皆さん、おはようございます。
民主党・県民連合議員団幹事長の岸口実でございます。分割方式により、7項目10点の質問をさせていただきます。
最初の質問は、兵庫県政の今後の課題について、2点お尋ねをいたします。


1問目は、これまでの県政運営に係る知事の自己評価と今後の地方の将来像についてです。
井戸知事におかれては、3期目の締めくくりの年を迎えられました。これまで自然災害等への備えを初め、経済・雇用対策や高齢化対策の推進、第2次行革プランの推進、関西広域連合への取り組みなど、県民生活にとり喫緊の課題から中長期にわたる課題まで、幅広い分野で県民生活の向上に向けた取り組みを続けておられます。
我が会派では、所属議員全員が参加し、知事の今期のこれらの取り組みについて評価・検証を行っている最中であり、本日の答弁も踏まえて結果を取りまとめ、後日、知事へお伝えしたいと思います。
さて、昨年末、衆議院総選挙で再び政権が交代をいたしました。国と地方の関係が大きく見直されます。前政権では、地域主権改革一括法による義務付け・枠付けの見直し、地域自主戦略交付金の創設など、地方の裁量を広く認めた分権型社会の構築をめざし、国出先機関の移管に向けた関連法案の閣議決定にまで至りました。
しかしながら、新政権では、道州制基本法の早期制定や「ひもつき補助金」の復活、国から地方への交付金を盾に、地方公務員の給与を国家公務員に準じて引き下げを求めるなど、まさに上意下達の中央集権体制そのものであります。
これまで分権型社会の構築をめざし取り組んできた関西広域連合の今後のあり方が問われるとともに、地方分権分野の事務を担い他府県をリードしてきた本県の存在意義が、今、まさに問われております。地方分権が政権交代のたびに政権の政治的な思惑に振り回されることを繰り返してはなりません。
このような中、県では、国主導による中央集権型道州制となる懸念があることから、来年度に研究会を立ち上げ、当事者としての地方から今後の広域行政体制のあるべき姿を発信していくための検討を進めることとされており、関西広域連合長でもある知事の実績とリーダーシップに期待をしたいと考えます。
そこで、3期目のこれまでの3年半にわたる県政運営を振り返り、ご自身としてその成果をどのように評価されているのか、また、今後の課題、中でも特に、自立した分権型社会の将来像をどのように描き、その実現に向け、どう取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお尋ねいたします。
 質問の2点目は、第2次行革プランの見直しについてです。
寺島実郎日本総研理事長監修の「日本でいちばんいい県 都道府県別幸福度ランキング」によると、総合ランキング全国1位は長野県で、我が兵庫県は22位でありました。分野別では、文化分野が3位と好成績ながら、基本指標は46位のワースト2位です。あくまで、これは一つの見方で一喜一憂するものではないことを申し添えますが、人口増加率、県民所得、投票率、食糧自給率などから成る基本指標には、本県の評価を最も下げる要因となった財政健全度が含まれております。
この財政健全化への取り組みとして、県では平成20年度に、同20年度から30年度までの間の改革の内容を定めた新行革プランを策定しました。平成22年度には、この新行革プランの総点検を踏まえ第2次行革プランを策定し、来年度にはその見直しを行うこととなっております。
第2次行革プランには、歳出対策として、人件費、行政経費、投資的経費の見直しにより効果額を積み上げることとなっております。人件費や行政経費については、目標額に対し、おおむねの効果が上がっていますし、また投資事業についても2月補正で公共投資679億円に加え、261億円の公共施設整備基金が創設され、少なくとも26年度までは予算執行面で余裕が生まれます。
しかし、その一方で、借換債の平準化対策の影響により実質公債費比率の減少が見られるものの、財務体質自体や一般会計の54%を義務的経費が占める硬直化した財政構造そのものが改善された訳ではありませんし、また、来年度当初予算案とともに示された平成30年度までの財政フレームによれば、変更後の財政フレームで予定する財源対策を行った後もなお残る各年度の不足額の2分の1、435億円を要調整費として国に解消を求めていかなければならない状況を考えれば、引き続き行財政構造改革に真摯に取り組んでいく必要があることは言うまでもありません。
ただ肝心なことは、これらの行革プランは、あくまで財政上における数値の是正にすぎないことです。プラン推進のため県民の皆様に多くの負担をお願いをしています。だからこそ行革プランを推進し、財務体質を強くすることが、ひいては県民サービスの量・質の向上につながらなくてはなりません。
そこで、来年度、第2次行革プランを見直しするに当たって、今回の見直しにより県民生活がどのように向上するのか、将来へどのようにつながるのかを県民に対して明確に示す必要があると考えますが、当局のご所見をお尋ねいたします。
 質問の第2は、今後の社会基盤整備の進め方についてです。
東洋大学の根本祐二教授は、その著書の中で、我が国における社会基盤を更新するための投資額は、今後50年間で総額330兆円と推定されること、アメリカでは既に社会インフラの崩壊が始まっており、我が国でも一つの自治体で一つの橋が危険にさらされていることなどを述べておられます。現実に、私の地元でも、-昨年、国道2号にかかる橋のたもとが陥没する事故が発生いたしました。
