皆さん、おはようございます。
さまざまな子育て支援のかいあってか、少子化の終わりの始まりなのか、微増ではありますが、出生数の反転や、さきの秋篠宮家悠仁親王のご誕生など、明るい兆しが見え始めたように思います。また、恥ずかしながら我が家にも、ことしの5月に、第1子、男の子を授かり、少しは貢献できたことをうれしく思っております。引き続き頑張ってまいりたいと思います。ただいま育児の真っ最中であり、経験と反省を込めて質問に入りたいと思います。
三世代同居・近居から見た子育て支援について
最初は、三世代同居・近居から見た子育て支援についてであります。
平成18年6月20日付、少子化社会対策会議で決定された「新しい少子化対策について」の中に、その他重要施策として、家族用住宅、三世代同居・近居の支援が項目として挙がっております。「子育てしやすい住宅を低家賃で利用でき、または低費用で取得できるよう支援に努める。多様な家族関係を構築できるよう、三世代同居・近居を支援、推進する」とされております。
次に、平成14年度の国土交通白書の「子育てを支援する生活環境の整備」の中で、「三世代同居率が高く、仕事と育児の両立しやすい環境にある地域においては、女性の有業率、出生率がともに高くなっている」との記載があります。
ちなみに、兵庫県の三世代同居世帯の割合は8.4%と、47都道府県中35番目、女性有業率は43.1%と、47都道府県中46番目であります。核家族化の進んだ典型的な県と言えるわけであります。そして、平成14年度の数値でありますが、0歳から5歳人口10万人当たりの保育所の数は、全国平均315.4に対し254.5と、38番目であります。三世代同居は、最も身近な保育所であります。私たちの意識を変えていかなければなりません。
ある民間住宅メーカーの二世帯住宅研究所が平成17年に行った「この10年間の二世帯住宅入居者の同居意識と実態の変化の調査」の結果を見ると、10年前と比較し、二世帯住宅購入の理由について、「独自に家を持つことが困難」や「親子の同居は当然」、また「親の資産継承を考えて」など、社会的、経済的な理由により同居をめざすケースが大きく後退をし、「親・子・孫の三代で楽しく」や「家事・育児などで協力し合える」など、家族の積極的な協力を期待し、同居をする傾向にあることがわかりました。
また、育児協力の面では、「孫が親世帯に日常的にいつも世話になっている」という項目が大きな伸びを見せ、中でも子世帯の妻がフルタイムで働いている場合は70.5%と、非常に高い数値を示しております。
また、親世帯が介護状態になった場合、子供に頼らず福祉サービスを利用したいとの希望が多く、自分たちの老後を子供に期待しない傾向にあることがわかりました。親子の関係や三世代同居に対する概念が変わりつつあるように感じます。三世代同居家族は、節分やこどもの日など、日本古来の伝統行事を重視するとの調査もあり、日本古来の風習、習慣を見詰め直す機会にもつなげたいと思います。
そこで、私の大変つたない経験から申しますと、妻の妊娠時から出産、育児と、一番世話になり、また頼りになったのは近居の妻の母であります。子育ての経験があり、同じように孫を持つ方々の友人を持ち、いろんなことを教わりました。これから、いよいよ団塊の世代の方々が大量退職を迎え、家庭で過ごす時間が多くなります。一つのライフスタイルとして、三世代同居・近居のよさが見直されてもよいのではないかと思います。
現在、共助の仕組みづくり、社会全体として子育てを支援する環境の整備が進められておりますが、自助の仕組み、家族が一緒になって助け合う仕組みづくりについて考える時期にあると思います。そこで、家庭における三世代による子育て力強化の支援についてご所見をお尋ねいたします。
医療・介護難民対策について
質問の第2は、医療・介護難民対策についてであります。
本年6月に医療制度改革関連法が成立し、医療費適正化の総合的推進、公的保険給付の内容・範囲の見直し、新高齢者医療制度の創設、保険者の再編・統合などが柱となっております。
