平成21年 平成20年度決算特別委員会(第6日10月16日) 公安委員会

 大変待ちわびた質問の機会であり、今回の決算特別委員会、初めての質問になる。どうぞ丁寧に聞いていきたいと思うので、よろしくお願いを申し上げておく。
まずは、新行革プランの効果と影響についてお尋ねをしたいと思う。
行財政構造改革推進方策において、警察部門は平成30年までに事務職員約110名の削減に取り組むこととされた。前期、平成20年度から22年度には10%の削減、中後期23年度から30年度には20%の削減、期間合計30%の削減を基本方針とし、その実施状況、平成19年4月1日現在では一般行政類似部門の事務職員数356人から平成20年度には15名、平成21年度には9名の削減を行い、19年度比6.9%減ということになっている。
他の新行革プランの主なものとして、単価見直しによる交番相談員28名の削減、事業廃止による総合相談員12名の削減、地域安全パトロール推進員10名の削減を初め、先ほど和田委員のお話もあったが、交通安全施設等整備費の削減及び標識・標示等の整備見直しも行うこととされている。警察官の給与カットも行われている。例えば、警察官の平均年齢である39歳7ヵ月の方で年間26万円の減額がされたということである。
一方、県下の犯罪情勢は、刑法犯認知件数が平成14年の16万4,455件をピークとして、平成20年には9万7,527件と着実に減少している。検挙率は向上しているが、これは認知件数である分母が下がったものであり、検挙件数そのものは横ばい、また、県下の交通事故、人身事故件数は平成19年が3万8,551件、平成20年が3万7,139件と、1日約100件を超える事故が起きている。県下の情勢は依然として厳しい状態にあるということである。
新行革プランを着実に進めるために、業務の合理化が求められる一方で、このような県下の犯罪・交通情勢を踏まえると、対処すべき職務内容、業務量は減っていない。プランにより削減された人員や事業のしわ寄せがどこで吸収されているのか、どこに負担がかかっているのか大変気になるところである。
そこで、現場の士気の低下がないのか、また、削減された職員の仕事をだれが負担しているのか、予算が削減されたことにより各事業がどのような影響を受けたのかなど、新行革プランの効果と影響についてお尋ねする。

警務部長(種部滋康)

 新行財政構造改革推進方策により、一般行政類似部門の職員や交番相談員等を初めとする事務事業費の削減などが行われていることは、ただいまご指摘があったとおりである。これにより、体制面や経費面において従来にも増して、より厳格にめり張りのある組織運営をしていかなければならない状況にあるというふうに認識しているところである。
このように、確かに従来に比べ余裕のない状況が生じていることは否めないが、その中にあって執行力の低下につながる人や予算の削減までは行えないという方針は堅持するということで、機動力を確保するためのミニパトカー等、現場活動に指向した装備資機材や交通安全施設については、計画的な整備を着実に進めていくこととしているところである。加えて、警察はマンパワーの組織であることから、警察職員一人一人が士気高く使命感を持って職務を遂行することが何よりも肝要であるという認識をしている。そういう認識のもと、真に汗を流した職員が適切な評価を受けていると実感できるタイムリーな賞揚措置や仕事の成果を昇給や昇進に反映させるなど、めり張りの効いた処遇を行っているところである。
今後、新行革プランが進められている中にあっても、県民が望む身近な正義を実現するため、その時々の犯罪情勢に応じ、さまざまな工夫を凝らしながら、士気の低下を招くことなく、職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に専念できるよう努めてまいりたいと考えている。

岸口実委員

大変力強いご答弁である。
私も、給料が減る。例えば、単体だけで士気が下がるということは思いたくもないし、思わないわけであるが、そしてまた事務量がふえたり、また、今までやらなくていい仕事が余分に負荷されたりということで、非常にストレスの多い職場であるから、そういうことがずっと重なって、最後にしようもない事件を起こしたり事故を起こしたり、それがひいては県警全体の信用の失墜にならないように、まず職員の心身の管理をお願いしたいと思ってこの質問をさせていただいた次第である。
次に、NPO法人ひょうご被害者支援センターについてお尋ねをしたいと思う。
その1は、犯罪被害者等早期支援団体の指定についてである。
昨年の定例会において、犯罪被害者等への支援について質問をさせていただいた。知事からは、犯罪被害者支援の中心的役割を担っているNPOひょうご被害者支援センターの運営を力強く支援をするという答弁をいただいたところである。
ご承知のとおり、この法人が先月25日、公安委員会より、県内では初めてとなる「犯罪被害者等早期援助団体」の指定を受けた。
この犯罪被害者等早期援助団体は、県警のホームページによると、「犯罪被害者等の精神的負担を早期に軽減するとともに、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるような支援を行うことができるとして、都道府県公安委員会が指定した民間犯罪被害者等支援団体を言い、指定されると公的認証による社会的信用が上がるほか、警察からの情報提供により、早期段階からの支援が可能」と説明がされている。
現実に指定を受けて以降、社会的信用が高まったと思われるわけであるが、電話等による相談がふえるなど、効果があらわれてきている。
そこで、NPO法人ひょうご被害者支援センターが犯罪被害者等早期援助団体に指定されたことによって被害者らにどのようなメリットがあるのか、ご説明を願う。

警務部長(種部滋康)

 犯罪被害者の方々やご遺族、ご家族のさまざまなニーズにこたえるためには、警察による支援とともに、民間の犯罪被害者支援団体による支援が不可欠であるというふうに考えている。
しかしながら、被害を受けた直後の被害者の方々は、多くの場合、混乱状態にあり、民間の支援団体が信頼できる団体であるかどうかを判断して直接支援を要請するということが困難であり、また、支援を受けることを求めることをちゅうちょしてしまう結果、十分な初期的支援を受ける機会を逸してしまうという状況になりがちであった。
このたび、ご案内のとおり、NPO法人ひょうご被害者支援センターが犯罪被害者等早期援助団体に指定され、県の公安委員会から公的認証が与えられた。これにより、被害者の方々は当該組織に対して不安感を抱くことなく、安心して支援を要請しやすくなったものと考えている。
また、被害者の方々に関する情報や被害に遭われた概要等支援に必要な情報について、被害者の同意をいただいた上で警察から同センターに提供することができるようになった。
それにより、同センターから被害者に対し、直接、積極的な働きかけが行えるようになった。被害を受けた直後の早い段階から、それにより支援が可能となったほか、みずからの被害状況を繰り返し説明するという精神的負担が軽減されることにつながったものというふうに考えている。
今後とも、被害者の方々のさまざまなニーズに対応するため、法律やカウンセリングの専門的知識を有する同センターとの連携を一層密にし、総合的な被害者支援を推進してまいりたい

岸口実委員

 被害者の負担が大きく軽減されるということであるので、何とぞよろしくお願いしたいと思う。
先ほどご答弁あったように、警察から被害者の情報を得るというご説明があったが、このことを逆に言うと、一方で注意しなければならない情報になってこようかと思う。被害者のプライバシーに直接かかわる非常に繊細な情報であるということ、また、それだけにレベルの高い相談体制、受け入れ体制の充実が必要であるということが言える。
この相談員については、ボランティアの希望者も多いようであるが、相談員の確保、育成のためには、警察との連携、警察による支援が不可欠と考えている。
そこで、犯罪被害者等早期援助団体に指定されたNPO法人ひょうご被害者支援センターに対し、今後どのように連携・支援を図っていくのかお尋ねをする。

 

警務部長(種部滋康)

 今回、NPO法人ひょうご被害者支援センターが公安委員会の指定を受けたことにより、被害を受けた直後からの直接支援や電話相談、面接相談の増加が予想され、また実際、電話相談などが実感としてふえつつあるというふうにも伺っている。支援に従事する被害相談員のさらなる充実が求められるものと考えている。
県警では、これまでも同センターの相談員を養成する講座やスキルアップを図るための研修に警察職員を講師として派遣し、司法手続の流れや経済的支援制度など、被害者支援に必要な知識や情報を提供して相談員育成の支援に努めてきたところである。
また、県警のホームページやひょうご防犯ネット、地域安全運動等警察関連各種行事を活用した同センターの活動紹介を通じ、ボランティアの募集にも積極的に協力してきたところである。
今後とも、相談員養成講座等研修カリキュラムに関する助言や警察職員の派遣をさらに充実させるとともに、同センターと協働した広報啓発活動を推進するなど、同センターとの連携により、被害者支援の一層の充実を図ってまいりたいと考えている。