また、昨年度の国土交通白書では、20年後には道路橋梁、河川管理施設、港湾岸壁の過半数が建設後50年以上を経過し、急速に老朽化が進むとされています。このまま従来どおり維持管理・更新を行った場合、投資総額を上回るとの推計もあります。
本県においても、今後10年ほどで、橋梁、排水機場の約4割から6割が耐用年数を迎え、修繕を行わず一律に更新する場合、30年後の維持・更新費は現在の約3倍程度と試算されますが、仮に施設の長寿命化に計画的に取り組めば、これを2倍程度に抑えられます。
この点、今後、ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画を策定し、計画的・効率的な老朽化対策に取り組むとともに、津波防災インフラ整備5箇年計画に基づき、防災・減災対策にも迅速かつ着実、積極的に取り組んでいかなければならない中、私は幾つかの懸念を感じております。
 1点目は、予算執行の自由度への懸念です。
今年度、社会基盤整備事業費1,566億4,200万円のうち、維持・更新費は311億9,700万円と、19.9%を占めておりますが、これが仮に2倍に抑えられるとしても約40%となり、今後、新規投資は抑制され予算執行の自由度が下がるのではないでしょうか。
 2点目は、執行力の確保です。
近年、約1,000億円程度の繰り越しが常態化しています。加えて、今回の2月補正では多額の公共事業費や公共施設整備基金の積み増し等が予算化され、例年以上に事業量は膨大なものとなっております。このような中、積算、発注等の契約事務の遅延や受注業者の人手不足など、現場が対応し切れないという事態が起きるおそれはないのでしょうか。
 3点目は、市町との連携の必要性です。
先日、我が会派で長崎県の橋梁長寿命化修繕計画について調査した際、補修マニュアルや独自の歩掛りの作成など、さまざまな配慮をしながら進めているとお聞きしました。中でも、市町管理の橋梁は県の数倍に上り、老朽施設の増加に対応する市町職員の技術力向上が課題であるとのことでしたが、橋梁に限らず、本県でも同様の課題があるのではないでしょうか。
そこで、県として、これらの点を初め、さまざまな課題があることを踏まえた上で、今後、どのように社会基盤整備を進めていこうとされておられるのか、当局のご所見をお尋ねいたします。
 質問の第3は、救急医療体制の充実についてです。
ここ10年足らずの間に、地域医療を取り巻く環境は大きく変化しました。特に、平成16年の新医師臨床研修制度の導入により医局制度が崩壊し、医師の科目偏在と過疎地域での医師不足、病院崩壊、地域医療の崩壊へと負の連鎖が続きました。
県内でも、平成16年から20年にかけての医師数は、県全体で6.4%増加しているものの、北播磨、但馬、丹波、淡路での医師不足が顕在化し、姫路市でも、吐血し救急を要請した男性が18の医療機関で搬送を拒否され死亡する事案が発生するなど、地域医療崩壊を象徴する事件が起きました。
これに対し、県では、さまざまな施策を展開し、医師の量的確保や地域・特定診療科の偏在への対応を進めるとともに、救急医療の最後のとりでとなる第3次救急医療体制の整備にも取り組み、地域医療体制の構築を進めています。
一方で、昨年11月、消防庁より出された「平成24年版救急・救助の現況」によると、平成23年の救急車の出動件数は前年比24万3,973件増の570万7,655件あり、搬送人員も20万3,192人増の518万2,729人と、過去最高を記録しております。5.5秒に1回の割合で救急隊が出動し、国民の25人に1人が搬送されていることになります。
県内においても、平成23年の転院搬送を除く救急搬送人員数は前年から7,184人増え20万358人となり、3次救急医療施設への搬送割合は7.2%から8.7%へ、重症以上の人数は1万4,929人から1万5,265人へと増えております。
こうした中、兵庫県民間病院協会の会長は、地域の救急医療の状況を考える場合、「重症以上の傷病者で病院交渉回数が4回以上の事案の割合」、「重症以上の傷病者で救急車現場滞在時間30分以上の事案の割合」という二つの指標が重要であるとおっしゃっておられます。県内での前者の割合は1,017件6.7%、後者の割合は886件5.8%で、いずれも全国の平均値を上回り、ワースト10に入る厳しい結果となっております。
個々の医療圏では、阪神北・南地域が最も厳しい状況にあり、特に市町ごとで大きなばらつきが見られ、近隣市町相互の連携を図り、この状況を早急に改善すべきであると考えます。
先日、常任委員会の調査で伺った県立西宮病院でも、救命救急センター指定後、3次に加え2次救急患者搬送依頼用ホットラインを増設し対応していますが、3次救命救急を守るため、年間約1,000件の搬送を断らざるを得ないと聞きました。
そこで、現在、保健医療計画の改定作業が進められていますが、県民の命の最後のとりでとなる3次救命救急体制を維持するためにも、県として積極的に各市町間における広域連携体制の構築を進め、阪神北・南地域を初め、県下における2次救急体制の強化に速やかに取り組むべきと考えますが、当局のご所見をお伺いいたします。
 質問の第4は、障害者の法定雇用率達成に向けた取り組みについてです。
先日、常任委員会の管内調査で、社会福祉法人ホーム塩屋の役員の方々と「知的障害者への自立支援」をテーマに意見交換をさせていただきました。「障害者の自立にはいろいろな形がある」、「仕事を通じて生きる喜びを学び、仕事をやり遂げた自信が自立へつながる」という理事長のお言葉が印象に残っております。