新高齢者医療制度の創設では、75歳以上の後期高齢者について、2008年4月より独立した医療制度を創設することとなりました。保険の運営は、都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が行うこととされ、医療給付の5割を国、県、市町が、そして4割を後期高齢者支援金からとなることから、効率的な運営が求められます。
また、新制度において、病状に応じた定額制となる包括払い制度の導入との報道がなされましたが、この制度の導入は、過小診療など、医療の質・安全にかかわる問題だとの指摘があります。特に、医療費適正化の総合的推進では、県において、生活習慣病の予防、平均在院日数の短縮を内容とする医療費適正化計画を策定することから、地域ごとの医療費適正化を主導する県の立場が重要になります。
国は、介護療養型医療施設を6年間で廃止し、同施設13万床と医療保険適用療養病床25万床を合わせた療養病床38万床を15万床に削減することとしております。県内では、介護療養型5,292床と医療保険適用1万818床を合わせた療養病床数1万6,110床のうち約6割が削減対象、つまり約1万床弱が廃止、削減の対象となります。
医療の必要性の低い社会的入院が財政を圧迫しているとの批判から、療養病床を医療の必要性の高い患者に限定し、医療の必要性の低い患者については、老人保健施設や特別養護老人ホーム、またはケアハウス、有料老人ホーム等の居住系サービスへの転換を進めようとしております。こうした取り組みを画一に進めた場合、削減される病床入院患者の中に医療を必要とする患者までが退院を迫られるケースがあるのではないか。
また、県では、ここ10年で毎年平均3万4,000人ずつ高齢者はふえると推計されており、新たな要介護者の増加が見込まれますが、施設介護が必要となる人の受け皿として、老人保健施設やケアハウスなどの整備は本当に追いついていくのか。また、在宅療養可能な患者であっても、独居や通院困難などの住宅事情により在宅療養が本当に可能かなど、まだまだ課題は残されております。さらに、負担能力の有無により有料老人ホームへの入所など、選択肢は大きく違ってまいります。所得格差により選択肢が狭くなることのないような配慮が必要と考えます。
以上の諸問題を初め、平成19年夏ごろまでに策定することとされている地域ケア整備構想や医療費適正化計画の策定に当たり、配慮すべきことは多くあります。そこで、医療難民・介護難民を生まないための県の施策、県の役割と支援策についてどのように取り組まれるのか、ご所見をお尋ねいたします。
ワーキングプア対策について
質問の第3は、ワーキングプア対策についてであります。
先日、テレビ番組で「ワーキングプア」なる言葉を知りました。働く貧困層であります。働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない人たちを指します。日本の全世帯のおよそ10分の1、約400万世帯とも言われており、大変ショッキングな数字であります。
経済協力開発機構は、日本の経済政策に対する提言をまとめた対日経済審査報告の中で、「日本は貧困層の割合が最も高い国の一つになった」と、経済格差の拡大に懸念を表明し、企業が非正社員より正社員をふやしやすくする政策を打ち出すべきだとの見解を示しました。また、格差拡大の要因として、高齢化やパートなど、非正社員の増加を挙げ、労働市場の二極化傾向が固定するおそれがあると警告をしております。
非正社員の増加は、平成15年6月の労働者派遣法の改正により、派遣期間の延長や派遣の対象となる業種の拡大などの規制が緩和され、雇用形態が一変したことに始まります。法改正の本来の目的は、労働力需給のミスマッチの解消や雇用拡大、そして派遣労働者の処遇改善にありました。経営者側からは、正社員を減らし短期の非正社員をふやすことで人件費の削減が図れ、一方、労働者側からは多種多様な働きが選択でき、組織や人間関係に束縛されないなどのメリットがあるとされておりました。
