行ったことにより、さまざまなグループが誕生し、今も持続的で積極的な活動が展開をされております。
 一方のハード面では、来月31日に明石松が丘住宅638戸のうち、第1期分103戸が完成するなど、県営住宅の建替事業が平成20年度~27年度の予定でスタートしています。また、団地再生のリーディングプロジェクトとして位置づけられる明舞センター地区の整備も大きな転機を迎えております。「区域1」の高齢者サポートゾーンでは、高齢者向け分譲住宅への入居が5月下旬に始まり、特別養護老人ホームが4月下旬に開設する運びとなるなど、住宅・医療・介護が一体となった新しい複合施設が完成いたします。特に、この「区域1」の完成は、これまで明石市の東部域における福祉施設整備が、用地の確保ができなかったことなどにより整備が進まなかった経緯があり、待望の福祉施設となることが期待されております。同じく、「区域2」の公社住宅ゾーンでも、センター地区内にある建て替え予定の公社住宅の受け皿となる80戸余りの公社賃貸住宅が、来月末には完成の予定です。そして、残るは「区域3」商業・住民交流ゾーンです。この「区域3」について、平成21年10月、現地「明舞まちづくり広場」で開催された「神戸県民局「さわやかトーク」」で、知事も「一番最初に手をつけたかった」、また「3月の時点で住宅供給公社直営ということも選択肢の一つとして、どうするか考えたい」と発言をしておられました。このような中、昨年11月から実施してきた再生コンペは、応募事業者が要件に合わず、不調に終わりました。大変残念な結果でありましたけれども、県にはこれからも明舞団地がオールドニュータウン再生の全国的なモデルとなるよう、先導的な施策を積極的に果たしていかれることを期待したいと思っております。
 そこで、明舞団地再生計画のリーディングプロジェクトである明舞センター地区のコンペの進捗状況と今後の方向性についてお尋ねをいたします。
 先日、ある朝、駅で立っておりましたら、ご婦人が階段を上がっておられました。手すりにずっとつかまって上がっていました。足の不自由なご婦人でありました。エレベーターがそこについてますよと申し上げたんですが、エレベーターに乗るには、エレベーターが上がり下がりする数十秒間、その前に立っとかないかんと。その間立てないんですというふうにおっしゃいました。ちょっとしたことで使えなくなってしまう、使い勝手が悪くなってしまうという一つの例ではないかと思います。我々県民の視点をしっかりと、使う人の気持ちに立って事業を行っていくという必要性を改めて感じたところです。ぜひ、これからの県の事業についても、そういった視点を忘れず、お取り組みをいただきたいと思います。以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