障害の有無を問わず仕事を持つことは、豊かな人生を送るためには欠かせません。さて、県下の障害者は、平成23年現在約30万9,000人で、その3分の1の11万5,000人が、18歳以上65歳未満の方と推計されます。仮にこれらの年齢の方全てが就労可能とするならば、昨年6月1日現在、県下で雇用されている障害者数は約1万1,400人、わずか1割にとどまっており、就業を希望する一人でも多くの障害者の方々の働く場の確保を続けなければなりません。
このような中、法令改正により、この4月に法定雇用率が1.8%から2.0%へ引き上げられますが、県下の民間企業における障害者雇用率は、昨年6月1日時点で1.79%と、わずかですが法定雇用率に届いていないのが実情です。
これを企業規模別に見れば、常用雇用労働者数が100人以上の企業で50%が法定雇用率を達成しているのに対し、56人から100人未満の企業では48.3%と、半数が未達成となっており、規模の小さな企業における雇用をより一層促進していく必要があります。
特に、4月からは障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が、これまでの常用雇用労働者数56人以上から50人以上へと拡大されます。これにより対象となる県下の企業数及び常用雇用労働者数は約3,000社、約65万人と推計され、単純に計算した場合、法定雇用率2.0%を達成するには、昨年6月1日時点と比べ、さらに約1,600人の障害者の雇用を確保しなければならないことを考えれば、今回、範囲が広げられる小規模企業への支援は喫緊の課題であります。
また、産業別に見れば、不動産・物品賃貸、金融・保険、教育・学習支援等では、全国に比べ本県の雇用率が下回っており、これらの分野における対策も重要であります。
県では、これまでから種々の関連施策を工夫するとともに、今年度には特例子会社制度の積極活用を進める企業への支援や兵庫県雇用開発協会に専任コーディネーターを配置し、初めて障害者を雇用する中小企業を対象に各種相談や研修を行うなど、法定雇用率達成に向けた取り組みを強化されています。
また、平成27年4月には、常用雇用労働者数100人を超え200人以下の事業所が障害者雇用納付金制度の対象となることから、取り組みを加速させる契機としなければなりません。
そこで、より一層の雇用促進と法定雇用率の達成をめざし、これまでの取り組みの成果を踏まえ、さらに個々の企業の規模や業種・業態などに応じた個別ピンポイントの施策も展開していくべきと考えますが、当局のご所見をお尋ねいたします。
質問の第5は、農協への指導強化と農家の競争力強化についてです。
政権交代により、来年度から、農業者戸別所得補償制度について一部施策の組み替えが行われます。まずは、現場での混乱が生じないよう部局の適切なご対応をお願いを申し上げたいと思います。
さて、昨年、神戸ビーフの輸出が開始されました。安定した供給と採算の確保にまでは至らないようですが、明るい兆しが見え始めています。海外戦略は、今後の農業を占う重要なテーマでもあり、中でもTPPの議論は、さきの衆議院選挙においても争点の一つとなりました。全国の農業団体の会長からは、TPPへの対応を選挙支援の判断材料にするとの発言もありました。先日の日米首脳会談で、日本のTPP交渉参加に対し、センシティビティな問題があるとしながらも、世界的な規模で貿易自由化の流れが加速していることを認識しなければなりません。
県内の平成22年の販売農家の平均年齢は、全国平均を2歳上回る67.8歳となっており、高齢化が進行しております。また、耕作放棄地や休耕田の増加など、農地は10年間で3,900ヘクタール、甲子園球場約1,000個分も減少しており、産地の衰退を食いとめ、産業としての農業への転換が急務です。
このような中、県では平成24年3月、「ひょうご農林水産ビジョン2020」を策定し、農家の競争力強化や他産地との差別化など、農林漁業者、農協、事業者等と連携した施策展開を図っています。
これに対し、昨年9月議会では、我が会派の池畑浩太朗議員が、このような農協と連携した農業モデルが硬直化しているのではないかとの懸念から、「県の農協に対する指導・監督の現状と評価、今後の取り組み方向」について質問したところでありますし、常任委員会の管内調査でも県内の農協を調査しましたが、法令規定や総会での決定によるものとは承知をしておりますが、多額の内部留保金を有していることなど、組織や事業の運営方法を見直した方がよいのではないかと考えられる事例も多く見られたところです。
これまで、我が会派では宮崎県の農業生産法人「新福青果」や千葉県の農事組合法人「和郷園」、山口県の「(株)秋川牧園」や佐賀県の野菜直売所「マッちゃん」など、多くの事例を調査してまいりました。これらの調査先に共通するのは、これまでの農家、生産者の概念を超え、独自で農薬、肥料を管理した生産を行い、消費者と生産者のニーズの把握や出口対策、流通経路の確立を行うなど、まさに企業経営そのものだということです。また、産業としてうまく回転すれば後継者も、どんどん出てくるとも言われております。
そこで、より競争力ある農家を構築するため、農協の本来の役割である営農指導、技術指導を初め、肥料や十分な資材の共同購入などの経済事業において組合員ニーズを十分に反映させるよう、今後の組織のあり方も踏まえ、いま一度、農協への指導を強化するとともに、県施策の推進に当たっては、多様な民間企業や先進的な農家等の事業能力を積極的に活用していくべきと考えますが、当局のご所見をお尋ねいたします。
知事部局に対する質問は以上であります。以降の教育委員会、警察本部へのご質問については後ほどさせていただきます。
○議長(藤原昭一)  井戸知事。
〔井戸知事登壇〕