岸口実委員

 ありがとうございます。
実は、このセンターの方に、指定を受けられて何が心配であるかということをお尋ねすると、実は活動資金のことをご心配されておられた。
この指定を受けるに当たっては、当然、NPOの活動資金がどうかということが審査の対象になっているわけであるから、お金に、活動費に困るというのは本当は言いわけにならないわけであるが、先ほどおっしゃったような活動をどんどん充実させていくには、やはりどうしても活動資金が心配だということがあった。こういったことも含めて支援をお願いしたい。
それからもう一つは、逆にセンターで手探りながらいろんな活動をされていく。そこから得られたノウハウをやっぱり県警に戻していくことによって捜査の一助になるのではないか、そんなことも出てこようかと思うので、そういった連携も含めてお願いをしたいと思う。
続いて、若年層の薬物犯罪対策についてお尋ねしたいと思う。
本会議でもこの薬物対策については質問があったが、違った観点からの質問をしたいと思う。
「プロファイリング」という言葉を聞かれたことがあろうかと思う。辞書を見ると、「異常犯罪の犯人像の分析技法。現場に残された状況をもとに、統計的な経験と犯罪データ・心理学の両面から犯人像を推理し、人種・年齢・生活態度などを特定していくもの。米国の連邦捜査局――FBIが取り入れている」と書かれている。
当然、県警においても、これまでの過去の事件・事故のデータの蓄積がなされていると思う。犯罪の特徴をつかむことは、犯罪検挙、発生抑制につながると思うので、この観点から薬物事犯、中でも最近連日のように報道がなされている大麻に関する質問をしたいと思う。
その1は、近年の大麻事案の特徴についてである。
薬物事犯の検挙人員は、平成16年、550人から平成20年の611人へと、約1割増加をしている。内訳を見ると、覚せい剤取締法違反が平成16年、458名から平成20年の479名、若干ふえている程度。麻薬及び向精神薬取締法違反が36人から5人と激減をする中で、大麻取締法違反が56人から127人へと激増している。また、本年同月比、昨年との比較において、23人増の83人というデータが出ている。
大麻の蔓延は、覚せい剤に比べて安価であること。また、芸能人を初め著名人らの使用例、身近で気軽、害は少ないとの間違った認識がされるなど、大学生・高校生などを中心に若年層に広がっていると報道がされている。県警においても、検挙者が倍増する現状から、多くの犯罪の傾向をつかんでおられると思う。大麻使用者、入手ルートなど、近年の大麻事案の特徴をどのように分析しておられるのかお尋ねする。

刑事部参事官兼組織犯罪対策局長(藤田一博)

 近年、大麻事犯の検挙人員は急増傾向にあり、本年8月末においても、覚せい剤事犯の検挙人員については減少しているが、大麻事犯の検挙人員は110人と、前年同期に比べて40人、約57%増加している。
年齢層別に見ると、覚せい剤事犯の検挙人員280人中、30歳未満は64人で、約23%を占めているのに対し、大麻事犯では検挙人員110人中、30歳未満は86人で約78%を占めている。さらに初犯者率を見ると、覚せい剤事犯の初犯者は、280人中119人で、約43%を占めているのに対し、大麻事犯は、初犯者は110人中108人で、検挙者のほとんどが初犯者であるなど、覚せい剤に比べて大麻の若年層への拡大傾向が顕著になっている。
次に、大麻の入手先については、クラブやイベント会場など、若者が蝟集する場所で密売人から購入するといったケースが多いほか、インターネットを利用して大麻草や大麻種子を購入しているケースも散見されるところである。特に、大麻事犯については、密売人の情報が口コミでグループ内に広がり、同級生やグループ内で大麻の乱用が急速に拡大するといった特徴が見られる。

岸口実委員

 ありがとうございます。
やはり一定の使用者というか、犯罪者の傾向というのは、これで明らかになったわけであるので、そういった特徴から捜査手法というものをご検討いただきたい、また、撲滅にご協力をいただきたいと思うわけである。
次に、今後の捜査の強化についてお尋ねをする。
大麻取締法では、種子や茎は取り締まりの対象になっていないということや、観賞用としての種子の販売については違法性が薄く、インターネットで手に入るようである。
私もインターネットで検索してみた。そうすると、海外にある種子を販売する法人のホームページが簡単に出てきた。実際にそのホームページの画面から申し込んでいくと届くのかどうかということは定かではないが、非常に簡単にそこまでアクセスができたということである。やはり犯罪の根を絶つには、大麻の使用だけではなくて、種子の入手、栽培の摘発というものが非常に重要であるというふうに考えている。
そこで、これらの行為に対し、栽培予備罪、栽培幇助罪などによる検挙など積極的な取り締まりが必要であると思うが、この取り締まりが思うように進んでいないとも聞いているが、なぜ進まないのか、その原因がどこにあるのかお尋ねをしたいと思う。

刑事部参事官兼組織犯罪対策局長(藤田一博)

 大麻の栽培幇助罪や栽培予備罪については、県警察では、本年8月末現在で、インターネットによる大麻種子購入者を栽培予備罪で3人検挙している。
栽培幇助罪については、大麻種子の販売者側に、購入者が大麻を栽培することを知って販売したという知情性を立証する必要がある。
しかし、実際には大麻種子は観賞用と称して脱法的に販売され、さらに発芽させると違反になる旨の表示がされているなど、検挙を免れるための対抗措置がとられているケースが多く、購入者側を栽培等で検挙しても、販売者側の知情性の立証に困難を来しているというのが現状である。
一方、栽培予備罪については、大麻種子の購入者が栽培に至るまでの段階で検挙した場合に適用するわけであるが、購入者が栽培する意図があったことを証明する必要がある。
大麻事犯については、供給源に対する取り締まりが重要であることから、クラブ等における密売事犯の徹底検挙を図るほか、種子購入者の栽培や大麻草の所持事件を数多く検挙するとともに、種子の販売者については栽培幇助罪、種子の購入者で栽培に至らなかった者については栽培予備罪を積極的に適用して、供給源の遮断に向けた取り締まりを一層強力に推進していく。

岸口実委員

 ありがとうございます。
先ほどおっしゃられたように、立証するというのは非常に難しいということは、よくよく、重々承知をしているわけであるが、やはりこういった大麻の使用というか、これは犯罪の入り口、本当の窓口と言ってもいいぐらいなところだと思う。この大麻を買うお金が欲しかった、または大麻使用中に犯罪を犯してしまうということも多々あると思うので、やっぱりこういう望ましくない、好ましくない結末を迎えることはもう明らかであるので、ぜひともこういった予備罪、また幇助罪をしっかりと適用していただいて、根を絶つようにしていただきたいと思う。
次に、取り調べの可視化についてである。
本会議、決算委員会で、これまで多くの質問が続いているが、その一つの特徴として、政権交代による地方への影響に関するものが多く見られたわけである。そこで、司法改革、警察行政にかかわる部分についての質問をさせていただきたいと思う。
志布志事件、氷見事件、そして足利事件と冤罪事件が相次いだ。足利事件では、先日、容疑者とされていた菅家利和さんに対し検察幹部が異例とも言える謝罪を行ったところである。
これらを受け、民主党はマニフェストの中で、取り調べの可視化により冤罪を防止することを掲げた。自白の任意性をめぐる裁判の長期化の防止や自白の強要による冤罪防止を目的とし、ビデオ録画等により取り調べを可視化することとしている。
また、中井国家公安委員長は、9月18日、閣議終了後に、取り調べにおける完全可視化について閣僚レベルで協議する旨、千葉法務大臣に報告されたとの記事も載っていた。
県警では、兵庫県弁護士会より請願「裁判員制度の適切な実施に向けた諸条件の整備と取り調べの可視化を求める意見書提出を求める件」の警察常任委員会での審査に当たり、被疑者から真実の供述を得ることが困難、二つ目に組織犯罪の検挙が困難、三つ目に第三者のプライバシーが不当に侵害されるとする三つの弊害を示し、取り調べの全過程を録音・録画することは、真相解明、ひいては治安への影響といった観点から懸念を有するとの説明を行っておられる。
そもそも捜査方法と可視化とは全く別の問題であると私は考えている。本来の目的とする裁判の長期化や冤罪の防止、裁判員制度の成功のためにも、可視化はぜひとも必要であると考えている。
このような中、今年度から取り調べの録音・録画の試験的導入が全国で実施されていることについては、結果を待って改めての機会に質問させていただきたいと思うが、ここでは今年度から進められている被疑者取調べ監督制度の本格的実施や取り調べ室への透視鏡等の設置状況を踏まえ、これまでの取り調べの現状認識と今後の可視化の取り組みについてお尋ねをする。

警察本部長(北村滋)

 被疑者の取り調べは、委員ご指摘の予備罪、幇助罪等の被疑者の内心の立証が不可欠である犯罪を初め、事件の真相究明のため極めて重要な捜査活動であると認識をしている。
警察本部では、この重要な捜査手法である被疑者取り調べの適正を担保するため、「警察捜査における取調べ適正化指針」に基づき、捜査を直接担当しない総務部に取調べ監督室を設置するとともに、警察署においては、警務課長等を取調べ監督官に指名し、被疑者の取り調べ状況を監督させ、不正な取り調べの未然防止を図る「被疑者取調べ監督制度」を今春から実施しているところである。
今後、取り調べ状況を容易に把握するための透視鏡を県下のすべての取り調べ室に計画的に整備するなどして、さらなる取り調べの適正化に向けた取り組みを推進していく。
また、本年5月から施行された裁判員裁判においては、裁判員にわかりやすい立証への一層の配慮が求められていることから、自白の任意性の効果的、効率的立証方策という観点から、本年4月から県警察においても、取り調べの録音・録画の試行を行っているところである。
なお、取り調べの全過程を録音・録画することを義務づけることについては、捜査の任にある立場からは、率直に申し上げて、真相解明、ひいては治安への影響という面で懸念を有している。
いずれにしても、今後の取り調べの可視化への取り組みについては、政府での検討を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えている。