○知事(井戸敏三) 
 民主党・県民連合議員団の岸口 実議員のご質問にお答えいたします。
 まず、農業分野への誘導を含めた知的障害者等への雇用促進についてです。
 障害者の雇用を促進するため、本県では、障害者一人一人の特性を把握して職業訓練を実施し、障害者就業・生活支援センターなどで職場開拓や職業相談・紹介を行い、障害者しごと支援員などが職場等で介助するなど、きめの細かな積極的な取り組みを進めています。
 昨年6月1日で本県の障害者雇用率は、ご質問にもありましたように、1.81%と、初めて法定雇用率1.8を達成いたしました。あわせまして、福祉的就労の場を確保しております。小規模作業所や授産施設の設置・運営を支援しているところです。
 特に就職が困難である知的障害者につきましては、まず、特別コースの職業訓練を実施しています。パソコンですとか、販売実習ですとか、ガラス加工ですとか、介護実習なども含まれます。昨年度は、障害者高等技術専門学院などで42人の訓練を実施し、うち38人が就職に結びつきました。
 新たな雇用分野の開拓も進めています。ご指摘の農業分野での雇用の推進は、これからの課題です。農業は、能力に応じ農作業をすることでやりがいを感じ、情緒の安定、健康増進など多面的な機能を持っています。その障害特性を生かすことができる分野であろうと考えます。このため、農林水産省が実施した障害者アグリ雇用推進事業では、園芸福祉士などと連携した園芸や畜産分野などの農業法人等での障害者雇用に取り組み、全国10地区で1年間に80人の障害者が農作業訓練に参加、うち15人が就労を継続することになり、良好な成果を上げていると評価されています。
 本県でも、昨年から、障害者しごと体験事業を行うことにいたしました。農業体験を実施し、農家との交流の中で就労の可能性を探っています。23年度には「新たな就業モデル検証事業」として、農業就労サポーターを養成し、サポーターが障害者とともに農作業に従事し、障害者が技術を習得する事業に取り組んでまいります。また、就労マニュアルなどの普及啓発を行いますとともに、障害者を受け入れる農家の情報を障害者就業・生活支援センターを通じて提供してまいります。
 今後とも、雇用、福祉、農業の各部門が連携して障害者の雇用の場が確保できるように、その対策に努めてまいりますので、よろしくご協力とご指導をお願いいたします。
 続いて、イベントを活用した県、市町連携によるツーリズム振興です。
 県、市町が連携し観光誘客を推進することは、周遊性や滞在性を高めることになります。また、リピーターを増やすという点でも効果があると考えます。このため、まず「あいたい兵庫キャンペーン」では、県内全市町、観光協会などで構成するひょうごツーリズム協会が中心となりまして、県内各地域が持っている観光資源やイベント企画などを幅広く集め、統一テーマに基づいて、ガイドブックやホームページなどにより全国にPRしております。この結果、本県の総合力を発揮した誘客促進に結びついているのではないかと考えます。
 来年度開催される、ご指摘の「B-1グランプリin姫路」には、本県の明石玉子焼き、姫路おでん、高砂にくてんが出場いたしますが、あわせまして、大手前公園で同時開催する「姫路食博」に県内各地のご当地グルメの参加を幅広く募り、兵庫の食の魅力を味わっていただくことにいたしております。長田そばめしですとか、佐用のホルモン焼きうどん、淡路島牛丼などは、この姫路食博に参加をしてもらって交流を進める予定です。
 また、来年のNHK大河ドラマ「平清盛」では、神戸市と連携した推進協議会を設置しました。これに、ひょうごツーリズム協会や中小企業団体中央会なども参加していただき、関連の物産の開発や関連イベントを全県的に実施してまいります。あわせまして、県内に数多く点在する源平ゆかりの地、例えば川西の多田神社ですとか、明石の清盛供養塔などが入りますが、この源平ゆかりの地を周遊する観光ルートや旅行商品を開発して全国へ発信していく予定です。
 現在策定中の「ひょうごツーリズム戦略」では、「個性あふれる地域の魅力が連なって星座のように一体となる「五つ星ひょうご」をめざす」こととしております。多様なツーリズム資源を持っている本県ですので、今後とも、市町等との連携を強化しながら一層の誘客促進に努めます。
 明舞団地・明舞センター地区再生の推進についてです。
 明舞センター地区の商業・住民交流ゾーンの再生事業につきましては、民間の資金とノウハウを活用してセンター内の西広場に新規施設を建設するとともに、隣接する既存の店舗や通路などを改修することによりセンターのにぎわいを再生することとし、提案コンペを住宅供給公社が昨年11月から公募してまいりました。提案期日である2月1日には1グループの応募がありましたものの、既存施設の改修計画について価格要件を満たすことができず、不調になりました。
 したがいまして、まず西広場への新規施設の建設運営事業に限定した提案コンペを3月初旬に先行して公募することとして、6月には事業予定者が決定できるよう、現在、準備を進めています。なお、既存施設の改修工事については、新規施設の進捗状況を踏まえながら、公社が別途発注することにして整備を進める予定といたしました。
 また、平成23年度には、ソフト対策といたしまして、明舞まちづくり委員会を初めとするグループと連携いたしまして、まず、住民参加による団地内施設の福祉のまちづくり点検事業を行います。第2に、センターの空き店舗を活用した若者の活動拠点支援事業を行います。第3に、県営住宅を活用した学生シェアハウスの導入などをあわせて取り組んでまいります。これらによりまして、全国の団地再生モデルとなる高齢化に対応した多世代が交流する街のにぎわいづくりをめざして、明舞団地・明舞センターの再生に努力をしてまいりますので、よろしくご指導いただきたいと存じます。以上、私からの答弁とさせていただきます。