○知事(井戸敏三)

  民主党・県民連合議員団を代表しての岸口実議員のご質問にお答えいたします。
まず、兵庫県政の今後の展望についてお尋ねをいただきました。これまでの県政運営についての知事の自己評価と今後の地方の将来像についてであります。
阪神・淡路大震災からの創造的復興を踏まえて、ポスト大震災、兵庫の再生の取り組みを、これまで行ってまいりました。しかし、少子・高齢化の進展は厳しく、兵庫も人口減少県の仲間入りになりました。知事就任3期目は、人口減少社会であっても兵庫の活力を維持するための兵庫づくりをめざしてきたつもりです。
多発する自然災害への備え、成長を生み出す科学技術基盤の充実、県民主体の地域づくり、都市と農村との交流の促進などに取り組んでいます。地方分権の突破口を開く関西広域連合も設立されました。東日本大震災支援でも、力を発揮しています。そして、時代潮流を見据えて兵庫長期ビジョンを見直し、県民とともに推進する協働シナリオをまとめています。これらの取り組みを通じて、「元気で安全安心な兵庫」づくりが進んできたと考えています。
今後の課題は、防災を初め、医療・福祉など、安全安心な社会基盤づくり、第2に経済と雇用など豊かな生活の実現、第3に人づくりや高齢者・女性の活躍など人口減少社会への挑戦、第4に地域の個性や創意を生かした「ふるさと兵庫」の活力の持続、第5に海外との経済交流や国際貢献など、グローバル化への対応であると考えています。
そして、これらの課題に対応するためにも、行財政構造改革と地方分権改革を着実に推進していかなければなりません。成熟社会を迎える中、社会構造と同様に行政システムも、東京一極集中、中央集権型では、地域の元気、日本の元気は生まれません。多様な地域が自立し、個性を競いながら発展する地方分権型システムが求められています。いかなる政権でも、分権改革の歩みをとめてはなりません。引き続き、権限・財源移譲など、分権改革を国に働きかけてまいります。特に、道州制については、国主導による中央集権型道州制となる懸念がありますので、地方からしっかりと課題提起してまいります。
今後とも、日本のミニチュア――日本の縮図と言われる兵庫だけに、今後の課題を乗り越え、地域づくり、「創造と共生の舞台・兵庫」の実現に向けて取り組んでまいります。
 続いて、第2次行革プランの見直しについてです。
行財政構造改革は、単に施策、組織、定員を削減・縮小するものではなく、持続可能な行財政基盤を確立し、県民のニーズ、県民の負託に応える県政を構築する取り組みだと考えています。
これまで、限られた財源とマンパワーの「選択と集中の徹底」を図ってまいりました。経済・雇用対策や防災・減災、医師確保対策などの安全安心な環境づくり、こども医療費の拡充や兵庫型教科担任制の導入など、明日を担う人づくり、地域や観光の振興など、地域の活性化に取り組んでおります。
今、本県は人口減少下のもとでの活力の維持、防災・減災の推進、津波を含め災害に強い県土づくりなどの安全対策と産業や人づくり、福祉や健康など元気対策をめざさなければなりません。行財政構造改革は、県民のご理解と協力のもとに、安全と元気な兵庫を生み出す課題に対応していくものだと考えています。全県ビジョンの推進方策や県政推進プログラム100を実現していくためにも、行財政基盤をしっかりとしたものにする必要があります。
第2次行革プランを見直し、本県財政の現状や将来の見通し、組織、定員、給与などの取り組み状況について他府県と比較するなど、県民に分かりやすく積極的に周知・PRし、十分な理解を得ながら取り組んでいきます。
例えば、給与については、職員の協力を得て既に平均5%の削減を実施していること、定員を平成30年度までに19年度比で30%削減することなどを初め、行政の効率化、スリム化に既に努めていることなどであります。
いずれにしましても、県議会はもとより、市町や県民のご意見を十分にお聞きしながら、3年目の総点検を通じて、「21世紀兵庫長期ビジョン」が描く兵庫の姿「創造と共生の舞台・兵庫」の実現に向けて行財政構造改革を着実に進めてまいります。
今後の社会基盤整備の進め方について、ご指摘をいただきました。今後の社会基盤整備に当たっては、老朽化対策はもとより、防災・減災対策など、緊急に取り組むべき事業について、計画的・重点的に推進していく必要があります。このため、予算の確保や事業の円滑な執行など、的確に対応しなければなりません。
まず、ご指摘の老朽化対策費の増加への対応ですが、平成25年度に策定する「インフラ・メンテナンス10箇年計画」に基づき、長寿命化による老朽化対策費の縮減や平準化を図ります。これが、一時集中することなく、中長期的な見通しのもとで整備を図っていきますので、一定規模の新規投資余力を確保することにもなると考えています。そのためにも、国の補助事業の確保に今後とも重点的に取り組みます。
 第2に、増加する事業の円滑な執行についてです。
まず、土木事務所の事務負担軽減のためには、調査・設計・現場監理業務等の民間委託を推進するとともに、県OBを含めた経験者の活用などを図ります。併せて、入札手続の期間短縮なども行い、早期執行に努めます。また、この3月から主任技術者の複数現場の兼任を可能とするように制度改正を行い、受注業者の人手不足にも対応してまいります
第3に、市町職員の技術力向上への対応ですが、市町管理の橋梁と下水道施設を対象に、県と40市町で設置している協議会等を通じて、分かりやすい手引き等により長寿命化計画策定を指導・助言します。さらに、まちづくり技術センターと連携して、アドバイスなど、引き続き支援を行ってまいります。
また、来年度は社会基盤整備プログラムの改訂を行う予定です。このプログラムにおいて、事業の優先順位や工程を明らかにしていきます。今後とも、事業の必要性などについて、より一層丁寧な説明に努め、県民の理解のもと、安全で元気な県土の基盤づくりに取り組みますので、よろしくお願いいたします。
救急医療体制の充実についてお尋ねがありました。
救急患者が増加傾向にある一方、医療機関や救急医の負担が増大しています。それに伴い2次救急医療機関が減少するなど、救急医療への対応能力の低下が危惧されております。
このため、本県では県下の救命救急センターを増加させ、平成26年度には10ヵ所になる予定であります。現在は、7ヵ所であります。――増加させますとともに、小野、三木の統合による北播磨総合医療センターなど、医療機関の再編に併せて救急機能の強化支援に取り組んでいます。
また、広域的な連携方策としては、県広域災害・救急医療情報システムにおいて、搬送困難事例に対して一斉に受け入れ要請を行う機能を追加してまいります。また、神戸市内の2次救急医療機関が参加する救急医療情報システムとの一体化も図ります。さらに、関西広域連合と連携したドクターヘリによる広域救急搬送体制の整備にも取り組みます。
ことしの秋の播磨でのドクターヘリの運航が始まれば、神戸阪神、但馬丹波、淡路と、4ヘリによりカバーされます。さらに、地域の救急医療体制に課題が生じている阪神圏域をモデルに、輪番制病院による受け入れ情報を、疾病別・重症度別にリアルタイムで消防機関に提供するシステムを構築します。また、圏域をまたぐ救急医療のあり方や役割分担などを調整する協議会の設置を支援してまいります。これらの取り組みによりまして、広域連携体制をさらに検討し、救急医療の充実に努めますので、ご理解いただきます。
 続いて、障害者の法定雇用率達成に向けた取り組みです。
ノーマライゼーションの理念を踏まえ、一人でも多くの障害者が、その意欲と能力を生かしながら職業的に自立してもらわなければなりません。既に県下10ヵ所の障害者就業・生活支援センターに配置した就業拡大推進員による実習先・就職先の開拓や職場定着の支援を行っています。また、「障がい者雇用フェスタ」などを通じた周知啓発や就労体験の実施による企業、障害者双方の理解促進を行っております。
第3に、県雇用開発協会の専任コーディネーターによります訪問相談や関係機関と連携した特例子会社設立に向けたワンストップ支援なども取り組んでおります。
このような結果、雇用障害者数は着実に増加しています。平成18年、約9,000人が、平成24年では約1万1,400人になりました。本年4月からの法定雇用率の引き上げ、民間企業で1.8%から2%になることに伴い、一層の雇用促進を図る必要があります。中小企業に対しては、コーディネーターを増員し、新たな雇用義務が発生する企業等に重点を置いて支援に努めてまいります。
一方、大企業に対しては、特例子会社の設立促進のため、相談体制を充実し、ワンストップ支援を強化します。また、本年度作成した設立ガイドブックに加え、先進企業の事例をまとめたDVDを作成し、企業に提供し、雇用の受け皿整備を促進します。さらに、社会保険労務士等のアドバイザーにより、相談体制を強化します。また、農業等の障害者の就労に適した分野での雇用も図るため、雇用促進セミナーの開催などを通じて取り組み事例を紹介します。
これらに対処しますために、「障害者雇用・就労対策本部」を県に設置し、民間雇用の促進はもとより、率先雇用や優先発注の実施にも努めてまいります。このような形で、雇用促進に努めてまいりますので、どうぞよろしくご指導を願います。
以上、私からの答弁とさせていただきます。
○議長(藤原昭一)  吉本副知事。
〔吉本副知事登壇〕