しかしながら、現実は、休暇、健康保険や労働保険、年金など、福利厚生において正社員と労働条件が異なり、待遇の格差が生まれております。また、正社員にかわり非正社員が一層拡大し、終身雇用であった労働慣行が崩れるなど、労働環境が激変しております。今や、3人に1人が非正社員となり、特に女性の非正社員化はとまりません。幾ら働いても年収が200万円に満たないというワーキングプアは、単純労働の繰り返しとスキルアップのための研修の機会にも恵まれない場合が多く、キャリアの向上は望めません。また、疾病、事故等の場合に、仕事そのものを失うリスクは高く、特に30代を過ぎてから失業すると、なかなか就職の機会が得られず、年齢が高くなればなるほど、雇用環境・条件はより一層厳しくなります。
平成17年版労働経済白書では、離職した若年者の転職後の就業形態を見ると、知識や技能を習得できないことにより、当面の就職困難をもたらすだけでなく、将来にわたって本人の能力不足、不安定就業を招来すると指摘しています。若年者ですら、一度非正社員となると容易に正社員になれない現実があります。
このワーキングプアの増加は、単なる労働問題にとどまらず、社会全体に負の連鎖をもたらせます。晩婚化と未婚化、少子化、所得格差と教育格差、他の社会保障との整合性、労働意欲、年金制度、治安など、その影響ははかり知れません。労働問題は国の施策によるものと理解しておりますが、影響の大きさを考えると、県としても無策でよいということにはなりません。そこで、ワーキングプア対策について、国との連携や県の役割についての認識と取り組みについてご所見をお尋ねいたします。
市町の特色ある施策支援について
質問の第4は、市町の特色ある施策支援についてであります。
大きな時代の変革期を迎え、厳しい財政状況下において、市町の行政サービスの維持向上と効率的かつ効果的な行政運営が求められる中、平成の大合併が行われました。
兵庫県は、なれ親しんできた21市70町から29市12町の41の市町が、住民に一番身近で総合的な行政サービスを提供する基礎自治体としての大きな役割を果たすことになります。それぞれの市町では、硬直化と待ったなしの財政問題、急激な少子・高齢化社会への対応を初め、ますます高度化と多様化する行政課題に的確に対応することが求められると同時に、魅力あるまちづくりが求められます。
先日、会派の政務調査で長野県の上田市――旧真田町を訪ねました。ご承知の方も多いと思いますが、「完全米飯給食により非行を減らした街」として、その名をはせているところであります。一つの施策が街のイメージをつくり上げ、街の魅力を高めた成功例と言えます。
余談でありますが、完全米飯給食をしたからといって非行が減るわけではありません。バランスのとれた食習慣を身につけさせ、教育を受けるにふさわしい心身の土台をつくることが目的であり、そのキーワードが学校給食であったということです。
このようなキーワードは、高齢者、子育て、環境、教育などの分野だけでもたくさんあります。街の魅力づくり、地域の特性に応じた施策は、当然、地域の実情を反映し、地元からは歓迎されます。地域の事情に応じた一層の施策展開を各市町に求めたいと思います。そして、施策における一村一品、県下の41市町が、それぞれ「何とかの街」「何とかの街」として、全国にその名をとどろかせていただきたいと思います。
私の地元であります明石市では、保育所の巡回警備や小学校への警備員配置、乳幼児医療費助成拡充など、ニーズに応じた迅速かつ的確な施策を展開し、子供に優しい、子育てに優しい、そして子供の安全・安心を守るまちづくりを進めております。市民からは、これらの取り組みを歓迎する声が寄せられておりますが、これらを継続していくためには、かなりの経費を要します。税源移譲が道半ばの今、市町によっては自主財源が十分とは言えず、財政的な支援が求められることになります。
県では、施策の重点的かつ計画的な執行による地域課題への的確な対応を助言するとしていますが、財政的な裏づけがなくては市町の独自施策の展開は限りあるものとなってしまいます。地方分権を推進するためにも、県としては、国と地方の役割分担に見合った交付税等の見直しや税源移譲を含めた適切な税財源配分を国へ要望していくとともに、三位一体改革を進めるこの過渡期にあっては、各市町の独自の施策や地域特性のある地域づくりを、財政的支援も含めて支援していくことが必要だと考えます。そこで、各市町の特色ある施策をどのように支援するのか、ご所見をお尋ねいたします。