岸口実委員

 ありがとうございました。
やはり、取り調べといえども百聞は一見にしかずであり、可視化は真実を知るためにあるんだということを私は思っている。
先ほど本部長から、委員会での三つの理由についての説明が重ねてあったわけであるが、懸念を表明されたわけであるが、やはり真実を知るという意味においてこういうことは必要なんだということを、ぜひとも意識改革をお願いしたい。本部長は納得はされないだろうが、ぜひお願いをしたいと思う。
これで私の質問を終わりたいと思う。ありがとうございました。

平成21年 平成20年度決算特別委員会(第7日10月19日)農政環境部

岸口実委員

 先日、沈没船からの油の抜き取りが無事終了して、平成20年度の予算特別委員会において多くの要望、質問が出されていたところであり、これらの抜き取りが無事に終わったということであるから、県当局の皆様を初め、国、県、市、そしてまた漁業関係者の皆様方に感謝を申し上げながら質問に入っていきたいと考えている。
まず第1は、ノリ養殖業の経営支援・育成についてである。
この質問については、午前中、新原委員、また和田委員からも同様の質問があったわけであるが、一部重複をお許しをいただいて質問させていただきたいと思う。
ご存じのとおり、本県のノリ養殖は、生産量全国第2位とトップクラスにあり、また私の地元である明石市では、漁業者の半数が従事する基幹産業の一つである。しかしノリの色落ちを初めとするさまざまな影響を受けて、ノリ養殖業自体の存続が危ぶまれている。
県下の経営状況については、さきにあったとおりであるが、明石市のノリ養殖業を見ると、昭和61年、生産量が4億6,900万枚、生産金額にすると73億1,200万円であったものが、平成18年には生産量が7億500万枚とふえているのであるが、一方の生産金額が59億2,100万円と減り、平成19年には明石海峡船舶事故の影響もあって、生産量が2億3,700万枚、生産金額20億4,400万円と激減をしている。この間、147あった経営体数も3分の2の98にまで減るなど、養殖業経営は非常に厳しい状況にあるわけである。
このような中、県では、明石海峡船舶事故に係る漁業者支援対策として、豊かな海づくり資金の融通、漁業近代化資金の償還猶予、また漁業共済の掛金助成等々、迅速な支援をしていただいたところである。
そこで、これら支援に対する県の評価、そして、また先ほど申し上げた明石市の状況を踏まえた今後のノリ養殖業の経営支援・育成に対する意気込みをお尋ねしたいと思う。

水産課長(山村雅雄

 昨年3月の明石海峡船舶事故により大きな被害を受けたノリ生産者に対して、委員ご指摘のあった、豊かな海づくり資金の融通、漁業近代化資金の償還猶予、補償内容が充実した共済への掛金助成により、次年度に向けて安心して生産を迎える体制が確保できたのではないかと考えている。その結果、平成20年度漁期には、県下で15億枚、121億円の生産が確保できたものと考えている。
しかし、ノリ養殖業は、色落ちの発生や価格の低迷等により厳しい経営状況となっており、今後なお一層の生産の安定化、経営の安定化、販売力の強化等、総合的な対策が必要であると、そのように認識をしている。
このため、現在、栄養塩の効果的な供給技術の開発による色落ち対策、優良品種の開発による生産の安定化を図るとともに、共済の加入や低コスト化のための全自動ノリ乾燥機の導入への支援等に取り組み、経営の安定化を促進してきた。さらに、兵庫県漁連等との連携のもと、兵庫ノリの知名度の向上、消費者ニーズに対応した製品づくりに取り組み、販売力の強化を図ってきたところである。
今後は、これらの取り組みに加え、豊かな海の再生に努め、有明と並ぶ二大産地として、高品質なノリを安定的に供給できる盤石の生産基盤を確立していきたいと考えている。

岸口実委員

意気込みをお尋ねさせていただいて、力強い答弁をいただいた。最後に「頑張るぞ」の一言ぐらいあればなおよかったかなと思うが、次の質問に行きたいと思う。
きょうの神戸新聞にも、「新規就農相談2.7倍」という記事が載っていた。この新規就農支援についてお尋ねしたいと思う。
県での就農相談、昨年までは農業会議と兵庫みどり公社、別々に対応していたが、今年度から、ひょうご就農支援センターに一元化し、体制が強化された。
その相談実績を見ると、平成20年度全体で489件であったが、今年度は4月から9月だけでも479件と、昨年同月比で約3倍近くにふえているということである。また、そのうち企業参入も全体の1割を占め、また40歳未満の方が6割いるという報道がなされた。また、8月2日に開催された就農希望者向けセミナー・相談会には136人が参加するなど、農業への高い関心がうかがえる。
相談増加の理由としては、農業ブームに加え、景気後退による雇用情勢の悪化や新規就農に関するセミナーの開催効果とする分析もあるが、農業の実情を踏まえず相談するケースもあり、「農業に根づいてもらうためにも、まずは実態を率直に伝えている」と、センターの活動状況が先月29日付の日本農業新聞、そしてきょうの神戸新聞に同様の記事が掲載されたところである。
思い立ったらではないが、時機を逃すと意欲は半減してしまう。これらの中で実際に就業に向けた研修を始めたのは二、三十名程度だそうである。
そこで、まず一つ目の質問として、新規就農者がめざす経営モデルについてである。
実際、私も相談を受けたことがあるわけであるが、農地、資金を初め、さまざまな問題に直面する。例えば、あす、私が農業を始めようとしたならば、どんな要件を満たす必要があるのか、また、どんな問題をクリアしなければならないのかという疑問がわいてくるわけである。
そこで、成功例を一律にパターン化するということは非常に難しいと思うが、まず職業として農業が成り立つために、どの程度の農地が必要で、またどの程度の資金が必要か、そして目標とする生産額はどの程度が妥当かなど、新規就農者がめざす経営モデルについて、想定している一般的なモデルを例に挙げてご説明をいただきたいと思う。

農業経営課長(遠山知秀)

本県においては、就農促進方針の中において、新規就農者の経営目標水準として、就農5年後の年間農業所得を高卒男子の初任給並みのおおむね200万円以上として、農業改良普及センターを中心にして、関係機関が連携して目標達成に向けた指導・支援を実施しているところである。
そうした指導の指針として、県では、作目ごとの経営モデルを設定しており、その中で、就農初期モデルとして、新規就農者が多く取り組む施設野菜のケースを提示している。
そこでは、夫婦2人で軟弱野菜やトマトをハウス栽培するケースを想定して、農地は延べ作付面積130アール程度、初期資金は制度資金による借り入れと自己資金を合わせて約1,200万円程度、農業販売収入は年に約840万円というモデルを提示しているところである。

岸口実委員

 モデルというのは、やっぱりあこがれを持てるようなものである必要が私はあると思う。そういった意味において、先ほどの5年後で200万円というのは、決して夢のあるというか、やってみようかなという意欲がなかなかわいてこないというのも現実あるんじゃないかと思うし、自己資金等と合わせてもやっぱり千数百万円のお金を用意せなあかんというのは、我々にとっても非常に大きなお金であるので、そのあたりについて続いて聞いていきたいと思う。
次、2番目の質問についてであるが、農地取得の現状と課題についてである。
新規就農希望者にとって、現行の法律や制度では農地取得に大きな壁があるとされている。
先日、明石選出の4名の議員が、加古川農林水産振興事務所、加古川農業改良普及センターのご案内をいただいて、明石市内の現地調査と意見交換を行ってきた。そのときに私が、「農地取得について何が一番ポイントであるか」とお尋ねをしたところ、その答えは「信用である」というふうな回答が返ってきた。私ども素人にとっては、非常に理解をしがたい回答であった。
いずれにしても、この農地の問題を片づけることなくして新規就農は不可能である。そこで、就農希望者の農地取得について、現状と課題に対する認識をお尋ねする。

農政環境部長(伍々博一)