○副知事(吉本知之) 

 農協への指導強化と農家の競争力強化についてお答え申し上げます。
産業としての力強い農業を再生するためには、意欲ある多様な担い手を育成し、農家の競争力を強化するなど、生産体制の確立が重要でございます。
農協はこれまで、生産から流通、販売をトータルに担い、地域農業全体を支える重要な役割を果たしてきましたが、営農指導機能などについて、組合員ニーズに応えられていないとの指摘もございます。そのため、農協に対しましては、営農指導員の確保や専任化などによる営農指導体制の強化を図るよう指導してきたところであります。
また、研修の実施や県普及指導員との連携強化を図ることにより、営農指導員の資質向上を支援をしてまいりました。
さらに、農協では来年度から農家組合員の所得向上のため、生産から販売まで一体的に取り組みます「地域農業元気プラン」推進事業を実施いたしますとともに、意欲ある担い手の育成・支援を図るために、「農業後継者育成積立金」の創設を検討いたしております。また、県下各地におきまして、企業的な経営に取り組む先進的な農家や農業に参入する企業、農業生産法人などの経営体も育ってきております。
県といたしましても、ひょうご農業MBA塾、企業等の農業参入セミナー、集落営農活性化塾などを実施いたしまして、経営能力向上のための支援を行ってまいりました。
これによりまして、野菜農家で組織をいたしました「太陽の会」や若手稲作農家によります「(株)兵庫大地の会」の誕生など、新たな取り組みが始まっております。また、企業等法人の農業参入数では全国第2位、集落営農組織数では全国第3位となっておりまして、多様な経営体が地域特性を生かしながら、意欲的な農業ビジネスが展開されてきております。
今後とも、農協が農家の競争力を高める役割を適切に果たせますよう指導をいたしますとともに、多様な経営体がそれぞれの特性を生かした積極的な経営を展開することにより、競争力あふれる力強い農業が再生できるよう支援してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
<page="45">○議長(藤原昭一)  岸口議員。


○(岸口実議員) 