○総合政策室長(高井芳朗)
  私から、犯罪被害者支援対策についてご答弁申し上げます。
 犯罪被害者の権利が尊重され、社会で孤立することなく平穏な生活に戻ることができますよう、県警察本部とともに、犯罪被害者週間国民のつどいの開催等によります県民の理解促進や法律相談など各種相談窓口の設置、宿泊施設を利用いたしました被害直後の一時避難場所の確保、そして、県営住宅への優先入居などの支援施策を講じているところでございます。
 市町に対しましては、県と市町の担当課長会議等での情報交換、行政職員向けの被害者支援ハンドブックの作成、職員研修などの支援を行っておりまして、来年度には、ご紹介のありました明石市のほか、姫路市、篠山市でも、被害者支援に向けました条例の施行が予定をされています。その中では、支援金の支給に加えまして、住居の提供や就業支援を初め、従来より広範な支援手段が盛り込まれますなど、市町の取り組みも進みつつございます。
 また、ひょうご被害者支援センターは、被害者支援の中心的な役割を担う団体でありますことから、県として、電話相談事業や付き添い支援等の委託、そして普及啓発活動に対する助成など、その支援の充実を図ってまいったところですが、かねてから、県警察本部と連携して、市町にもこうしたセンターへの支援というものを働きかけました。その結果、22年度より姫路市から相談業務がこのセンターへ委託されることとなりました。
 とはいえ、まだ取り組みは十分とは申せませんので、今後も、市町に対して条例等の制定やセンターとの連携による事業実施を働きかけますなど、被害者支援対策の充実に向け積極的に取り組んでまいります。

○産業労働部長(田所 創) 
 私から、中小企業の経営革新計画に対する支援の充実についてご答弁申し上げます。
 経営革新計画の承認は、新事業活動促進法に基づき、知事が中小企業の新商品開発や販路開拓などの計画を承認し、国、県の施策でこれを支援するものであります。政府系金融機関の低利融資制度や国の設備投資減税に加え、県では、特に資金調達力の弱い中小企業、小規模企業等に対し、信用保証のつきます制度融資であります経営革新貸付により支援しております。
 本県では、この計画承認を柔軟に運用して、中小企業が計画の作成を機にその経営を振り返り、明らかになった課題を解決することができるよう、経営の向上を図るための計画を広く承認しているところでございます。
 ご指摘のように、経営革新貸付は、政府系金融機関の低利融資同様、19年度に比べて最近の実績が減少しております。この理由といたしましては、20年度以降、景気が低迷する中で、設備資金につきましては、設備投資意欲が減退していることに加えまして、運転資金については、資金繰り支援のために拡充された経営円滑化貸付の活用が増えていることなどが考えられます。
 一方、経営革新貸付の落ち込みに比べて計画承認件数の減少が少ないのは、設備投資を含む計画につきましては、不況下においては、当該中小企業が承認は受けるものの、その後の投資の実行を先送りしている場合もあることなどがその理由と考えられております。
 今年度に入りまして、当該計画の申請件数は増加に転じており、県としても、引き続き中小企業の計画策定の段階から事業の実施まで、ひょうご産業活性化センターによる指導・助言等を行い、県下中小企業の経営力の向上を支援してまいりますので、ご指導の程よろしくお願い申し上げます。

○まちづくり担当部長(川端宏幸) 
 私からは、県営住宅のバリアフリー化の促進についてお答えいたします。
 県営住宅においては、入居者の高齢化に対応いたしまして、毎年度、建替事業300戸及び既存住宅の新型改修事業250戸の実施により、エレベーターの設置と住戸内の高齢者仕様の整備を推進しますとともに、住宅交換制度により既入居者の1階への住みかえを毎年度50戸程度実施しております。
 しかしながら、これらのうち、階段室型の住宅棟では、エレベーターを設置するだけでは、ご指摘のように、階段室内の段差を解消できないことから、その1階部分の住戸のベランダにつながる共用通路及びスロープの設置等を行う新たなモデル事業を平成23年度に実施いたします。当該モデル事業の実施に際しては、入居者の合意形成を初め、共用通路のスペースの確保など対象団地の選定上の課題もあることから、事業の検証結果を踏まえて、その本格実施について検討していく必要があると考えております。
 今後とも、県営住宅のバリアフリー化の推進につきましては、一つには、建て替えや新型改修事業による平成27年度末バリアフリー化率60%の実現、二つには、来年度実施するモデル事業の検証を踏まえたバリアフリー化の質的な向上、三つには、住宅交換制度を活用した既入居者の1階への住み替え促進などのきめ細かな対応によりまして、高齢者や身体障害者等が安全に安心して生き生きと暮らすことができる県営住宅の提供に努めてまいりますので、今後ともご支援の程よろしくお願いいたします。

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