県広報の推進について
質問の第5は、県広報の推進についてであります。
「悪事千里を走る」、この1か月の間、岐阜県の裏金問題、福岡市や姫路市職員の飲酒による交通事故のニュースは、一夜にして全国に広まりました。その反面、県初め行政の日ごろの地道な取り組みは、なかなか認知されないことは、大変残念なことであります。特に、安全・安心に関する情報は県民の皆さんに知っていただきたい、また届けたいものであります。知事自身が早朝から駅頭に立ち「さわやかトーク」を行っておられることや、ここにおられる先輩・同僚各議員も、早朝の駅頭を初めとする各種の街頭活動や県政報告会の開催などを通じ、県の広報・情報伝達に大きく貢献していることは申すまでもありません。
民間企業では、広報戦略に大きく労力を割いておりますし、その成否が企業のイメージを決定づけます。松下電器産業のファンヒーターについてのおわびCMなどは、その最たる例と思います。官と民では、広報の目的、趣旨が違い、同じ評価をするわけにはいきませんが、官民の間には広報に対する意識に大きな格差があるように感じます。分権により県の役割が大きくなればなるほど広報の必要性が増しますし、その内容、性質もさま変わりしてまいります。一層の拡充が望まれますし、世間の役所に対するイメージを一新をしていただきたいと思います。
さて、県では印刷媒体やテレビ、ラジオなどの電波を利用した媒体、そしてインターネットを通じ広報を行っております。中でも、インターネットを介し兵庫県ホームページへのアクセス件数は年々増加し、昨年度は610万8,000件に上るなど、大変有効な媒体としての分野を確立しております。今月よりホームページが一新され、各ページにアンケート欄が設けられるなど、双方向への取り組みや担当窓口が一目でわかるよう工夫がなされ、大変見やすくなったように感じます。今後、ますます増加するニーズへの対応や新しい手法を使った運営を期待いたします。
次に、電波・映像媒体ですが、「日曜さわやかトーク」や「週刊ひょうご夢情報」などを初めとするテレビ番組と、「兵庫県からのお知らせ」、「こちら知事室!井戸敏三です」を初め、AM・FMラジオ番組があります。テレビやラジオは、カバーする地域、世帯数の実数が大きいとはいえ、その視聴率を見ると寂しさを感じます。改善の余地があります。
平成2年度から平成13年度の間、近畿2府6県の協力により、テレビを通じた情報交換を目的とした近畿府県テレビ情報交流事業が行われていました。各県の財政状況が悪化したことや視聴率が低いこと、インターネットの普及により府県を越えた情報交換が可能になったことなどを理由に、事業は終了しました。
しかしながら、当時と違い、広域連携の重要性も増し、観光分野での連携や関西サミット誘致など、関西における広域連携の取り組みが多くなった今こそ、近隣府県が連携した広報への取り組みを再開してもよいのではないかと考えます。例えば、架空請求や悪質商法に関する情報、高齢者への交通安全情報は、県内のみならず近隣府県にとっても同じ課題であります。これらの被害者となる高齢者には、幾らインターネットが普及しても情報伝達手段としては不適格であります。
他府県共通課題は、共同してテレビ、ラジオで行うことが効果的であり、費用面でも効率的であります。また、番組制作にこだわらず、スポットのCMの活用など、とにかく目につくことを最優先に取り組んでいただきたいと思います。そこで、県の電波・映像媒体を使った広報戦略、特に府県を越えた広域的な広報のあり方についてご所見お尋ねします。
警察力の向上について
質問の最後は、警察力の向上についてであります。
地域安全まちづくり条例の制定により、地域での防犯に対する機運が高まりを見せております。まちづくり防犯グループの結成や地域でよく見かけるようになった青色回転灯車、いわゆる青パトの運行などの取り組みが、犯罪発生抑制に大きな効果を上げるものと期待されます。地域で地道な活動を支えておられる県民の皆様に、敬意を表したいと思います。