 ただいま、私の質問に対して、それぞれご答弁をいただきました。課題解決に向けた施策というのは、おっしゃるとおりであります。あとは実行あるのみでありますから、その意気込みを忘れずにお取り組みをいただきたいと思います。時間の制約もありますので、次の質問へと参りたいと思います。
 質問の第6は、通学区域変更に伴う課題についてであります。
県では、高校改革の一環として、平成12年から2次にわたり「県立高等学校教育改革実施計画」を策定し、学びたいことが学べる学校づくりを進めています。平成21年度から25年度までの第2次計画のもと、16学区中12学区への複数志願選抜制度の導入拡大が図られました。併せて「県高等学校通学区域検討委員会」での検討を経て、一昨年11月、高校進学の選択肢確保と魅力ある高校づくりのさらなる発展・推進を目的として、現行の16学区から5学区への再編と、県下全学区への複数志願選抜制度導入を要旨とする最終報告がまとめられました。
この報告には、このたびの県下での通学区域の再編は、およそ半世紀ぶりとなることや、一部学区では選抜制度を変更し間もないことから、遠距離通学等による負担の増加、志願の偏り、受検競争の激化、選抜制度変更による混乱などの課題が述べられております。
県では、これをもとに、昨年1月、新通学区域に係る基本方針を示すとともに、学区再編後の選抜制度の改善などの諸準備を進め、昨年12月に新通学区域に係る公立高等学校入学者選抜の改善について決定、公表されたところです。
高校選びは、人生設計を考える上で重要な社会への第一歩です。高校で知り合った友は生涯の友となり、学校生活は人生の宝にもなります。より夢のかなえられる選択ができるようにしなければなりません。そこで、制度変更に当たって、以下2点お尋ねをいたします。
1点目は、学区拡大に伴う生徒、保護者、進路指導担当教員間における情報共有についてです。
私の地元明石学区では、全日制普通科高校における入学者選抜については、現在、複数志願選抜制度が導入されており、生徒が自分の学力、学校の特色・難易度などを見定め、5校の中から選択しています。生徒、進路指導担当教員はもとより、保護者も、これまでに多くの情報を蓄積しており、通学の負担等も十分に考慮しながら志望校を決定しています。今回の学区拡大に伴い、明石、加印、北播の三つの学区が新第3学区24校に、また、大きなところでは、阪神間と丹有の五つの学区が新第2学区34校に再編され、学校数、通学エリアとも急激に拡大します。
これにより、確かに選択の幅は広がりますが、新学区全体を見据え志望校を選択・決定するために必要な情報の確保・蓄積はこれからであり、スムーズに志望校を決定できるか懸念されます。とりわけ進路指導に影響を与える教員が日常業務に忙殺される状況下では、十分な進路指導を期待するのは困難と思われます。そこで、スムーズな志望校決定のため、県教育委員会として、生徒、保護者、進路指導担当教員間における情報共有をどのように図っていくのか、お尋ねをいたします。
2点目は、第1志望加算点についてです。
昨年12月に発表された新通学区域に係る公立高等学校入学者選抜の改善において、複数志願選抜制度の県下全学区への導入に際し、これまで弊害が多いとされてきた「その他校希望」が、新通学区域では廃止されることになりました。これにより進学を保障するセーフティネットの効果が薄れ、第1志望・第2志望決定はより慎重を期すことになりますが、その動向を大きく左右するのが第1志望加算点です。
ある塾のホームページでは、実際の合否判定の際に学力検査の点数は0.5倍換算されることから、「加算点は入試本番の2倍の価値がある得点、実際に第2志望に合格するのは大変難しく、第1志望合格90%に対し第2志望合格5%から10%と、かなり低い」と紹介されています。
特に、第1志望加算点が大きい学区では、第2志望を選択しようとしても、その合格をより確実なものとするためには、より慎重に選択して志望校を変更するなど、本来の希望とは全く違う学校を志望せざるを得なくなるケースも生まれてきます。また、第1志望と第2志望の合格者では、入学後も実力差があるように思います。
これまで、教育委員会は、複数志願選抜制度導入前の制度の違いによって受検者の平均点が異なり、その差によって学区ごとの第1志望加算点の設定も異なると説明しており、例えば、これから一つの学区となる第3学区内でも、明石学区は15点、北播学区では35点と大きく異なっております。
そこで、受検動向を大きく左右する第1志望加算点について、来年度中に見直しを行うとされていますが、これまでの制度、教育風土などが大きく違う学区を統合するに当たり、県教育委員会として、どのような基本姿勢で臨むのか、お尋ねをいたします。
○議長(藤原昭一)  大西教育長。
〔大西教育長登壇〕


○教育長(大西 孝)