 新規就農に当たっては、技術・経営能力の取得はもとより、営農資金の準備、農地確保等が重要である。
特に新規就農をめざす者にとっては、農地の確保が営農開始の前提条件となっている。農林水産省の調査でも、農業経営の開始に当たって苦労したことはということを尋ねてるわけであるが、営農技術の習得に次いで農地の確保が挙げられている。いずれも5割を超える高い割合を占めているところである。
また、県内の農地賃借の実態を見てみると、出し手側では農地の資産保有意識が強く、賃借関係の発生が煩わしいというふうなことも言っている。また、受け手側では十分な農地情報が得にくいなどの課題が掲げられているところである。
このため、本年5月に設置したひょうご就農支援センターを中心に、地域の市町、農業委員会、JA等とも密接に連携し、規模縮小農家等、農地の出し手情報の収集であるとか、農業委員会の農地あっせん活動の強化、新規就農者に提供可能な農地情報の収集・提供体制の強化など、総合的な対策を講じているところである。
今後さらに、農地の賃借等による利用促進を図るために、本年度6月に改正された農地制度に即して、市町、農協等の公的組織が農地の出し手と受け手の調整等を活発に行えるような体制――例えて言うと、農地銀行のようなものを想定しているわけであるが、整える中で、新規就農者の農地確保が円滑に進むよう努めていきたいというふうに考えている。

岸口実委員

部長からの答弁であったが、現実、情報収集、あっせんの強化、そういうことで確かに法の求めているところというのはそこであろうが、実態としてこれはなかなかうまくいってないと思う。であるので、県としてもっと踏み込んで何かできることがないのか。例えば県で一括して借りて、それを新規就農希望者に転貸するとか、そういうちょっと切り口を変えていかないと、なかなか実現性が乏しいと言わざるを得ないのが現状だと思う。なお一層のご努力をよろしくお願い申し上げたいと思う。
目標、農地と来たので、最後には資金の問題についてお尋ねしたいと思う。資金支援制度の現状と課題についてである。
県では就農支援貸付金制度がある。年齢や経験などさまざまな条件によって違うが、就農前の研修資金として5万円から15万円、準備資金200万円、就農時の就農施設等資金として2,700万円から3,700万円の貸付が受けられるメニューが整備されている。
しかし、平成20年度の貸付状況を見ると、研修資金が1名、施設資金が3名と非常に低調である。一体このどこに原因があるのかなと思うわけであるが、兵庫県就農促進方針では、これは先ほどご説明があったところであるが、新規就農者の就農から5年後の目標として、年間農業所得200万円ということが定められており、この目標を達成する経営計画を立てることが資金貸付の条件の一つになっているということである。就農希望者が経営計画を立てようとしても、農産物価格の低迷、農業資材の高騰といった状況の中では、実際に採算がとれる経営計画を描くことは相当厳しいのではないかと考えている。
そういう意味で、資金支援制度の仕組み自体に限界があるのかもしれないが、就農希望者への資金支援の現状と課題について、どのように認識をされておられるのか、お尋ねする。

農業経営課長(遠山知秀)

 新規就農者に無利子で資金を貸し付けている就農支援資金については、平成7年度の制度創設以来、延べ185件、約6億4,000万円余りの貸付を行っており、各年度の貸付実績については、制度創設からの年平均で13件程度となっている。
近年では、平成18年で12件、平成19年で11件と比較的順調に来ていたが、平成20年については、農業資材の高騰であるとか、景気全体の情勢悪化等の中で、安価な中古機械を導入するなど、初期投資をなるべく節減を図ろうという傾向等があり、ご指摘のとおり4件となっているところである。
ただ、それぞれの借受者にとっては、本資金は初期投資の負担軽減に大きく役立っているものと考えており、とりわけ農外からの新規参入者にとっては、農業用機械・施設等の経営基盤の確保は、農家子弟の後継者に比べて大変な困難を伴うことから、今後とも、本資金制度の適切な活用を促していきたいというふうに考えている。
一方で、適確で実現可能な就農計画の作成や、貸付を受けた後、新規就農者が就農計画どおりに農業経営を実施し、展開していくための支援体制の充実強化というものが一つの課題であったが、本年5月に就農支援センターを立ち上げて、相談段階から就農、経営確立まで一貫した支援をマンツーマン体制できめ細かく行う体制を構築したところであり、今後は、このセンターの機能をフルに発揮しながら、市町や農協等、関係機関とも十分に連携を図りながら、円滑な就農と早期の経営確立を支援し、新規就農者の育成確保に努めていきたいというふうに考えている。

岸口実委員

 国も県も政策方向というか、政策誘導して、この新規就農者をふやしていこうということであることは、もう間違いのないところであると思う。そんな中において、制度が有効に活用し切れてないということは非常に残念なことになるわけである。新規就農者、結果としてふやせるように、ぜひともいろんな意味でのご支援をお願いをしたいと思う。
次に、地球温暖化対策についてお尋ねしたいと思う。
先月、鳩山総理は国連本部で開かれた国連気候変動首脳級会合の開会式で演説し、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する新たな日本の中期目標を表明した。本県においても、平成12年に新兵庫県地球温暖化防止推進計画を策定し、2010年度までに1990年比で6%削減するという目標のもとに、国の温暖化防止対策と連携しつつ、県としての取り組みを進めてきた。今後、より一層の取り組みが必要とされるわけである。
そこで、県下の連携を実はお尋ねをしようと思っていたわけであるが、午前中、下地委員の質問に大きく重なるところがあったので、先ほどの答弁の確認の意味でお尋ねをしたいと思う。先ほどの答弁の中で、「市町との情報共有、県の事例の紹介、こういった対策を進める」という答弁があった。来年度の次期推進計画に当たり、市町との連携強化を一つの柱として、種々の効果的な施策を盛り込むというふうな答弁だったと思う。こういった中で、市町の中で、どういった部分で役割の分担をし、また、協働していくのかというところについてお尋ねさせていただきたいと思う。

環境管理局長(冨岡寛美

 本県では、温暖化防止推進計画の目標達成のため、条例による排出抑制、省エネ機器導入促進、県民省エネ行動の推進など、県民、事業者、行政が一体となった温暖化防止対策に取り組んでいる。
また、地球温暖化対策推進法では、地方公共団体に対して、地域の自然的社会的条件に応じ、総合的かつ計画的な施策を策定し、実施することが求められている。市町においても率先行動計画を初め、家庭版エコマニュアルの配布や温暖化防止をテーマとする環境フォーラムの開催など、各種普及啓発を進めているところである。
鳩山首相が表明した25%削減については、政治主導を意識し、高い目標を掲げたものと理解しており、国民的議論のもと、早期にその内容を明らかにし、国、県、市町の役割分担を明確にして取り組んでいく必要があると考える。
その上で、特に排出量の増加が多い民生家庭部門対策については、地域住民とのかかわりが深い市町の果たすべき役割はまことに大きいと認識しているが、公有事務である、いわゆるごみの減量化とかレジ袋の削減のような積極的な取り組みが高くない市町もまたあることも確かである。その中で、我々としては、例えば法律に基づく推進計画、これは市町もつくらねばならない、これについて、まだ手つかずなりのところがあるので、そういう市町さんの行動を促すことにより、逆にそういうものの積み重ね、連携によって、兵庫県が来年つくろうとしている次期推進計画の策定に当たり、可能な限り連携強化を図り、種々の対策を進めていきたいと考えている。

岸口実委員

 やっぱり鳩山総理の掲げた25%削減というのは、そんな簡単にできるものではないので、否定してるわけではない、簡単にできるものではないが、県には県の役割というか、削減しなければならない分があると思うので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思う。
そのうちの一つとして、電気自動車の普及についてお尋ねをしたいと思う。
先日、会派において東京にある財団法人次世代自動車振興センターを調査してきた。電気自動車についての現状、課題、将来性についての確認を行った。電気自動車の歴史は意外と古く、少し紹介をさせていただくが、1937年に中島製作所製中島小型電気自動車が発売された。その後、日本電気自動車製の「デンカ号」、東京電気自動車の「たま号」が発売されている。1949年には3,299台の電気自動車が普及し、全国の保有台数の約3%に相当していたということである。
その後、内燃機関の向上、ガソリン事情の好転により1950年代半ばには市場から姿を消すことになった。その後の紆余曲折は省略するが、電池価格が高いこと、1充電当たりの走行距離が短いこと、充電に時間がかかることなどの諸問題があったわけであるが、ハイブリッド自動車の出現や近年の環境問題への意識の高まりによって、電気自動車が見直されてきた。
このような中で、神奈川県では、「かながわ電気自動車普及推進協議会」を立ち上げ、2014年までに電気自動車を3,000台、充電設備を1,000基、急速充電器100基の設置を進めている。兵庫県では、低公害車100万台作戦を展開してきたが、平成17年度に県下で登録された低公害車は66万9,800台、全登録車190万7,400台中の35%、18年度には79万8,000台、登録車全体の43%、19年では90万台で登録車全体の49%と伸びてきている。県下を走る車の2台に1台が低公害車となってきた。そういった意味においては一定の成果があったものを思われる。
しかし、車種の内訳、中身を見ると、ハイブリッド車が平成17年の1万200台から、平成19年には1万7,400台と伸びているが、全体の2%に満たないのが現状である。また、電気自動車は、平成17年の95台から、平成19年には35台と減っている。県の公用車の中で、現在保有している車、約2,200台中、低公害車は1,168台ということであるが、電気自動車はたったの1台である。もう走っていないに等しい数字になっている。
電気自動車はCO2を排出せず、電気自動車の普及なくしては先の目的達成は不可能であるとさえ言われており、今後、県としても積極的な取り組みが必要であると考える。
そこで、電気自動車普及への取り組みについて、これまで低公害車100万台作戦の取り組みを踏まえて、今後どのように進めていくのか、お尋ねする。