さて、本年4月に警察署の再編や駐車違反取り締まりの民間委託制度のスタートなど、新たな枠組みでの警察行政が展開されております。兵庫県警の警察官定員は約1万1,600人と徐々にふえておりますが、平成17年の刑法犯発生件数12万1,000件余り、人身事故発生件数4万2,000件余りを考えますと、まだまだ十分とは言えません。
各警察署の警察官定員についても、ここ数年の間に犯罪発生件数などの実情に応じて重点的な配分がなされておりますが、姫路署では約480名の定員に対し、刑法犯が8,200件余り起き、人身事故が3,400件余り起きております。加古川署、明石署、西宮署などでは、それぞれ約370から380の定員に対し、刑法犯は7,000件を超え、人身事故2,000から3,000件が発生をしております。警察官の負担の大きさがうかがえます。
以上のような事案を多く抱える警察署へのさらなる警察官の重点配分や、重大事案の発生や複数の事案が同時発生した場合の応援体制の充実が求められます。
また、常任委員会の管内調査で各署を訪れますと、ミニパトを初めとする資機材の配備や警察署の施設整備などの声も寄せられますし、警察活動の内容も、従来の犯罪に加え、ストーカー、DV、幼児・高齢者虐待、また高齢者を初めとする交通安全対策や広聴活動等々、多種多様化していることがわかります。中でも、ストーカー、DV、幼児・高齢者虐待に関する事案は今後とも増加することが容易に予想できますし、その被害者は弱者であります。
一概には言えませんが、これらの被害者の心情や状況を察すると、女性警察官の特性を生かすことのできる職域であると思います。女性警察官の採用と職域の拡大も大きな課題であります。警察機能強化については、いろんな角度から議論すべきでありますが、警察官の定員についても考える点があると思います。
まず、女性警察官の多くは、出産に伴う休暇や育児休業等の制度を利用しているようですが、育児休業中の警察官の代用の補充制度はありません。女性警察官の生の声を聞く機会がありましたが、特に子育てが大変だったそうであります。育児休業を取得した場合、その間の代用の補充がないので職場の人々に迷惑をかけたくないとの思いが強く働き、無理をするからではないかと感じます。
また、年間約600名の新規に採用された警察官が、警察学校において職責の自覚、使命感の醸成を初め、技能の向上をめざし研修を受けておられます。これらの新規採用の警察官の研修期間は、大卒の場合で15ヵ月、大卒以外の場合で合計21ヵ月とされ、この期間は大半を警察学校での訓練に費やし、第一線での職務に従事することができません。そこで、警察官一人一人の負担が大きい中で、第一線での職務に従事できない期間を定員の数から除外し、実数として定員いっぱいの警察官が現場で活動できることになるようにすべきだと考えます。その上で、多くの事案を抱え負担の大きい警察署に対し、警察官の重点的な増員配分や重大事案の発生時等の応援体制の充実が必要と考えます。当局のご所見をお尋ねをいたします。
以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○知事(井戸敏三)
ひょうご・県民連合議員団の岸口 実議員のご質問にお答えいたします。
まず、三世代同居・近居から見た子育て支援です。
ひょうご子ども未来プランにおきましても、三世代同居や近居は、子育ての相談や子供の世話を任せられるなど、子育てに大きな効果が期待できることから、その支援を検討するとしています。県内でも、但馬地域など三世代同居率が高い地域では、出生率が高いという結果が出ています。祖父母世帯との同居や近居を支援するとともに、三世代の交流などを含めて、地域の高齢者の参画などにより子育てを支援する環境を整備する必要がある、このことが言えるのではないかと思います。
このため、二世代にわたり居住できる高耐久住宅ローンを県民住宅ローンの中に設定しておりますし、バリアフリー化などを進めるなどによりまして住宅整備を支援しています。また、しごと情報広場などにおける県下各地の求人情報の提供によりまして、三世代同居や近居を支援する職場の情報を提供しています。