  通学区域変更に伴います課題について、2問頂戴いたしました。
まず、学区拡大に伴います生徒、保護者、進路指導担当教員間におけます情報共有についてです。
学区拡大を踏まえまして、生徒、保護者、そして教員間におきまして十分な情報提供がなされて、そして、それを踏まえた進路指導が適切になされる、このことが重要でございます。中学校の進路指導では、進路指導担当教員、学級担任を中心に、生徒の能力・適性、興味・関心や将来の進路希望に基づきまして、まず、細やかな進路相談や進路情報の提供、そして、生徒一人一人の学習到達度の分析・検討、さらには進学動向等の的確な情報収集などの取り組みを、より早期に、そして、かつ丁寧に進めていく必要があると考えております。
具体的には、進路相談や進路情報の提供につきましては、県で進路指導に係りますガイドラインをまず示しまして、これに基づく進路相談を現在の中学3年生から中学2年生へと前倒し実施をしてまいります。
また、学習到達度の分析・検討につきましても、県で作成いたしました評価基準表に基づきまして、学習評価の公平性を確保しながら、よりきめ細かく行うよう、研修会などを通じまして、その定着を図ってまいります。
また、進学動向等の的確な情報収集につきましては、進路指導担当教員が新通学区域内の高校の教育方針や特色あるカリキュラム、他の中学校の志望状況や進学動向等の情報を的確に収集しまして、自校の進路指導に活用できるよう、これまでの進路指導担当者会を新通学区域単位に拡大するなど、市町教育委員会、中学校長会とも連携を密にして、その取り組みを進めてまいります。
さらに、県立高校からの情報発信といたしましては、オープンハイスクールの充実や新学区単位の高校説明会の開催、新選抜制度や高校の特色を掲載いたしましたパンフレットの中学1年生全員への配布を、この3月中に行ってまいります。
教員が生徒にかかわる時間が確保できるよう十分留意しながら、こうした取り組みを積極的に進めまして、生徒、保護者、教員がしっかりと情報共有し、安心して受検に臨むことができますよう取り組んでまいります。
続きまして、第1志望加算点についてご質問いただきました。
現行の複数志願選抜で実施しております第1志望加算点につきましては、受検生の学びたい高校選択を支援する観点から設定しております。その点数は小さ過ぎると受検生が思い切って受けようとする意欲の向上にもつながりませんし、逆に大き過ぎますと、第2志望で合格する可能性が低くなります。そして、複数志願選抜の趣旨が生かせなくなりますので、このため第1志望を優先するにふさわしい点数とするため、学識経験者等で構成いたします第1志望加算点検討委員会を設置いたしまして、各高校の受検者の成績や学区全体の成績分布にも配慮の上、総合的に検討し決定しているところです。
今後、新通学区域におけます加算点につきましては、高校の選択肢が広がる中で、受検生が学びたい高校へチャレンジしようというその気持ちをより支援することを基本といたしまして、第1志望加算点検討委員会におきまして、これまでの加算点の効果に対します評価・検証を改めて行いますとともに、拡大する5学区の新しい学区単位のそれぞれの単位で、高校の配置状況も踏まえまして、これまでの入学者選抜におけます受検生の成績等の分析、また、新加算点設定のシミュレーションも行いながら、平成26年3月までに新通学区域にふさわしい第1志望加算点を決定するよう取り組んでまいります。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(藤原昭一)  岸口議員。


○(岸口実議員)

  先ほどご答弁があったわけでありますけれども、今回の改革はですね、学校の選択肢を広げていこうというふうなことが目的になっています。ただ、この第1志望の加算点、先ほどおっしゃれたように、加算点の取り方によっては選択肢を逆に狭めてしまうということにもなりかねないことでありますから、そこはしっかりと見極めていただきたいと思いますし、また、学校間といいますか、教員の質、指導によって、その子供の進路に大きな影響が出てしまう。しかも、学区ごとにそれが違ってしまうということになりますと本末転倒ですので、ぜひそんなことのないようによろしくお願い申し上げたいと思います。
質問の最後であります。警察官の不祥事根絶等に向けた取り組みについて、2点お尋ねをいたします。
まず1点は、警察官の綱紀粛正についてです。
本県における昨年の刑法犯認知件数は7万5,651件と、ピークであった平成14年の16万4,445件に比べ大幅に減少しております。これまでのさまざまな取り組みの成果と評価するものの、殺人などの重要凶悪犯罪を初め、空き巣・ひったくりなどの街頭犯罪、高齢者を狙った振り込め詐欺などの特殊詐欺やサイバー犯罪などが連日のように新聞やテレビで報道されております。引き続き、徹底した検挙と発生抑制に向けた取り組みをお願いいたします。
さて、昨年12月、尼崎連続変死事件の容疑者が県警本部内の留置場で自殺する事案が発生しました。先月、検証報告書がまとめられましたが、二度とこのようなことが起こらないよう、反省すべきところを反省し、改めるべきところをしっかり改めていただきたく思います。
併せて、残念なことに警察官の不祥事が急増しています。生田署の巡査長が万引き容疑者を暴行、県警本部の警部補が万引き、セクハラで巡査部長が戒告、情報漏えいの疑いで警部補ら4人送検、姫路署での供述調書改ざん、社署での調書捏造など、ここ数ヵ月の事案だけでも、これだけあります。
つい先日も、捜査資料紛失により、計6人の警察官が本部長注意等の処分を受けたとの報道もありました。過去の懲戒処分件数を見ると、平成20年は9件9人、21年は13件13人、22年は12件13人、23年は18件18人、24年は20件27人と、ここ5年で倍増しているほか、昨年の27人中10人が停職処分となるなど、懲戒の対象となった行為の質も劣化をしています。
このような中、警察庁では非違事案防止対策委員会を設置し、警察官としての資質の不適格者の採用をどう防ぐかについての検討を行い、採用試験にポリグラフ検査を導入するとの案が出たとの報道もありましたが、そのようなことを真剣に議論しているのかと思うと、身命を賭して住民の安全安心を守るべきはずの警察は一体どうなってしまうのだろうかとの思いを禁じ得ません。そこで、警察本部長就任に当たり、綱紀の粛正と県民の信頼回復にどう取り組むのか、本部長の決意のほどをお尋ねいたします。
2点目は、警察官のメンタルケアについてです。
先日、神戸水上署の庁舎移転に当たり、署内に設置された留置施設を丁寧にご案内いただきました。単独、または複数の被疑者が入る施設が横に並び、薬物使用などが疑われる被疑者が入る施設は、我々の日常生活では考えられない光景というのが私の印象です。
看守勤務員の警察官は、これらの施設に入った被疑者と四六時中対面し、動静を監視し続けなければなりませんが、その心理的なストレスは相当厳しいものではないかと容易に想像できます。
また、監視勤務員のみならず、警察官の職務は常に危険と隣り合わせであり、高い職業意識を常に保ちつつ、緊張しながらその職務に当たっておられることと思います。
加えて、私生活の面においても厳格な自己管理が社会的にも求められており、これらにより日々生じる精神的なストレスが、さきの質問で述べた不祥事発生の要因の一つと言っても過言ではありません。個々の不祥事に対する処分も大切ですが、同時に警察全体として不祥事を生まない基盤をどう整えるのかということを考えていくことも重要と考えます。
また、警察学校入校者は、入校前から厳しい訓練と承知しているはずなのに、平成23年度514人、24年度418人の入校者に対し、23年度は110人21.4%、24年度は84人20.1%が在校中に退職しています。民間企業であれば、新入社員が半年や1年で2割も辞めてしまうということは考えにくく、本県にとって大きな損失であり異常事態であります。こうした中途退職者の発生を防ぐ必要があります。
そこで、県警本部として全ての警察官が健やかな精神状態のもとで、自信と責任感を持って自らの職責を全うできるよう、そのメンタルケアについて、これまでどのように取り組んできたのか、また、昨年の不祥事案件や警察学校在校中の途中退職者の増加を踏まえ、今後、その取り組みをどのように充実をしていくのか、ご所見をお尋ねいたします。
○議長(藤原昭一)  塩川警察本部長。
〔塩川警察本部長登壇〕