大気課長(鷲見健二) 

 本年7月に国内自動車メーカーが市場投入したコンセントから充電できる、いわゆるプラグイン自動車の普及促進を図るために、県では平成20年、21年の2ヵ年にわたって、環境省の電気自動車走行実証事業に協力して、県公用車として各種業務に使用したほか、イベントでの展示であるとか、市町への貸し出しを行っている。
現在、市販されているプラグイン自動車については、国の補助金を利用しても約300万円と高価であるし、委員ご指摘のとおり、1充電当たりの走行距離が100キロから160キロと短いなどの課題もあるが、走行中のCO2排出量がゼロであるなどの利点も大きいことから、今後、積極的な普及啓発を行っていきたいと考えている。
なお、今年度、県公用車の更新にあわせて3台の電気自動車を導入する予定であり、来年度以降も代替可能な公用車の更新時期にあわせて、順次導入したいと考えている。
また、走行距離が短い電気自動車普及のために、いわゆる非常時の対応としての急速充電ステーションの設置の導入や支援策について検討を進めるとともに、近畿府県とともに連携して広域的な取り組みを図っていきたいと思っている。

岸口実委員

 アメリカのオバマ大統領のグリーン・ニューディールではないが、これからこの分野への投資が非常に大きくなると思う。そういった意味でも、県での率先した取り組みに期待をして、質問を終えたいと思う。ありがとうございました。

 

平成21年 平成20年度決算特別委員会(第8日10月20日)  県土整備部 

岸口実委員

  先ほど、大変選挙に対する恨み節が聞こえてしまったが、民主党は、「公共工事、全部やめろ」と言ってるわけではない。必要なものはしっかりとつくっていく、そのことはまず申し上げて、質問に入りたいと思う。
また、きょうは参考人の方々にお越しをいただいて、本当にありがとうございます。地方自治法にこの制度、あったようであるが、なかなか活用されてこなかった。また、今回は、議会を改革しよう、議会の議論を活発化しようということで参考人招致を活用させていただいた。何も質問責めにして、針のむしろに座らせてということではないので、よろしくお願いを申し上げたいと思う。それでは質問に入っていきたいと思う。
行革プランのフォローアップのため、公社経営の課題等に応じた専門的な助言を行う公社等経営評価委員会から報告が先月発表され、その中の住宅供給公社に関する報告にある二つの項目についてお尋ねする。
まず第1は、兵庫県住宅供給公社の分譲宅地についてである。まず、分譲宅地について意見が述べられているが、公社所有の分譲宅地は、神戸小束台、龍野芦原台、和田山弥生が丘、北淡浅野の現在4団地である。平成20年度末決算ベースで、神戸小束台は128の販売宅地数に対し、処分数は125、処分率で97.7%、また本年度の9月末時点では99.2%、もう残り1区画ということになっており、非常に順調に推移をしているように思う。次に、龍野芦原台は、同じく166に対し117の70.5%、本年度には6宅地が処分され74.1%と、いま一つであるが、順調な経過というふうに感じている。
しかし、和田山弥生が丘も同じく162に対し108、処分率が66.7%、本年度の動きはない。北淡浅野も同じく109に対し46、処分率が42.2%、本年度に入り4宅地が処分できたが、処分率は5割に満たないというのが状況である。
団地ごとに戦略を立てて、取り組みを進めるということもいいわけであるが、これ以上、公社として分譲宅地にかかわり続け、処分を長引かせるということは、県民の利益につながるとは私は到底思えないわけである。いわゆる損切りをした場合、一時的な損失にはなるが、今後の維持管理、また、借り入れの金利などを考えれば、宅地分譲から事業撤退を早期に実施すべきではないかと思う。
これら宅地開発にかかった費用は、県が損失補償し、公社が金融機関から借り入れたものであり、時間の経過とともに金利がかかってくる。時間にコストがかかっているということを再認識をしていただきたいと思う。
そこで、いわゆるバルクセールという言葉があるが、一括して処分することも視野に入れながら、住宅供給公社の宅地分譲事業の早期終了を検討すべきと考えるが、ご所見をお願いする。

○参考人(井上数利)

ご指摘の宅地分譲地の4団地については、固定資産税、除草作業、また金利負担など、相当な経費を要することになっている。また一方で、土地価格が下落傾向にあるというふうなことから、委員ご指摘のとおり、早期に完売すべきであるということは十分認識している。
従来から、昨今の経済状況に応じた販売価格の見直しというものを行ってきた。特に課題の多い3団地については、30%から40%の値下げを実施した。これとあわせて県産品を使った建築に対する助成制度や、あるいは地元不動産業者と連携した販売会というのを年2回ぐらい実施をして、販売促進に現在も努めているという状況である。
また、委員の意見にもあった一括処分については、この非常に悪い和田山弥生が丘と北淡浅野の2件については、地元の業者に一括処分という形の打診をした。そういう状況の中であるが、一つには、業者としては、やはり今の量が結構多いと、なかなか完売の見込みがないということ、また、業者側提示の金額が、現在の販売価格に比べて非常に低いというふうなことがあって、一括処分というのは実施できなかったという状況である。
今後は、新行革プランでも記載をしているとおり、土地の新規取得による新たな宅地分譲は行わないということを基本にして、3団地の早期完売に向けて、公社の経営状況も十分勘案しながら、大胆な価格の見直しを検討していきたいというふうに思っている。また、一括処分についても、地元業者のみならず、幅広く積極的に企業に打診を行って、早期完売に向けて頑張っていきたいと思っているので、ご理解賜りたいと思う。

岸口実委員

苦しい胸の内というか、状況はよく理解をしているが、とにかく早期に処分して撤退をするということで、よろしくお願いをしたいと思う。
次に、公営住宅のあり方についてお尋ねする。さきの報告には、今後の県営住宅のあり方についても述べられている。市町移譲も含めて抜本的に検討することと報告されている。私も全く同感であって、このことは日ごろから、県と市の二重行政の事例として引用してきたところである。公営住宅の本来の目的は、住宅に困窮する低所得者に対する低廉な家賃で賃貸することであるが、市町移譲を行っても、市町間の連携、またIT化するなどの募集方法を工夫することによって、県が懸念すべき広域性は担保されると思う。市町への移譲を真剣に検討するべきと考える。
また、この際、公社住宅のあり方についても検討すべきと考えるが、住宅供給公社本来の目的は、昭和40年の定款によると、「住宅を必要とする勤労者に対し、住宅の積立分譲等の方法により、居住環境の良好な集団住宅及び」と以降、続くわけであるが、民間の市場が成熟されていることなどを考慮すれば、その役割自身を終えている、または終えつつあるというふうに私は考えている。
そこで、公社等経営評価委員会の報告を踏まえ、県営住宅の市町移譲、公社住宅の事業見直しについて、考え方をお尋ねする。

○まちづくり担当部長(本井敏雄)

公社等経営評価委員会報告にある県営住宅の市町移譲についてである。例えば市町の要請を受けて県が建設し、10年以内に有償で市町に事業主体変更をする団地でさえも、財政状況等を理由にスムーズな移譲が困難な事例もある。こういった事例から、市町移譲については、移譲後の住宅の更新や修繕のあり方、それらの経費と家賃収入とのバランスの確保など、具体的な課題がある。今後、受け入れる市町の意向も踏まえながら中長期的な観点から検討していく。
公社住宅の事業見直しであるが、住宅供給公社は、これまで中堅所得者向けの良質な住宅の供給や、阪神・淡路大震災の住宅復興において、設立以来あわせて約5万戸の住宅を供給してきた。住生活の向上に寄与してきたわけであるが、その一方で、民間住宅の充実など、住宅市場の変化も踏まえて、これまでの供給中心の方向を見直してきている。
新行革プランにおいても、一つには、公社賃貸住宅は新規供給しない、二つには、既存ストックの有効活用を図る、三つには、原則として行革期間中は建てかえしないなどの公社住宅事業の見直しを行った。
今後は、経営評価委員会報告を踏まえながら、今年度、新経営改善計画を策定して、時代の変化に対応した今後の住宅供給公社のあり方や果たすべき役割などについて明らかにしていく。