さらに、県立こどもの館における三世代交流事業や、地域の先輩が教壇に立って後輩を指導する「いきいき学校」応援事業、そして祖父母世代の孫育て事業など世代間交流事業を進め、高齢者が持つ子育ての知恵や文化の伝承が図られるよう努めているところです。
今後、こうした事業をさらに充実するとともに、国の新たな少子対策も踏まえ、社会全体として子育て支援を行う仕組みづくりをさらに進めていきたいと考えています。三世代同居や近居が、今まで核家族化を推進してきた流れの中から、社会のあり方を提起する一つのきっかけにもなるのではないか、そのような意味で期待をしているところでもありますので、よろしくご指導をお願いしたいと存じます。
続きまして、医療・介護難民対策についてです。
医療制度改革を円滑に進めるため、医療構造改革推進会議を県として設けまして、まず、生活習慣病予防健診等の推進を担当する健康診査等推進プロジェクトチーム、第2に、療養病床の再編成の円滑な推進を担当する地域ケア・療養病床転換推進プロジェクトチーム、第3に、医療計画、健康増進計画等、関係する諸計画との整合を図りながら、医療費適正化計画の策定を担当する医療費適正化計画プロジェクトチームを置きまして、総合的に検討を進めているところです。
今後、国の方針が示されることになっております健康増進に係るガイドラインや地域ケアの整備指針、医療費適正化基本方針、これらは年度末にならないと示されないとされていますが、県としては療養病床の転換対策、施設介護の受け皿整備のあり方、在宅介護の環境整備を初め、医療サービス水準の検討などの課題に対して、国からの方針提示に先立ち、関係者へのヒアリングや実態調査等を行うなど、検討を進めることにします。
今後は、国の方針や市町、関係団体等との調整の上、平成19年夏ごろを目途に地域ケア整備構想を、平成19年度末には医療費適正化計画を策定することにしています。
ご指摘のような医療難民とか介護難民を生じさせないためにも、市町介護保険事業計画の改定を指導・助言するとともに、地域介護・福祉空間整備等交付金等を活用して、老人保健施設等への転換も支援してまいります。
次に、市町の特色ある施策支援についてです。
21世紀の基礎的自治体としての市町の自立・主体性の発揮できる体制が、今回の市町合併によりスタートを切ったと言えるのではないかと思います。そのためにも、基礎的自治体としての市町が「みずからの地域のことはみずからが決めて、みずからが責任を負う」自己決定・自己責任が貫ける体制をつくることが不可欠です。
地方分権の推進に当たって、市町の自立に配慮することが極めて重要でありますし、今回の新型交付税の創設に当たっても、市町の地域特性や地域の実情に強い配慮を求めているのでありますが、それもこのような考え方にあります。
ご指摘のように、県下市町がその地域特性や住民ニーズにこたえて、それぞれ創意工夫した施策を展開してこそ、活気ある元気な兵庫をつくることができると信じています。その市町を象徴するようなキャッチフレーズが確立されるほどの個性や特色を持つこと、市町がそのようなアピール力を持つことは、地域ブランドの確立の観点からも望ましいことでありますし、既に構造改革特区を活用した地域づくり――32特区のうち29は市町からの提案によるものでありますが、これらを県として全面的に支援しているのも、このような考え方によります。
今後、少子・高齢時代における住民サービスの担い手は市町でありますだけに、元気な兵庫づくりをめざし、市町との協力、協働をともに進めていく、これを推進していきたい、このように考えています。今後とものご指導を、よろしくお願いいたします。
以上、私からの答弁とさせていただきます。
○県民政策部長(藤原正治)
私からは、県広報の推進についてご答弁申し上げます。
テレビやラジオの電波映像媒体は、情報をタイムリーに、しかも映像や音声でわかりやすく伝えることができる特性があり、有力な広報手段の一つであると認識しています。