○警察本部長(塩川実喜夫)

  警察官の不祥事根絶などへ向けた取り組みについて、まず警察官の綱紀粛正についてお答えします。
県警察では、非違事案が発生するたびに、県民の信頼を取り戻すべく再発防止に努めてきたところでありますが、非違事案が後を絶たないことは、まことに残念であります。
これまで発生した非違事案について見ますと、警察職員としての自覚、責任感、使命感、こうしたものの欠如といった個人の資質の問題に加えまして、精神的ストレス、家庭不和、経済的困窮など、さまざまな要因が絡み合って発生しております。したがって、業務管理を適切に行いながら、幹部職員による身上把握・指導の一層の充実を図ってまいります。
また、警察職員としての自覚や職務倫理意識を徹底するための教養を粘り強く継続的に実施してまいります。さらに、兵庫県警察非違事案防止対策検討委員会において、発生した非違事案の再発防止策についての検討に取り組んでいるところであります。
このように、一つ一つ積み重ねていくことで、県民の信頼回復を図ってまいる所存です。そのため、警察本部長として精いっぱい汗をかいていく決意でありますので、どうかよろしくお願いいたします。
次に、警察官のメンタルケアについてお答えします。
県民の安全を守る警察活動を推進するためには、組織の活動基盤を支える職員一人一人の心身が健康であることが、極めて重要であると認識しております。県警察では、これまで警察署などに職員相談員を配置するとともに、警察本部の職員相談室に臨床心理士や産業カウンセラーの資格を有する職員を配置して、職員のさまざまな相談に対応しています。さらに、部外のカウンセラーとも契約を結び、職員が匿名で相談できる環境づくりにも努めています。
また、これまでは異動した職員を対象にメンタルヘルスチェックを行っておりましたが、平成25年度からは職員一人一人が心の不調にいち早く気づくことができるよう、「メンタルヘルスチェック支援ツール」を導入する予定であります。
警察学校に入校した学生に対しても、学生の精神面のサポートとして、「学生相談室」を定期的に開設し、臨床心理士の資格を有する職員による学生のメンタルヘルス対策に取り組んでいるところでありますが、対策の強化として、相談室の開設数を増やすことも検討してまいります。
○議長(藤原昭一)  岸口実議員に申し上げます。申し合わせによる時間が迫っておりますので、再質問は簡潔にお願いいたします。
岸口議員。


○(岸口実議員)

  先ほど警察学校の中途退職者についてのご答弁がありましたけれども、やっぱり現実、こうやって増え続けている訳です。やはりもう少し厳しい観点からの対策を打たないと、これは減らすことができないというふうに感じますが、その点、もう一度ご答弁をお願いします。
○議長(藤原昭一)  塩川警察本部長。
〔塩川警察本部長登壇〕


○警察本部長(塩川実喜夫

 お答えします。
メンタルヘルスケアの問題については、今、申し上げたとおりでございます。警察学校における教育という点について、ちょっとご答弁申し上げたいんですが、警察官採用試験に合格して採用された者、これは警察学校において教養訓練を受けておりますけれども、第一線で活動するためには、そのために必要な知識、気力、体力、こういったものを兼ね備えませんと、第一線へ出て、かえって県民の方々に迷惑をかけ、また信頼に応えることもできないということになる面がございます。そうした面から、学生が多くの場合、自主退職を申し出て、結果として採用数が充足されていないということになってございます。
こうしたケースにつきましては、県警察としても、警察学校は職業訓練校であるという性格もございますので、いたずらにとどまらせることは、かえっていかがかという点がございまして、退職を承認しておるところでございます。

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