岸口実委員

きょうの神戸新聞に、政策研究大学院大学、飯尾先生が講演をされたという記事が出ていた。「先進国になると政策が余る、古い政策をやめる決断を」ということを講演されたそうである。また、事業仕分けというふうなことも最近、マスコミで踊るようであり、私もさっきの公共工事の話ではないが、何でもかんでもやめてまえというつもりはない。ただ、先導的な役割を担うのが官の事業だと思う。そういった意味で、先導的な役割を終えたものは、やはりもう民間に任せていくというのが自然な考え方だと思う。どうぞその辺を踏まえて、よろしくお願いをしたいと思う。
続いて、県営住宅のバリアフリー化についてお尋ねする。県営住宅の入居者の高齢化が進み、バリアフリー化のニーズは高まっている。しかし、ハード整備におけるバリアフリー化はまだまだ不十分で、実際に現場では上層階に住んでいた人を1階へ、また、近隣の住宅へ移転するなどの住みかえを行うことにより、対応を行っているというのが現状である。
そういう中で、県営住宅では、建てかえ・改修工事により、バリアフリー化を進めており、その結果、平成20年度末の借り上げを除く県営住宅5万1,783戸中、平成20年度末でバリアフリー化されている住宅は2万5,969戸で、全体の50.1%の整備率となっている。
公営住宅整備事業による建てかえの着工戸数は、平成18年度が548戸、平成19年が507戸、平成20年が300戸、また、平成20年度県営住宅団地環境改善事業による新型改修工事は251戸であった。
つまり、建てかえ、改修をあわせても、平成20年度にバリアフリー化された住宅は551戸であり、さきの整備率を単純に当てはめると、すべての県営住宅の整備をするのに50年かかるということになる。実際にはそんなことはないと思うわけであるが、整備するまでに耐用年数を超えてしまうというふうな結果になろうかと思う。
少し話が変わるが、先週土曜日、「明舞団地の再生に向けた地域の取り組み」をテーマに、知事のさわやかトークが現地で行われた。そのときに地元の自治会長より、「住みかえを行って1階に住んでいるが、1階に入るには約1メートル、5段の階段があるが、その階段が上がれない。だから何とか対応できないか」という発言があった。
そこで、今後の建てかえ計画において、築年数が浅く建てかえにならない住宅がどの程度あり、これらの住宅のバリアフリー化をどのように進めていくのか、また、先ほど申し上げた時間的な余裕のない課題、直近の課題をどのように認識し、対応するのか、お尋ねする。

○住宅参事(常松貞雄)

県営住宅のバリアフリー化についてお答えする。
入居者の高齢化の進展などによって、バリアフリー化は県営住宅の維持管理上の大きな課題であるというふうに認識している。
このため、これまでから建てかえ事業に当たっては、全住宅への手すり設置とか段差解消を定めたいきいき県営住宅仕様、これに基づいて実施するとともに、建てかえ対象以外の3階建て以上の住宅についても、エレベーターや手すり設置を進めてきているところである。
今後、新行財政構造改革推進方策の期間中に建てかえ予定の団地等を除くと、お尋ねの今後、バリアフリー化の対象となる住宅の戸数は、約1万9,000戸程度と見込んでいるところである。このうち、例えば約2,300戸については、エレベーター設置を伴う改修工事を行うことなどによって、現在、ご発言あったバリアフリー化の整備率50.1%について、厳しい財政状況で事業量の抑制も続く中ではあるが、平成30年度末には何とか60%以上をめざして持っていきたいというふうに考えているので、ご理解をいただくようどうぞよろしくお願いする。
それから、1階の住宅の1メートル程度の5段の段差の解消である。私もあのとき自治会長さんの切実なお声をお聞きした。その後、現地も拝見をしたが、建物の構造上、玄関側へのスロープの設置とか、それからエレベーターの設置ということでは解決ができないという問題であるかと思う。例えば、これまで車いす対応住宅として、玄関側ではなくてベランダ側にスロープをつけて、ちょっとぐるっと回る形にはなるが、そこを主な出入り口としていただいて改修を行った事例もあることはあるので、こういったことも参考にしながら、今後対策を検討していきたいと考えているので、よろしくお願いする。

岸口実委員

ありがとうございました。特に私もこのさわやかトークの前に現地を見てきた。そうすると、80歳のおばあちゃんが出てきて、階段をはいながら上りおりする。毎日のことであるので、やっぱり何とかしてあげたいなと思うのは当たり前のことであるので、ぜひとも早急な対応をよろしくお願いをしたいと思う。
続いて、明舞団地の整備促進についてである。明舞団地については、オールドニュータウンの再生モデルをめざし、平成15年度に明舞団地再生計画を策定して以降、地域再生計画の認定、明舞団地再生コンペ、平成18年度には明舞団地再生計画をブラッシュアップし、そして、いよいよ明舞センター地区再生事業と順調に進んできた。本年度には明舞まちづくり委員会の設立など、住民主体のまちづくりに向けた取り組みが進んでいる。
地元では、去る8月28日、県からもご参加をいただいて、明舞まちづくり推進協議会が開かれた。協議会の場では、公社住宅ゾーン、商業及び住民交流ゾーンの建てかえの進捗状況について説明があったが、高齢者サポートゾーンについては民間の事業主体が決定しているためとの理由から説明が除外された。地元では、整備が進んでいる、断念したなどの情報がふくそうしていたわけである。
先ほどの質問で申し上げた、先週のさわやかトークで同様の趣旨の発言があったことに対し、高齢者サポートゾーンについては、建物が発注段階にあること、また商業及び住民交流ゾーンについては、知事からも現状や見通しについて、また、時期について、その事業主体を公社直営とすることも検討など、踏み込んだお話をいただいたところである。
そこで、高齢者サポートゾーンの進捗状況を改めてご説明いただくとともに、さきの説明から時間が経過をしていないが、知事の発言を踏まえ再確認の意味で、公社住宅ゾーン、商業及び住民交流ゾーンの進捗、今後の見通しについて、当局としてどのような認識を持っておられるのか、お尋ねする。

○公営住宅課参事(高畠利文)

明舞団地の整備促進についてお答えする。
明舞センター地区の整備は、団地再生のリーディングプロジェクトとして位置づけられており、そのうち、ご質問にあった高齢者サポートゾーンは、民間活力を活用したコンペ方式で整備することとし、昨年7月に事業者を決定したところである。その後、事業主体となる社会福祉法人が設立手続を進め、本年9月中旬に工事入札公告を行っている。この公告では、本年11月末に着工して、平成23年3月末には100戸余りの高齢者向け分譲住宅、それから、デイサービス機能を持った特別養護老人ホーム等が完成することとなっている。
それから、また、住宅供給公社が賃貸住宅を建てかえる公社住宅ゾーンについては、昨年3月、建設コンペを実施後、建築確認等の法的手続等、あるいは既存の住宅に入居されてる方々との調整などを終えて、本年8月末に着工している。現在、基礎工事を進めており、こちらも平成23年3月末には80戸余りの公社賃貸住宅が完成する予定である。
それから、公社賃貸住宅の建てかえによって整備が可能となる商業及び住民交流ゾーンについては、民間のノウハウと資金を活用した整備を基本としていることから、民間開発事業者への再生事業のPR、業況の把握、事業手法の検討を進めているところである。今後の景気動向や地元商業者との対話等も踏まえながら、早期の事業化を図っていきたいと考えているので、今後ともご支援のほど、よろしくお願いする。

岸口実委員

ありがとうございます。高齢者サポートゾーンと公社住宅ゾーンが平成23年3月ということであるから、この商業及び住民交流ゾーン、ここが一番の核の施設になるので、やはり23年3月、同じ時期にオープンするのが一番望ましいわけであるが、そのあたりの時間的なことも視野に入れながら、事業の展開をお願いしたいと思う。
最後になるが、明石公園第一野球場の整備についてお尋ねする。これまでいろんな場面で、明石公園の利活用と施設の充実、整備についてお願いをしてきた。本日は、ことしの2月定例会で質問した明石公園第一野球場についてお尋ねさせていただく。
その際、知事からも、「基本的に整備の方向で進めてまいりたい」と答弁いただいた。野球場の照明設備の検討に入っておられると思うが、まず、導入検討のきっかけとなった関西独立リーグの今シーズンの予定が何とか終了した。リーグの運営が多少ごたごたしたことは皆さんもご承知のとおりだと思う。余り言いたくはないわけであるが、明石レッドソルジャーズの主催試合の観客動員も大きく目標を下回った。1試合当たり、当初は2,000人の観客をもくろんでいたわけであるが、結果は主催試合全体で1試合当たり526人、明石球場においては639人にとどまっているという非常に厳しい現状である。
私も観戦に行ってきたが、炎天下でのデイゲーム、特にもう暑い日での試合は、もう観戦どころではなかったというのが本音であり、照明も重要であるが、スタンドに日よけを設置するなどの整備もあわせて必要であるなということを感じたわけである。
また、独立リーグといっても、プロには変わりなく、防球ネットを楽々とボールが越えていく、ファールボールがどんどん越えていく。こういったことからすると、やはり安全上の視点からもその整備が必要であると考える。宮城県では、ゲーム中のファールボールが観客に当たり、管理者である県を訴えたという事例もある。
こういったことから質問をさせていただくわけであるが、照明設備はこれまでなかった夜間の使用を可能とし、球場の利便性を向上させ、ひいては先のレッドソルジャーズの観客動員にも寄与すると私は考えている。そこで、日よけ、防球ネット等の新たなる需要に対する考え方と、これまで進められている照明施設設置の検討状況についてお尋ねする。