電波映像媒体を使った広報戦略につきましては、昨年度、外部有識者の意見も聞き、時代のニーズに合わせた広報媒体の見直しや視聴機会の拡充、費用対効果などを基本的な視点として検討したところであり、今年度からは県政広報テレビ番組の再編や、新たに再放送やケーブルテレビの活用、ラジオ番組の新設、県ホームページでの動画配信などに取り組み、一層多くの県民の皆さんに視聴いただける機会を設けているところでございます。
また、県外に広く情報発信していく必要があるコウノトリの自然放鳥やのじぎく兵庫国体、のじぎく兵庫大会の取り組みなどは、タイムリーなニュース素材の積極的な提供によりまして、NHKや民放でも広域的に取り上げられているところでございます。
こうした広域的な情報発信の重要性も踏まえまして、観光や環境問題などの共通課題の広報推進につきましては、近畿の自治体や財界などから成ります関西広域連携協議会との連携や、近畿府県の広報担当課長会議などを通じまして提案してまいる所存でございます。
○産業労働部長(表具喜治)
私からワーキングプア対策について、ご答弁申し上げます。
最近の新規求人に占めます正規求人の比率は、平成14年度の56.2%から、本年7月では62.4%と上昇しております。
本年の労働経済白書によりますと、20歳代前半層の非正規雇用比率は、平成4年と14年で比較いたしますと、17.7%増加し26.6%になり、また20歳代のうち年収150万円未満の層は6.5ポイント増加し21.8%となっており、長期的には若年層を中心に格差が広がってきております。
これは、企業の経営戦略の変化や人件費抑制の動きと相まって、就職氷河期にフリーターなど非正規雇用が増加したことなどが要因と考えられ、特に若者に対して職業的自立を支援していくことが重要であると認識しております。このため、国では、フリーター25万人常用化プランに基づくトライアル雇用事業、あるいは一貫した就職支援などの対策を総合的に実施しております。
県におきましても、国の施策と連携しながら、高校生インターンシップなどの職業意識の啓発、デュアルシステム――これは実務・教育連結型訓練と言われておりますが――などの能力開発、あるいは若者しごと倶楽部におけるきめ細かな就職支援に取り組んでまいります。また、企業に対しましては、経済団体等を通じまして長期的視点からの人材育成、正規雇用の促進や均衡処遇についての啓発を働きかけております。
今後とも、これらを通じまして安定雇用へ移行させるための就職支援に取り組んでまいります。
○警察本部長(末井誠史)
警察力の向上について、お答えをいたします。
県下の治安情勢につきましては、刑法犯の認知件数が平成15年から連続して減少するなど、徐々に治安回復の兆しが見え始めておりますが、昭和期と比較をいたしまして、いまだ高水準で、依然として厳しい状況にございます。
こうした中、本県警察には空き交番対策、街頭犯罪抑止対策、ストーカー対策、歓楽街対策などの強化のために、平成14年度から965名の警察官の緊急増員が行われております。現在、採用を行い、増員の趣旨に沿った配置を進めているところでございます。
また、県民の安全と安心を確保するため、限られた人員を適正に配置することは極めて重要でございまして、人口、面積、事件事故などの数値指標や個別の事情を見守りながら、負担の平準化に努めております。
女性警察官につきましても、職域の拡大、あるいは採用の拡大を図っているところでございます。
また、重大事案の対処には大きく構えることが肝要であると考えておりまして、警察署と警察本部の執行部門、あるいは機動パトロール隊などの執行隊との有機的な連携を強化するなど、警察署の支援体制の充実を図りまして、初動措置の万全を期してまいりたいと考えております。
議員ご指摘の、現場活動に従事できない警察官を定数の外に置くことにつきましては、本県の治安を維持するために必要な警察力の構成がいかにあるべきかという観点から、今後、再任用職員、ITの活用、職員の能力、民間委託、装備資機材などの組み合わせを総合的に勘案して整理していかなければならない課題と考えておるところでございます。