○公園緑地課長(橘 俊光)

県立明石公園第一野球場についてであるが、同野球場は、全国高等学校軟式野球選手権大会を初め、各種野球大会や、明石レッドソルジャーズのホーム球場として使用されるなど、多くの利用がなされている。
防球ネットについては、公園利用者の安全を確保するため、平成20年度は内野スタンドに、今年度は外野スタンドの整備を完了する予定である。また、スタンドの日よけについては、今後利用者の要望等を把握し、必要性等について検討を進めていく。
照明施設については、昨年度に引き続き、整備の必要性、基本仕様の検討、光の影響調査等を行っているところである。基本仕様は、移動式及び固定式について構造等の検討を行うとともに、整備費や維持管理費等の試算、さらに費用負担のあり方について検討しているところである。また、ナイター利用だけでなく、野球以外の利用についても、事例収集や明石市の意向を確認しているところである。
県としては、照明施設の整備について、今後、関西独立リーグの来シーズンの事業計画を把握するとともに、関係者との協議も踏まえ、整備に関する方向性を見出していきたいというふうに思っている。

岸口実委員

ありがとうございます。先ほど、今年度は外野の防球ネットの整備とおっしゃったが、内野のファールグラウンド、ファールになる球がどんどん外へ出て行く光景が多かったのであるが、そういったところもしっかり現状を踏まえて整備をしていただきたいと思う。
また、この明石球場の照明施設については、明石市、今、全体で取り組んでいるテーマの一つであるので、ぜひとも利便性の向上、また、グラウンドが、実は明石市もこれ以上広げるところはなくて、やっぱり照明施設をつけて、夜間の使用であるとか、そういった面で利便性が向上するので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思う。その要望を申し上げて、質問を終わりたいと思う。ありがとうございました。

 

平成21年 平成20年度決算特別委員会(第10日10月22日) 病院局

岸口実委員 

 昼からの質問になった。病院局という非常に限られた部局で質問者がずっと重なってくると、大体質問する事項も重なってくるわけであるが、私も午前中に何人か質問があったが、一部重なるところあるがお許しをいただいて、簡潔に質問したいと思う。
今回の病院局決算の審査に当たって、さまざまな資料を見ていて改めて感じた。県立病院は高度専門・特殊医療や地域医療等、政策医療を提供するということが記載されているところである。その趣旨や目的に沿って経営が進められるべきであると考えているところである。
そこで、県立病院の経営理念についてお尋ねをするわけである。その年の病院経営はどうだったかと言われると、大体どこの病院が黒字だとか、どこの病院が赤字だったとか、そういうことは議会でも議論されるし、また、報道もそのようにされるわけである。しかし、本来の県立病院設置の趣旨・目的からすると、どこの病院はその本来の目的から外れている、また、どこの病院は目的を達成できた、そういった議論がなされなければならないと考えているわけである。
そもそも、県立病院の本来の目的に沿って、不採算部門である政策医療を実施するのに、経営として黒字をめざすというのは非常にナンセンスな話であると思う。当然、放漫経営は許されるわけではないが、県立病院に民間病院と同様の経営を求め、黒字を求めるという経営はなじまないんではないか。同じ赤字でも、給与費が幾らだとか、薬剤費が幾ら、そんな説明を繰り返していると、民間との比較ばかりがされるわけである。
県立病院の役割を明確にしていけば、不採算だからこそ県が行うことの意義や必要性が明確となり、この県立病院では、地域にない、あるいは民間ではできない診療科目を維持し、そのためにこれだけ費用がかかったと言われれば納得をするものである。また、仮に経営が黒字化するのであれば、民間に任せるという考え方もでき、逆にそうしなければ民業圧迫とも言われかねない話である。
県立病院の経営は、それぞれの病院の設置目的を見詰め直すことから始まると思う。赤字、黒字など数字にとらわれない役割を明確にすることによる経営理念の再確認が必要と思うが、ご所見をお尋ねする。

○病院事業管理者(前田 盛)

  県立病院の経営理念、役割を明確にした上での運営ということについて、非常に的確なご指摘をいただいた。我々としては、本年1月に策定した病院構造改革推進方策改訂版において、県立病院事業の役割として、一つには、全県や2次医療圏域における拠点病院として高度専門・特殊医療を中心とした政策医療を効果的かつ効率的に提供する、二つには、県立病院のほかに中核となる医療機関がない地域、具体的には丹波地域と淡路地域においては、他の医療機関と連携して、地域医療の確保を行うことを明確にした。
さらに、5月に策定した県立病院改革プランにおいて、これら病院事業の役割を踏まえ、各県立病院の役割についても明確に示した上で、診療機能の充実並びに経営改善に向けた取り組み方策を定め、現在このプランの実現に向けた取り組みを進めているところである。
また、病院事業の基本理念としては、従来から、より良質な医療の提供、安心してかかれる県立病院の実現、自立した経営の確保の三本柱を掲げ、病院事業全般にわたる改革を進めてきたが、引き続きこの理念のもと、病院構造改革の一層の推進を図っていくこととしている。
今後の県立病院の経営においても、診療機能の高度化、効率化を進め、他の医療機関との連携を行いつつ、県立病院に求められる役割を十分に果たし、県民から信頼され安心できる県立病院づくりを進めていく。

岸口実委員

 本来の役割というのは、今、示されたわけであるが、やはり県民にはそういった部分が伝わりにくいというか、きちっと伝わってないというのが本音のところじゃないかと思う。どうしても経営というと数字にこだわられてしまうというか、朝方も質問あったが、152億円であったか、一般会計からの繰り入れがあるということである。ただ、その繰り入れがあるということは、やっぱりその本来の目的があるわけであるから、その目的をしっかりとPRも兼ねてお願いをしたいと思う。
そういった目的に従って、次の質問に入りたいわけであるが、県立病院の設置目的と現状の認識についてである。病院局では、12の医療機関と二つの看護専門学校、東洋医学の研究治療を行う診療所、鍼灸院がある。時間の経過とともに周辺環境が変化し、幾つかの施設では徐々にその趣旨・目的から外れてきているのではないかと感じている。
例えば、私の地元である明石にはがんセンターがあるが、ここではがん治療の専門病院として高度先進的医療を実施している。さきの趣旨・目的に合致していることはだれにでも理解ができるわけである。こども病院、姫路循環器病センター、光風病院、粒子線医療センター、災害医療センターなどについても同様である。
柏原病院、淡路病院などについても、地域の災害拠点、3次的機能病院として目的に沿った施設であるが、丹波医療圏、淡路医療圏では、どちらの2次医療圏も既存病床数は基準病床数を上回っており、それぞれ県立病院のシェアが丹波圏域では22.8%、淡路圏域では26.5%となっている。いずれの圏域にも地域に大きな病院が整備されていないことは理解できるわけであるが、民間とのすみ分けをきっちりと行わなければならないと思う。加えて、看護専門学校も240名の定員に対し181名しか在学していないなどの現状からすると、需要にマッチしていないという思いを持たざるを得ない。
このような中、新行革プランの取り組みとして尼崎病院と塚口病院の再編、西宮病院と近隣市立病院とのネットワーク化が検討されている。先日も、尼崎病院と塚口病院の統合再編検討委員会が知事へ報告書を提出したとのことであるが、これらの本来の目的とは一体何だったのであろうか。当該の阪神南医療圏域の基準病床数と既存病床数を見ると、基準病床数が8,650床に対して既存病床数は8,632床、その差は18床とほぼ充足をされている。全体病床数に対する県立病院の占める割合は約15%となっている。阪神南圏域は、丹波や淡路と違い、規模の大きな民間の医療機関も整っている状況から考えると、この15%という数字はアンバランスである、バランスを欠いたものではないかというふうに感じてるわけである。
そこで、再編の検討もよいが、再編どころか、県立病院としての存在の目的すら失っているのではないかと大変危惧するところである。そこで阪神南圏域における県立医療機関について、設置目的と現在の運営実態とのずれについて感じることがないのか、ご所見をお尋ねしたいと思う。

○病院局次長兼企画課長(岡本周治)

 公立病院の果たすべき役割は、地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにあると、このようにされており、とりわけ県立病院については、広域自治体立病院として、高度専門・特殊医療を中心とした政策医療を提供することがその役割であると、このように考えている。
阪神南圏域に所在する三つの県立病院について、尼崎病院においては心疾患、脳血管疾患、がんの集学的医療や救急医療、塚口病院においては小児医療や周産期医療、西宮病院においては腎疾患の総合医療や救急医療など、いずれも圏域の中核病院として専門病院に近い、あるいは診療科によっては、専門病院に匹敵をする高度専門・特殊医療を提供しており、これらの医療を適切に提供していくために支援を欠くことができない関連するさまざまな診療科を設置しているところである。
尼崎病院と塚口病院の統合再編は、両病院の診療機能の不十分な部分をお互いに補完し、それぞれの特徴をさらに生かすことができること等によって、県立病院に求められる高度専門・特殊医療のより一層の充実につなげていくための取り組みであって、これら阪神間の県立病院が担っている役割であるとか取り組みについて、何とぞご理解を賜るよう、よろしくお願い申し上げる。

岸口実委員

 実は県立病院というのは、県下に3,528床整備をされておって、さっき申し上げた阪神南圏域には1,300床、全体の36.8%がこの阪神南に集中しているということ、非常にやっぱり実にアンバランス感が否めないというか、それからもう一つ、紹介率をちょっと教えていただいたが、尼崎病院においては79.8%、塚口病院においては51.8%、西宮病院が43.7%、この紹介率をもって地域連携だとか、高度医療という、これだけをもってはかることはできないが、塚口、西宮に至っては、もう51%と43%であるから、地域の連携という意図も少し薄いんじゃないかという、この数字から見ればそういうところも感じられるので、そういうような質問をさせていただいた。
今ある病院を、どういうのか、残すことを前提とした考え方じゃなくて、やっぱり一たんゼロにして、そこから積み上げるという考え方の方が僕は正しいんだと思う。ぜひとも今度の再編においても、そのような考え方を取り入れていただくようにお願いを申し上げたいと思う。
次に、医師確保対策の評価・検証についてである。これについても午前中質問があったが、これまで県では医師確保策として、平成20年度に初任給調整手当の最高支給額適用期間を、これまでの16年から26年へと延長したことを初め、管理職手当の支給区分見直し、麻酔科医、産科医等特殊診療手当の創設、医療秘書の設置のほか、医師の医療技術の向上や研究意欲を後押しする取り組みとして、海外学会研究発表派遣事業を創設し、平成19年度では年間31名を海外に派遣するなど、ありとあらゆる手だてを講じられてきた。
これらの取り組みが功を奏したのか、平成20年4月時点では、県立病院に勤務する正規・専攻医数684名であったところが、平成21年4月には705名と、21名の増員を見たことは大変大いに評価をすべき点ではないかと思う。
しかし、県立病院の運営は、診療報酬を主たる財源としながらも、その一部を県民からの貴重な税金で賄っているわけであるから、さまざまな施策のうち、どの施策がどのように効果があらわれたのかなど、適切に事業の評価を行っておく必要があると考える。
そこで、これら医師確保対策の評価・検証について、どのように分析をしておられるのかお尋ねする。

○病院局管理課長(佐藤二郎)

 県立病院の医師確保対策については、これまで全県立病院をフィールドとする多彩な臨床研修プログラムの提供及び臨床研修修了後の専攻医、フェロー課程の創設など、県立病院独自の医師養成システムの構築や、初任給調整手当の見直しなど給与上の処遇改善、先端医療機器の充実など医師にとって魅力ある環境の整備、系列大学との関係強化、公募の募集等を中心として、総合的に取り組んできたところである。
その結果、県立病院トータルの常勤医師数については、新臨床研修制度が導入された平成16年度と比較して、現在では約80名増加するとともに、本県研修医を修了した後も引き続き専攻医として県立病院に定着される医者の割合については、最初の研修修了者が採用された平成18年度の約4割から今年度は6割を超える水準に向上するなど、医師確保対策の一定の成果があった、こういうふうに考えている。
しかしながら、例えば柏原病院では、新医師臨床研修制度導入後、常勤医師が大きく減少しているほか、病院によっては、麻酔科を初めとする一部の診療科の医師の確保が困難となるなど、県立病院においても地域や診療科によって確保困難な状況が生じている。
このようなことから、今後は、これまでの確保対策に加えて、修学資金制度の拡充やさらなる処遇改善も検討するなど、地域偏在、診療科偏在の解消に重点的に取り組むことにより、高度専門医療を担う県立病院としての機能が十分に果たせるよう、医師確保対策のさらなる推進に努めていきたいと、このように考えている。

岸口実委員

 ご答弁ありがとうございました。本会議で知事が、医師を養成するのに8年かかるというふうなことを答弁されていたように記憶してるが、やっぱりそういう長期の視点も非常に大事であることは、もうご承知のとおりであると思う。
そんな中で、どういう項目がというか、どういうことが一番、医者の定着、お医者さんに来ていただくということに一番寄与したのかということは、やっぱりデータとして把握していく必要があると思うので、ぜひそういった検証から次の課題解決に向けて努力をしていただきたいと思う。
次の質問で最後になるわけであるが、診療報酬改定に対する取り組みについてお尋ねする。県立病院の経営は、単なる赤字、黒字で議論すべきではないということは、先ほど申し上げたとおりである。現行の病院経営は、地方公営企業法全部適用のもとで、良質な医療サービスを提供していくということであれば、診療報酬収入が安定して確保されることは、ある意味で重要である。
これまで累次の診療報酬のマイナス改定が、他の先進国に類を見ない医療崩壊を生じさせ、公立病院の経営悪化を招く一因となったということは疑いようのない事実であるが、このような中でも、病院局におかれては、平成20年度決算を見ても、患者数の減少を診療単価の向上で補い、前年度対比で約12億円の増収となっている。このことは、7対1看護基準や小児入院医療管理料の取得など、診療報酬制度へ的確に対応した結果であると、そのご努力に心から敬意を表したいと思う次第である。
そんな中であるが、来年度は2年に1度の診療報酬改定の年である。このたびの衆議院選挙における民主党のマニフェストでは、診療報酬に関して、日本の総医療費と国内総生産――GDPの比率をOECD加盟国平均まで引き上げることをうたっており、厚生労働省の概算要求でも、これに沿った増額要求がされると承知している。
先ほど午前中の答弁の中でも、この長期の計画の中で、診療報酬、既に上がるんだということを織り込んで計算をされていた答弁があったように思ったが、そこで、不採算医療や高度医療といった部分も含めた診療報酬全体の改善について、我々民主党として、また地方として、中央に働きかけていこうと思っているが、県としてはどのように取り組んでおられるのか、また、ご意見等あればお伺いをしたいと思う。よろしくお願いする。

○病院事業副管理者兼病院局長(荒木一聡)

 お答えする。
今、ご紹介いただいたように、累次の改定によって収入が減った。これに対応するために、費用面において給与の適正化であるとか、診療材料費の削減等の努力もしたし、いわゆる加算手当の多い診療に集中するといったような努力を重ねてはきたが、残念ながら厳しい経営状況が続いてる状況である。全国も同様であって、平成16年度に全国の自治体病院のうち3分の1は黒字だったが、19年度決算でいうと4分の1に減ってるといったような状況、このような改定の状況が反映しているかもわからない。
そうした中で、診療報酬の改定については、いろんな加算が出るということは、インセンティブが与えられるということもあるので、我々病院経営上、非常にこれは重要なものだというふうに認識をしている。22年度に改定がなされるわけであるが、私どもの認識としては、公立病院が抱えているいわゆる医療コストであるとか、医療技術に対する評価がもう少しあってもいいんじゃないかというふうに考えている次第であって、今回の改定に当たっても、各病院の診療現場の目線でどのようないわゆるインセンティブを働かすのがいいのかというご提案を賜ったところである。
この提案をもとにして、7月には県内の41の自治体のうち30が加盟する設立者協議会、また、全国に1,800の自治体があるが、その3分の1近くが加盟している全国自治体病院協議会に兵庫県の提案を申し上げたところである。この提案を踏まえて、この秋には厚生労働省・中医協に対してのご提案がなされるものというふうに考えている。県議会におかれても、このような状況を踏まえていただいて、何とぞのご支援を賜ればありがたいところである。
加えて、今回、先ほど来、議論になっている地域医療再生基金の関係であるが、100億円から25億円に減額というふうなことを聞いているが、あわせてその減額分については、22年度の診療報酬改定時において、何らかの措置をするということであるので、その辺についても期待をしているところである。地域医療再生の観点から、診療報酬の改定がなされると同時に、国庫補助制度の充実も望んでいきたいというふうに思っている。
あわせて公立病院の改革ということがうたわれているが、地方交付税による財源措置といったものの充実も、我々訴えていきたいと思っているので、引き続きご理解と議会からのご支援をちょうだいできれば幸いである。どうぞよろしくお願いする。

岸口実委員

 ありがとうございました。確かに言われるとおり、公立病院の評価が低いというのは、私も今言われて気がついたわけであるが、精いっぱい頑張っていきたいと思う。また、ほかにも何か宿題をいただいたような感じになってしまったが、その点についてもぜひ頑張っていきたい。
繰り返しになるが、やはり県立病院には県立病院の役割があるわけであるから、民間の病院と競うとか、地域の公立病院、公立病院といっても市立の病院と県立の病院は全く趣旨が違うわけであるから、そういったところはしっかり皆様方、アピールをしながら、今後県民の健康を守っていただくことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思う。ありがとうございました。

 

 

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